ウェルス・マネジメント 【東証スタンダード:3772】「不動産業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき主要な課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(アセットマネジメント事業及び不動産事業におけるビジネスモデルの確立)
これまで培った当社グループのノウハウにより、バリューアップが完了した投資物件を、当社が組成するリートへ組み込み、それにより得た資金を次のプロジェクトに充てていくという資産循環型ビジネスのサイクルを実現させることが、引き続き重要な戦略であります。これによりグループの受託資産の積み上げとリートの成長を図りつつ、相応規模の収益を計画的に実現することが可能になると考えております。
(ホテルの事業力強化)
ホテルというオペレーショナルアセットは、オフィスビルやレジデンスなどに比べて、運用の巧拙が収益力を大きく左右します。当社グループは世界で展開するグローバルなラグジュアリーブランドのホテルオペレーターから運営ノウハウを得て、自前のホテル運営を展開できる強みがあります。また、大きな事業環境の変化へ対応していくため、ホテルのコスト構造を見直していくことを進め、より安定した収益の獲得を可能にすることを目指してまいります。
これらの基本戦略を通じて、ホテル運営事業の安定収益をベースに、資産循環型ビジネスの中で得られる利益を計画的に加え、「経営基盤の安定化」を図ってまいります。それらを着実に具体化させていくことにより、プライム市場を目指してまいりたいと考えております。
優先的に対応すべき重点施策は以下のとおりです。
①事業戦略
(a)資産循環型ビジネスの構築によるアセットマネジメント事業及び不動産金融事業の進化・拡充
取得した資産をバリューアップし、当社が組成するリートへ組み込むサイクルを実現させることにより、資産循環型のビジネスモデルを確立させてまいります。その戦略の核となるリート上場については、その他の関係会社であるサムティ株式会社との業務提携解消に伴い遅延致しましたが、資産循環型のビジネスモデルの出口を確保する意味において、リート上場は引き続き当社の最重要課題の一つであることには変わりはありません。今後、上場リートへの拠出物件のパイプライン約3,000億円を基本に、リート上場の時期や規模について、今後の経済環境、市場環境等を勘案して決定してまいりますとともに、新規事業である不動産STO等、出口戦略の拡充にも努めてまいります。
また、当社グループの事業モデルは、ホテル開発プロジェクトにおいて竣工前の開発過程にも複数の収益機会があり、それらをプロジェクトごとに調整して収益につなげてまいります。現時点で、開発中のプロジェクトが6件進行中です。
(b)新規運営受託獲得活動の本格展開と既存ホテル運営事業の収益力強化
日本の観光都市にはまだまだラグジュアリーホテルが少なく、その成長余地は大きいと考えています。ホテル自体をエクスクルーシブな環境として創造し、五感で満足していただけるサービスやデザインを散りばめた開発を行うことにより、競争力の強化につなげたいと考えております。
ホテル運営事業については、インバウンドによるホテル需要の拡大を確実に業績に取り込んでいくほか、2024年4月23日にグランドオープンいたしました「シックスセンシズ 京都」(京都市東山区妙法院前側町431)に続き、「バンヤンツリー 東山 京都」(2024年夏開業予定)の開業準備を着実に進めてまいります。
今後新たに具体化をさせていくホテル開発プロジェクトも、それぞれが特徴的で魅力のある立地において、最良のパートナーと最適なプランニングを行ってまいります。
(c)ホテル以外のアセットタイプの積極的な取得
当社グループはこれまでもオフィスや商業施設を取り扱ってきた実績があります。不動産事業のパイプラインの拡充に向けて、ホテル以外のアセットについても積極的に物件取得を進めてまいります。
(d)コストの増加への対応
物価上昇、円安及び実質金利の引き上げにより、物件取得費用、開発コスト及びホテル運営費用等は急激に増加しており、当面は継続して上昇することが見込まれております。コストの増加につきましては、物件の売却価格及び宿泊価格への適切な反映、徹底したコスト管理及び資金調達の多様化によって対応してまいります。
(e)外注工事への対応
当社グループのホテル建設においては、建築工事をゼネコンに外注しております。外注先の建設業界では、現状の人手不足に加えて2024年問題、急激なコスト増を抱えており、工事請負契約の締結遅れ、工期の遅延が懸念されております。契約締結や工期の遅れは、当社グループの資金調達、業績に大きな影響を与えることから、ゼネコン業者との連携を強化し、速やかな契約締結及び徹底した工期・コスト管理に進めてまいります。
(f)新規事業への取り組み
当連結会計年度より開始いたしました不動産STO及び宿泊契約締結の申込ができる権利が表章されたNFTの販売といったWeb3.0分野での新たな切り口による事業も継続して推進してまいります。また、幹細胞を用いた再生医療を軸とするメディカル事業、ラグジュアリーホテルで取り扱う高級食材や食料品の販売事業等の新規事業への取り組みを継続して検討してまいります。
②財務戦略
(a)資金調達力の強化と流動資金の拡充
成長に必要な投資資金は、自己資金の充当をベースとしながらも、場合によっては金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等も含めた多様な資金調達の検討を行ってまいります。また、金利上昇や金融不安による金融機関の慎重な融資姿勢にも備えて、資金の早期回収、費用や投資の柔軟な見直しなどを進めることにより、流動資金の拡充を進めてまいります。
(b)財務レバレッジをフル活用した不動産投資の実施
今後自己資本が積み上がっていくことにより、金融機関からの資金調達力が向上するものと期待しております。投資効率や採算を高めるため、可能な限りデットでの資金調達によりレバレッジをかけてまいりたいと考えております。
③資本戦略
(a)戦略的資本提携先の開拓を通じた適正な株主構成の構築
当社グループの事業戦略を早期に具体化し、事業競争力を一層向上させていくため、適切な株主構成の構築を実現させてまいります。
(b)株式の流動性向上を目指す施策の検討・実施
当社の株主構成は特定株主の保有比率が高く、安定をしております。株式の流動性は株式分割や新株予約権の発行等の施策を通じて徐々に高まっておりますが、プライム市場への上場に向けては未だ充分な水準とは言えない状況であると認識しております。特定株主の保有株については、今後、新たな戦略的資本提携先や業務提携先の開拓により、新たな株主構成を考えるとともに、市場の状況等も見つつ、株式の流動性を高めていく対策を講じてまいりたいと考えております。
④配当戦略
(a)利益水準に応じた安定的な配当の実施
(b)トータル・シェアホルダーズリターン(TSR*)等の指標の検討
* 株主総利回り(一定期間における株価上昇率+配当率)
当社グループは、株主の皆様へ安定的な配当を行ってまいりたいと考えておりますが、未だ発展途上にあり、利益は更なる成長のための再投資に利用させて頂くことも必要なため、「TSR」を経営指標に位置づけ、株価上昇につながる施策も含めて検討しております。
当連結会計年度は、前連結会計年度比で1株当たり普通配当金を2円増配し、19円00銭とすることとしました。
⑤人事戦略
(a)「働き甲斐があり、働きやすい職場」と「成果に報いる人事制度」の構築
(b)人材確保と人事制度の構築
当社グループの事業を支えるのは人材です。当社グループの事業は、不動産の開発、不動産金融といった専門性の高い業務、運営ホテルはバジェットからラグジュアリータイプまでと様々であり、多様な人材確保が必要となってまいります。そのためには社員のモチベーション向上が極めて重要と認識しており、それを支える制度の構築、施策の展開を積極的に行ってまいりたいと考えております。
給与水準については、労働市場を注視しながら、継続した給与水準の引き上げに努めております。また、各種研修の充実や諸手当の拡充を含めた福利厚生制度の充実に向けた取り組みも進めており、バランスの良い就業環境を目指してまいります。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
事業の成長、収益性を重視した経営を行うべく、「売上高」、「経常利益」を重要な経営指標として位置づけております。また、アセット・マネジメント事業及び不動産事業においては、グループで取り扱う不動産の評価額の増加に努めております。ホテル運営事業においては、ADR(客室平均単価)、OCC(稼働率)及びRevPAR(販売可能な客室1室当たりの収益)に注視しており、状況に応じて各指標の改善に努めております。
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