キヤノン電子 【東証プライム:7739】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループは競争が激化する厳しい市場環境に対応するため、現行事業の更なる拡大と、新規事業の創出を図るべく、新製品開発活動を行っております。
当連結会計年度において、一般管理費に計上している研究開発費は4,197百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動状況は次のとおりであります。
(1)コンポーネント
デジタルカメラ市場をけん引しているミラーレスカメラは、従来の一眼レフカメラと比べ、小型化、軽量化を実現しやすく、また、静止画の高画質化や動画撮影の高機能化が進んでおります。このような環境下において、当社はセットメーカーのカスタムニーズに的確に応えたシャッターや絞りユニット、光学フィルタを開発し、シェア拡大に取組んで参りました。また、監視カメラ市場では、4K動画撮影などの高解像度対応向けに開発した絞りユニットを採用して頂き、シェア拡大を進めています。コンパクトデジタルカメラ市場では、動画撮影に特化した絞りユニット、光学フィルタの開発を進めてシェア拡大を進めています。
このような活動の結果、当セグメントにおける研究開発費の金額は129百万円となりました。
(2)電子情報機器
ドキュメントスキャナーにおいては、現行のスキャナーの機能に加え、新たに標準のブラウザーを利用してスキャンする機能を実装した新製品DR-S250N(A4機 50ppm)の開発を行いました。本新製品は、Webブラウザーを用いてスキャンを行う新機能(CaptureOnTouch Lite WEB)を搭載し、パソコンやスマートフォン・タブレット側にアプリをインストールしなくても使える利点があります。今後さらに需要が増えていくと予想されるネットワーク環境での活用を効率よく進められる製品になります。加えて、上記機種の上位モデルであるD19S(仮称:DR-S350NW)の開発を開始しました。本モデルではカラータッチパネルとWi-Fiを搭載するモデルをベースモデルとし、機能差を設けた派生モデルのリリースを目指しています。これらのラインナップ展開により、売上の最大化を図ります。ソフトウェアに関しては、ドキュメントスキャナーの稼働・設置情報の収集とモニタリング、ソフトウェアのアップデート、ログの収集機能などをネットワークを介して管理する機能を備えた管理ツールをリリースしました。新製品だけでなく既存製品も幅広くサポートを行うことができるソフトウェアで、販売会社からも期待されております。今後も新製品、既存製品共に販売を伸ばせるソフトの開発を実施していきます。2022年開発したDR-M1060II、DR-M140IIとDR-S250NのSuMPO環境ラベルプログラムのCFP(Carbon Footprint of Products)検証を取得し、環境評価システムであるEPEAT (Electronic Product Environmental Assessment Tool) GOLDを取得しました。再生材の使用比率を高めるため、再生樹脂を積極的に採用しました。製品に使用されるプラスチック削減を進めるため、ソフトウェアの配布形態を見直すことで、本年は7製品で同梱されているセットアップディスクを廃止しました。
ハンディターミナルにおいては、OSにWindows 10 IoT Enterpriseを採用した標準モデルGT-50とサーマルプリンターを内蔵したGT-50Pを用意し、既存顧客のリプレイスに加え、新規市場、顧客獲得に注力しています。今後も継続して販売できるよう新規プラットフォームの検討のための研究開発も開始しています。また、ハンディターミナルで培った堅牢性、小型・省電力設計、各種通信制御の技術を活かし、新規分野へ積極的に進出します。第一弾として、マイナンバーカードをはじめとする公的証明書や、磁気とICの双方のキャッシュカード読み取りに対応した個人認証カードリーダーID-MY2をプレスリリースしました。
さらに、2022年12月に国内販売を開始したスポットライト型アルミスピーカー「Light & Speaker」ですが、2023年度は海外販売に向けて認証の取得を行い、12月8日に中国、12月11日にヨーロッパで販売を開始しました。ヨーロッパでは発売1週間で予想を上回り完売状態となりました。また、他の海外地域への販売も検討しております。Light & Speakerは、心地よいサウンドと光により日常から切り離されたパーソナルな空間を演出するスポットライト型のワイヤレススピーカーです。円筒形のフォルムと理想的なスピーカー配置により、クリアで豊かな音の響きを360°全方位から体感できます。ボディーはアルミ削り出しで、堅牢性と美しさを演出したデザインとなります。2種類の光色(暖色、白色)で、それぞれ3段階に調光できるライトは、照射角度をフリーストップで調整でき、目的やシーンに合わせた使い方ができます。
このような活動の結果、当セグメントにおける研究開発費の金額は803百万円となりました。
(3)その他
小型ロケット「カイロス」による人工衛星の打上げサービスの事業化を目的とする持分法適用関連会社スペースワン株式会社では、ロケット機体の開発を進めているほか、和歌山県串本町で日本初の民間企業が所有するロケット打上げ射場「スペースポート紀伊」を建設し、小型ロケット打上げサービスの事業化を推進中です。
このような活動の結果、当セグメントにおける研究開発費の金額は1,025百万円となりました。
なお、各セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費の金額は2,238百万円となりました。
また、新規事業の一環として、宇宙関連分野では、打上げから約6年半経過した当社製の超小型人工衛星「CE-SAT-I(シーイー・サット・ワン)」と、同じく約3年経過した「CE-SAT-ⅡB(ツービー)」の実証実験を継続しており、地上や天体などの画像を日々撮影しております。また、衛星本体や内製コンポーネント、撮影画像の販売促進も継続しているほか、姿勢制御の改善を重ね、少しずつ移動しながら撮影して高解像度と広域撮影を両立するなど撮影手法の多様化にも取り組んでおります。さらに、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)のH3ロケット2号機へ搭載する当社製超小型人工衛星「CE-SAT-IE(ワンイー)」の準備をJAXAおよび関係当局と連携して進めました。農業分野では、植物工場向けの生産設備や温度・湿度等の管理システム、そして種蒔き、植え替え、収穫といった手作業を自動化した装置の開発に取り組み、これまでの植物の苗を植え替えする移植機に加え、自動で種まきを行う播種機の販売を開始しました。更に移植機については画像認識とAIを組み合わせた自動検査機能を追加したモデルの開発も進み、販売開始の段階となっています。また、栽培規模に合わせた手動機、半自動機、自動機の提案を行い、ニーズに合った商品化を進めています。
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