クレスコ 【東証プライム:4674】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社企業グループは2022年4月、持続可能な社会の実現に向けた、積極的かつ能動的な取り組みを推進する姿勢を明確にするため、「サステナビリティ基本方針」を策定しました。様々な事業活動を通じて、社会の課題解決とサステナビリティに関する取り組みを推進し、私たちが実現したい『世界中の人々の想像を超える「その先」、もっと豊かでわくわくする未来』を通して、「持続可能な社会」の実現と当社企業グループの成長を目指してまいります。
サステナビリティに関する基本方針 「企業活動の成長が世界の人々の幸福に可能な限り最大の貢献をすること、そしてそこに働く人々が共に喜びと誇りをもち、自己の能力を最高に発揮できること」は企業の使命であると考え、また、人間はみな平等であるという立場から、発揮する能力以外の性別、学歴、血縁、人種、国籍、宗教等すべての差別を無くし、技術の追求を中心とした自由で、活気のある経営を行いたいと考え、創業以来、これを実践してきております。 私たちクレスコグループはその実践を通じて豊かな社会づくりに貢献し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点で様々な事業活動、企業活動に取り組むことによって「持続可能な社会」の実現と私たちクレスコグループの成長を目指してまいります。 2022年4月25日 株式会社クレスコ 代表取締役 社長執行役員 冨永 宏 |
当社企業グループのESG経営
当社企業グループは、持続的な成長と企業価値向上を目指し、2021年度から、今後10年間の長期ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートいたしました。社会に新しい価値を提供し、利益を上げると共にステークホルダー全体の利益も考慮していくべきだと考えております。E(環境:Environment)、S(社会:Social)、G(企業統治:Governance)は、企業が認識すべき「社会から企業への期待」であり、政府が2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言したことを踏まえ、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るため、ESGにおいて「何ができるか」を常に思考し、行動し、継続することを大切にしております。
当社企業グループにおいては、「事業を通じた活動」、「持続可能な社会への貢献」の2軸からESG経営に紐づく6つの重点テーマを設定いたしました。そして、それぞれのテーマについてSDGsで提唱された17の国際目標から関連する項目を選定し、全事業活動を通じた「価値創造」と「社会の課題解決」に取り組んでいます。
当社企業グループは、グローバルな経営環境の変化への対応と事業機会の拡大、社会課題の解決を目指し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するための柔軟なガバナンスを構築しています。
取締役会は、リスクや機会を含むサステナビリティに関する監督及び管理の責任を持ち、そのもとで社長執行役員及び配下の各部門が業務執行を担っています。また、社外取締役が、逐次、経営層に監督・助言する機能や取締役会における経営判断が、様々な社内施策や取り組みに的確かつ迅速に反映され、実行に移される機能が備わっております。
サステナビリティ関連の全体的な業務執行については経営戦略室が中心になり、また、当社における人的資本の活用については経営戦略室及び人事部が中心になり、それぞれマネジメントを行い、サステナビリティへの取り組みの方向性を議論、決定の上、各部門と連携して活動し、取締役会への議案の提出及び活動状況の報告を行っております。
(2) 戦略
当社企業グループ事業活動をとりまく国内外の情勢は今後も大きく変動することが予測されますが、そこで想定されるリスクの低減や事業機会の創出を図り、レジリエンスを強化するため、ESG視点の戦略、ビジネスモデルの重要性が一層高まっております。
日々の報道で頻繁に見聞きする深刻な社会課題に対応し、サステナブルな社会を実現するためには、技術革新、特にIT技術は必須であり、サステナビリティへの取り組みを進める上で、IT技術を応用した「デジタル変革(DX)」は、欠かせないツールであることに間違いはありません。
当社企業グループの展開するビジネスモデルは、まさに、お客様のDX支援です。当社企業グループの2大事業であるITサービス事業、デジタルソリューション事業は、お客様の作業効率性や付加価値の上昇や「働き方改革」を含めた社会(S)や環境負荷の低減や保全といった環境(E)に寄与するものです。このことこそが私たちの社会的使命であり、存在価値、そして存在理由そのものであると考えております。
当社企業グループは、創業以来、IT技術を応用した“システム開発(モノづくり)”に徹底的にこだわり、成長してまいりました。技術と品質に裏打ちされたESG視点でのビジネスモデルは、当社企業グループの持続的な成長を支え、人、社会、地球に大きなインパクトを与えることができるものと考えております。加えて、多彩なESG活動が、自らのリスク低減や事業機会の創出に繫がり、ひいては事業の成長を促進し、そこで創出された利益が様々なステークホルダー(マルチステークホルダー)や社会に還元される、といったサイクル(価値創造プロセス)を形成していくと考えております。
イ 人的資本に関する戦略
当社企業グループの競争力の源泉は「人財」です。重要な財産である人材の「材」を「財」であるという認識のもと、当社は、経営戦略と連動した人財戦略を策定し、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を掲げております。
ロ 人財育成方針
成長を楽しみ互いに高め合う風土や自立・挑戦といったマインドをベースにしております。当社はこのマインドをベースに、「スペシャリティ強化」「キャリア開発支援」「基礎力向上」の3つを柱として様々な取り組みを実施しております。自ら学び挑戦し成長を楽しみながら、「一人ひとりが輝きスペシャリティを活かしたキャリアを実現する人財育成モデル企業」を目指します。
a.ITプロフェッショナルの育成
自己の実力を最大限に発揮するために、「資質」「人間力」「技術力」「仕事力」の4つの力が重要であると考えています。この4つの力が高い状態であるほど、より大きな成果を生み出すことができます。当社企業グループの人財育成では、もともと備わっている「資質」に加え、「人間力」「技術力」を磨き、これらの力を成果に結びつける「仕事力」を高め、市場で活躍するITプロフェッショナルを育成しております。
b.DX人財育成
スペシャリティ強化の一つとして、ITサービス事業DXの観点では、エンジニア集団としてお客様に価値を提供し続けるために、デジタル技術、ビジネスデザイン(ビジネスをお客様と共創できる)スキルを身に付けた、次世代のビジネスをリードできるDX人財を育成しております。
また、社内業務DXの観点では、当社自身のDX(社内業務効率化、社内業務改革)を実現するために、デジタル技術やデータ活用に関する知識や技術を活用して、DXへの取り組みを推進できるDX人財を育成しています。DX人財の基礎教育として、例えば、次のプログラムを実施し、エンジニアだけでなく、社内間接部門についても育成を行っております。
c.次世代人財育成
当社企業グループが持続的に発展していくためには、これからを創造、牽引できる人財の育成が重要であると考えています。2022年より「次世代マネジメント育成プログラム」をスタートさせ、毎年40名前後を選抜し、バックキャスト(思考)を用いたこれからの在りたい姿を描きながら、自身の強み・弱みを踏まえたキャリアの設定、マネジメントとしてのマインドや考え方を学び、優秀な人財の発掘と育成を行っております。
d.キャリア開発支援
個人が自律的・主体的にキャリア開発に取り組み、持続的に成長することによって新たな価値を創造し続け、それが企業の成長、ひいては社会貢献にも繋がるとともに、個人の成長を支えるという循環を生み出します。個人の成長あっての企業の成長という考えのもと、一人ひとりが自らのキャリア形成に取り組めるよう、キャリアデザインシートの活用やキャリア相談窓口の設置等を通じて、社員をサポートしております。
ハ 社内環境整備方針
当社企業グループは多様な属性・専門性・経験・価値観を持つ個人を尊重し、一人ひとりがその能力を最大限に発揮することにより、新たな価値を創造できると考えております。このため、多様な人財が活躍できる環境を整備するとともに、お互いを認め、高め合う職場を実現するため様々な取り組みを進めております。
a.人財獲得
IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人財不足は否めず、人財の獲得と開発体制の強化は継続的な課題となっております。当社は、経営戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、外国人、障がい者や「これだけは負けない」という国内・国外で秀でた実績・経験を持つ方を採用するユニーク採用等、多様な人財獲得についても強化しております。また、就職活動中の学生をターゲットに魅力的な企業イメージを持ってもらうため、採用広告でのブランディングにも力を入れています。
その他、ニアショアやクレスコベトナムを通じたオフショアを積極的に活用し、機会損失(案件の失注や縮小等)が発生しないよう取り組んでおります。
b.人財活用
当社では、新卒社員が現場に定着し着実に成長できるよう、指導員制度とメンター制度を設けております。指導員は職場の先輩が担当し、1年間のOJTを通して、業務上で必要な技術・知識・マインドを指導しています。メンターは2年間、他部門の社員が担当し、直接の業務から離れた立場でのアドバイスを行っております。メンター制度についてはキャリア入社者にも適用し、早期に当社に慣れ、実力を発揮できるよう支援しています。また、配置については、経営戦略と社員の能力・適性をマッチングさせた戦略的な配置と社員が自ら希望する部門へ異動を申し出ることができる社内公募・FA制度を実施し、最適かつモチベーション向上に寄与する配置を行っております。
c.人事制度
社員と当社のさらなる成長のために、「スペシャリティの追求」「実力本位に基づく処遇」「多様な人財が活躍できる職場の実現」をコンセプトとした人事制度では、個々の専門性や強みを追求できるよう職務・職責を7等級・16職種に分類し、複線型のキャリアパスを歩めるようにしています。担当する職務・職責と成果創出に応じたメリハリのある処遇を実現し、より高いレベルで「実力」を発揮することを促す制度としています。また報酬については市場の動向も踏まえながら、2年連続でベースアップを実施し、人財への投資も積極的に行っております。
d.健康経営
健康経営は、健康管理を経営的な観点から戦略的に実践することであり、中長期的には、生産性向上や組織活性化をもたらし、企業価値や業績の向上につながります。社員の心身の健康を維持・増進し、社員一人ひとりが、安心・安全に、やりがいを持って働ける職場を実現するこの取り組みは、企業のレピュテーションや人財採用の面でも効果が期待できるものであり、併せて、企業のリスクマネジメントとしても重要なものであります。当社では「健康経営宣言」を掲げ、健康経営推進体制を整備し、健康リテラシー向上の研修やウォーキングイベントによる運動等に取り組んでおり、2023年3月には4年連続で「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2023」に認定されております。
なお、最新の当社の健康経営に関する体制や具体的な取組みについては、下記URLにてご覧いただけます。
https://www.cresco.co.jp/ja/sustainability/social/hc/kenko-keiei.html
e.働き方改革
働く“場所”については、テレワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド型勤務」を推進し、担当業務や指導体制をもとに社員一人ひとりが最適な選択をできるようにしています。オフィス環境については、「コミュニケーション促進」と「集中力向上」をコンセプトに本社のレイアウトを変更し、対面機会の創出を図るとともに、Web会議に対応した環境づくりとして個別ブースを設けたほか、Web配信スタジオ「Fusion Studio」(フュージョンスタジオ)を設置する等、オンライン対応も充実させています。
働く“時間”については、コアタイムのない「フルフレックスタイム制度」のもと社員が働く時間帯を自由に選択できるようにしています。その上で、健全な就業環境の実現にも力を入れており、時間外労働は低い水準を継続し、年次有給休暇は80%を超える取得率を達成しています。働く“場所”と“時間”ともに柔軟性を高め、多様な人財が生産性の向上やワークライフバランスを実現できるよう支援しております。
f.ダイバーシティ&インクルージョン
多様性の受け入れは、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くため、必要不可欠であります。当社企業グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。その中で女性の活躍を支援し、女性管理職比率の増加にも注力するほか、外国人や障がい者も積極的に採用し、活躍できるよう取り組んでおります。2021年4月からは、LGBTに対する取り組みの一環として、パートナーシップ制度を導入いたしました。また、2022年4月には「男性育休100%宣言」に賛同する等、性別を問わず仕事と育児の両立を支援しています。今後も、多様な人財が組織に平等に参画し、その能力を最大限発揮できる機会の提供を通じて様々なイノベーションを生み出し、価値創造につなげてまいります。
なお、最新の当社のダイバーシティ&インクルージョンに関する体制や具体的な取り組みについては、下記URLにてご覧いただけます。
https://www.cresco.co.jp/ja/sustainability/social/hc/diversity.html
(3) リスク管理
当社企業グループは、サステナビリティガバナンスのもと、リスク低減と事業機会の創出を確実にするため、リスク管理及び機会管理を強化しています。リスク管理においては、リスクの重要性を内部統制委員会で定期的にモニタリングしております。その中でも、特に経営への影響が大きく、速やかな対応を要する人財、内部統制に関するリスク等については常務会、取締役会でとり上げ、リスクオーナーを選定し、進捗管理を行っております。各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。機会管理においては、当社企業グループ全体でテーマを共有し、優先順位の設定とESG視点での活動を促進する仕組みや管理体制を構築し、具体的な事業活動に繋げております。
(4) 指標及び目標
当社企業グループは、上記「当社企業グループのESG経営」に示した6つのテーマ毎に、目標を定めております。目指すべき方向性を明確にし、的確な進捗管理を可能とすることで、ESG経営を着実に実行しています。サステナビリティガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しております。
イ 気候変動(TCFD提言への取り組み)に関する事項
気候変動は、現在及び将来世代が豊かな生活文化を実現することに対する大きなリスクとなっております。当社企業グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、気候変動への対応の必要性を認識しております。
現時点では、社内体制が未整備のため、TCFDに賛同しておりませんが、可能な範囲で、気候変動に関する取り組みを行い、環境負荷の低減と事業活動の効率性の向上のため以下の活動に取り組んでおります。
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
■ITを通じた地球環境保全活動
当社企業グループは、ITを通じ、様々な業種、業態のお客様向けに、ITサービス事業(システム開発)及びデジタルソリューション事業(クラウド、AI、ロボティクス、IoTなど)を展開しております。事業活動を通じて、お客様の情報システムの導入や更改による環境負荷低減を実現し、ひいては社会の環境負荷低減に貢献してまいります。
■環境負荷の低減活動
気候変動により平均気温が上昇することは、環境や社会に非常に大きな影響を及ぼすことから、「環境負荷の低減活動」を実行することが、重要であると認識しています。当社企業グループの事業における最大のネガティブインパクト(CO2削減や環境への影響)は、電力の消費量やコピー等の紙の使用量であるため、日常的に省電力や節電やペーパーレスに取り組んでおります。これらの取り組みは、システム開発におけるエネルギー利用の効率化やコストダウンにも繋がります。
■GHG排出量
当社の本社ビルにおいては、再生可能エネルギー(電力)の購入による温室効果ガス削減への取組を行い、環境負荷低減に努めております。
今後、「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」への実現に寄与すべく、更なるCo2削減にむけた具体的な目標、取り組みを検討してまいります。
なお、2021年度及び2022年度の当社におけるScope別Co2排出量は下記のとおりです。
項目(注1) | 2021年度実績(t-CO2) | 2022年度実績(t-CO2) |
Scope1(注2) | 0 | 0 |
Scope2(注3) | 176.96 | 194.97(注4) |
(注)1.Scope3については、今後の開示に向けた検討を進めてまいります。
2.事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)に係るもの。
3.他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出に係るもの。
4.地方拠点増床による電力使用量が増加したため、対前年度比較で増加しております。
ロ 人的資本に関する事項
上記「(2)戦略 ロ」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、当社企業グループに属する全ての会社では行われていないため、当社企業グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、当社企業グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。
指標 | 目標(2023年度) | 実績(当事業年度) |
年平均研修時間(注1) | 50時間 | 40.3時間 |
ストレスチェック受検率 | 97.0% | 96.9% |
健康リテラシー研修受講率 | 100.0% | 99.6% |
月平均所定外労働時間 | 15.0時間 | 16.9時間 |
年次有給休暇取得率 | 82.0% | 80.6% |
女性管理職比率(注2) | 11.0% | 10.2% |
男性育児休業・目的休暇取得率(注3) | 85.0% | 79.0% |
障がい者雇用率(注4) | 2.6% | 2.5% |
コンプライアンス研修受講率 | 100.0% | 100.0% |
(注) 1.就業時間中に研修、セミナー、eラーニング、勉強会等に参加した時間を集計しております。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、育児休業等及び育児目的休暇制度の取得率を算出しております。
4.「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づき算出しております。
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