オカモト 【東証プライム:5122】「ゴム製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「創意あふれる技術を結集して、健康的で快適な人間生活に寄与する商品をつくり出し、当社に関係するすべての人々により大きな満足を与えることをめざす」ことを企業使命とし、以下の事項を経営理念に据え、グループの総力を尽くしてこれらを実現させながら企業価値の増大を図るとともに、結果としてお客様、株主、従業員、その他のステークホルダーの信頼を得て、経済・社会の発展に貢献してまいります。
1 法令(行政上の通達・指針等を含む)、就業規則及び企業倫理を遵守する。
2 独自の技術を基盤に人々の生活に役立つ商品を多面的、積極的に開発し提供していく。
3 高品質を徹底して追求することによってオリジナルブランド「オカモト」への信頼感を高め、国内・国際市場で強い競争力を維持していく。
4 可能なかぎりの合理化努力を続け、つねにユーザーやお客様に歓迎されるよい仕事を継続する。
5 社内においては、協調を旨とし、全員一丸となって生き甲斐と潤いのある職場環境を創造していく。
(2) 目標とする経営指標
当社はROE(株主資本利益率:当期利益/株主資本)を世間一般の要求水準とされている8%以上とすることを目標としております。過去の株価等の市場データに基づき、CAPM(資本資産評価モデル)により推計される当社の株主資本コストはこれを下回る水準ですが、中長期的に株主資本コストを上回るリターンを継続することによって企業価値の増大を目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、原油価格や為替の変動及び海外発の不安が引き続きリスクとなっておりますが、上記の経営方針のもと更なる成長と事業基盤の拡大に努めるため、次の課題に重点的に取り組んでまいります。
① 産業用製品事業及び生活用品事業それぞれにおいて、社内の研究開発の推進に加えて、事業の継承や経営権の取得等を通じて事業の多角化を進めるとともに、これらの事業並びにグループにおける生産面及び販売面での一層の相乗効果を創出し、グループ全体の売上及び利益の向上を目指す。
② 原材料価格や為替の変動等による事業環境の変動に対応できるよう、固定費・経費の圧縮等をさらに進めるとともに、研究開発センターを中心に長年培ってきた技術を生かして製造コストの削減を継続的に行い、効率的なモノづくりの強化に努め、さらに、資材調達から物流までのサプライチェーンの最適化及び強化を進め、確たる利益を継続的に計上すべく体質を強化する。
③ 品質の追求と顧客ニーズに合致した競争力のある高付加価値の新製品を市場に投入し続けていくために営業、工場が一体となって研究開発力の維持・向上を図ることで、ブランド力を強化し、中長期的に市場競争力を高めていく。
④ コンドームの製造・販売会社として、HIV/AIDSをはじめとするSTI(注1)予防啓発活動を積極的に展開し、環境問題や社会的要請への取り組みを強化し、サステナビリティ(持続可能な社会)の実現を目指す。
(注1)「STI」とは、「Sexually(性)Transmitted(感染)Infection(症状)」の略で、日本語では「性感染症」といいます。
⑤ 製造現場での再生可能エネルギーの積極的な活用とさらなる省エネの推進、生産性をさらに改善させるための設備投資による廃棄物の削減、及び太陽光発電事業の維持発展等を通じて持続可能な成長を図る。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症の5類移行で人流が活発化し、各国の行動規制緩和を受けてのインバウンド需要の回復や雇用・所得環境の改善に伴って、外食、旅行などを中心とした個人消費が持ち直したことにより、社会経済活動の正常化が進んでおり、景気は緩やかに回復基調にあります。
しかしながら、国際情勢関連では、世界的な金融引締め維持による景気の下振れ、各地での継続的な紛争や地政学的リスクの高まり、中国経済の先行き懸念などの海外経済の減速懸念要因に加え、為替相場における円安の進行など、世界経済は不透明な状況が継続しております。このような状況のなか、製造業たる当社といたしましては、長期化する原材料やエネルギー価格の高騰、円安による輸入品価格の上昇、市況悪化に対処し、利益向上を図るために、生産数量を増加させること、稼働効率を高めることは不可欠であり、新素材・新技術により新たな市場を開拓し需要を創出して、工場の生産体制を最適化することが、喫緊の課題であります。
産業用製品事業においては、主力であるプラスチック製品は、食品・飲料、消費財、自動車、電気・電子などの幅広い業界で製品の消費が世界的に増加しておりますが、世界レベルでの温室効果ガス削減や環境負荷軽減の動きを踏まえた「脱プラスチック」の影響も重なり、社会的にも3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進が求められておりますので、環境負荷に配慮した新素材の研究やリサイクル素材の活用を視野に入れ、新たな機能性・用途の開発等により細かなニーズの獲得に努めてまいります。また、自動車内装材は、先進国を中心とした供給制約の解消によりペントアップ需要が顕在化したこと、新プログラム(新規車種)採用があったことにより事業は好調に推移しておりますが、競争環境は激化しており、新製品の開発や積極的な販売戦略を展開してまいります。
生活用品事業においては、主力であるコンドーム市場は、各種の規制緩和に伴い訪日外国人によるインバウンド需要が活況化しつつありますが、日本国内においては少子化の影響もあり、先行きが不透明な状況にありますので、国内ではジェネレーションごとのマーケティング戦略を展開、新商品の上市や店頭での積極的な販促活動を行います。特にZ世代に関してはデジタルネイティブであり、ネットリテラシーが高い特徴から、SNSを駆使した需要喚起を図り、また海外では、引き続き技術力及びブランド力をより強化しSNSも駆使しマーケットシェア拡大に努めてまいります。また、その他の生活用品は、既存製品のブランド力の強化を図りながら、多様化する消費者のニーズを踏まえた新製品の開発と新たな販路開拓や積極的な販売戦略に努めてまいります。
全社的には、サステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、創業以来の創意あふれる技術を結集し、健康的で快適な人間生活に寄与する製品を作り出すことで社会に貢献し、ステークホルダーの皆様により大きな満足を与えることを使命としたサステナビリティ基本方針を掲げて経営を推進してまいります。2023年に創設したサステナビリティ委員会では、サステナビリティに係るESG重点課題が事業に与える影響について定期的に評価を行い、識別したリスクの最小化と機会の獲得に向けた対応策を示し、その対応策の達成状況を執行役員会及び取締役会に報告しています。脱炭素社会の実現に向けたエネルギー使用量とCO2排出量の削減や産業廃棄物の削減・縮小に取り組みます。また、多種多様なリスクへの対応では、BCP対策として各既存工場の自然災害対策を図ってまいります。生産面では西日本の拠点として、岡山工場・倉庫を新設してサプライチェーンの強化を図り、引き続き少子高齢化を踏まえた人手不足に対応するため、省人化・業務の効率化のための設備投資を継続し、効率的な業務運営を実現してまいります。
製造業として「安全は、全てに優先する」を理念とし、従業員の安全衛生の確保が企業活動の最重要基盤であると考え、多様な人材が闊達に働ける企業として、全てのステークホルダーが健全な社会生活を送れる企業体であり続けるよう持続的な成長を目指すコーポレート・サステナビリティを実現してまいります。
更に、幅広く株主の皆様の支持を得られるよう、資本コスト・株価を意識した経営に努め、持続的成長が期待できる分野への経営資源の重点配分や事業ポートフォリオの再構築により生産性の向上や収益力の強化を図るとともに、サステナブルな企業として中・長期的な視点での企業価値の向上を実現するため、環境、社会、経済の持続可能性に配慮しながら、各ステークホルダーとの対話・協働と、コンプライアンスやリスク管理体制の充実を図ってまいります。そして、より透明性の高い経営を行うため、それらに関する情報の積極的な開示に努めてまいります。
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