エクサウィザーズ 【東証グロース:4259】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げ、超高齢社会に代表されるような社会課題に対し、高いAI技術力・ビジネス適用力を活かし、その課題を解決することを目指しています。
社会課題の解決にあたっては、AIプラットフォーム事業を通じて、様々な業界の顧客企業と協働・提携することで、多様な産業・社会課題を発見し、その革新を実現し続けることを目指して事業を推進しています。こうして各業界・様々な顧客との産業課題・社会課題解決を推進して得られた知見をもとに、AIを用いたプロダクトの開発・提供を行うことで、AIプロダクト事業において継続的に革新的なサービスを創出し、より広範な社会の課題を解決することを目指しています。
(2) 経営環境及び事業対象市場
2000年以降のインターネットの普及によるビッグデータの蓄積と、2012年頃から本格化した深層学習技術に代表されるアルゴリズムの発展、そして2022年からの大規模言語モデルをはじめとした生成AIの目覚ましい技術革新により、AIサービスは着実に幅広い産業で利用され、近年では新規サービスとして実装段階に至るまで発展を遂げてまいりました。
特に当社が注力してプロダクト・サービス提供を行っている生成AIの市場は、国内市場だけで2030年には1兆7,774億円、グローバルでは2,110億ドルに達するとの試算もあり、今後の大きな拡大が見込める市場として勃興してきました。
(注) 1.生成AI基盤モデル:基盤モデル自体の提供
2.生成AI関連ソリューションサービス:生成AIの活用を支援するSI/上流サービス(リスク対策、個別開発、体制構築、人材育成等)
3.生成AI関連アプリケーション:生成AI基盤モデルを活用したアプリケーション、開発を実現するプラットフォーム
4.参考文献:JEITA(電子情報技術産業協会) https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2023/1221-2.pdf
5.1ドル=145円換算
(3) 経営戦略等
当社グループでは、上記の経営環境への認識をふまえ、大企業との提携や協働を通じて企業のDXやAI導入を推進するとともに、そこで得られた技術や知見をもとに、自社でプロダクト・サービスを開発し、広く提供することで、社会課題を解決することを基本的な戦略としています。近年は特にAIの利活用により企業の生産性や提供価値を向上させるプロダクトの提供に注力しています。
① 顧客企業数の増大
当社グループの顧客企業数は、AIプロダクト事業における「exaBase DXアセスメント&ラーニング」は1,467社、「exaBase 生成AI」は447社、AIプラットフォーム事業の顧客数は178社(いずれも2024年3月末時点)となり、着実な拡大を遂げています。今後も既存顧客企業との契約長期化に伴う良好な関係維持を重視しつつ、一方で当社ネットワークコミュニティや自社開催セミナー・イベント等を通じて、見込み顧客の獲得や、より多くの顧客企業に対するサービスの提供を手掛けてまいりたいと考えています。
② 顧客企業内における契約単価の上昇
当社グループでは、様々な業界の企業顧客に対するAIプラットフォームの導入を進めています。そのサービスを提供するうえで、導入効果として顧客の事業に財務上の良好なインパクトが発現することに伴い、成果報酬が生じることや、顧客との契約単価の上昇を目指します。
③ 顧客企業との契約の長期化
当社グループでは、様々な業界の企業顧客に対するAIプラットフォームの導入を実施しています。初期的には課題の特定、概念検証を行い、それらの結果を踏まえて中長期的にはAIモデルの実装や運用へと領域を拡充いたします。従いまして、その成果に応じて、顧客企業との契約期間が長期化することが見込まれています。当社グループでは4四半期以上の継続契約企業顧客からの売上を長期継続顧客売上と定義づけており、2024年3月期は69.4%となり、この水準感を一定の目安として事業展開を進めています。
④ 開発したソリューションの他社への水平展開とプロダクト化
当社グループでは、それぞれの産業におけるコア課題に対して、AIの利活用を通じた一定の解決策を提供し、顧客に良好な財務インパクトとして導入成果が発現するように実装・運用することを目指しています。それら運用・実装の経験を通じて培った独自のノウハウや、当社グループ独自のユニークな技術・知的財産を蓄積し、同業界内又は他業界内において類似したサービスやソリューション、汎用化されたプロダクトの提供を行うことで、営業の効率化や、更なる高付加価値の実現を目指しています。
⑤ 顧客企業に対するAIプラットフォーム及びAIプロダクト間のクロスセル
当社グループでは、AIプラットフォームと、AIプロダクトの双方の事業を展開しています。個別の事業課題に向けてAIプラットフォームの利活用を行った企業顧客が、より一般的な業務の効率化や生成AIの導入にはAIプロダクトを活用することや、またその逆の事例もあります。AIプロダクト事業の「exaBase DXアセスメント&ラーニング」や「exaBase 生成AI」が獲得した顧客基盤は、AIプラットフォーム事業のサービスを追加的に紹介・提供する入り口としても機能しています。顧客企業に当社グループの価値を最大限に提供するために、今後もこのような施策の実現を目指しています。
⑥ 「exaBase Studio」を組み込んだサービス展開の推進
当社グループでは、「exaBase Studio」により顧客企業の内部に存在する様々な形態のデータをつなぎ、また適切な形で分類整理することで、ユーザー側のインターフェースとして機能する「exaBase 生成AI」からデータを引き出し、活用するユニークな仕組みを構築しています。当社はこの一連のサービスを顧客企業の業務生産性を向上させるアプローチと定め、AI・DXの推進を進める大企業顧客を中心に、販売拡大を進めてまいります。
⑦ 継続的な新規AIプロダクトを創出する仕組み
当社グループでは、顧客企業へのAI導入を通じて、多様なユースケースでのAI導入実績を有しています。これらを通じて、業務・業界ごとのAIの導入余地やその導入によるインパクト、AIアルゴリズムの汎用化可能性などを判断し、より広範な企業に対して提供可能なAIアルゴリズムについては自社で作り込んでソフトウエア化し、AIプロダクトとして提供しています。このプロセスによりAIプラットフォーム事業の推進と同時に需要の高いプロダクトの市場調査を並行して実施できるため、当社グループは限られた研究開発コストで企業のニーズに即した新たなAIプロダクトを継続的に創出することが可能になると考えています。
現状では特に企業の生産性向上を目的としたDX AIプロダクト関連から、「exaBase 生成AI」や「exaBase IRアシスタント」などの新規プロダクトを創出し、着実に事業規模が拡大していますが、今後も強みを生かした新規プロダクトの探索を進めます。
⑧ 財務上の課題について
現時点で当社グループは財務上の課題を認識してはいませんが、AIプロダクト事業への先行投資等により、2024年3月期まで連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。しかしながら、AIプラットフォーム事業では引き続きセグメント黒字を計上、かつ売上高も伸長し、今後も収益力の向上を目指しています。AIプロダクト事業についても新規プロダクトを中心に売上高の成長が顕著であり、通期でのセグメントの黒字化が期待できる水準となってきました。今後も「exaBase 生成AI」や「exaBase Studio」の導入拡大に向けて積極投資は継続しつつ、同時に利益の創出が実現できるように、ビジネスモデルやコスト構造を抜本的に変革してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、連結売上高成長率及び連結営業利益の黒字化を重要な経営指標と捉えています。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 開発・営業体制の強化
安定的かつ着実な事業拡大を図るにあたっては、顧客企業数・案件数・ユーザー数が増加した場合でも、収益率を高水準に維持し、かつ高いレベルのサービスを顧客企業へ提供していくことが重要であると考えています。そのためにも「exaBase」を冠した各種サービス・プロダクト等への開発投資を中心に、引き続き卓越した能力を持つエンジニアを採用するほか、開発プロセスの改善、サービス提供に係る営業系人員の採用、社内におけるノウハウの共有や教育等に努めてまいります。
② 更なる新規プロダクトの創出と拡大
当社グループの戦略は、AIプラットフォーム事業により顧客企業へのAI導入を通じて蓄積した知見をもとに、より広範に提供可能なAIプロダクトを開発・提供していくことにあります。今後も継続的に新たなAIプロダクトを創出し、より多くの顧客へ提供していくことが必要と考えています。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しています。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。
④ 情報管理体制の強化
当社グループはサービス提供やシステム運用の遂行過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えています。現在、情報管理規程等に基づき管理を徹底していますが、今後も社内教育・研修実施やシステム整備などを継続して行ってまいります。
⑤ グループ経営体制の確立
当社グループは近年の事業成長及び事業領域の拡大とともに、事業子会社の設立、協業先との合弁会社の設立、競争力強化を目的とした企業買収等を行ってきたことでグループ会社数が増加しています。当社グループはこれに対応して、グループガバナンスの強化と経営資源配置の最適化を実現するグループ経営方針の設定、及びその持続的な遂行を担保する体制の確立を進めてまいります。
⑥ サステナビリティへの取組み
当社グループは、事業を通じた社会課題解決のためには、社内外のステークホルダーの期待に応え成長を継続していくこと、またそのための環境を構築することが不可欠であると考えています。このためステークホルダーの観点と、当社グループの持続的な成長基盤への重要性の観点から事業環境下の諸課題を検討し、そこから当社グループとステークホルダーの両者にとって特に重要と考えられる課題を特定し、以下の5つを当社のマテリアリティとして定義しました。
1.多様な人材の活躍
2.幅広い産業分野への事業展開
3.技術的優位性の確保と向上
4.強固なセキュリティによる安全なサービスの提供
5.ガバナンス・リスク管理体制
当社グループはこれらのマテリアリティに基づく企業活動を通じ、サステナビリティの推進と持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
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