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【東証グロース:7794】「その他製品」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、優れた特性を持つダイヤモンドの広い応用によって、様々な分野でのイノベーションの創出を進め、地球規模での地球環境維持や社会問題の解決を通じ、世界への貢献を目指しています。
当社グループで活動する従業員が、健康で充実した日々を送れるよう、様々な施策を講じています。また、株主や顧客、取引先などのあらゆるステークホルダーへの責任を果たすことを、経営方針としています。
(2) 経営環境等
当社グループの事業は、基本的には人工合成のダイヤモンドを販売する材料ビジネスですが、ほとんどがダイヤモンドの新しい応用を目指す分野に向けられています。天然のダイヤモンドは形状や組成が広い応用に適さないことから、人工合成のダイヤモンドを使った開発が進められています。また、伝統的な分野である宝石についても、人工合成ダイヤモンドへの転換が進んできており、米国では既に50%を超えるシェアになっているとの報道もあります。これに伴って多数の企業が設立され、活発な市場環境となっています。
しかし、2024年3月期後半から、小型宝石を中心に価格低下が急激に起こり、製造会社の採算が悪化しました。このために当連結会計年度においてイスラエル、米国、インド、欧州等で倒産や製造の停止が起こり、当社の種結晶事業にも大きな影響を与えました。特に、当社の主要ユーザーの中には、小型宝石の生産を主体とする企業があり、その倒産などによる受注の減少が、売上の減少につながりました。
一方、工具用素材としての利用も既存市場と言えます。その市場規模は安定的ではありますが、種結晶や基板及びウエハの市場と比較して低い利益水準であり、当社が幅広く参入する環境ではありません。宝石及び工具用素材以外の応用については、未だ創成期にあるため市場規模が小さく、個々の案件ごとの対応になっております。2インチウエハなどのインパクトのある製品が実用化できれば、大きな展開が可能となると考え、開発に注力しております。
現在製品を供給している分野について、市場環境を以下に示します。
①人工ダイヤモンド宝石製造用の種結晶市場
a.人工宝石の製造と市場
人工ダイヤモンド宝石は超高圧合成法と気相合成法によって製作されるダイヤモンド宝石です。ダイヤモンドとしては、天然に比べ不純物が少なく純粋で、無色だけでなくピンク、ブルー、グリーン等の色がついたものも販売されております。「The Business Research CompanyのLab Grown Diamonds Global Market Report 2024」によれば、2023年のLGD市場は235億ドルにのぼり、年率10.2%の成長をしている、と報告されております。このようにLGDは大きな市場を獲得しており、さらに高速に市場拡大が進むと見られます。一方、生産量の拡大によって価格低下も進行しております。欧米においては、天然ダイヤモンドの採掘による自然破壊や、以前から指摘されている鉱山における児童労働等の問題があるため、人工ダイヤモンドのSDGsにおける優位点を意識する消費者が増加しております。これに対応して、宝飾店においても人工宝石を積極的に販売するところが増加しております。
人工合成のダイヤモンドを製造する方法は、超高圧法と気相合成法があります。気相合成法で作る人工ダイヤモンド宝石は、超高圧法で製造される宝石に比べ、高品質で大型のものを作ることが可能です。このため、新規に人工宝石に参入する企業の多くは、気相合成法で製造しております。特にインドにおいては、毎年多くの新規企業が設立され、既存企業の生産能力も大幅な拡大を続けております。
b.種結晶に要求される形状
この気相合成法で製作している宝石は、製作するに際して種結晶が必要とされます。通常は0.2mmないし0.3mm厚の薄い単結晶を種結晶として使用し、3~10mmの厚さに成長し、これをカット、研磨して宝石に仕上げます。
気相合成法では、結晶の成長は厚さ方向のみ成長しますが、面積方向の成長がほとんどありません。このため、成長によって種結晶の形状からの面積的な拡大が無く、宝石としての形状は上部から見た形状と厚さの関係が一定であるため、種結晶形状が宝石の大きさ(カラット数)を決定します。例えば、ブリリアントカットの場合では、直径と厚さの関係は約0.6です。このように、種結晶のサイズが、最終的に宝石となるダイヤモンドの大きさを決めるため、大きな宝石の製造を目指すには、大きな種結晶が必要となります。
最近の人工宝石市場では、大型宝石の出荷が活発となっています。天然ではほとんど市場で見られない5カラット以上の宝石を目指す動きもあって、当社は大型種結晶のニーズがあると見込んでおります。当社は5x5mm~15x15mmの広い範囲の形状を持つ種結晶を製作できますが、当連結会計年度において12x12mm以上の大型種結晶の販売数が大幅に増加しています。
現在では成長装置を1,000台以上も保有する人工宝石製造会社が複数あり、これらの会社が必要とする月当たりの一つのサイズの種結晶は1,000個を超える場合もあります。このような大量の種結晶を、品質の揃ったものとするためには、生産技術の安定が必要です。
c.種結晶ビジネスの競合
当社は種結晶を独自技術により製造し人工宝石製造会社等に販売しておりますが、当社の販売先である人工宝石製造会社の一部が、成長した結晶を薄く切断して、その表面を研磨することで、種結晶を製作しております。その場合には、当社と競合することになります。この手法の製造コストは、現時点では当社より高いと判断しております。また、金属等の基板上に成長した疑似単結晶を、種結晶として製造している企業もありますが、種結晶としての性能は当社種結晶より劣ることが判明しております。
インドの人工宝石製造会社は、大型の種結晶から大型の原石を製作し、そこから大小織り交ぜて複数個の宝石を切り出す技術を持っております。このことによって、小型の宝石を大型の種結晶から作る技術が実現できており、小型種結晶の需要が減少したと考えられます。また、このような技術を保有しない企業は、採算性の悪化から事業を停止することも起こったと考えられます。宝石の結晶としての品質は、後述するような半導体デバイスに要求される結晶品質に比べると、一般的には悪いものでも使用できます。宝石としての見映えは重要で、カラーやクラリティーは宝石鑑定の重要項目ですが、これらと結晶品質が必ずしも直接結びついているわけではありません。そのため、当社の種結晶より品質が劣るとされている疑似単結晶の種結晶を利用する企業もたくさんあります。
②基板及びウエハ
ダイヤモンドの優れた半導体特性を生かすデバイス開発に必要な、基板やウエハを供給しております。ウエハについては、半導体デバイス製造プロセスに適用できるような大型のウエハが無いため、未だ市場ができておりません。ダイヤモンドの物性評価等の基礎研究や、現時点のデバイスの研究開発用に、当社は様々なサイズの基板やウエハを、各国の研究機関や企業に販売しております。半導体デバイス製造プロセスに適用するためには、2インチ以上の口径を持つウエハが必要ですが、現時点では基礎研究段階であり、30x30mmを最大とする単結晶基板もしくは、38x38mmまでのモザイク結晶基板を販売しております。当社は、単純な基板だけでなく、結晶方位、基板上にボロンを混入させた半導体層を形成したエピ基板、結晶品質を制御した基板等の多様な要求に対応できる製品群があります。当社は単結晶の大型化や、大型モザイク結晶等で、大型化の先頭に立っており、ウエハ市場の創成をけん引して参ります。
③光学部品及びヒートシンク
ダイヤモンドの持っている高熱伝導率や、光やX線を透過する特性を利用し、デバイスの除熱や、各種計測器、放射光施設等の部品などに利用されております。
5Gシステムに代表される先端通信分野では、高発熱デバイスの使用が必要で、熱を除去して安定的なデバイスの動作をするため、ダイヤモンドの利用検討が進んでおります。また、高出力レーザーやパワーデバイスの実装において、ダイヤモンドの高熱伝導率を利用する試みも、広く行われています。
ダイヤモンドを光学部品として利用し、大エネルギー密度光の透過窓として利用したり、検査機器で使用するX線源のX線を透過する窓としての利用が開始されております。また、放射光施設の窓材や計測機器に、適用することも検討が進んでいます。
これまでの市場は、散発的なアイデアで開発される部品の供給が多かったのですが、X線用窓が量産に移行した等の新しい動きがあります。当社は現在開発が進んでいるヒートシンクとしての利用について、実現性が高く、将来の大型市場を形成できることを、期待しています。
④工具素材
ダイヤモンド単結晶を利用する切削、耐摩耗工具は、加工する相手材料が限定され、特殊な加工に限られております。また、工具素材の全市場では、ほとんどが超高圧合成単結晶を使用しております。超高圧合成単結晶のサイズが限定されていることから、当社の大型結晶への要求があります。なお、工具素材については、積極的に販売拡大を行わない方針であります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは先端技術を使っている製造業であり、製造設備への投資を継続的に行っていく必要があります。このために、高い利益率を維持し、確固たる資金調達手段を保持することが重要と考えられます。このような観点から、主な経営指標として、以下の経営指標を重視しております。
①売上高成長率
②経常利益率
③ROE
④自己資本比率
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループのビジネス分野はLGD(Laboratory Grown Diamond:人工ダイヤモンド宝石)と半導体応用開発に必要な素材であるウエハ・基板等(ダイヤモンドデバイス)の2つで構成されております。当社グループ共通の課題、それぞれの事業分野ごとの課題は以下のとおりです。
①LGD分野の活動に係る課題
LGDの本格的な宝石ビジネスは10数年前に始まりましたが、市場アナリストの情報として、現在ではダイヤモンド宝石市場における流通量の20%以上にも達しているとの推定もあります。米国では50%を超えたとの情報も出ており、いよいよLGDが本格的に天然ダイヤモンドを置き換える方向に進んでいます。ビジネス規模は依然として急速に拡大しており、当社はこの分野で種結晶のみを販売するビジネス形態では発展が望めないと判断し、このために2024年1月にSFDを設立し、宝石販売を行うことを決断いたしました。
このビジネスを実施するためのグループとしての構造は、当社が原石を生産し、インド等で加工し、SFDが国内及び海外で販売することを想定しています。このために、この1年で、SFD Indiaを設立いたしました。
SFD Indiaが種結晶販売と共に、宝石加工の委託を行います。この方針でのビジネス展開に必要な拠点を築き、オペレーションを開始する準備を進めて来ました。当社グループにとって初めての海外展開であり、必ずしも順調に進みませんでしたので、2025年3月期末においては、SFD Indiaは十分な活動をできておりません。しかし、2026年3月期においてLGD分野のビジネスを進展させるための環境は整っています。
当社グループは今後以下の2つの製品でこの分野のビジネスを進めてまいります。種結晶、宝石及び宝飾品が製品となります。
ⅰ.種結晶ビジネスの進め方
2023年3月期までは主力製品として当社グループの発展に貢献して来ましたが、その第4四半期から製品価格が大幅に低下し、小型宝石を中心にLGD生産が縮小したことで、種結晶需要も後退しました。他の原因としてLGD製造企業が自家用に製作する種結晶が増加したことと、LGD生産手法が変化し、LGD製造企業は成長した原石から複数の宝石を切り出すCAD-CAM技術も確立したため、種結晶サイズごとに大きさの異なる宝石を製作するという方式自体が減少しています。当社グループの種結晶の品質の高さは現在でも多くのLGD製造企業で認められているものの、現在の製造状況で当社製品に対する購買意欲は低下しております。また、当社グループはLGDビジネスの状況変化に対する情報収集能力が十分ではなく、このような変化への対応を遅らせ、大幅な売上減少に結びついたと考えられます。
このような状況を改善するため、世界的なダイヤモンド加工産業の集積地であるインド・グジャラート州において、タイムリーに顧客のニーズに応えていくことを目的として、2024年7月に当社は、当社100%子会社であるSFDとともに、インドにおいてSFD Indiaを設立いたしました。
この現地法人では、従来からの当社グループの製品である種結晶を、インドのLGDメーカーに対し現地販売いたします。また、SFDが計画している宝石の製作を可能とするため、当社で製作した原石を、現地法人を通じて当地で宝石に加工いたします。完成した宝石はSFDが購入して、日本及び世界で販売してまいります。
このような活動を行うために、現地法人には販売や加工等に必要な要員を配置し、場合によっては加工設備を設置して、試作や加工技術の開発を行うことも検討しております。スーラット市の事務所の設置が完了し、当社から種結晶の売却を行う準備を進めております。さらに、一部の宝石につきましては、当地での加工テストを行っております。
ⅱ.宝石ビジネスの展開
SFDは宝石を販売するために、当社が製造した原石を購入し、インド等で加工を行って、宝石としての試作を進めました。また、宝石をある程度の量を確保しないと販売が難しいため、海外の市場から宝石を調達して、販売ルートの構築を行ってきました。当連結会計年度においては、少量の販売実績しか出来ませんでしたが、大手の宝飾品企業との製品開発についての検討を開始しております。
ベルギーの子会社(孫会社)であるSFD Antwep BVが営業を開始できておりませんので、早急にこれを開始し、製作した宝石を販売する計画です。もちろん、SFDは継続して国内の販売を進めます。また、欧州の大手宝飾品企業への参入を計画しており、同社との交渉を開始しています。これが実現しますと大口の受注を得られる可能性が高く、当社としては体制を整えて対処します。
新しいデザインの宝石については、宝石販売の実績がある日本人を雇用して、検討を進めて来ました。当社の大型の種結晶を使い、大型の原石を作製することで、新たなデザインが可能となっています。また、ブリリアントカットのような厚い原石を必要としないデザインを作り、生産歩留が高い薄い原石を製作して、原石生産コストの低減も進める計画です。LGDのインド企業は、成長装置に自家製作等によって、低価格ルースを供給していますので、それに対抗できる商品の開発を進めた参ります。
②ダイヤモンドデバイス分野の活動に係る課題
ダイヤモンドの持つ優れた半導体特性を利用して、パワーデバイスや量子デバイス等に応用するための研究が、世界各地で進められています。各国政府も、ダイヤモンドの持つポテンシャルを評価し、この開発に資金を投入しています。しかし、現在は未だ基礎的な研究開発段階であり、ウエハ等の材料が大きな市場を形成するには時間が必要です。
半導体プロセスを使ったデバイス製作を行うには、最低の大きさとして2インチウエハ(直径50mm)が必要です。このサイズへの到達時期が早まれば、これを使用して量産技術開発が促進され、デバイスの実用化が早まると見られます。
当社グループは単結晶の大型化を進め、最終的に4インチウエハを目指すロードマップを2024年11月28日に開示いたしました。当時開発を進めていた30x30mmの単結晶を、2025年2月までに実用化し、これから1インチ(直径25mm)を実用化することを目標といたしました。
2025年2月13日に30x30mm単結晶の実用化を開示し、このロードマップの最初のマイルストーンについて予定通り進めることができました。1インチウエハにつきましては、多少遅れましたが、2025年4月の製品化となっております。
この30x30mm単結晶を4個接合したモザイク結晶は、50x50mm以上のサイズとなるので、そこから直径50mmの円盤を作製すれば、2インチウエハができます。この2インチウエハを2025年末までに完成させることを目標とし、開発を継続しております。2インチウエハの製品化には、単にモザイク結晶の作製だけでなく、研磨技術もこれまでのレベルを一段上げる必要があります。特に表面粗さの改善と、反りやうねりによる表面の凸凹を抑えることが求められます。表面形状の計測は、それ自体が他の半導体材料で行われている手法を採ることが必要ですので、既に計測装置を発注しております。
その後、単結晶形状をさらに拡大するために、50x50mm単結晶を目標とする開発に着手し、これが完成すれば単結晶の2インチウエハが実用化できます。この実用化は、本格的にデバイス量産を行うための大きなマイルストーンでもありますので、なるべく早期に実現できるように取り組みます。しかし、開発の難易度を考えると2ないし4年位の期間が必要と考えています。
また、この単結晶を4個接合することで、100x100mm以上のモザイク結晶を作製し、そこから直径100mmの円盤を切断すれば4インチウエハが実用化できます。4インチウエハを製作するには、成長装置の形成面積を大きくすることが必須で、この検討を行います。もちろん、研磨は2インチに比べ格段に難しくなると予測され研磨装置の開発も同時並行で検討する必要があると考えています。
ウエハの2インチ以上の拡大へは、長期的な大型結晶開発と共に、デバイスの製作プロセスに使用するためのウエハとしての規格に当てはまることが必要です。そのためには、表面の粗さ、うねり、欠陥密度等が、既存の半導体材料のレベルに達していることが要求されます。これらの課題を乗り越えるためには、それぞれの課題において相応の開発期間と投資が必要となります。
当社グループはこのような課題を乗り越え、規格化にも取り組んで、ダイヤモンドデバイスの実用化に向けて素材面からの後押しを続けます。
③当社グループの共通の課題
当社が東京証券取引所グロース市場へ上場して3年程度経過しましたが、さらに成長していくためには、ガバナンスの強化に引き続き取り組んでいく必要があると認識しております。また、開発体制、工場運営、人材等に対しても、以下の課題があると考えております。
ⅰ.技術開発
当社グループのビジネス分野では、多くの技術で世界的に優位な地位にあり、今後もこの地位を維持することが重要であると認識しております。製品そのものだけでなく、製造技術や評価技術等幅広い分野での研究開発活動が必要です。当社グループのビジネス分野においては、状況の変化は常に発生しており、これらの情報を確実に入手し、対応策を講じることが重要です。このために、営業情報だけでなく、大学、公的研究機関及び他企業と連携することで、多角的に情報を入手して、計画の立案、策定に生かしてまいります。これまでも大学、公的研究機関及び他企業と委託研究や共同研究を行ってまいりましたが、海外の機関を含めさらに拡大することを検討いたします。
技術開発の人材を確保することも大きな課題と認識しております。日本の中小企業は人材確保に大きな困難がありますが、とりわけ技術者の確保は難しい状況があります。当社の技術状況を社外にアピールし、雇用条件などを改善することで、開発に必要な人材の確保を進めて参ります。
ⅱ.工場運営とコスト削減
当社グループは、事業構造を変革するために、従来以上に製品の種類が増加しております。製品の多様化に対応するために、必要な設備投資を進めておりますが、必要な人材の確保は十分な状況にはありません。新たな製品を輩出するためには、既存の生産方式及び体制とは異なる生産方式ならびに体制を構築していく必要があると認識しております。新しい製品を作るために工場運営の柔軟性や、異なった視点からコスト削減への取り組みが必要となることは確実です。このために情報の収集及び新たな人材獲得を積極的に進めてまいります。
ⅲ.連結会社の管理
当社グループは2024年3月期から連結子会社を設立してきました。これらの会社に対する統制や資金的なバックアップが重要となっております。経理業務だけでなく、コンプライアンス管理や従業員の状況把握なども、複雑な管理が必要となっています。当社において確立しているガバナンスを、これらの連結子会社にも適用するよう、順次対応を進めております。また、このために各地の状況に精通した人材の確保も必要で、採用活動を進めております。
ⅳ.人材育成
当社グループの置かれた状況から、上場企業としてのガバナンスの強化、生産体制の維持と発展、新規技術の開発、新たな営業活動のための海外拠点の設置、グループ企業としての運営等に必要な人材の確保が急務であります。当社グループはこれまで必要な人材を外部から採用してまいりましたが、当社グループの事業活動に適した人材を育成することも、重要になっております。これを進めるために、教育システムを構築し、長期的に当社グループを担う人材を養成してまいります。また、連結子会社の運営にも人材が必要で、海外子会社においては現地従業員の雇用を行っています。これ等の従業員の管理体制も喫緊の課題であり、経験を有する人材の確保を進めて参ります。
ⅴ.ダイバーシティーの重視
当社グループはESGを重視する経営方針の中で、ダイバーシティーを意識して、女性の管理職への登用や障害者の雇用等を進める必要があります。当連結会計年度におきまして、部長クラスに女性を1名登用いたしました。また、今般の役員改選で、社外取締役に女性を1名選任しております。中間管理職への女性の登用も進める計画で、女性にとっても働き甲斐のある会社にしていく所存です。
ⅵ.経営陣の高齢化と後継者の育成
当社グループの部長以上の経営陣は、60歳以上の比率が高く、将来の後継者の育成とあわせて、年齢構成を検討する必要があると認識しております。また役員についても、平均年齢を引き下げて、将来の当社グループを担う経営体制を構築することを検討してまいりました。今般の役員改選で、その方針が実現する予定です。
ⅶ.輸出管理
経済安全保障の観点から、2022年12月に輸出貿易管理令の一部を改正する政令が施行され、ダイヤモンドの基板等が、新たな規制品目に入りました。しかし、当社グループはこの改正に対する対応が遅れ、2022年12月から2023年4月にかけて規制品目であるダイヤモンド基板等を、経済産業省の許可を得ずに輸出しておりましたことに関し、経済産業省より2024年5月21日に「厳正な輸出管理の徹底について(厳重注意)」を受領しました。当社グループとしては、この事態を厳粛に受け止め、これまで以上に法令遵守を徹底し、社内体制を整備することにより、再発防止に努めてまいりました。
各種の規定を整備し、貿易管理に関する新たな組織を立ち上げ、連結子会社2社も当社と同様の規制内容の遵守を行っております。既に一般包括輸出許可を取得しており、欧米等への輸出には許可申請を必要としておりません。当連結会計年度において、輸出について特段の支障はありませんでしたが、引き続き法令遵守を徹底してまいります。
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