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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

 当社は、経営理念を実践し、また企業価値を継続的に向上させるために、コーポレート・ガバナンスの充実と実践が重要であると考えております。当社はこれらの充足に向けて、「第一部  企業情報  第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、運営しております。そのコーポレート・ガバナンス体制の下、昨今の気候変動や人的資本等のサステナビリティ関連リスク・機会への対応の重要性の高まりに対処するため、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を経営直轄機関として設置し、全社横断的な取り組みを推進しております。気候変動関連については、当社及び主要子会社の気候変動関連リスク・機会とそれらへの対策状況を把握し、パリ協定の目標に基づき作成された2℃以下シナリオを活用したシナリオ分析を実施することにて、これらリスク・機会が事業に及ぼす影響を認識し、対応策の検討等を行っております。また、当社を対象とした温室効果ガス排出量を継続的に算出し、温室効果ガス削減に向けた取り組みを推進しております。これらの取り組みについて、TCFD提言に基づき情報開示を行っております。人的資本関連については、当社の人的資本についての考え方や各種方針に基づき重要な指標群を識別し、それら指標の目標設定及び実績管理等を推進しております。このようなサステナビリティ委員会の取り組みの状況について、定期的に取締役会へ付議・報告されており、また、サステナビリティ委員会にて認識されたリスクのうち、事業に重要な影響が生じうるリスクは全社リスクに統合し管理され、取締役会にて継続的に認識・評価・管理を実践しております。

(2) 戦略

① 気候変動関連に関する方針

 当社グループの「環境への取り組み方針」とその方針に基づく当社の「自社データセンターにおける温室効果ガス削減の取り組み方針」は以下の通りです。

[環境への取り組み方針]

 当社グループは、経営理念を継続して実現し、長期かつ持続可能な成長を遂げるために、環境関連法規を遵守し、地球環境に配慮した事業活動を通じて、社会全体の環境負荷低減に取り組むことが重要と認識しております。

 当社は、国内初の本格的インターネットサービスプロバイダーとして、日本のインターネットのインフラストラクチャーを創り上げ、インターネット接続サービス等の提供を続けてまいりました。インターネットを基盤とする各種サービスやアプリケーションの利用で、30年程前と比較して社会や経済活動は明らかに効率化されていると認識されます。当社グループは、インターネットやクラウドコンピューティング等のネットワーク社会を支える信頼性の高いサービスを安定的に提供し続けることで、社会活動の更なる効率化と社会全体の環境負荷低減へ貢献をしてまいります。

 一方、これらのサービス提供にあたり、電力の利用は不可欠であり、当社グループは、多くの電力が消費されるデータセンターにおいて、エネルギー効率向上や再生可能エネルギーの利用により、温室効果ガスの削減とカーボンニュートラルの実現に取り組むことが重要と認識しております。また、サービス提供に必要となる機器・サービスの外部調達についても、サプライチェーン全体での温室効果ガス低減に配慮した調達活動を推進するように努めます。

[自社データセンターにおける温室効果ガス削減の取り組み方針]

 当社は、上記「環境への取り組み方針」に基づき、温室効果ガス排出量(Scope1,2)の7割以上を占めるデータセンターにおいて、「再生可能エネルギーの利用」と「エネルギー効率の向上」により、温室効果ガスの削減に取り組むことが重要と認識しており、各々について取り組み目標を設定しています。

取り組み施策

取り組み目標

再生可能エネルギーの利用

2030年度におけるデータセンター(Scope1,2)の再生可能エネルギー利用率を85%まで引き上げることを目標とします。

エネルギー効率の向上

2030年度まで技術革新の継続により、データセンターのPUE(注1)を業界最高水準の数値(注2)以下にすることを目標とします。

(注) 1. PUE(Power Usage Effectiveness):データセンター施設全体のエネルギー使用量÷IT機器のエネルギー使用量

2. 業界最高水準のPUE値:PUE 1.4 以下(2022年4月時点において、資源エネルギー庁はデータセンター業におけるベンチマーク指標及び目指すべき水準をPUE1.4以下と設定し、達成事業者は省エネ優良事業者とみなされる)

②人的資本に関する方針

 当社の「人材育成の方針」及び「社内環境整備に関する方針」は以下の通りです。

[人材育成の方針]

 人材育成は業務を通じたOJT(On-the-Job Training)を根幹とし、従業員の年次や役割に応じた階層別研修、専門知識やスキル習得を目的とした部門別研修等にて補完しています。当社グループは、国内最大規模のインターネットバックボーン構築・運用、斬新なサービスの自社開発・運用等の業務機会を提供することが、技術者層のモチベーション向上に繋がるものと考えております。営業職は営業活動を通じたOJTに加え、技術基礎研修、当社サービス理解研修等によるネットワーク・システム等の知識の習得・定着やトップパフォーマーの成功提案事例等を共有する勉強会の開催等を実践しております。当社の新卒従業員はこれら業務における上司からの指導に加え、OJTトレーナー研修を受講した上司以外の従業員と個々の特性・志向を勘案した能力開発目標を設定し、一年を通して早期に自律的な業務遂行ができるためのサポートを受けます。2018年度以降、毎年約100名がOJTトレーナー研修を新たに受講し、トレーナー経験者は延べ550名を超えております。これら人材の増加は全社的なOJTレベルの向上に繋がるものと考えております。当社は、若手従業員の育成が非常に重要と認識しており、OJTが有効に機能しているかを測る指標として、年次の従業員意識調査(注1)における若手従業員の「チャレンジ」、「成長」、「上司サポート」(注2)に関する評価結果を重要視しております。2022年度におけるこれら指標の評価結果は、「チャレンジ」3.9、「成長」3.9、及び、「上司サポート」4.2となりました。当社はこれらの指標の総合が3点台後半以上となるように評価結果の要因分析、改善対応に努めており、今後もそれを継続してまいります。

(注) 1. 従業員意識調査は年1回実施されるエンゲージメント調査(約50設問)であり、各項目は1(そう思わない)、2(どちらかというとそう思わない)、3(どちらともいえない)、4(どちらかというとそう思う)、5(そう思う)の5段階で評価がなされます。

2. OJT評価指標「チャレンジ」、「成長」、「上司サポート」は、以下の要素を包含する設問に係る評価結果となります。

「チャレンジ」:チャレンジ支援、新しい発想・提案の受容、再チャレンジできる風土 等

「成長」:現在の仕事での成長実感、成長支援の仕組み・制度 等

「上司サポート」:上司・先輩からのアドバイス、上司満足度 等

[社内環境整備の方針]

 当社グループは従業員が心身ともに健康で安心・安全に働き続けられる環境及びワークライフバランス実現を支援するための環境の整備に積極的に取り組んでおります。

<健康の維持・メンタルヘルスケア>

 当社は、健康診断又は人間ドック(年1回)並びにインフルエンザ予防接種の無料実施や産業医・保健師に定期的に健康相談ができる環境整備等に取り組んでおります。また、労働安全衛生法に基づくストレスチェックを年1回実施し、高ストレスにより面接指導が必要と考えられる従業員は、希望に応じ産業医との面談を実施しております。ストレスチェックの結果は、部長職以上の役職者に共有することで、職場環境の改善を役職者が主導して行う仕組みとしています。また、メンタルヘルス対策の一環として、ハラスメント研修やコミュニケーション研修(アンガーマネジメント、アサーティブコミュニケーション研修等)を実施しております。

<過重労働の防止・有給休暇の取得推進>

 当社は、労働時間管理方針を策定し、労働基準法の遵守及び労働時間適正化に向けた取り組みを推進しております。残業の事前申請や各部門の残業状況レポート作成等により従業員の就業時間を随時把握しており、残業時間が一定水準を超過する場合には、各部門への注意喚起やヒアリング、超過者への産業医面談等を実施しております。また、年次有給休暇に加えて、アニバーサリー休暇等の特別休暇を従業員に付与しており、特別休暇を含まない年次休暇5日以上の取得を徹底しております。

<多様な働き方・ワークライフバランス等の推進>

 当社では、コロナ禍以前より、場所に依存しない働き方を大きなコンセプトとして、リモートワーク(育児・介護対象者から導入)、サテライトオフィス(移動時間の有効活用による顧客対応の高速化)、フリーアドレス(コミュニケーションの活性化)等を導入しております。当社では各従業員のライフステージや価値観などを尊重しつつ、仕事と家庭生活の両立を支援するための環境整備に積極的に取り組んでおります。社内環境整備として、育児・介護休業制度、私傷病復職休暇制度等により、病気、育児、介護等においても仕事との両立が図れる諸制度を運営しております。当社は、次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」としての厚生労働大臣認定(くるみん認定)を目指し、男性及び女性の育児休業制度利用率を各々10%以上及び90%以上の維持を目標としております。2022年度におけるこれら指標の実績値は、男性33%及び女性100%となりました。また、従業員の業務特性や個別環境に合わせて、フレックスタイム制度、ずらし勤務制度、短時間勤務制度等を運営しております。その他の施策として、IIJグループ持株会、財形貯蓄、マネーセミナーの定期開催等の資産形成支援、従業員が家族に対し職場理解を得る機会創出のためファミリーデー開催等の取り組みを推進しております。

[中核人材の登用等における多様性の確保]

 近年の採用者における女性比率は約26.9%と上昇しており、女性管理職数は徐々に増加しております。2023年4月現在の当社の管理職における女性比率は6.3%であり、2024年度の目標6%を早期に達成しました。家庭生活や育児を両立させる制度や職場環境を継続的に充実させていくことにより、今後も時間経過とともに女性管理職比率は上昇していくと想定しており、2027年度の女性管理職比率は、8%以上を目標としております。

(3) 指標及び目標

 当社は、上記「(2)戦略」に記載の通り、気候変動及び人的資本関連について以下の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は以下の通りです。

① 気候変動

[自社データセンターにおける温室効果ガス削減の取り組み方針]

指標

目標

2022年度実績

再生可能エネルギーの利用:当社データセンター(Scope1,2)の再生可能エネルギー利用率

2030年度:85%

46.1%

エネルギー効率の向上:データセンター(Scope1,2)のPUE

2030年度まで:業界最高水準の数値(1.4)以下を継続

松江データセンター:1.33

白井データセンター:1.31

② 人的資本

[人材育成の方針]

指標

目標

2022年度実績

当社の年次の従業員意識調査における若手従業員の「チャレンジ」、「成長」、「上司サポート」に関する評価結果

3点台後半以上を継続

「チャレンジ」:3.9

「成長」:3.9

「上司サポート」:4.2

[社内環境整備の方針]

指標

目標

2022年度実績

当社の男性及び女性の育児休業制度利用率

男性及び女性の育児休業制度利用率を各々10%以上及び90%以上を継続

男性:33%

女性:100%

 

[中核人材の登用等における多様性の確保]

指標

目標

2022年度実績(2022年4月)

当社の管理職における女性比率

2024年度(2024年4月):6%以上

2027年度(2027年4月):8%以上

5.7%

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