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企業概要

 当社グループは、産業用の光源の開発・製造を中核として光学系技術をはじめ、エレクトロニクスやメカトロニクスなど、光を利用・応用していく上で不可欠なさまざまな周辺技術の開発を推し進め、光のユニット化、光の装置・システム化へと事業を展開しております。新市場・新技術の動向を常に把握し、戦略的な研究開発活動を行うとともに、各研究開発部門が相互に連携・連動しながら数々の新しい光源及び光の関連装置やソリューションを生み出す体制となっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は12,939百万円であり、Industrial Process事業及びVisual Imaging事業を中心に行っております。

 当連結会計年度の主な成果は、次のとおりであります。

(Industrial Process事業)

・最先端ICパッケージ基板向け投影露光装置開発及び環境配慮型露光装置の研究開発

DX、AI及び5Gなどの進展に伴うデータセンター向け半導体用パッケージ技術は、大学やコンソーシアムで盛んに研究され「More than Moore」として期待されています。

 その中で、近年は微細化と高速伝送・電力効率改善を目的として、従来の有機基板より強度と電気特性に優れたガラスコア基板技術の研究が進んでいます。

 当社もお客様の新たな技術課題に対応する為、ガラス基板用露光装置の開発に注力しリソースを集中させています。また、環境対応にも積極的に取り組んでおり、従来より環境負荷を大幅に低減した環境配慮型露光装置の開発も進めています。

・アドバンスド・パッケージ基板向け新型DI(Direct Imaging/直描式)露光装置開発

Heterogeneous Integration(異種チップ集積化)を達成するアドバンスド・パッケージ基板は、近年みられるムーアの法則に基づくスケーリングの鈍化傾向に対抗して、デバイス密度向上と機能拡張を果たせる唯一の解決策として期待されています。

 グループ会社である株式会社アドテックエンジニアリングでは、アドバンスド・パッケージ基板向けに求められる、超高精細パターン描画をDI露光機で行うべく、DI機としての露光解像性能と生産効率の両方を高める技術開発に継続投資を行い、2024年内に新型DI露光装置IP-NX7000を上市すべく製品開発を進めています。

・小型、高輝度、高信頼性のEUV光源の研究開発

 当社グループでは、EUVリソグラフィマスク検査用EUV光源の研究開発に継続的に取り組んでおります。高度な微細化が進む半導体業界では、EUVリソグラフィマスク検査装置の量産プロセスへのニーズもより高まっています。

 当社のEUV光源はエンドユーザーの量産条件を満たす高い安定稼働と充分な性能を達成しています。今後も開発投資を継続し、更なる高性能、高安定稼働などの技術優位性の維持・向上に注力すると共に、更なるランニングコスト低減を目指します。

Industrial Process事業に係る研究開発費は6,314百万円であります。

(Visual Imaging事業)

・高輝度プロジェクター及びLEDディスプレイ等の映像表示装置の開発

 グループ会社であるCHRISTIE DIGITAL SYSTEMS USA, INC.では、映画館向けや、テーマパークなどエンタープライズ用途の高輝度プロジェクターやLEDディスプレイなどの映像表示装置の研究開発に継続的に取り組んでおります。プロジェクターでは、高輝度・高精細・広色域、更には省電力への要求を実現するレーザー光源等を採用し、その上で新しい技術やデバイスを取り入れ、先進的なプロジェクターの開発を進めています。また、付加価値向上のため、プロジェクターでマルチ画面やマッピングなどに柔軟に、そして簡単に対応するための自動調整を可能にするソフトウェアやコンテンツ送出などの周辺機器、ネットワークをベースとした画像の伝送・合成等を行う周辺機器など、映像全体をトータルなソリューションとして提供出来る機材やソフトも開発提供しております。

 加えて、近年、用途が拡大しているLEDディスプレイ市場向けにおいては、広色域で設置容易性を追求した独自のマイクロタイルLEDディスプレイや、価格を抑えた製品の開発も進めております。

 今後も、観客の映像体験の向上や展示者の運営の簡素化、効率化を実現する研究開発を進めてまいります。

Visual Imaging事業に係る研究開発費は3,274百万円であります。

(Life Science事業)

・Care222技術を用いた抗ウイルス・除菌装置の拡販

 当社グループでは、エキシマランプによる環境衛生用途のアプリケーションとして、脱臭、揮発性の高い有害な化学物質の除去などを目的とした技術ブランドClean172のアプリケーション探査を目的とした実証デモ装置を開発・製作し、顧客との共同実験を開始するとともに、紫外線が持つ殺菌力を活かしたCare222という技術ブランドのもと感染制御の領域において有人環境下で利用できる紫外線として安全性、効果の検証を進め、2020年から実用化してまいりました。

2023年度中は、感染制御領域において主に北米にて実際の病院内での菌に対する効果検証試験を実施しました。病院内では薬剤耐性菌による院内感染の防止が大きなテーマであるため、今回の効果検証試験が有効に活用できるかを検証する第一歩となります。

 また、感染制御以外においても、滋賀県からの助成金を得て外来植物駆除の実証試験機の開発、黴の抑制効果の実施検証など、様々な領域においてCare222技術のアプリケーション探査を実施してまいりました。

Care222の更なる安全性、効果検証エビデンスの取得だけでなく、この技術の可能性を追求し、我々の使命である光を用いた様々な社会課題解決のソリューション提案に向けた新たなアプリケーション開拓を中心に研究開発として投資いたしました。

・Organs On Chip(創薬向け生体模倣デバイスの開発)

 当社グループでは、Life Science事業のアプリケーション拡大に向け、172nmのエキシマ光を樹脂接合に応用し、Photobonding™(光接合技術)を開発しました。

 本技術をOrgans On Chipの製作プロセスに適用し、微小空間で行われる生体模倣と薬剤評価において不純物のないデバイスの開発に成功いたしました。他の接合技術は同用途において必要な品質を実現することが難しいため、本技術は多くのお客様より高い評価を得ております。

 なお、SDGsなどの社会課題解決などを対象とした新規事業創出に関する開発等もLife Science事業に係る研究開発活動に含まれております。

Life Science事業に係る研究開発費は1,531百万円であります。

(Photonics Solution事業)

・Violet-LDの開発

 当社グループでは、直描式露光装置、バイオ・メディカル、光センシング、光計測、AR/MRグラス等に応用されるGaN系半導体レーザ(LD)の開発を通じ、各アプリケーションにおける課題解決及び技術革新に貢献しております。

2023年度においては、特に、波長405nmマルチモードLDのさらなる高出力化に向けて、LDチップ形成に必要な結晶成長やウェハプロセスの各要素技術の開発を推進し、基本設計を確立しました。

 引き続き、2024年度中の量産化を目指して開発を進めております。また、既存製品に対しては、ウェハ間・ウェハ面内の特性ばらつきの原因を特定してプロセスの最適化を図り、品質および生産性を向上しました。

 今後も、GaN系LDの特長を活かしたアプリケーションの技術発展に貢献し、社会課題を解決できる製品開発を行ってまいります。

Photonics Solution事業に係る研究開発費は1,703百万円であります。

(その他事業)

 その他事業に係る研究開発費は115百万円であります。

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