企業兼大株主エンビプロ・ホールディングス東証プライム:5698】「鉄鋼 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは企業理念を次のとおり定めております。


  創業企業  つねに社会にとって必要な事業を創造しつづける
   日々創業・・・初心を大切に日々創業精神で仕事をする
   歴代創業・・・代々初代の志を持って新事業を創造する
   全員創業・・・全社員が自分に合う第一人者の道を拓く
  循環企業  助け合い、活かし合い、分かち合う喜びの環を回しつづける
   快  労・・・助け合い、補い合って気持ちよく働く
   活  財・・・あらゆるもののいのちを活かして使い回す
   還  元・・・利益や喜びを共に生きる人たちと分かち合う
  求道企業  永遠につづく企業の道、人の道を追求しつづける
   選難の道・・・安易な道を選ばず求められる道を歩む
   独自の道・・・特質を生かし人のやらないことをやる
   感謝の道・・・生かされていることに感謝し慢心をしない
 
 社会にとって求められている事業を創造し続け、顧客、株主、従業員を含むステークホルダーの期待に応えることはもとより、事業活動を通じて良い世の中を作ることを目指してまいります。

(2) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループの事業環境においては、2050年のカーボンニュートラル達成に大きな役割を持つサーキュラーエコノミー(循環経済)の概念がサプライチェーン全般に及び始めており、極めて低炭素なリサイクル原料(グリーンマテリアル)への需要が一層高まるものと考えております。グリーンマテリアルの供給は、当社グループが長年に渡り培ってきた技術やノウハウを活かすことのできる領域であり、最近頓に当社グループの役割の重要さを実感しております。

このような環境の中、当社グループではカーボンニュートラル実現に向けた課題解決を事業機会に、戦略コンセプトを「サーキュラーエコノミー(CE)をリードする」とし、それを「モノづくりを支えるCE」と「地域を支えるCE」に分けて対応を始めております。その上でベースメタルはもちろんのこと、レアメタル、レアアース、プレシャスメタルに加え、ポリマー(ゴム、プラスチック)の再生素材製造にも挑戦していきます。また、静脈サプライチェーン機能として必要なトレーサビリティを付加した回収の仕組みや、新たなリサイクル技術の開発にも注力し、ハイレベルなサーキュラーエコノミーの具体的事例を数多く実現してまいります。

この度当社は、昨年度に続いてローリング方式で2029年6月期を最終年とする5カ年の中期経営計画を策定しました。今後当社グループが、当該中期経営計画に基づいて事業を推進していく上での課題は下記のとおりです。

①資源循環事業領域の課題

・拠点間での連携強化及び営業部門、生産部門、管理部門における機能別の生産性を高めるため、金属資源循環3社を統合及びポリマー資源循環2社を統合しております。スケールメリットを活かした意思決定により、拠点展開及び原材料確保、再生素材の生産量拡大、新たなCE製品及びサービス開発に取り組んでまいります。

・原材料を安定的に確保することは当社グループにとって重要な課題であります。解体工事においてはアライアンス強化及び全国規模での鉄スクラップなどの原材料集荷体制を強化し、グリーンスチールの循環に取り組んでまいります。また自治体との連携強化により、焼却灰等からの金銀滓回収の取り組みを拡大してまいります。加えて物流パートナーとの連携は回収網を構築し、不安定かつ不均一に発生する原材料を安定的に確保することにつながります。これらの取り組みはCEを実現し、社会課題の解決は新たな付加価値提供となり、当社グループの集荷力をより一層強化するものと考えております。

・廃プラスチック及びゴムの再資源化においては、サーマルリサイクル、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルを組み合わせた高度な資源循環の仕組みが求められています。当社グループでもRPF等の低炭素燃料の生産によるサーマルリサイクルに加え、再生素材の製造・販売等、マテリアルリサイクルにも取り組んでおります。

②グローバルトレーディング事業領域の課題

・鉄スクラップ価格が国内高、海外安である事業環境に対応するため、国内電炉メーカーとの連携による国内販売量の拡大及び集荷ヤードの活用による効率的な輸送スキームを提供してまいります。

・より成長スピードを高めるためには、国内のみならず海外での事業展開を進める必要があります。今後、鉄スクラップの需要が見込まれる東南アジア市場において、国内で培ったビジネスモデルを展開すべく、マーケットリサーチ、アライアンス強化に取り組み、現地での事業構築を目指してまいります。

・物流代行サービスにおいては、成長のキードライバーはまさに人材です。人的資本投資等の先行投資を行い、事業成長を目指してまいります。

③リチウムイオン電池リサイクル事業領域の課題

・リチウムイオン電池リサイクルにおいて工程廃材及び使用済み電池の回収は、一段と競争が激化することが予想されます。この環境で競争優位性を構築すべく、ブラックマス製造工場の国内拠点の拡充及び付加価値の高い製品を安定的に生産するための安全で効率的な製造プロセスを確立すべく取り組んでまいります。

・産業用や家庭用の蓄電池等に使用されるリチウムイオン電池は、レアメタルの含有量が多い三元系から含有量が少ないリン酸鉄系の活物質が使用される割合が増加しております。これらは資源価値が低く廃棄物として流通しており、再資源化ニーズが増加することが予想されます。この流れに対応するため、産業廃棄物の中間処理業許可を活用し、有価物に加えて産業廃棄物の受入れを一括で行うワンストップサービスの体制を構築することで、競争力強化による収益源の多様化を目指してまいります。

・リチウムイオン電池のサプライチェーンにおけるクローズドループを構築することが求められる中、工程廃材及び使用済み電池をリサイクルし、再生素材としてのニッケル、コバルト、リチウムを電池メーカーへ戻す必要があります。この役割を担うために、自社での研究室における研究開発に加え、他社との資本・業務提携等を模索し、湿式製錬事業への参入可能性を検討しております。

④その他の事業領域の課題

・環境経営コンサルティング事業においては、同領域における当社グループの優位性を強化するために、既存のカーボンニュートラルコンサルティングサービスの拡大に加えて、DX推進により事業領域を広げ、資源循環事業と連携したサーキュラーエコノミーのソリューション&コンサルティングサービスの拡大に注力してまいります。

・障がい福祉サービス事業においては、事業基盤を強化するために、専門性の強化、既存事業所におけるサービス品質の向上に取り組んでおります。また、環福連携、農福連携を推進し、当社グループの各種事業とのシナジーを高める取り組みを実施しております。

⑤経営基盤と成長基盤の課題

・良い組織風土の醸成と強い企業文化の形成を通じた戦略遂行能力としての現場力・組織力の向上は経営にとって最重要テーマの一つであります。当社グループのカルチャーを戦略の礎と位置づけ、人材獲得競争が激化する中、採用、育成、定着とそれぞれの課題に対し、ベースアップなどの待遇改善、目標達成に向けた制度設計、成長できる環境の構築に注力してまいります。

・ROEが株主資本コストを下回っていることが課題と認識しております。ROE向上に向けて利益率の改善に向けたKPIを明確化して注力することにより、既存事業の収益性改善と新規事業創出による付加価値の向上を実現してまいります。

・限界利益の伸びが固定費の増加を下回っていることが課題と認識しております。安全、快適かつ効率的な職場環境を実現すべく、AI等の活用を含めIT化に取り組んでまいります。また再生素材(グリーンマテリアル)の提供による新たな付加価値増大に向けたトレーサビリティを構築すべくDX推進部を設置し、様々な業務プロセスにおいて収益改善に取り組んでまいります。

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