企業兼大株主オイシックス・ラ・大地東証プライム:3182】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念の下で食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決することで、持続可能な社会の実現を目指しています。国内主要宅配事業である「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」をはじめ、子会社の「とくし丸」「Purple Carrot」など、いずれのブランドも、事業を通じ、食の社会課題を解決することを成長の糧としています。

当社グループのビジネスモデルは、生産者とお客さまを直接つなぐ役割を担っており、サプライチェーン全体を持続可能にする「サステナブルリテール」の関係を築いています。サステナブルな仕組みが成り立つ背景として、蓄積されたお客さまの嗜好情報と、天候によって左右される作物の生育状況とを、独自のアルゴリズムでマッチングさせる独自のサブスクリプションボックスを国内宅配事業において確立している点があります。その結果、畑の生育状況を反映した商品ラインナップを提案しながら、お客さまにとっては好みの商品を継続的に購入できる仕組みとなり、生産された作物の有効活用とお客さまに満足いただけるサービスとを両立しています。

また、当社グループの食品廃棄率は約0.2%となっており、一般食品小売では約5~10%であるのに対して、極めて低い水準を実現しています。川上(畑、産地)・川中(流通)・川下(食卓)とサプライチェーン全体で廃棄を防ぐ体制を作れることに特徴があります。産地では、種を撒く前に買付け量を決める契約栽培により作りすぎないように生産してもらっています。流通過程では過剰発注の抑制や、加工品への利用により廃棄を削減し、さらに食卓においても主力商品のミールキット「Kit Oisix」が家庭での食品廃棄を約1/3に減らしております。当社グループは大切につくられた食品を、大切にお届けすると同時に、フードロスゼロを目指しています。

自然と密接な関係を持つ当社グループにとっては気候変動が年々大きなリスクとなっている事と、事業を広げたり新たな社会課題に継続的に取組んだりするにあたっては活躍人材の育成や様々な意見を取り入れる人的資本・多様性の観点が重要であると考える事から、これら2つの領域を重要なサステナビリティ項目と定めております。

当社グループは、食の社会課題を解くことへの責任感と、自分たちであれば課題を解けるかもしれないという可能性を同時に感じています。事業をさらに広げることを通じて、よりよい社会、持続可能な社会をつくり、食のこれからをつくり、ひろげていきます。

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び個々の取組につきましては、HPのサステナビリティページ(https://www.oisixradaichi.co.jp/sustainability/)をご参照ください。

1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長 髙島宏平がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任者として、取締役会及び経営会議においてサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有する体制をとっております。

 当社グループのサステナビリティに関するリスク管理については、リスク管理委員会を中心に実施しております。リスク管理委員会は社長直轄の組織で委員長と各部署を代表する委員と事務局で構成されています。リスク管理委員会では毎月会議を実施し、リスク事例の共有、部署横断的なリスク対応についての議論、各委員の活動報告を行っています。四半期に1回リスク管理委員会から執行役員会に定例報告を行い、各リスク案件について議論し、承認を受けています。

 当社グループは、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を進めております。

(2)重要なサステナビリティ項目

 上記、ガバナンス及びリスク管理を通じて識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下の2項目であります。また、その他項目につきましては、3 事業等のリスク において記載します。

①  人的資本・多様性への対応

② 気候変動への対応

①人的資本・多様性への対応

<人材戦略の基本方針>

 当社グループは、社員が自律的に挑戦的な課題解決に取り組めるようサポートを行うとともに、社内での議論が尊重され、社員一人ひとりが生き生きと働けるよう風通しがよい職場作りに努めております。

 特に課題解決については、ロジカルシンキングをベースとする内製化した研修に力を注いでいます。学んだことを実践で活用できるだけでなく、受講者の中から人にも教えられるスキルを身につけた講師を担える体制としています。

 事業規模の拡大とともに、当社グループに集うメンバーの国籍も出荷拠点を中心に23カ国の国籍を有して(2023年3月末時点)います。障がい者雇用の促進に加え、パラスポーツへも協賛し、その事務局運営に社員が関わる取組みを行っております。また、当社グループで働くすべての人の人格・人権・個性を尊重し「国籍・人種・性別等による不当な差別を行なわず、多様な価値観を尊重する」という基本思想のもと、その遵守・徹底を強化していくためにダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン委員会も新たに設置し、その浸透を含めた取組みを行っております。引き続き、多様な人材が活躍する環境を提供し、お互いがお互いを認め合う文化を醸成していきます。

<ガバナンス>

 経営戦略と人材戦略の連動を図るため、取締役である小﨑宏行が執行役員を兼務し2015年より人事部門を管掌して戦略策定から実行する役割を果たしております。重要な戦略に関する事項については、取締役会においても提案や報告を行い社外取締役の意見も適宜取り入れております。

<戦略>

 私たちは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念を明示し、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決することをミッションとし持続可能な社会の実現を目指しております。その実現のためには、社内の人材の成長や優秀な人材を迎え入れることが不可欠と考えます。

 当社では『人が育ち、育てられ、社員が生き生きと働くことが出来る居場所(会社)を創造する!』というビジョンを掲げ、以下3つの戦略を推進して参ります。

1.社員の自律的なキャリアづくり・成長機会づくりを支援して「活躍人材の創出」を行う

2.中期事業ポートフォリオ戦略の実現に向けた必要な人材育成・獲得を行う

3.社員目線での多様性や働きやすさを追求するとともに、行動規範「ORDism」の浸透や体現を通じた理念の貢献実感を得ることで働きがいを醸成する

(人材育成)

 人材育成の面では、個人やチームとしての成果を生み出すために効果的な育成プログラムを構築し、かつ研修で理解したことを実際に「できる」状態にするため、後続人材のOJTでの育成も併せて体系化を行っております。

 次の3つを重点テーマとして掲げ、育成の支援制度の仕組み化と徹底した投資を行っていきます。

1.Off Jobによる基礎スキル強化、特にロジカルシンキングの徹底的強化

2.キャリア自律の支援や社内公募、エンゲージメントサーベイによる状態の定点観測により、偶然に依存しな い仕組み化されたWILL育成による熱量高い人材の養成

3.個人のスキルレベル及びWILLに応じた、適切にストレッチのある成長機会を通した能力開発

〔スキル向上〕

個人やチームとしての成果を生み出すために、効果的な育成プログラムを構築しています。研修を通して成果を出すには、理解したことを実際に「できる」状態にすることが必要であるため、研修による理解だけに留まらず、後続のOJTでの育成も併せて体系化を目指しております。
 また、入社時には新入社員研修として29時間/3日間の研修を実施しており、受講率は100%となっております。企業理念、主要事業の顧客像や商流の理解を促すプログラムによって、早期のオンボーディングを実現しております。

1.問題解決講座受講(2022年度実績84名受講 55名合格)

 問題解決能力を磨くための、全社員受講必須の研修です。問題の洗い出しから重要問題の特定、打ち手の決定までのプロセスを全10回で学びます。テスト合格まで講師のフィードバックを受けながら取組みます。

2.データリテラシー講座受講(2022年度実績524名受講)

 DXに対応した人材育成につなげるよう、全社のデータリテラシー向上を目指し2022年度より内製化した研修を開講し、全社員受講必須としました。データの扱い方を身に着けることで打ち手の精度を上げたり、意思決定のスピードを上げたりすることにつながります。

〔経営理念の浸透・共感〕

 私たちは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念を浸透・共感されるよう様々な取組みをしております。インターナルコミュニケーションの1つとして代表による全社向けビデオレター配信の中で理念に触れることや、自社ブランド、そして自身の仕事の意義を深く理解するために、生産者・お客様それぞれの話を聞く機会を設け、生産現場を訪問し農作業の体験もすることで、理念や行動規範「ORDism」の浸透・共感につなげております。

 理念を実現する行動規範「ORDism」は、実践したチームや個人をビデオレター内や半期に1度の社員総会内で表彰し、その体現状況のコメントを配信したり同時にその表彰に対する代表コメントも加えたりすることで浸透を図っております。

1.畑の体感・食卓体感研修参加者(2022年度実績 畑体感104名/食卓体感594名)

 社員によるインタビュー形式でお客様の声に直接触れ、抱えている課題を自分ごととして捉え、日々の業務へ活かす「これからの食卓」体感研修や、お取引のある生産者の畑に足を運び、実際に作業をしたり生産の苦労や工夫、生産者の想いを知ったりする畑の体感研修を通じ体感で共感を図っております。

2.社内情報の伝達回数(2022年度ビデオレター配信回数22回、閲覧ユニークユーザー延べ人数10,598/ビデオレター 除くインターナルコミュニケーション情報配信数195回)

 代表自ら経営・事業・戦略・組織などに関して話した内容をビデオレターとして展開したり、インターナルコミュニケーションとして社内の取組みを高頻度で配信したり、地域やオンライン・オフラインの差が生じないよう情報を伝達しております。

 3.週間表彰対象者数(2022年度実績290名)

 行動規範「ORDism」は、知っているに留まらずそれを軸に行動している・判断しているというレベルを社員全員に求めています。そのために、実際に体現した人を賞賛し、代表からも評価ポイントをコメントし体現行動を社内に広める取組みを行っております。

4.エンゲージメントサーベイ 68.5 (HRbrain社による2023年2月サーベイ結果 他社平均68.3

 2020年より社員のコンディション調査を3ケ月ごとに実施し、仕事・仲間・環境に対する社員評価と自由意志を収集し、個別ケアーを行うことで一定の成果が得られました。2022年度はこれを進化させ、個人・チームのエンゲージメントの状態を定量的かつ定期的に見える化することにより、チームの組織課題を捉えて解決ができる状態をつくれるようアプローチを開始しました。

〔自律的キャリア支援〕

 当社独自のセルフ・キャリアドックの仕組みを、社外取締役であり慶應義塾大学名誉教授の花田先生の指導のもと設計しています。2022年1月から段階的に導入し、2023年度では社員の全年代が5年に1度は受講できる体制とし自社内のキャリアコンサルタントにて実行します。

 他にも半年を単位として社内公募して執行役員会議(経営会議を兼ねる)へのオブザーバー参加する制度もあります。参加者の経営目線を身につけ、会議でどのような議論がされていて、自分の業務とどうつながっているのかを理解する等、全社戦略の実行に向けて活かせる機会を提供しております。このような仕組みを通じて、経験・スキルを持った既存社員の活躍機会づくりとそれによる社内人材流動化を積極的に進め、キャリア自律を体現した社員が新しいビジネスチャンスや新規サービスに従事することで全社の収益向上にも貢献する体制を目指します。

1.キャリアセミナー実施回数と人数 (2022年度実績18回/131人)

2.キャリア面談実施人数 (2022年度実績120人)

 年齢別のキャリアセミナーをワークショップ形式で開催し、その後の個別面談を行うことで、キャリア自律の意識向上を図ることで、具体的なキャリアイメージを持ち、新しいビジネスチャンスや新規サービスに従事することで全社収益により貢献することや、エンゲージメントを高めることにつなげていきます。

(人材の多様性/ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

 事業の拡大とともに多様な人材が様々な場所で既に活躍しています。障がい者の受入れは法定雇用率で2.5%を維持し、国が2026年度から引き上げる同率2.7%も2年前倒しで2024年度には実現する見込みです。また、当社代表取締役が公益社団法人経済同友会副代表幹事に選任された後、東京オリンピック・パラリンピック2020委員会の委員長に就任した経緯もあり、経済界からパラリンピックを中心とした幅広い協議への支援に取組み、日本車いすラグビーを中心としたパラスポーツにも積極的にかかわっています。一方、働く社員は製造拠点を中心に23カ国の国籍を有して(2023年3月末時点)おり、現場では作業での注意事項等を多国語で提示する等の支援も行いながら、国籍関係なく活躍頂いています。さらに、性自認や性的指向に基づく差別なく採用を受入れています。これについては、社内の活動に留まらず、当社代表取締役は、LGBTQ+の人権保護と議論促進に向けたPride7サミット2023でも経済界の代表の1人として代表が日本の経済全体や企業の人材獲得の観点から取組みの重要性をスピーチしており、そのような多様性をお互い認めあう組織作りをすることで、よりイノベーティブなアイディアの創出につながることを当社としても期待しています。

<重要な指標及び目標>

・ライフイベントに合わせた柔軟な働き方

 社員ひとりひとりが急速に成長しながら、安心して継続的に働き続けられる環境が必要と考えています。それぞれの社員のライフステージにおける様々な課題や困難に対しても、支え合いながら乗り越えていくために必要な制度を整えています。また、制度に至らないまでも、本人、チーム、全社にとってプラスとなるケースにおいては個別対応を柔軟に行っています。

1.育休取得率(男女)(2022年度実績男性75%※ (独自制度導入後100%) 女性100%)

 男性の育休取得率については、以前より国の平均取得率の2倍程度の実績はありましたが、100%の取得になるよう、2022年10月より配偶者が出産した場合、最大5日分の有給付与する独自の制度も導入し、取得を支援しています。導入以降の実績では男性も100%の取得となっており、2023年度の目標を取得率100%としています。

※育児休業等と育児目的休暇の割合で算出

2.時短勤務者における「別々時短」利用率(2022年度実績66%)

 アフターコロナを迎えましたが、リモートワークによる効率の良さも考慮し、社員がリモートワークと出社とで、より生産性の高い働き方を選べるハイブリットワークを継続しています。その中で、子どものお迎えや家族の介護を抱える社員が、オフィス出社時と自宅勤務時とで別々の時短時間を柔軟に設定できる独自の制度「別々時短」も設けており、時短勤務者の約7割が利用しています。

・人材の多様性

1.女性管理職比率 25%※(2023年3月末時点(役員比率は38%))

 成長し実績を残した人が等しく評価され、更なる活躍のチャンスを得られる環境を、その時代のニーズを捉えて対応していきます。既に役員では女性比率が38%となっていることから、社員にも等しくチャンスを与える取組みを一層強化し、当面の目標を30%とします。

※課長職相当以上を対象として算出しています。

2.男女賃金格差率

対象者

2022年度

補足説明

全労働者

62.8%

 

正規雇用労働者

71.6%

期間の定めがなくフルタイム勤務する労働者

(無期雇用パートタイマー93名/内女性73名含)

非正規雇用労働者

81.3%

正規雇用労働者に比べて勤務時間が短い労働者

及び有期雇用労働者

    ※正社員(短時間勤務者)及びパートタイム労働者については、正社員の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に

    平均年間賃金を算出しています。

 正規雇用労働者に占める正社員の格差詳細

対象者

2022年度

補足説明

上位マネジメント

上位スペシャリスト

100.8%

M7~5等級 及び S7~5等級

マネジメント

スペシャリスト

84.5%

M4~1等級 及び S4~1等級

その他社員

87.4%

I3~1等級 及び E5~1等級

   ※採用時の特殊事情等により各等級の中央値から150%を超える対象者(全体の1.6%)は除いて算出しています

 全労働者では、62.8%と格差は大きいものの、当社は出荷拠点における非正規雇用労働者とその対象者に占める女性比率がすべての労働者の4割弱と比重が高いことから、この差が生じております。
 当社の等級で3階層に分けて賃金格差を比較すると、上位マネジメントと上位スペシャリスト層では100.8%、マネジメントとスペシャリスト層で84.5%、その他社員で87.4%の格差となっています。スキルレベルの向上が認められれば、積極的に女性も管理職に挑戦できる機会を作っています。その際、該当する等級給料水準に見直し格差是正を図っています。この各層の賃金格差に着目し、2025年度の目標を各層において100%とします。

3.中途採用比率 (2022年度実績99%)

 アフターコロナともなり、新卒採用も再開しますが、エンジニア等即戦力となるハイスキル人材も一定数獲得して社内のスキル水準を高めていきます。

(社内環境整備)

 働き方の面では、新型コロナウイルス感染症拡大以前より在宅勤務のインフラ整備や産休復帰の働き方支援などを行ってきました。アフターコロナでのハイブリットな働き方でも、社員のパフォーマンスの維持・向上に寄与する環境づくりを目指しており、グループアドレス化の推進やWEB会議ブースの導入や集中スペースの増加など改善を行なっています。今後も新たな働き方ガイドラインを踏まえ、本社・各拠点の改善及び採用活動も考慮した本社内のスペース改革を行ない、社員一人ひとりの事情や背景も考慮しながら働きやすい職場環境づくりを推進しています。

 また、当社グループで働くすべての人の人格・人権・個性を尊重し「国籍・人種・性別等による不当な差別を行なわず、多様な価値観を尊重する」という基本思想のもとにその遵守・徹底をこれまで以上に強化することでも働きやすさを推進しています。

<リスクマネジメント>

 人的資本に関するリスクは、リスク管理委員会の活動を通して管理しております。

 リスク管理委員会の活動については、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理をご参照ください。

②気候変動への対応:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示

当社グループは、気候変動への対応は重要な課題ととらえ、金融安定理事会(FSB)により設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に2022年6月より賛同し、その提言を踏まえ、気候変動への取組みを進めるとともに、情報開示の高度化を進めております。

ガバナンス>

気候変動に関連するリスク・機会に関しては、経営企画部門が検討し、代表取締役社長が参加する執行役員会において議論をしております。また、今回実施したシナリオの分析にもとづく気候変動に関連するリスク・機会および環境に関するグループ会社共通の目指す姿である“サステナブルリテール(持続可能型小売業)”の実現に向けた活動の進捗は、適宜役員会や取締役会に報告し、監督が適切に図られる体制をとっております。

 また、自然災害リスクを検討するリスク管理委員会では、四半期に1回執行役員会に定例報告を行い、リスク案件について議論し、承認を受けております。リスク管理委員会が対応した特記すべき事項については、取締役会に報告を行っております。

戦略>

当社グループは、「これからの食卓、これからの畑」という企業理念のもと、食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決することで、持続可能な社会の実現を目指しております。主要セグメントである国内宅配事業「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」をはじめ、「とくし丸」「Purple Carrot」等子会社も含めたあらゆる事業を通じ、食の社会課題を解決することを事業成長の糧としております。

気候変動は、食に関する社会課題の中でも世界的に年々大きなリスクとなっており、私たちにとっても農作物の生育状況の変化、自然災害の甚大化による調達、配達物流への影響等のリスクがあります。

(シナリオ分析)

当社グループは、気候変動の異なるシナリオ下でのリスクと機会を特定するため、TCFDの提言を踏まえ、シナリオ分析を実施しました。

2100年に産業革命前から1.5℃気温が上昇するシナリオ(1.5℃シナリオ)と、4℃上昇するシナリオ(4℃シナリオ)における2030年時点での気候変動による影響をリスク・機会それぞれに関して検討しています。そのためにまず、各部署の代表者と具体的なリスクと機会を洗い出し、当社グループおよびバリューチェーン全体への影響を踏まえ、より影響の大きいものを抽出しました。抽出したリスクと機会に対して、定性・定量的な方法で評価を実施し、財務的な影響度を確認しております。

・シナリオ分析による影響度評価(財務影響評価)

前提としている主なシナリオ

シナリオ

主に参照したシナリオ

1.5℃シナリオ

SSP1-1.9シナリオ(IPCC,2021

Net Zero Emissions by 2050シナリオ(IEA,2021

4℃シナリオ

SSP5-8.5IPCC,2021

Stated Policyシナリオ(IEA,2021

a. 抽出されたリスクと2030年時点での影響

財務影響度の金額イメージ(大:10億円以上、中:110億円、小:1億円未満)

(移行リスク)

分類

時間軸

財務影響領域

可能性のある事業インパクト

影響度

1.5

4

政策と法

炭素税の導入

中~長期

コスト

‐農作物・水産品・畜産品等の原材料・仕入れコストが上昇する。

‐工場及び物流・配送のエネルギーコストが上昇する。

プラスチック規制の強化

中~長期

コスト

‐プラスチック規制が強化されることで、包装材における代替素材の開発・導入が求められコストが上昇する。

その他環境規制の導入・強化

短期

コスト/資産

‐環境関連規制強化への対応による設備投資の増加や、食品安全基準等の見直しへの対応コストが上昇する。

業界/市場

消費者の環境志向の変化

中~長期

収益

‐環境への取組みや非財務情報の開示が不十分な場合、消費者からの支持が低下し、ブランド力の下落や顧客離れによる減収が発生する。

エネルギー需給の変化

中期

コスト

‐化石燃料を用いたエネルギー調達コストが上昇し、原材料・仕入れの生産コストやガソリン車(現車両)の利用による配送コストが上昇する。

‐再エネ調達需要の高まりにより、再エネ価格や再エネ対応切り替え設備の稼働価格が上昇する。

投資家の評判変化

中~長期

資本

‐気候変動への取組みや非財務情報の開示が不十分な場合、優遇金利が適用されず、企業評価が低下する。

テクノロジー

農・水産業における生産イノベーション

中~長期

コスト/資産

‐農・水産業がスマート農業等脱炭素モデルに移行するために最新設備等を導入することでコスト負担が上昇する。

物流・配送におけるイノベーション

中期

コスト/資産

‐配送車両の電気自動車へ置き換えに伴い、コスト負担が上昇する。

(物理リスク)

分類

時間軸

財務影響領域

可能性のある事業インパクト

影響度

1.5

4

急性

異常気象の激甚化

短~長期

コスト

‐集中豪雨や台風によって生産地域の浸水被害や、物流網の混乱が発生し、商品の調達ができなくなる。

慢性

調達・供給体制への影響

長期

コスト/収益

‐気候変動による直接的・間接的な収穫量の低下により、調達必要量の確保が難しくなる。

‐需給バランスの調整が難しくなり、欠品や廃棄処理の増加が懸念される。
‐高温により農作業効率が低下し収穫量が減少する。

品質への影響

長期

コスト/収益

‐当社グループが設定する水準の品質確保が難しくなる。

‐顧客への配送時に、冷凍食品を中心に品質担保が困難になる。

コスト構造への影響

長期

コスト

‐原材料・資材等の仕入れコストが上昇する。

‐人材不足や操業可能設備不足等からコスト負担が上昇する。

消費者の食ニーズ全般の変化

長期

収益

‐消費者の生活における気候変動への適応負担が増加し、食費支出そのものが減少する。

※影響度は、当連結会計年度末現在において取得可能な情報をもとに算定しうる範囲で記載

※定量評価は、2030年時点まで2023年3月期と同様の事業規模拡大が続いていることを前提に評価

b. シナリオ分析を踏まえたリスクへの対応と、対応から生まれる機会

分類

対応

機会

炭素税の導入

‐カーボンニュートラルの達成

‐省エネの積極的な導入によりコスト削減ができる。

‐カーボンニュートラル達成により、炭素税の負担を減らせる。

プラスチック規制の強化

‐商品パッケージのさらなるグリーン化

‐代替プラスチックの新包装材の先行導入により差異化をはかる。

その他環境規制の導入・強化

‐食品安全基準の強化

‐特定フロン排出抑制

‐カーボンフットプリント開示規制の強化により、自社の優位性の訴求や、その他環境配慮に対する補助金導入による金銭的なメリットを享受する。

消費者の環境志向の変化

‐アップサイクル食品の販売推進
‐商品パッケージのさらなるグリーン化

‐環境志向・ニーズの高まりに的確に対応し、顧客との関係性を構築・向上させることで、ブランド力や既存顧客との関係性が強化されるだけでなく、新たな顧客開拓・既存顧客のロイヤリティ向上へも繋がる。

エネルギー需給の変化

‐省電力化
‐オフィス・全物流拠点電力に再生エネルギーを導入

‐グリーン配送や、省エネ設備の早期導入等によりコスト負担を抑えられる。

農・水産業における生産イノベーション

‐「サステナブルリテール」の強化

‐環境負荷が少ない食材の製造等、フードテックの活用・開発促進によりニューフードの市場を活性化する。

‐冷凍食品、加工生産、可食化技術も含めたイノベーティブな生産、安定供給体制を先行して構築し差異化をはかる。

分類

対応

機会

物流・配送におけるイノベーション

‐配送車の省エネルギー配送とEV化の実証実験

‐自動運転技術やドローン技術等を用いて、気候変動に影響を受けにくく、顧客の利便性の高い物流・配送体制を先行して構築する。

異常気象の激甚化

‐「サステナブルリテール」の強化

‐良質なサプライの拡大
‐ローコストオペレーション、マーケティングノウハウ共有による収益力改善

‐生産地の多様な地理的ポートフォリオにより、局所的な収穫不良時でも商品の安定供給が図れる。

調達・供給体制への影響

‐トレーサビリティのデータを有効活用し、需給調整を綿密に実施し、安定供給が図れる。

‐国内外での収穫可能性の拡大を想定し、安定生産できる栽培、生産方法の確立を後押しする。

品質への影響

‐従来の小売流通基準に満たない原材料(B級品等)の活用機会を増加させ、顧客にもその価値を理解してもらうことで、新たな訴求要素を確立する。

消費者の食ニーズ全般の変化

‐熱中症予防や備蓄可能な食品に対するニーズが高まる。

‐外出の困難化から宅配そのもののニーズが増加する。

リスクマネジメント>

 気候変動によるリスクを含む自然災害リスクは、リスク管理委員会の活動を通して管理しております。

 リスク管理委員会の活動については、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理をご参照ください。

指標と目標>

当社グループは、脱炭素社会実現への貢献と、そこへの移行に伴うリスク・機会への対応として、サステナブルリテール(持続可能型小売業)の実現に向けた取組みとして“グリーンシフト施策”を定めております。これは環境に関するグループ会社共通の目標です。グリーンシフト施策では、2026年3月までにサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を目指しております。

◆温室効果ガス排出削減の全社目標(比較対象:2018年3月期)

 

項目

カーボンニュートラル達成目標

実施内容

 

スコープ1、2

2024年3月

 

・省電力化

・オフィス・全物流拠点電力に再生エネルギー導入を推進

スコープ3

2026年3月

・バイオ炭等、農業生産でのグリーン化の推進

・商品パッケージのグリーン化

・食品廃棄物の削減

・食品残渣のリサイクルの促進

◆温室効果ガス排出量推移

排出量:CO2排出総量[t-CO2e]

原単位:CO2排出総量原単位(売上高あたり)[t-CO2e/百万円]

項目

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

排出量

排出量

原単位

排出量

排出量

原単位

排出量

排出量

原単位

スコープ1

※事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

(燃料の燃焼、工業プロセス等)

1,028

-

1,956

-

2,468

-

スコープ2

※他社から供給された電気・熱・上記の使用に伴う間接排出

3,885

-

4,984

-

5,308

-

自社排出量(スコープ1+2)計

4,913

0.07

6,940

0.08

7,776

0.08

スコープ3

※スコープ1、スコープ2以外の間接排出

(事業者の活動に関連する他社の排出)

161,582

-

218,432

-

287,705

-

サプライチェーン排出量(スコープ1+2+3)計

166,495

2.51

225,372

2.86

295,481

2.86

※算定方法:排出量の算定はGHGプロトコルに基づく

2023年3月期実績は、スコープ3の算定方法をより精度の高いものにした上で2024年3月期中に開示予定

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