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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)ガバナンス

 当社に、取締役会の監督のもと、取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置している。同委員会において、当社グループ全体のサステナビリティに関わる方針、戦略、重要施策等に関し審議するとともに、施策の実施状況などの報告を受け、組織横断的にサステナビリティに関する活動を推進し、取締役会に付議・報告を行っている。

(2)戦略

 当社グループは、「技術の力で、人類と自然の調和に挑む」ことを使命とし、新たな事業機会の獲得、当社グループの持続的成長のため、サステナビリティを重視した経営を実践しており、2050年に当社グループの目指す姿であるサステナブルビジョンを、「環境負荷をゼロにする」「人々の幸福を最大化する」に定めている。

 そのうえで、従来設定していたESG課題を見直し、サステナブルビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定した。そして、成功の柱ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進している。

 主な取組み内容は次のとおりである。

 ア.カーボンニュートラル

社会課題の認識

パリ協定の1.5℃目標を達成するには、社会全体でのカーボンニュートラル達成が不可欠。脱炭素社会への移行要請が急拡大。

機会(●)と

リスク(■)

●再生可能エネルギーの主流化

●低炭素・脱炭素製品・技術の需要増加

■GHG排出規制、炭素税などの規制強化

■高環境負荷製品の需要減少

指標及び目標

(GHG排出量削減目標)

・スコープ1・2につき、2025年度34%削減(2013年度比)

・スコープ1・2・3につき、2030年度50%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラル

(Forward 25)

・脱炭素化事業の拡大につき、2025年度に700億円の事業規模を目指す。

主な対応策

・スコープ1・2につき、製造プロセスにおける化石エネルギーの削減・再生可能エネルギーへの切り替え推進や効率的なエネルギーの使用推進、舶用エンジン燃料の非化石化等

・スコープ3及び脱炭素化事業の拡大に関し、メタネーションや風力発電を含むカーボンネガティブ貢献製品・事業の拡大展開、サプライヤーや顧客との協働の推進等。

 イ.資源の完全循環

社会課題の認識

世界人口の爆発的増加に起因し、エネルギー・資源・食糧・水の不足、住む場所の問題、廃棄物の問題、生物多様性の崩壊等が生じる。環境負荷ゼロ社会への移行要請急拡大。

機会(●)と

リスク(■)

●環境意識の高まり、規制強化による環境関連ビジネスの市場拡大

●サーキュラーエコノミーによる新たなビジネスモデル創出

■環境規制強化とサーキュラーエコノミーへの対応による事業面でのコストアップ

指標及び目標

(当社グループの事業活動)

2050年度ゼロエミッション(埋立率を限りなくゼロに近づけること)達成。

2025年度リサイクル率90%以上、埋立率3%以下

(Forward 25)

資源循環事業の拡大につき、2025年度に3,530億円の事業規模を目指す。

水事業の拡大につき、2025年度に400億円の事業規模を目指す。

主な対応策

・事業活動で使用する資源の完全循環につき、製品回収による有価金属の再資源化や製造プロセスにおけるリサイクルの徹底等。

・サーキュラーエコノミーへの貢献につき、リサイクルしやすい設計の推進、長寿命部品の使用、長寿命化技術の開発推進、廃棄物資源から多様な有価物を創出・活用するWaste to X事業、水事業の拡大等

 ウ.サステナブル調達

社会課題の認識

サプライチェーンにおける環境・社会側面の責任拡大

機会(●)と

リスク(■)

●サプライチェーン全体での環境負荷ゼロ、社会的価値の創出によるバリューチェーン全体の持続可能性への貢献で、社会的信頼性が向上

■サプライチェーンにおける人権侵害や環境負荷によるレピュテーションの低下

指標及び目標

(2050年度目標)

当社グループのサステナブル調達方針に賛同いただくサプライヤー100%

(2025年度目標)

当社グループのサステナブル調達方針に賛同いただく主要なサプライヤー50%以上

主な対応策

当社グループのサステナブル調達方針・サプライヤー向けガイドブックに基づく指導、改善協議の継続的実施。

 エ.人々の幸福の最大化

社会課題の認識

持続可能な発展は、環境課題解決に加え、人々の健康、影響力、能力、公平、意味・意義が認められることが必要。

多様な人材が心身ともに健康で、自己の能力を最大限発揮できる職場の実現への要請。

第三者による人権侵害に加担しないことへの強い要請。

機会(●)と

リスク(■)

●当社グループのビジネスバリューチェーン全体への価値創造による信頼性の向上

●DE&Iの推進を通じたイノベーションの創出による企業競争力の向上

●働き方改革の加速による生産性・効率性・モチベーションの向上

■多様な人材の活躍機会の喪失による人材の流出

■事業環境の変化に対応できないことによる競争力の低下と業績の低迷

指標及び目標

(2050年度目標)

・多様な人材が活躍し、個人が最大限力を発揮できる職場の実現

・人権方針の当社グループへの浸透、人間尊重の徹底

(2025年度目標)

・当社グループの8割の会社を対象に、人権デュー・デリジェンスを実施

なお、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についての戦略、指標と当該指標に関する目標及び実績は、「(5) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標」に記載している。

主な対応策

・人材の多様性の確保、多様な働き方の提供、適正配置・戦略的育成、人材の定着に繋がる取組み等。

・国連グローバル・コンパクトに賛同、署名。

・国際人権章典、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に加え、「Hitzグループ倫理行動憲章」が定める人間尊重を貫く姿勢の堅持。

 オ.コーポレート・ガバナンスの高度化

社会課題の認識

実効性の高いコーポレート・ガバナンス実現の要請拡大。

高い倫理性に基づく企業活動、透明性ある企業活動の重要性増大。

機会(●)と

リスク(■)

●実効性の高いコーポレート・ガバナンスの実現を通じた持続的な企業価値の向上

●高い倫理性に基づく企業活動による会社に対する信頼性の向上

■コーポレート・ガバナンス及び内部統制の機能不全による適切な経営判断の欠如、事業停滞・低迷及び不祥事の発生とこれらを理由とするステークホルダーからの信頼低下

■役職員のコンプライアンス意識、倫理性の欠如による反競争的行為や腐敗・贈収賄等を含むコンプライアンス違反事案の発生

指標及び目標

(2050年度目標)

実効性の高いコーポレート・ガバナンスの実現、企業活動の透明性の維持

(2025年度目標)

サステナブル経営に必要な仕組み(リスク管理、情報開示体制等)の構築完了

主な対応策

サステナビリティ推進委員会を中心とする体制の維持、運用の継続

実効性あるコーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの徹底

(3)リスク管理

 「(2)戦略」に記載しているサステナブルビジョン及び成功の柱は、当社グループの事業全体を貫く方針であり、目標であることから、事業投資、設備投資、開発投資をはじめ、事業戦略や人事戦略等各種経営戦略上の方針を示すとともに、リスク管理の方針でもある。

 当社グループのサステナビリティに関するリスクについて、サステナブルビジョン実現に不可欠な要素である「成功の柱(マテリアリティ)」を設定するにあたっては、社会課題の認識、機会及びリスクを分析した。特に、気候変動影響を受ける可能性が高い3つの事業(ごみ焼却発電事業、バイオガスプラント事業、風力発電事業)については、TCFDの枠組みに沿って1.5℃シナリオを含む複数のシナリオに基づくシナリオ分析を行っている。今後は、サステナビリティ推進委員会を中心に、中期経営計画の更新に合わせて定期的に見直しを行い、外部環境の変化を反映させていく。

 当社グループを取り巻く足元のリスクについて、事業特性に照らし影響度と発生可能性がともに大きいもの、さらにそれらの対策が十分であるかを評価することができるよう、主管部門や各種会議体のリスク対応体制の再整備を進める予定である。

(4)指標及び目標

「(2)戦略」に記載している。

(5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

 当社グループでは、職員の多様性を尊重し、また、人材に対する投資を通じて、各職員の能力やエンゲージメントの向上により企業価値を高め、持続的な成長につなげている。2023年度より開始する中期経営計画「Forward 25」の基本方針である「持続可能な経営の推進」においても、人的資本の強化を重点施策の1つとして位置付けている。人的資本の強化においては、「人」と「組織」の成長の好循環が「会社の成長」及び「企業価値の向上」を促進するという考えの下、経営戦略・事業戦略の実行に必要な「人材の採用・確保」、「適正配置・戦略的育成」、「人材の定着」を人材戦略の重点施策として掲げ、以下のとおり取り組んでいく。

① 人材の採用・確保

 事業の維持・拡大に必要な人材の確保が重要であると同時に、性別、年齢、国籍等に関係なく多様な考え方、ルーツを持った人材の確保も欠かせないと考えている。このような人材の確保にあたっては、多様性を受容する組織風土、心理的安全性の高い職場環境、心身ともに健康で誰もが自身の持つ力を最大限発揮できる環境に加え、多様な働き方を提供する取組みに注力していく。

② 適正配置・戦略的育成

 確保した人材には、役割やキャリアに応じた自律的な学び、挑戦を促すだけでなく、個々人の能力や適性を見極め、キャリア形成やリスキリングの支援、また戦略的な人材配置の推進することで人材の流動化の促進にもつなげていく。特に、国内のみならず海外においても活躍できるグローバル人材、当社の企業価値向上の推進役となる経営人材、製品サービスの付加価値向上や業務効率化・生産性向上による働き方改革の実現を目指したDX人材の育成にも注力していく。

③ 人材の定着

 当社グループで長期間活躍する人材の定着のため、エンゲージメントの向上に向けた働き甲斐が感じられる環境の整備、若手及び管理職のモチベーションアップに向けた人事処遇制度の見直しや福利厚生制度の再構築、多様な経験や価値観等を活かしたD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)によりイノベーションを起こす仕組みの整備に取り組んでいく。

 上記の人材戦略の取組みにあたっては、「創業者精神・Hitz Valueの共有」「意識改革・風土改革」をはじめとする人材戦略の基盤となる項目を掲げている。特に、「エンゲージメント」、「ウェルビーイング」、「健康経営・安全」、「ワークライフバランス」、「D&I」に着目しており、健康経営の推進については、取締役社長を責任者として、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、各種施策を推進するなど、各項目の向上を目指した目標を設定している。

 当該指標に関する目標及び実績は次のとおりである。

指標

目標(2025年度)

実績(当連結会計年度)

女性新卒採用率

事務系:50%

技術系:10%

事務系:28.6%

技術系:13.2%

       (注)2

男性の育児休暇・休業取得率

100%

49.5%

職員エンゲージメント指数

70%

55.9%

生活習慣病平均有所見率

21%未満

26.5%

(注)1.上記については当社グループに属する全ての会社(124社)で実施しているものではなく、連結グループにおける記載が困難であるため、当社単体の目標及び実績を記載している。

     2.女性新卒採用率の実績は、当連結会計年度における採用活動の実績として、2023年度新卒入社職員の数値

 を記載している。

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