企業エスリード東証プライム:8877】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社は「不動産業界をリードする(real EState LEAD)」という想いのもと、1992年5月に設立された総合不動産会社です。

 当社グループは「総合デベロッパーとして。都市と住まいの未来を見据えて。」を経営理念とし、「多様化する社会のニーズへの対応を通じ、持続可能な社会に貢献する。」を社会的使命の一つとして掲げています。

 企業を取り巻く環境が大きく変化する中、当社グループは持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立していくことが重要な経営課題であるとの認識に立ち、サステナビリティに関する取組を推進しています。

 サステナビリティに関する諸課題の中でも、当社グループにとって特に重要であると認識しているのが気候変動と人的資本・多様性です。

 気候変動が原因の一つとされる近年の異常気象や自然災害は、当社グループが各事業において開発・販売する不動産や保有・運営する不動産へ深刻な被害をもたらす可能性があります。当社グループは創業以来、マンション分譲事業を中心として成長してきましたが、現在の事業領域は戸建事業やホテル事業、更にはリゾート開発や太陽光発電事業など多岐にわたっており、今後も事業領域を拡大していくことを目指しております。事業領域の拡大に伴い取り扱う不動産が増えるにつれ、気候変動による当社グループの経営への影響はより重大になっていくことが見込まれます。当社グループは2022年6月にTCFD(気候変動財務開示タスクフォース)提言への賛同を表明しており、TCFD提言に基づく情報開示を通じて、ステークホルダーの皆様との対話を進め、分析をさらに精緻化し取組を進化させてまいります。

 また、人的資本・多様性への投資は、今後の当社グループの成長に不可欠なものと認識しております。当社グループは2022年5月8日に迎えた創業30周年を機に、グループ総力を結集し「真の総合不動産」へと成長する新たなスタートを踏み出しました。人的資本・多様性はこの成長を実現するための重要な要素であり、将来にわたって投資を継続していく必要があるものと考えております。

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティを経営に重大な影響を与える課題の一つとして認識しています。リスク管理委員会をサステナビリティについて検討する機関と位置づけています。

 リスク管理委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、営業本部・事業本部・管理本部の本部長及び副本部長によって構成されています。その他、必要に応じてグループ会社の役職員、内部監査室長やその他の者が出席します。

 リスク管理委員会は、リスク管理規程に基づき月に1回以上開催され、議事内容は取締役会に報告しています。

(2)戦略

(気候変動)

 気候関連に伴うリスクと機会には、低炭素な社会へ移行していく過程での政策や市場、技術等の変化によって生じる「移行リスク・機会」と、地球温暖化に伴い慢性的な気温上昇や急性的な自然災害の激甚化によって生じる「物理的リスク・機会」に大別されます。

 当社グループでは、「移行リスク・機会」が大きいシナリオとして①2℃シナリオを設定し、IPCC第5次報告書のRCP2.6シナリオや経済産業省の「グリーン成長戦略」等を参照しました。一方、「物理的リスク・機会」が大きいシナリオとして②4℃シナリオを設定し、IPCC第5次報告書のRCP8.5シナリオを参照しました。

 分析の事業範囲は、エスリード株式会社と全グループ会社を含むエスリードグループとしました。また、分析期間は2050年までを想定し、2030年までを中期、2031年以降を長期として、相対的な事業への影響度の大きさを大・中・小の3段階で分析しました。

①2℃シナリオ

項目

事業への影響

影響度

期間

政策・

規制

省エネルギー規制の強化

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)対応

<リスク>

・省エネ基準引き上げによる基準適合のため原価が増加

・ZEHマンション・戸建住宅の提供により原価が増加

<機会>

・政府目標に沿った支援策の拡充

・炭素クレジット市場の創設

・ESG融資の増加

・省エネ技術の進展により原価が減少

・省エネ物件やZEHの需要増加

中~長期

炭素税の導入

<リスク>

・販売後不動産の利用者が負担する光熱費が増加

・事業活動にともなう化石燃料由来の光熱費が増加

<機会>

・省エネ化に対する需要増加

・再生可能エネルギーの利用機会が増加

・HV車やEV車の利用機会が増加

中期

市場・

評判

建材、部材等の調達原価の増加

<リスク>

・炭素集約度の高い建材、部材等の調達原価が増加

<機会>

・技術の進展、価格の低廉化

 

中期

ZEHなど省エネ住宅の普及

<リスク>

・ZEHを含め省エネ物件の提供が遅れることによる顧客からの評価低下

<機会>

・消費者の環境負荷低減への意識の高まり

・ZEHや省エネ住宅の需要が増加

中~長期

再生可能エネルギー事業の拡大

<機会>

・再生可能エネルギーの需要が増加

・当社グループの綜電株式会社の事業拡大

中~長期

②4℃シナリオ

項目

事業への影響

影響度

期間

慢性

屋外作業の効率の低下

<リスク>

・施工現場での熱中症発生リスクが増加

・工期の遅延リスクが増加

中~長期

建物や設備の劣化

<リスク>

・高温多湿により建物や設備が早く劣化

・劣化点検、修繕工事の費用が増加

<機会>

・修繕工事やリフォームの需要が増加

・当社グループのイー・エル建設株式会社の修繕工事受注が増加

中~長期

 

空調コストの増加

<リスク>

・販売後不動産の利用者が負担する光熱費が増加

・省エネ性能を高めるため原価が増加

・事業活動にともなう光熱費が増加

<機会>

・ZEHや省エネ住宅の需要が増加

中~長期

急性

自然災害の増加

<リスク>

・台風や集中豪雨による工期の遅延リスクが増加

・建物や設備の損傷リスクが増加

・浸水リスクが増加

<機会>

・耐久性が高い物件の需要が増加

・災害時や緊急時の建物管理の需要が増加

 

中~長期

③リスク・機会への対応策/戦略のレジリエンス

 当社グループは、環境配慮型住宅の開発とクリーンエネルギーの活用の2つを軸として、脱炭素社会の実現へ向けた取り組みを推進しております。

(1)環境配慮型住宅の開発

①ZEHへの取組み

 中期的には原価の増加が見込まれるものの、市場の拡大や省エネ技術の低廉化により長期的には収益増加が見込まれます。政府のグリーン成長戦略では、2030年までに「新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という目標が掲げられており、政府目標に沿った支援策の拡充や省エネ技術の進展が見込まれ、当社グループにおいても、これらの機会を活用してZEH販売戸数を増加させていく所存です。また、炭素税の導入により化石燃料由来の光熱費が増加することが見込まれるため、ZEHや省エネ物件の提供により販売後不動産の利用者が負担する光熱費の減少に努めます。

 2022年2月17日には、エスリード神戸大倉山ヒルズが投資用ワンルームマンション業界で初めて「ZEH Oriented」認証を取得しており、業界最速供給を達成いたしました。また、経済産業省が導入している「ZEHデベロッパー」登録制度において、2022年6月に「ZEHデベロッパー」として登録認定されました。

 さらに、戸建分譲事業を展開する当社グループのエスリードハウス株式会社でもZEH仕様の戸建を販売しております。

②NSモールド×NSコート

 NSモールド×NSコートは当社グループのイー・エル建設株式会社が実用新案権を取得した、建物の外観を損なわないタイル剥落対策工法です。タイルを使用しないタイル調意匠付けトータルシステム工法で、タイル製作過程の成型や焼成時に発生する二酸化炭素排出を抑制します。

③枠無メーターボックスドア

 当社グループのイー・エル建設株式会社が枠無メーターボックスドアを共同開発・特許取得いたしました。枠のないシンプルなデザインを採用し、CO2排出量は材料と施工手間で約1/2まで抑制されます。

④建材見直し

 マンション建設に使用する建築材料及び建築製品を見直すことで建設時のCO2排出量を削減します。

(2)クリーンエネルギーの活用

①太陽光発電設備

 当社グループにて電力供給事業及び太陽光発電事業を手掛ける綜電株式会社は、現在10基のメガソーラーを保有しており、クリーンエネルギーを供給しております。クリーンエネルギー供給量は、当社のファミリーマンションの約40%、約4,800戸の消費電力に相当します。

 また、2023年1月31日に綜電株式会社が8基目の太陽光発電所を取得するにあたり、当社グループ初となるグリーンローン契約を株式会社滋賀銀行と締結いたしました。グリーンローンは資金使途が環境に配慮したプロジェクトに限定される融資で、融資後の資金使途の管理や環境改善効果の実績報告を通じて透明性が確保されます。綜電株式会社が策定したグリーンローン・フレームワークは、第三者評価機関より認証を得ております。

②EVカーシェアリングサービス

 当社が2023年2月に引き渡したエスリード京都梅小路公園について、居住者向けにEVカーシェアリングを提供いたしました。

 再生可能エネルギー需要の増加に伴い、自動車のHV化やEV化が進行することが見込まれます。当社グループでは、多様化する社会のニーズに応えるべく積極的に新たな取り組みにチャレンジしていきます。

③電気自動車の活用

 エスリードの社用車の一部をガソリン車からPHV(プラグインハイブリッド車)に変更いたしました。エスリード本社敷地内にEV急速充電設備を設置する予定です。

(人的資本・多様性)

 当社グループは、人的資本と多様性への投資を当社グループの事業を支える重要な戦略として位置づけています。当社グループにおける人的資本戦略は、M&A等の人材を含む仕組みの買収以上に、社内人材の育成・能力開発に向けた投資、外部専門人材の積極採用、従業員エンゲージメントの向上に向けた取組、従業員の健康増進に向けた投資など、“人材”そのものを重要視した投資を目標としています。

 人的資本戦略立案については、中期的な財務目標の設定を行い、非財務情報可視化等の現状把握の後、実現に必要な分野への積極的な投資を実施しています。

①人材育成

(1)人材育成(研修・スキル向上)

 新卒の新入社員に対して、前に踏み出す力や考え抜く力、チームで働く力等の社会人の基礎力を身に着けることを目的に、入社前合宿研修を実施しています。入社後は、ビジネスマナー研修や企業全体の把握を目的としたグループ会社を含む各部署の理念、事業内容の研修を実施しています。また、顧問弁護士によるコンプライアンス研修を実施し、企業風土の向上に努めています。さらには、外部及び社内講師による不動産市場動向や資産運用マンション営業、金融市場動向に関するセミナーを実施するとともに、宅地建物取引士の資格取得プログラムの導入、各種資格手当によるスキルアップの推奨を実施し、不動産に精通した人材育成を図っています。

(2)人材確保

 母集団形成として求人サイトへの掲載、人材紹介会社の利用、ダイレクトリクルーティング、合同企業説明会の出展、リファラル採用等、各募集職種に適した手法を協議し実行しています。当社方針として、新卒社員に対しては主体性や向上心があり、論理的に物事を考えられる人材、中途社員に対しては実務経験や所有資格、人柄を鑑み即戦力として共に働くことができる人材の確保を目指しています。

②従業員エンゲージメント

 当社グループ全体で3カ月通算表彰式や年間表彰式を開催し、社員のモチベーションの最大化に努めています。また、福利厚生の一環として持ち株制度を導入し、グループ全体の企業価値向上という共通目標を促すことで従業員エンゲージメントの向上に努めています。加えて、福利厚生の一環として親会社である森トラスト株式会社及びグループ会社であるエスリードホテルマネジメント株式会社のホテル優待の提供、プロ野球やJリーグサッカーの年間シートの提供等も実施しています。

③流動性

 当社グループは、従業員のモチベーション向上及び離職防止策としてジョブローテーションを推進しています。当社グループは、デベロッパー業務のみならずマンション管理事業や賃貸事業、建設・リフォーム事業、仲介・買取再販事業、戸建分譲事業、宿泊施設の運営・管理事業、ビルの清掃・メンテナンス事業、デジタルマーケティング事業など多岐にわたる事業を展開しています。部署やグループ間での転籍希望についてヒアリングし、グループ内の流動性を高めることで、従業員の適正職種の見極めや柔軟で多様な経営実行体制の構築、従業員のモチベーション向上を図り、業務慢性化による生産効率の低下や離職を防止しています。

④ダイバーシティ

 当社グループは、多様な人材を適材適所に配置し能力の最大化を図ることを目標としています。宿泊施設の運営・管理事業における外国籍人材の雇用、マンション管理事業における管理人や清掃員を対象とした高齢者雇用、グループ会社であるエスリード・アセットマネジメント株式会社が推進している高度シニア人材の活用など、幅広い雇用の創出に努めています。

 男女における労働環境について、現状は従業員の男性比率が高いものの、性別や年齢、勤続年数を考慮しない成果主義人事制度を導入しているため、人材採用や育成に関しては公平な評価を実施しています。また、育児介護休業については男女問わず取得を希望する従業員が取得することができる職場の実現に向けて、規程の改訂を実施し社内イントラネットを通じて育児介護休業制度の周知を行っています。

⑤健康・安全

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、従業員が安心して働くことができる環境を実現するために、職場クラスター発生への防止策を徹底しました。換気・マスク着用の徹底、座席間隔の確保、アクリル板の設置といった飛沫感染防止策に加え、全従業員の健康管理、厳格な自宅待機基準の運用、時差出勤やリモートワークの導入、本社オフィス入口に設置したサーモグラフィによる従業員並びに来訪者の体温管理など、さまざまな対策を講じてきました。また、従業員のみならずご家族やご友人、当社開発マンションにお住いの方を対象に新型コロナウイルスの職域接種を実施し、従業員に対しては接種完了後も定期的なPCR検査を継続して実施しています。

 また、同感染症以外の健康管理については定期的な法定健康診断やインフルエンザワクチンの無料接種を実施するとともに、30歳以上はバリウム検査、40歳以上より人間ドックを実施しています。さらには、消防職員を招いた消防訓練や安全運転管理者講習を行い、従業員の安全確保に努めています。

⑥コンプライアンス・労働慣行

 当社グループは、行動規範や内部通報制度運用規程等、コンプライアンス体制に関する規程について法令・定款を遵守した行動をとるための規範として制定し、社内イントラネットを通じて周知徹底を継続的に実施しています。また、内部通報制度運用規程に則り、コンプライアンス上の疑義ある行為については総務部・内部監査室・外部法律事務所を窓口として情報を収集し、取締役会及び監査等委員会へ報告のうえ適切に対処することを内部統制システム構築基本方針に明記しています。

 加えて、内部監査室はグループ会社を含む各部署における業務活動が、法令・定款及び諸規程に準拠した組織及び制度を通じて経営目的達成のために適正に行われているか、年間を通して監査しています。

 さらに、顧問弁護士によるコンプライアンス研修を実施し、従業員への意識浸透を図り企業風土の向上に努めています。

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関するリスクを経営に重要な影響を与える課題の一つとして認識し、代表取締役社長が委員長を務めるリスク管理委員会において審議します。リスク管理委員会は当社グループのリスク管理規程に基づき、各本部及び子会社のリスク管理責任者及びリスク管理担当者を置いています。また、委員会の事務局は管理本部が務めます。

(4)指標及び目標

(気候変動)

 気候変動にともなうリスク及び機会を評価管理する指標として、Scope1・2・3のCO2排出量を算出しました。

 また、Scope1・2の削減目標については、2021年度の排出量(t-co2)と比較して、2030年までに△46%、2050年までに△100%と定めております。そして、Scope3の削減目標については、2021年度の面積(※1)当たり排出量(t-CO2/㎡)と比較して、2030年までに△30%、2050年までに△100%と定めております(※2)。

※1 当社グループが開発したマンション及び戸建等の建築物の延床面積

※2 前提条件:第6次エネルギー基本計画の2030年の電源構成の実現

 社会情勢により前提条件に変更があった場合、排出削減目標を再検討する可能性があります。

 当連結会計年度におけるCO2排出量の実績は以下のとおりです。

①Scope1・2

(単位:t-CO2)

 

2021年度

(基準年)

2022年度

Scope1

75.0

128.9

Scope2

624.4

897.0

Scope1・2合計

699.4

1,025.9

②Scope3

(単位:t-CO2/㎡)

 

2021年度

(基準年)

2022年度

Scope3

6.3

5.9

(人的資本・多様性)

 ・新卒採用 女性比率

  <目標>2025年度25.0%  <実績>2023年度20.0%

 ・育児休業復職率

  <目標>2025年度90.0%  <実績>2022年度100.0%

 ※ 目標及び実績は、当社グループを対象としております。

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