キッツ 【東証プライム:6498】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
① 企業理念「キッツ宣言」
当社は、ゆたかな地球環境と持続可能な未来を創造することが、社会に対して果たすべき使命であると考えています。そのために、創業以来培ってきた流体制御技術と材料開発をさらに磨き上げ、社会インフラを支え続けてまいります。
② 長期経営ビジョン『Beyond New Heights 2030 「流れ」を変える』
2030年にありたい姿
テクノロジー/ソリューション
・「流す」「止める」「絞る」のあらゆるニーズに、オンリーワンの技術とユーザーの
期待を超える提案力で挑戦し続ける
コアビジネス/成長ビジネス
・情報化社会、サステナブル社会に向けて、コアビジネスの基盤を強化し、同時に
成長ビジネスへの参入を、リスクを恐れず加速させる
事業を通じた環境保全
・環境にやさしい商品・材料の開発や製造プロセスを追求し、持続可能な未来に
貢献することにより、社会から信頼される
多様な人財の活躍
・性別、年齢、国籍、文化等を超えて、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして、
最高のパフォーマンスでいきいきと働いている
③ 行動指針「Do it KITZ Way」
Do it True (誠実・真実)
Do it Now (スピード・タイムリー)
Do it New (創造力・チャレンジ)
(2)経営戦略等
①長期経営ビジョン『Beyond New Heights 2030「流れ」を変える』
1)目指す経営構造と定量目標
2030年に向けて、定量目標としては、平均売上高成長率4%以上・ROE10%以上を目標に、2030年度には連結売上高2,000億円規模、親会社株主に帰属する当期純利益100億円規模を達成する会社を目指します。
その定量目標を達成するために、コア事業を基盤とした成長領域へビジネス領域を拡張させるとともに、成長と投資収益性を重視した両利き経営の経営構造を目指します。
2)ビジネス領域
コア事業と成長分野で収益をあげられる両利きの経営を目指す
○デジタル化・脱炭素化を背景とした成長分野・地域への積極的リソースの投入
○投下資本収益性(ROIC)を重視した事業展開
3)サステナビリティ経営への取り組み
長期経営ビジョンでは、サステナビリティ経営を経営戦略の中核に据えています。2021年12月には、取締役会で決議のうえ、全社サステナビリティ推進委員会(現 サステナビリティ委員会)を設立しました。サステナビリティ経営重点テーマやKPI(重要業績評価指標)をグループ全体で共有し、目標達成に向けた進捗管理を行い、グループ全社員が一丸となって事業を通じた社会課題の解決に取り組むとともに、企業として非財務情報のパフォーマンス向上及び積極的な情報開示に努めてまいります。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
4)DXに向けて(Business Transformation by Digitalization)
業務革新活動との連携によるビジネス変革(BX)
□経営ビジョン実現に向け、既存事業の徹底した効率化と経営リソースの可視化・流動化を図り、顧客志向の機動的な組織へと転換することを目指す。
② 第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)
1)経営基本方針
コア事業と成長分野で収益をあげられる両利きの経営を目指す
○デジタル化・脱炭素化を背景とした成長分野・地域への積極的リソース投入
○投下資本収益性(ROIC)を重視した事業展開
2)定量目標(財務・非財務KPI)
|
|
| (単位:億円) |
財務KPI | 2021年度実績 (参考) | 2024年度目標 (2022年2月公表) | 2024年度目標 (見直し後)※ |
売上高 | 1,357 | 1,500 | 1,700 |
営業利益 | 89 | 120 | 130 |
ROE | 6.4% | 8%以上 | 10%以上 |
連結配当性向 | 36.2% | 35%前後 | 35%前後 |
※2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(財務)」について2023年2月及び2024年2月に一部見直しを実施しております。
非財務KPI※1 | 2021年度実績 (参考) | 2024年度目標 (2022年2月公表) | 2024年度目標 (2024年2月公表) ※3 | |
CO2削減率 (2013年比、国内グループ) | △28.1% | △80% | △90% | |
社員エンゲージメントスコア | 働きがい | 48pt | 56pt | 56pt |
働きやすさ | 43pt | 55pt | 55pt | |
女性社員全体比率 | 21.7% | 23% | 23% | |
女性管理職※2比率 | 3.4% | 10% | 10% | |
男性育児休業取得率 | 29.0% | 50% | 80% |
※1 CO2削減率を除きキッツ単体
※2 管理職:職能グレードによる経営専門職の社員(2021年度実績は部門長職に就いている社員)
※3 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(非財務KPI)」について、一部2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
3)事業別中期経営計画
■事業別中期計画
①バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・石油・ガスなど)を流したり、止めたり、流量をコントロールする機能を持つ「流体制御機器」の総称です。バルブ事業は、水やエネルギーなどの安定供給を支え、安心して暮らせる環境を創造します。当社グループは、あらゆるフィールドに多彩な商品を提供する総合バルブメーカーとして、青銅・黄銅やステンレス鋼、鋳鉄、鋳鋼などの様々な材質や形状のラインナップを有し、私たちの生活空間から産業分野まで、グローバルに製品を提供してまいります。
バルブ事業の中長期ターゲット市場を8つの市場区分に整理し、現行コア事業を基盤に成長分野・新規分野への資源移動を進め、収益構成を変えていきます。
●市場別戦略
<コア市場>
1.建築設備
基本方針 事業環境 | 国内の住宅着工戸数は減少傾向も、ASEAN中心に海外市場の成長は継続 先進国では簡易施工のニーズが増加。世界的にはデータセンター需要が急拡大 |
主要施策 | ■データセンター市場の需要取り込み ・短納期ニーズへの対応:製品の在庫化など ■簡易施工に対応した接続方式の製品開発 ■配管方法・材質の変化と自動化・スマート化に対応した製品の開発 |
2.石油化学
基本方針 事業環境 | COVID19からの回復に伴い、世界の石油需要は新興国で増加見通し 先進国ではクリーンエネルギーへシフトしつつも、石油化学需要は堅調 |
主要施策 | ■クリーンエネルギー化や環境対策などのユーザー動向に追従した製品開発 ■日系を中心としたキーアカウントユーザーに対するサービスとMRO受注率の向上 ■キッツ予兆診断システムの導入率向上 ■グローバル規格や顧客認証への対応 |
3.水処理
基本方針 事業環境 | 世界の水インフラ需要は増加も、価格帯と認証制度が参入障壁 半導体需要の高まりにより、純水/超純水プラントへの投資は拡大 |
主要施策 | ■純水プラントメーカーや純水装置メーカーに密着したマーケティング活動 ■金属イオンの溶出厳禁対応や樹脂系製品の開発 ■水インフラ分野へのソリューション提供 ・造水装置(ピュアキレイザー、アクアレスキューなど) |
4.機械装置
基本方針 事業環境 | RoHS・REACH対応やグリーン冷媒対応など、高度化する機械装置分野の環境対応ニーズを的確に捉え、新たな顧客価値を提供する |
主要施策 | ■機械装置営業部の新設 ■機械装置の小型軽量化と自動化に対応した製品の開発と市場への導入 ■RoHS・REACHなど環境規制への対応製品拡充 ■次世代(グリーン)冷媒への切替え需要の取り込み |
<成長分野・新規分野>
5.半導体装置
基本方針 事業環境 | 堅調な半導体市場拡大を背景に、半導体装置向けクリーンバルブの生産能力を拡大するとともに、研究開発体制の整備をすすめる |
主要施策 | ■生産能力増強:キッツエスシーティー新田SC工場新棟建設 ■生産DX(自動化・省力化)投資 ■研究開発体制の強化 |
6.半導体材料(フィルター)
基本方針 事業環境 | 旺盛な半導体需要を背景に、半導体フォトレジスト用フィルター(ポリフィックス)も堅調な成長を見込む。需要拡大に対応するため、生産能力を拡大する |
主要施策 | ■ポリフィックス等工業フィルターの生産能力拡大 ■半導体sub-nano対応次世代膜の開発 ■精密フィルターの他分野(レジスト用以外)への用途開発 |
7.機能性化学
基本方針 事業環境 | 主要顧客である化学各社は高付加価値な機能性化学分野に注力 高度化するプロセス要求に対応する製品ラインナップを拡充し、収益拡大を図る |
主要施策 | ■高クリーン性・易メンテナンス性の要求に応える製品ラインナップの拡充(ダイヤフラムバルブなど) ■ファインケミカル専属の営業・技術横断組織の組成(キッツエスシーティーとのシナジー追求) ■ファインケミカル/装置・機械メーカー等とのプロセス技術・生産技術ネットワークの構築・強化 |
8.水素・低炭素
基本方針 事業環境 | 脱炭素社会に向け、水素エネルギー関連の市場ポテンシャルは急拡大 社会実装が進む水素サプライチェーンへの参入を図り、事業拡大を目指す |
主要施策 | ■パッケージユニットによる水素ステーション市場攻略及び小規模な地産地消型グリーン水素エネルギーチェーン事業参入 ■液化水素大型実証プラント(出荷・受入基地、運搬船)、水素航空機市場参入に向けた研究開発(NEDO事業)の遂行 ■水素発電、水素パイプライン等、新たな水素エネルギー需要の攻略 ■海外向けLNG用超低温バルブのラインナップ拡充/販売強化 |
●グループ戦略の骨子
●エリアビジネス戦略
1.北米市場
重点ターゲット市場 | 建築設備、石油化学、機能性化学 水処理、半導体装置、水素・低炭素 | |
事業機会 | 産油国アメリカにおける石油・石油化学・ガス市場の拡大 環境規制強化の動き(脱炭素・鉛フリー化など) | |
主要 施策 | 市場 戦略 | ■米国拠点をオイル&ガス向け市場戦略のコントロールタワーへ位置付ける ■化学市場への参入:廉価ボールバルブの開発・上市を狙う |
| 工業弁 | ■3ピース型トラニオンボール弁やハイパフォーマンスバタフライ弁の拡販 |
| 汎用弁 | ■コマーシャル弁市場の売上拡大 ・汎用弁市場に対応した代理店網構築 ・鉛フリー弁:地域で要求されている規格を満足した製品を提供 |
2.中国市場
重点ターゲット市場 | 建築設備、石油化学、半導体装置、機能性化学 水処理、機械装置 | ||
事業機会 | 「新基建(新型インフラ)」政策を背景としたデータセンター市場等の拡大 石油産業の政策誘導(化学シフト)に伴うエチレン等生産能力の拡大 政策的な半導体国産化による市場の拡大 | ||
主要 施策 | 建築設備 石油化学 機能性化学 | 汎用弁 | ■設計・生産・販売の一貫体制を積極活用:市場要求スピードへの対応力を強化 |
工業弁 | ■中国生産工場を活用し市場規模の大きい工業系の販売を拡大 | ||
自動弁 | ■中国生産拠点での組立検査体制を構築 | ||
半導体装置 | ■現地生産能力の増強と販売の拡大 |
3.アセアン・インド市場
重点ターゲット市場 | 建築設備、石油化学、水処理 機械装置、機能性化学、水素・低炭素 | |
事業機会 | 都市インフラをはじめとした新興国中間層マーケットの成長に伴うMiddle-Zone経済の拡大 日系ユーザーの進出に伴うキーアカウントマーケティング機会の拡大 | |
主要 施策 | アセアン | ■日系ユーザーを中心としたキーアカウント網の構築 ■地域密着マーケティングによる売れ筋商品の見極めと現地一貫(開発・生産・販売)供給体制の整備 ■地域ブランドとUnimech社との協業による収益最大化 |
インド | ■内国生産政策に対応したリージョン完結の地域戦略確立 |
②伸銅品事業
黄銅棒は、各種機械、建築資材などに幅広く使用されています。当社グループは、黄銅棒及び黄銅加工品(切削品及び鍛造品)の製造・販売を行う伸銅品事業を展開しています。伸銅品事業の戦略的取り組みは、以下の通りです。
基本方針 | 既存領域は縮小傾向も、成長分野(自動車、半導体等)の開拓、サプライチェーン見直しに伴う加工品の需要取込み及び継続的コストダウンで収益力を高める |
事業環境 | (機会) リサイクル性を求めたメタル回帰による需要増 サプライチェーン見直しによる二次・三次加工の国内回帰 (リスク) 住宅関連市場の縮小 銅価格高騰による材料代替リスク |
主要施策 | ■成長分野への参入・拡販 ・自動車、建機/重機、半導体分野等 ■二次加工・三次加工への取り組み ・鍛造、切削、ロウ付け ■製造コストダウン・リサイクル推進 ■DX等による業務効率化 |
③その他
その他としては、ホテル事業及び不動産賃貸等があります。
基本方針 | Withコロナ下での収益確保に向け、個人客&近県商圏をターゲットに営業政策を転換。環境変化を契機にサービス生産性の抜本的改革と定着化を図る |
事業環境 | 県内などの近隣地域内での観光(いわゆるマイクロツーリズム)の割合が増加 旅行種別では個人旅行の割合がさらに増加 |
主要施策 | ■個人客重視によるサービス付加価値向上 ・上層階和室を和モダン客室へリニューアル ・夕食付プラン比率の向上 ■多能工(マルチスキルワーカー)の育成 ・外注役務の内製化による労働生産性の向上 ・スキル管理/マイスター制度/閑散期の短期異動 ■館内施設(客室・浴場等)のバリアフリー対応強化 |
■デジタル・トランスフォーメーション(DX)
①業務革新活動との連携によるビジネス変革(BX)
②DX中期計画コンセプト
「オペレーション比率低減」×「付加価値業務へのシフト」
1.設計・開発
・ナレッジマネジメントによる技術伝承
・技術コンテンツ拡充・サービス提供
・設計業務標準化・自動化(RPA)
2.生産・品証
・工場ITインフラの構築
・標準化とデータづくり
・MES(製造実行システム)の確立(トレーサビリティ/効率化)
3.マーケ・販売・CS
・顧客ニーズの収集と活用(CRM)
・顧客タッチポイントの強化
-Web×リアルチャネル連携
-セールス&サービスエンジニア育成
4.バックオフィス
・データ・ファクト重視の経営管理基盤構築
-連結計画・予測システムの機能強化
-事業別採算性の可視化と施策への展開
・グループ人財DBの構築
・LMS(Learning Management System)の導入
・DX人財の育成
■財務戦略・資本政策
財務戦略及び資本政策は、最適資本構成の視点をベースに積極的な戦略投資と株主還元の両立を図ってまいります。
●新中期経営計画においては、経営の基軸を「中長期的な投下資本収益性の向上」に置き、対外にはROE、社内ではROICを主要KPIとして目標管理を実施
●一方、将来の成長・ROE向上に向けた戦略投資の実行、及び必要な資金調達を実施
●有事対応の厚い手元流動性は平時モードに戻し、連結現預金は1ヵ月程度(連結月商比)に縮減
③2024年度経営計画
1)2024年度経営方針
”ROIC × ESG”経営 |
■ROIC ・成長分野・高収益領域に積極的に投資し、スピードをもって効果を刈り取る ・需給コントロールを強化し、棚卸資産回転日数の最小化を目指す ・ROICツリー展開を進め、社員が会社への貢献を実感できることを目指す |
■ESG(サステナビリティ経営) ・「トリプルゼロ」※推進による環境保全と水素・水ビジネスで環境に貢献する ・人を資本と考え、働きがいと働きやすさ向上のための投資としくみづくりを行う ・経営リスクについて議論を深め、優先順位をつけて適切に低減を図る ・指名委員会等設置会社としての経営体制構築により、高い透明性と迅速な意思決定の実現を目指す |
※トリプルゼロとは「CO2ゼロ、環境負荷ゼロ、リスクゼロ」の取り組みを指します。
2)定量目標
①連結業績
(単位:百万円) |
| 2024年度計画 (2024年2月公表) |
売上高 | 170,000 |
営業利益 | 14,500 |
経常利益 | 14,800 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 10,600 |
ROE | 10%以上 |
連結配当性向 | 35%前後 |
②セグメント別業績
(単位:百万円) |
| 外部売上高 | 営業利益 |
バルブ事業 | 141,000 | 18,300 |
伸銅品事業 | 26,500 | 550 |
その他 | 2,500 | 100 |
調整額 | - | △4,450 |
合計 | 170,000 | 14,500 |
3)事業別計画
バルブ事業
a.市場別
バルブ事業では、ターゲット市場を8つに区分し、当社グループが得意としている建築設備、石油化学、水処理及び機械装置市場をコア市場と位置づけ、その基盤をさらに強化して確固たる土台を築く一方、成長分野・新規分野である半導体装置、半導体材料(フィルター)、機能性化学及び水素・脱炭素市場をグロース市場と位置づけて積極的にリソースを投下し、収益構造を変化させてまいります。
<コア市場>
市 場 | 施 策 |
建築設備 | データセンター向け販売の強化 配管工法・材質の変化・自動化に対応した製品の開発 |
石油化学 | 北米・欧州での規格認証製品のラインナップ拡大及び一般化学市場への参入 |
水処理 | 水処理システムの販売拡大・メンテナンス強化及び海外水処理関連認証取得 |
機械装置 | 環境規制対応製品の拡充、新規顧客開拓及び市場の要求に合わせた小型自動弁の品種拡大 |
<グロース市場>
市 場 | 施 策 |
半導体装置 | 国内外での生産能力拡大及び地産地消による販売拡大 |
半導体材料 (フィルター) | ユーザー認証の取得促進による販売拡大並びに海外での浄水器市場開拓及び販売拡大 |
機能性化学 | 医薬・製薬市場の拡大に対応した新製品の開発・市場投入 |
水素・脱炭素 | 液化水素大型実証プラントへの参画、脱炭素に向けたクリーンエネルギー市場の取り込み |
b.地域別
地 域 | 施 策 |
欧米 | 各種認証品の市場投入、データセンター及び一般化学市場への販売拡大 |
中国 | 中国向け製品の開発、生産及び販売拡大による地産地消戦略推進 |
アセアン・インド | セカンドブランド品によるミドルゾーンの攻略及びキーユーザーとの関係強化 |
伸銅品事業
材料費低減のための設備投及び高付加価値製品の成長市場への拡販を進め、収益性の向上を図ります。
4)財務戦略・資本政策
“ROIC×ESG”経営の推進、成長戦略の加速及びIR戦略の強化を進めることなどにより、さらなる利益の創出、成長期待の醸成及び資本コストの低減を実現し、企業価値の向上を目指すとともに、将来の成長・ROE向上に向けた戦略投資の実行及び必要な資金調達を実施いたします。
5)サステナビリティ経営
| 重点テーマ | 2024年度重点取り組み |
| 「カーボンニュートラル/資源循環」と「イノベーション」 | |
E | 「トリプルゼロ」の推進 (CO2,水資源排出,廃棄物) | ■サステナブルなバルブ製造の推進 ■CO2ゼロモデル工場の推進 ■再生可能エネルギー利用拡大 ■環境負荷ミニマム生産の推進 |
環境関連事業の拡大 | ■水素サプライチェーンにおける事業領域の拡大 ■水インフラの課題解決に向けたソリューション提供 |
| 「人的資本経営の推進・開示強化」と「持続可能なサプライチェーンの構築」 | |
S | 人的資本経営の推進による 多様な人財の活躍 | ■社員の働きがいと働きやすさを高める環境・しくみづくり ■D&IからDE&Iへのシフトチェンジ ■人財戦略の社外への発信と社内への浸透 |
社内情報開示強化による 企業風土向上 | ■対話や社内ポータルによるビジョン・戦略・状況の共有 ■社員から上がった要望へのフィードバックと対策 | |
持続可能な サプライチェーンの構築 | ■サプライヤー・ガイドライン及びグリーン調達基準の浸透 ■グループ内におけるグローバルサプライチェーンの可視化 |
| 「コーポレート・ガバナンス強化」と「リスクマネジメント推進」 | |
G | 「指名委員会等設置会社」への移行によるガバナンス強化 | ■監督と執行の分離による経営の監督機能の強化 ■権限委譲の拡大による意思決定の迅速化 |
地政学リスク・サプライチェーンリスク対応 | ■グローバルな最適地生産体制の確立 ■地産地消型生産の推進 |
(3)経営環境
当社グループを取り巻く事業環境は、かつてない速さで変化してきております。新型コロナウイルス感染症拡大によりライフスタイルや働き方は大きく変化し、また地球温暖化を背景とする脱炭素化などの持続可能な社会の実現への取り組みが求められております。
世界経済に目を向けると、インフレの進行による金利上昇により欧米・中国を中心とした景気後退が懸念されます。またロシア・ウクライナ問題等地政学リスクの発生により、エネルギー価格や原材料価格の高騰及びサプライチェーン環境の変化による物流コストの増加等が継続すると予想されます。
そのような中、当社グループは、2022年2月に企業理念である「キッツ宣言」を改定、長期経営ビジョン『Beyond New Heights 2030「流れ」を変える』及び第1期中期経営計画2024を策定し、この実現に向け全社一丸となって取り組んでおります。また経営の基軸を「中長期的な投下資本収益性の向上」に置き、対外的には「ROE(自己資本利益率)」、社内では「ROIC(投下資本利益率)」を主要KPI(重要業績評価指標)として目標管理を実施してまいります。また「ESG(環境・社会・ガバナンス)」についても、社会の要請に応えていくべく積極的に取り組みを進めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
バルブ事業においては、中長期ターゲット市場を8つの市場に区分し、重要な社会課題である「脱炭素化」と「デジタル化」を成長領域として捉え、現状のコア市場から成長分野・新規分野へのリソースのシフトを進め、収益構造の変化を図ってまいります。グループ戦略としては、グローバル製品戦略、エリアビジネス戦略、グループシナジーの創出、ユーザーとの接点強化の4つを柱に事業展開を図ります。
伸銅品事業においては、既存分野の他、自動車や半導体などの成長分野への参入・拡販を進めるとともに、サプライチェーンの見直しによる加工品の拡販強化及び継続的なコストダウンで収益力を高めてまいります。
事業戦略の土台となる経営資本については、組織・人的資本の面では、業務革新・DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトにおいて「オペレーション比率低減と付加価値業務へのシフト」をテーマに、グループ内の価値連鎖(開発・生産・販売と間接機能)をデジタルの力で強化し、顧客と従業員双方の体験価値を高めるビジネス・トランスフォーメーションを目指します。また社員エンゲージメントを継続的に測定し、個々の組織人事施策が社員エンゲージメントに及ぼす効果を検証する一方、サステナビリティ経営の面では、ESG視点の取組強化を掲げ、一層の経営基盤強化を目指します。さらには、資本コストを意識した経営や積極的な成長投資を織り込んだ財務戦略・資本政策にも取り組んでまいります。
なお、詳細につきましては、「(2)経営戦略等 ②第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)及び③2024年度経営計画」に記載の通りであります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
①第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)
|
|
|
| (単位:億円) |
財務KPI | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度目標 (2022年2月公表) | 2024年度目標※ (見直し後) |
売上高 | 1,599 | 1,669 | 1,500 | 1,700 |
営業利益 | 110 | 136 | 120 | 130 |
ROE | 10.0% | 11.1% | 8%以上 | 10%以上 |
連結配当性向 | 34.6% | 34.7% | 35%前後 | 35%前後 |
※2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(財務)」について2023年2月及び2024年2月に一部見直しを実施しております。
非財務KPI※1 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度目標 (2022年2月公表) | 2024年度目標 (2024年2月公表) ※4 | |
CO2削減率 (2013年比、国内グループ) | △67.2% | △86%※3 | △80% | △90% | |
社員エンゲージメントスコア | 働きがい | 48pt | 48pt | 56pt | 56pt |
働きやすさ | 44pt | 46pt | 55pt | 55pt | |
女性社員全体比率 | 22.0% | 22.2% | 23% | 23% | |
女性管理職※2比率 | 3.4% | 6.0% | 10% | 10% | |
男性育児休業取得率 | 35.3% | 61.0% | 50% | 80% |
※1 CO2削減率を除きキッツ単体
※2 管理職:職能グレードによる経営専門職の社員(2022年度実績は部門長職に就いている社員)
※3 2024年3月28日時点の暫定値であります。
※4 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(非財務KPI)」について、一部2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
②2024年度計画(2024年2月公表)
財務指標 | (単位:百万円) |
| 2024年度計画 |
売上高 | 170,000 |
営業利益 | 14,500 |
経常利益 | 14,800 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 10,600 |
ROE | 10%以上 |
連結配当性向 | 35%前後 |
セグメント別売上高及び営業利益 | (単位:百万円) | |
| 外部売上高 | 営業利益 |
バルブ事業 | 141,000 | 18,300 |
伸銅品事業 | 26,500 | 550 |
その他 | 2,500 | 100 |
調整額 | - | △4,450 |
合計 | 170,000 | 14,500 |
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