ウエスコホールディングス 【東証スタンダード:6091】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの事業活動は、総合建設コンサルタント事業、スポーツ施設運営事業、水族館運営事業と多岐に事業展開をしており、グループ間で相互連携体制を構築し、研究開発活動を推進しております。
当社グループの主力事業である総合建設コンサルタント事業においては、技術的な競争優位性確保のため、CIM技術や防災・減災関連業務の研究開発に取組んでおります。
これらの状況により、当連結会計年度における研究開発費の総額は、前連結会計年度比で11百万円増加し、52百万円となりました。
当連結会計年度のセグメントごとの研究開発内容は、次のとおりであります。
(総合建設コンサルタント事業)
(1) インフラDXの推進
建設コンサルタント分野では、「未来に残す、自然との共生社会」という企業理念のもと、最新の計測機器を駆使し、柔軟なアイデアと豊富な経験でインフラDXを推進し、地域社会をより安全に、より住みやすくしていきます。
このため、DX推進室の設置等の企業内イノベーションを進め、3次元計測システムを活用したCIM技術の推進、AI、ビッグデータを活用した業務への展開を図ります。技術開発にあたっては、関連企業との業務連携も積極的に進め、開発したウエスコブランド技術を通じて、新たな社会のニーズに対応していくとともに、地域社会に対して、最先端技術のワンストップサービスを展開していきます。
(2) 研究開発活動の取組み
当社は、イノベーションによる新たな事業展開・拡大の取組みの一環として、ウエスコのブランド化を実現するため、様々な「技術研究開発」に取組みます。
①デジタル機器による計測や3次元計画、3次元設計に関する技術開発
②防災や減災に向けたアプリやシミュレーションの技術開発
③衛星データを活用する技術開発
④AIを活用したシステムの技術開発
活動項目 | 概要 |
道路地下部の3次元設計に資する技術の開発 | 新型地中レーダ探査・SLAM連動技術を利用したCAD化技術の開発 |
車載写真レーザ測量システムによるインフラ点検技術の開発 | 改良型車載写真レーザ(MMS-G)による建築限界感知・道路台帳の3次元化支援技術の開発 |
マルチビームによる水域環境調査技術の研究 | 水中マルチビームを活用した水草・底質等の水域環境調査技術の開発 |
3次元都市モデルプラトー整備技術の確立 | 3D技術を社会実装した防災・減災対策業務への活用技術開発 |
衛星データを活用する技術開発 | 衛星画像のマルチビューステレオとLPデータの可換性・災害発生個所の抽出の有効性検証 |
合成開口レーダーによる防災減災分野への活用 | 合成開口レーダー(SAR)データによる盛土変動・地すべり監視技術の開発 |
Iot音声画像自動転送システムと環境調査技術の開発 | Iot音声や画像の自動転送システムと効率的な環境調査技術の開発 |
生成AIによる設計ミス防止システムのプロトタイプ開発 | 生成AIによる設計ミス防止システムのプロトタイプ開発 |
洪水浸水シナリオ体験型避難支援webアプリの開発 | 洪水浸水シナリオ体験型避難支援webアプリの開発 |
環境DNAを活用した環境情報の高度化に関する研究 | 環境DNAを活用した環境調査の高度化の共同研究 |
(3) 人材開発に関する取組み
先端技術の習得、総合技術力の向上のため、公的研究機関や大学等へ社員を出向させる等人材開発に取組んでおります。
公的研究機関および大学での主な研究内容は、次のとおりであります。
<CIM関連>
・無電柱化の推進に関する事業のスピード化・コスト縮減の研究
<環境関連>
・河川環境への航空レーザ測量データ等の活用に関する研究
・西日本の島々の植生の発達要因に関する研究
<防災関連>
・河川環境および3次元河川管内図に関する研究
・環境DNAによる環境情報の高度化に関する共同研究
<海外事業展開>
・海外業務の展開に関連した人材育成
(4) 研究開発の進捗状況と成果
研究開発の進捗状況と成果は、次のとおりであります。
①「デジタル機器による計測や3次元計画、3次元設計に関する技術開発」においては、「道路地下部の3次元設計に資する技術の開発」を行っております。新型の地中レーダ探査機を導入し、地下2m程度までの埋設管や空洞位置の調査を行う技術を開発しました。埋設物の表示波形や形状の解析ソフトの開発を進めました。地下埋設物の3次元化を進め、陸上の点群データと合体させた3次元設計図の作成技術を展開しております。また、「車載写真レーザ測量システムによる高効率なインフラ点検技術の開発」を行っております。MMSで観測した点群データをソフト上で解析し、道路建築限界へ侵入した樹木を抽出する技術を開発しました。さらに、「マルチビームによる水域環境調査技術の研究」も行っております。マルチビームと水中ドローンにより水中写真撮影を行い、水草や底質の調査を実施する技術を開発しております。水草(海域)を明確に確認できる技術として有効です。
②「防災や減災に向けたアプリやシミュレーションの技術開発」においては、「3次元都市モデルプラトー整備技術の確立」を進めております。地図データLOD1を作成する技術の開発を行いました。積雪分析ツールは、大学との連携のもと技術開発を行い、雪の吹き溜まり箇所の解析や建物雪下ろしについて検討を行いました。堤防崩壊・浸水イメージ動画の作成や浸水状況可視化技術を開発しました。土石流氾濫解析を3次元都市モデルのプラトー上で解析し、崩壊する家屋を明確にし、避難場所の選定を行うツールを開発しました。営業面では、観光サポートや防災計画等のパンフレットを配布しております。
③「衛星データを活用する技術開発」においては、「衛星データとLPデータとの可換性に関する評価および土砂災害発生個所の抽出に関わる研究」を行っております。衛星データとLPデータの重合せ図を作成することが可能となりました。この重合せ図での標高差を確認できる技術により、衛星データは、崩壊地形や盛土箇所の抽出に活用でき、今後の業務受注が期待されます。
④「AIを活用したシステムの技術開発」においては、「Iot音声画像自動転送システムと環境調査技術の開発」を行いました。Iot音声自動転送システムで取得した鳥の鳴声データを、AIを用いて鳴声を自動判別するシステムや、水温データ、鳥や魚の画像転送する技術を開発しました。このことにより、人材の省力化、コスト縮減が可能となりました。また、「生成AIによる設計ミス防止システムのプロトタイプ開発」を行っております。さらに、生成AIを活用した「業務のミス防止」システムの構築を行いました。クラウド上での検証環境の構築、テストデータのOCR手段の検討、社内テストデータにて生成AIの精度把握により、プロトタイプの開発を行いました。
当連結会計年度の総合建設コンサルタント事業における研究開発費は、52百万円であります。
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