企業アンリツ東証プライム:6754】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。これらには、グループ従業員等の一人ひとりが自ら挑戦し、新しい価値を社会に提供し続け、未来に向けて成長していく、という思いを込めています。

経営理念

「誠と和と意欲」をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する

経営ビジョン

「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。

経営方針

1. 克己心を持ち、「誠実」な取り組みにより人も組織も“日々是進化”を遂げる

2. 内外に敵を作らず協力関係を育み、「和」の精神で難題を解決する

3. 進取の気性に富み、ブレークスルーを生み出す「意欲」を持つ

4. ステークホルダーと共に人と地球にやさしい未来をつくり続ける「志」を持つ

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、キャッシュ・フロー(CF)を常に意識した経営を展開しており、「ROE (Return On Equity)」と「自己資本比率」をKPIと捉え、自己資本の効率性向上による中長期的な企業価値最大化と財務の安定性維持に取り組みます。

 なお、取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。)、執行役員及び理事を対象とした現行の業績連動型株式報酬制度においては、その評価指標として、本制度の対象期間における各事業年度の期初に定める営業利益目標及び中期経営計画に掲げる営業利益を採用しています。また、金銭の業績連動型報酬(年次役員賞与)においては、当該連結会計年度における連結ROEに加え、売上高、営業利益及びESG/SDGs目標の達成度等の指標を用いています。

(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等

 今後の見通しにつきましては、当社グループの主力である通信計測事業においては、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要が今後も拡大していくことが期待できます。また、自動車の5G搭載に向けた開発、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)関連の開発、5Gミリ波の整備などでの測定需要の拡大や「Release 18」(※1)以降で標準化される5G-Advancedや6Gに向けた測定需要の獲得を目指していきます。PQA事業においては、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要を確実に捉え、海外市場の売上拡大を目指します。環境計測事業においては、堅調な推移が見込まれる国内のEV・電池向け試験需要を確実に捉えていきます。

 当社グループは、関係するあらゆるステークホルダーとともに持続可能で魅力的な未来を次世代に繋いでいくという思いを込めた、以下の経営理念・経営ビジョン・経営方針のもと、2030年度には安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。

※1 3GPPで標準化される規格番号

① 中長期的な経営戦略及び中期経営計画

 当社グループは、主力の通信計測事業を軸に、情報通信サービスに関わるビジネスを展開しております。現在の5Gシステムに代表される通信インフラの様々なイノベーションは、社会を劇的に変革するとともに、人類に「つながる」ことの豊かさを提供し、グローバル社会の進歩を生み出してきました。「誠と和と意欲」、“オリジナル&ハイレベル”を経営理念とするアンリツは、コアコンピタンスである「はかる」技術をベースに、情報通信分野と食品・医薬品分野を中心に支えてまいりました。

 当社のコンピテンシーである「はかる」を極めていくとともに、内外の異なる発想や技術を更に掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させ、攻めの姿勢で今までのアンリツの限界を超えてまいります。

 当社グループは、中長期経営戦略のもと、2021年4月に中期経営計画GLP2023を策定し、2024年3月期までの3年間を、5G通信計測市場のピークに向けた成長の期間であり、かつ新たな芽を成長させる期間と捉え、その実現に向けた取組を進めてまいりました。GLP2023を総括しますと、計画期間においては、コロナ禍、米中摩擦、電子部品の需給問題、インフレ等が生じ、策定当初に予測していた5G通信計測市場のピークの実現はみられず、これらの影響もあり5Gの市場は減速し、GLP2023は期間満了を迎えることとなりました。このような中、当社グループは、部材調達リスクに対して戦略的な部品在庫の確保及び適切な棚卸水準に向けた施策を実施し、また原材料価格の高騰やインフレに伴う費用の増加に対して価格転嫁の推進や業務効率化に取り組みましたが、主としてモバイル市場の不振による通信計測事業の売上収益悪化のもと、当連結会計年度の5G関連測定器の売上収益は、計画初年度(2021年3月期)に比し減少する結果となり、GLP2023での計画最終年度(2024年3月期)目標として当初掲げていた目標は未達となりました。一方で、GLP2023の3年間で新領域を開拓していく取組を立ち上げ、全社を挙げてビジネスを展開した結果、当社グループで1,100億円に迫る売上収益を確保することができました。

 当社グループは、2024年4月に、新たな3ヶ年の中期経営計画GLP2026をスタートいたしました。GLP2026では、前中期経営計画GLP2023で育てた新しい芽を事業の柱へと成長させ、計画最終年度(2027年3月期)で、連結売上高1,400億円、営業利益200億円、営業利益率14%を目指します。

GLP2026の3年間は、5Gから6Gへの移行期であり、2030年度に売上高2,000億円企業となるための重要なマイルストーンと位置付けております。

GLP2026では6Gと3つの新領域ビジネスを重点的に拡大します。3つの新領域ビジネスは“産業計測”と“EV/電池”そして“医薬品/医療”です。M&Aとオーガニックで、新領域ビジネスの成長を加速し、更には来るべき6Gビジネスの需要を確実に獲得するための準備をいたします。

中期経営計画(GLP2026)基本方針

1. 成長投資に400億円以上(M&A+設備投資)

2. ROE≧10%を安定的に達成する事業ポートフォリオの構築

3. 2026年度(2027年3月期)の営業利益の25%を通信計測事業以外で創出

4. 新領域ビジネスの人材強化、全社で人材育成体制を構築

5. 事業活動における資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現

6. 株主還元では配当性向50%以上を目指す

 当連結会計年度の実績及びGLP2026に掲げる主な経営数値目標は下表のとおりです。なお、2024年3月期より、従前「その他の事業」に含まれていた「環境計測事業」を報告セグメントとして記載する方法に変更しております。

 当社グループは、引き続き、中長期的な経営戦略及び中期経営計画の実現を図り、資本コストを意識した成長投資(含むM&A)と資本効率の改善で、企業価値KPI(ROE)の向上を目指します。

 

2024年3月期

(GLP2023目標)

2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(業績見通し)

2027年3月期

(GLP2026目標)

売上収益(億円)

1,400

1,099

1,150

1,400

営業利益(億円)

270

89

110

200

当期利益(億円)

200

76

83

150

通信

計測

事業

売上収益(億円)

1,000

710

738

900

営業利益(億円)

230

75

92

150

PQA

事業

売上収益(億円)

270

253

267

300

営業利益(億円)

27

12

19

36

環境

計測

事業

売上収益(億円)

74

90

130

営業利益(億円)

5

7

14

ROE(%)

15

6.3

7

12

※ 億円未満を切り捨てて表示しています。なお、2025年3月期の業績見通しは、2024年4月25日に公表した「2024年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」に基づいています。

 また、GLP2026では、当社グループのサステナビリティ目標を掲げ、その達成に向けた活動を推進しています。サステナビリティ推進活動、ダイバーシティ推進等の当社グループのサステナビリティに関する事項は、後記2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。当社グループは、ブランド・ステートメントに「Advancing beyond」を掲げ、皆様とともに進歩と進化へ向けて歩み続けていきたいという強い思いを込めて発信しています。さらなる高みを目指すとともに、お客様のビジョン実現を通じ社会のサステナビリティに貢献したいという姿勢を示しています。今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。

② コーポレート・ガバナンスの充実

 当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を向上させていくことを経営の最重要課題としております。その目標を実現するために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する仕組みを構築することに努めております。執行役員制度導入による意思決定と業務執行の分離の促進、「監査等委員会設置会社」への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置、取締役会の実効性評価の実施などの従前からの取組に加え、社外取締役比率50%以上を確保することにより、取締役会の監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることで、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。

 当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する事項は、後記第4「提出会社の状況」の4「コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

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