企業兼大株主オイシックス・ラ・大地東証プライム:3182】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「これからの食卓、これからの畑」を企業理念とし、より多くの人が、よい食生活を楽しめるサービスを提供すること、よい食を作る人が、報われ、誇りを持てる仕組みを構築すること、食べる人と作る人とを繋ぐ方法をつねに進化させ、持続可能な社会の実現すること、食における社会課題をビジネスの手法で解決することを通じて、食のこれからをつくり、広げていくことを理念として掲げております。

 このような企業理念に基づき、当社グループの社会的価値を高めるとともに、BtoCサブスク事業を中心としての事業成長および収益力強化、また非連続の事業成長に向けた事業領域の拡大を通じ、企業価値・株主価値の増大を図ってまいります。

(2) 経営環境

 当社グループは、独自の栽培、生産基準に基づいた環境負荷の少ない高付加価値の食品・日用品に特化したBtoCサブスク事業を主要事業として展開しております。

BtoCサブスク事業が所属する国内食品宅配市場を取り巻く環境は、多くの食品宅配プレーヤーの新規参入による購入経路の多様化や、配達員等の人手不足を背景とした物流コストの上昇等により年々大きく変容しております。一方、EC(電子商取引)を通じた消費行動の高まりや新型コロナウイルス感染症拡大に端を発した宅配需要の拡大とその後の定着の影響により、食品宅配市場の規模は年々拡大傾向で推移しております。また、当社が宅配する安心・安全な高付加価値食品に対する市場についても、気候変動や地球環境に対する意識の高まりや社会課題へ配慮したライフスタイルの浸透により、さらなる市場の拡大が見込まれます。

 国内食品宅配市場においては、ネットスーパーや各地域の生活協同組合の宅配事業、冷凍弁当などの宅配サービス事業などが事業領域の近しい業態と捉えております。その中で、当社グループは高付加価値食品・日用品の宅配に特化することで取扱い商品の差別化を図っており、また消費者もその違いを理解し、サービスを使い分けていただいていると理解しております。加えてECを通じた食品宅配市場は拡大傾向で推移しているものの、まだ食品小売市場全体に占める比率は小さく、一層の市場拡大を加速させていくことが今後において重要と考えております。そのため、他業態との関係についても競合という位置付けではなく、ともに食品宅配市場を拡大させていく関係であると捉えております。

 また、消費者の動向において、共働き世帯の増加による時短ニーズや健康意識の高まり、社会的に意義のある消費に関心が集まるなど、ライフスタイル・価値観の多様化が加速度的に拡大しております。さらに、少子高齢化の進展や官から民への業務のアウトソーシングの加速化など、社会構造も大きく変化し続けています。そのため、お客様それぞれに異なる社会課題に対して、潜在的ニーズをいち早く捉え、ニーズに即した商品・サービスを迅速に展開することが求められています。

 今後、当社サービスでしか出会うことの出来ない独自性のある商品・サービスや体験など、新しい価値提案をより強化していく必要があると捉えております。

(3) 経営戦略

 上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、主要事業であるBtoCサブスク事業の事業成長および収益力強化を最優先課題として取り組むことに加え、シダックス株式会社と一緒になったことにより事業規模が大きく拡大したBtoBサブスク事業や非連続の事業成長に向けた他社との事業提携の強化、海外での食品宅配や店舗・卸事業など事業領域の拡大を着実かつスピーディーに実行してまいります。

 なお、2024年1月からシダックス株式会社を連結子会社化したことに伴い、事業セグメントの見直しを行っております。今後は、「BtoCサブスク事業」「BtoBサブスク事業」「社会サービス事業」「車両運行サービス事業」「その他事業」の5つのセグメントで開示してまいります。

(BtoCサブスク事業の事業成長)

 当社グループとしては、主力事業であるBtoCサブスク事業を取り巻く市場環境が年々大きく変容する中、市場における競争優位の確立を最優先課題として、「顧客基盤の拡大」や「商品の付加価値向上」等の施策を着実かつスピーディーに実行してまいります。

BtoCサブスク事業の事業成長については、国内ではOisix、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやの3ブランド、米国ではPurple Carrotの計4つのブランドをポートフォリオ化し、それぞれの顧客に対してニーズを満たしたサービスを磨き上げ、定期会員数および購買単価・頻度の向上により事業成長を目指します。そのため、各ブランドの事業フェーズに沿った事業戦略の実行に加え、長年のサブスクリプションサービスの提供により蓄積したマーケティングノウハウの共有や経営指標管理を徹底してまいります。

 また、商品の付加価値向上については、独自の栽培、生産基準に基づきながら幅広い商品を取り揃えるとともに、顧客ニーズに沿った新たな商品開発にも注力し、調味料を含めた食材とレシピが届くミールキット「Kit Oisix」などのオリジナル商品を拡充しております。

 商品調達については、全国の生産者やメーカーとの直接取引による効率的な仕入れを中心に、グループ会社である株式会社アグリゲートや株式会社豊洲漁商産直市場、出資先である株式会社北三陸ファクトリーなどの調達力や商品提案力も活用することで付加価値の高い商品ラインナップをさらに広げます。

 商品開発については、ご自宅でも上質な食卓を実現したいというニーズを捉え、外食や料理家の味をご自宅で再現できる商品の開発を強化しており、DEAN&DELUCAを運営するグループ会社株式会社ウェルカムなどのノウハウも得ながら付加価値向上のためにグループでの連携を強化してまいります。

(BtoCサブスク事業の収益力強化)

 収益力強化については、削減余地の大きい商品原価及び物流費の低減に向けた施策を実行してまいります。商品原価については、製造・加工過程の内製化や自社製造商品の製造数増加による効率化、従来は非可食部として扱われていた食材の有効活用等の施策を推進することにより低減を図ってまいります。

 物流費については、Oisixブランドにおいて2022年1月に移転をしたORD海老名ステーションに加え、2024年1月に竣工したORD厚木冷凍ステーションの稼働により、冷蔵・冷凍双方の物流拠点において、集品や梱包にかかる工程の自動化などを推進し、業務効率化を通じた費用削減を進めてまいります。また、中長期的には各ブランドで運用している物流業務の最適化を図ってまいります。

(事業ドメインの拡大)

 国内において蓄積したBtoCサブスク事業のノウハウを展開し、米国や香港において、海外における食品宅配によるサブスクリプションサービスの定着・成長を図っております。

 国内BtoBサブスク事業においては、既存の保育園給食向けの食材卸事業のさらなる拡大に加え、2024年1月から連結子会社化したシダックス株式会社の事業ポートフォリオを活用することで、保育園以外の施設への食材提供や高付加価値サービスの開発を強化してまいります。

 さらに、自治体サービスの受託や車両運行管理など、シダックス株式会社の事業を通じた社会課題の解決にも取り組んでまいります。

(4) 優先的に対処すべき事業上の課題

 当社グループが認識している優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりです。

(お客さまの“食”ニーズに対する価値提案強化)

 共働き世帯の増加による時短ニーズや、健康意識の高まり、社会的に意義のある消費志向の高まりなど、ライフスタイル・価値観の多様化が加速度的に拡大しており、消費者それぞれに異なる食の社会課題に対し、潜在的ニーズをいち早く捉え、ニーズに即した商品・サービスを迅速に展開することが求められております。

 今後、当社サービスでしか出会うことの出来ない独自性のある商品や体験など、食に関する新しい価値提案をより強化していく必要があると捉えております。

(持続可能な食の未来を実現するための取組み強化)

 世界的な温室効果ガスの排出量増加、気候変動に起因する作物の生産効率低下、食品廃棄量の増加など、食に関する様々な社会課題が顕在化している状況を踏まえ、当社は、持続可能な未来の食の実現に向け、フードテックなどの技術活用など、課題解決に繋がる取組みを一層推進していく必要があると考えております。

BtoCサブスク事業で展開しているサービスでは、日々変化する畑の収穫状況と、お客さまごとに異なる商品ニーズを、独自のデータ解析によりマッチングさせたオリジナルのサブスクリプションボックスを提案しております。これは、畑と食卓双方のフードロス削減に繋がっており、今後さらなるデータ精度の向上を目指してまいります。

 生産面においても、子会社であるFuture Food Fun株式会社及び各投資事業有限責任組合を通じて独自のアグリテック(農業技術)ノウハウを持つスタートアップ企業に出資しており、当社の取引生産者を含む国内農業の経営・生産効率を高める取組みを行っております。また、当社が販売しているミールキット「Kit Oisix」では、使用するカット野菜に規格外の農産物を活用している点や、必要量の食材がセットされていることから食卓での廃棄量が少ない点など、畑と食卓の双方のフードロスを低減できる仕組みとなっております。

 さらなるビジネスモデルの改善や、フードテックの活用により、持続可能な食の未来の実現に繋がる取組みを強化してまいります。

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループが上記の経営戦略の達成を判断するため重視している経営指標は、売上高、営業利益及びEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)とそれぞれの成長率であります。また、収益性に関する指標として売上高営業利益率、顧客基盤の拡大に関する指標としてBtoCサブスク事業における定期購入顧客数等を重視しております。

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