アルプス物流 【東証プライム:9055】「陸運業」 へ投稿
企業概要
(サステナビリティに関する基本方針)
当社グループは、企業理念である「ものづくりを支える最適物流を追求し、豊かな社会の実現に貢献します」に基づき、社会課題の解決につながる価値創造に取り組み、持続可能な社会の実現とグループの持続的な成長の両立を目指しています。
また、当社グループが事業活動を行う上で基本とする経営姿勢を「お客様との共栄」「物流価値の創造」「環境・社会と調和」と定義しています。その精神・考え方を共有し、理解をより深めるために、企業・社員として必要な行動や考え方を「アルプス物流倫理規範」で明文化し、全世界のグループ拠点に展開しています。更に、定期的な研修を通して社員一人ひとりに浸透するよう努めています。
(サステナビリティ推進体制)
当社グループは、サステナビリティを事業の中核課題と捉え、取締役会でサステナビリティに関わる方針の決定、マテリアリティの特定及び重要課題の審議を行っています。特定された課題に対し、サステナビリティ推進委員会が施策を立案、実行し、その進捗状況について年2回取締役会に報告しています。
サステナビリティ推進委員会は、主要なESG課題に沿って設定した3つのワーキンググループで構成されており、半期ごとに課題解決に向けた議論を行っています。ワーキンググループの構成は、外部・内部環境の変化に伴って見直しを行っています。
当社グループが認識している重要なサステナビリティ課題である、(1)気候変動への対応及び(2)人的資本についての考え方及び取組は、以下のとおりであります。
(1)気候変動への対応
当社グループでは、気候変動といった将来の不確実性に対処することは、持続的な企業価値向上並びに持続可能な社会の実現に資するものであると考え、全社で取り組んでおります。また、その取り組み状況を説明するため、TCFDの枠組みに沿って気候変動に関する情報開示に努めてまいります。
①ガバナンス
当社グループは、取締役会の直下にサステナビリティ推進委員会を設置し、当委員会においてサステナビリティに関わる活動方針を決定し、気候変動関連課題を含む主要なESG課題について協議・検討を行っています。サステナビリティ推進委員会の委員長は、ESG担当執行役員が務め、年に2回委員会を開催しております。サステナビリティ推進委員会は、主要なESG課題に沿って設定した3つのワーキンググループ(E 環境WG、S 社会WG、G ガバナンスWG)で構成されていますが、外部・内部環境の変化に伴って今後適宜見直しを行ってまいります。気候変動課題については、サステナビリティ推進委員会が決定した活動方針に従い、各WGで具体的な取り組みを実施し、重要度に応じて取締役会に諮る体制を取っています。サステナビリティ推進委員会において審議・検討した、(E 環境、S 社会、G ガバナンス)に関する重要事項や活動実績等は、年2回取締役会に報告しています。
②戦略
1)気候関連のリスクと機会の特定
当社グループでは、気候変動関連のリスクと機会は、中長期にわたり事業活動に影響を与えると認識しております。当社グループにとっての重要な財務への影響を与える可能性のあるリスクや機会を特定するため、1.5℃~2℃未満シナリオ、4℃シナリオの複数の将来シナリオを想定し、当社グループを取り巻く外部環境の変化やさまざまな状況下において、重要な財務への影響を与える可能性のあるリスクと機会の洗い出しを行いました。気候関連のリスクと機会の評価に際しては、当社グループの全てのセグメント(電子部品物流セグメント、商品販売セグメント、消費物流セグメント)を対象としています。なお、今後も引き続き当社グループの外部環境の変化等に応じて、適宜重要なリスクと機会の評価の見直しを行い、戦略に反映させてまいります。
2)シナリオ分析の前提
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオ(1.5℃~2℃及び4℃)を参考にしました。
・1.5℃~2℃の世界では、温室効果ガス削減のための規制が強化され、低・脱炭素化が進むことに伴う事業への影響、移行リスクが高まることが考えられます。
・4℃の世界では、規制などの移行リスクのレベルを超越した物理リスクが、異常気象により高まることが考えられます。
3)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響
1.5℃~2℃未満シナリオ、4℃シナリオを前提として、当社の主要事業に重要な財務への影響を与えるリスクと機会を分析し、リスク低減に向けた対応策と、機会活用に向けた対応策を検討しました。
4)リスク・機会に対する戦略(移行計画)、レジリエンス
シナリオ分析を実施し、気候変動が当社グループの事業に与えるリスクと機会を特定し、適切な施策を講じることで、当社グループのレジリエンス(対応力)が高まるように今後、中長期的な視点から経営戦略に反映させてまいります。
③リスクと機会
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| 短期:3年未満 中期:3~10年未満 長期:10~30年 | 小:1億円未満 中:1~5億円 大:5億円超 | ||
リスク /機会 | 分類 | リスク/機会項目 | 発現時期 | 影響 | リスク低減/機会活用に向けた 対策 |
リスク | 移行 | (政策・法的リスク) 炭素税の導入 | 中期 | 大 | ・EV化の開発に応じたEV車両の導入 ・再生可能エネルギーへの転換 ・積載率改善による車両効率の向上 ・自動車のEV化に関する開発状況の情報収集 |
(技術リスク) 低排出技術に移行するためのコストの増加 | 長期 | 中 | |||
(評判リスク) 気候変動への対策並びに情報開示が不十分なことにより、企業評価が低下するリスク 評判低下に伴い資本調達コストが増加するリスク | 中期 | 小 | |||
物理的 (急性リスク) | 台風、豪雨、落雷などの異常気象の激甚化(河川の洪水、土砂災害など) | 中期 | 中 | ・災害発生時における危機管理本部の設置体制 ・詳細な危機管理フローの整備 ・倉庫の自然災害対策として、土嚢、盛り土、高床(地面から1m)、キュービクルの屋上設置を実施 ・災害の状況に臨機応変に対応するための迂回ルートの確保 | |
物理的 (慢性リスク) | 海面上昇(沿岸部に位置する拠点における対策費用や保険料が増加) | 長期 | 中 | ・沿岸部に配置された拠点を把握し、海面上昇のリスクを把握 ・急性リスク同様の対策による電源確保、継続通電可能な再生エネルギー導入検討 ・代替輸送ルートの確保 | |
気温上昇による労働環境の悪化により、人材確保が困難となるリスク | 長期 | 小 | ・空調設備の整備による適切な労働環境の確保 |
リスク /機会 | 分類 | リスク/機会項目 | 発現時期 | 影響 | リスク低減/機会活用に向けた 対策 |
機会 | 資産効率 | 物流の効率化 | 短期~中期 | 大 | ・海外を中心としたモーダルシフトを国内にも展開することを検討 ・効率的な輸送網の構築や積載率の向上(例:段積み輸送) ・共同保管・共同集配など他社との連携 |
リユース・リサイクル | 短期~中期 | 中 | ・資源の有効活用、リサイクル(再資源化)の推進による廃棄物の削減 | ||
業務プロセスの革新・効率化(DX等) | 短期~中期 | 大 | ・電子部品物流プラットフォームを用いた共同保管・共同集配の拡充などによる効率的な倉庫管理や配送 ・梱包設計変更による積載効率向上 ・省力化、省電力化のマテハン機器の導入 ・AIを活用した配送ルート最適化などによる走行距離の削減や燃費向上 | ||
高効率設備の導入の推進による、電力使用の低減・費用削減 | 中期 | 中 | ・倉庫屋上への太陽光発電設備導入の推進 ・LED化 | ||
エネルギー源 | より低排出のエネルギー源の使用 | 中期 | 中 | ・太陽光発電設備の設置などによる、再生可能エネルギーの導入 | |
新技術の使用 | 短期~中期 | 中 | ・電動式大型ラックの使用 ・EV化の開発に応じたEV車両の導入 | ||
炭素市場への参入 | 短期~中期 | 中 | ・カーボンオフセットなどの総合的なCO2削減による投資家からの評価の向上 | ||
製品とサービス | 低炭素社会に向けた収益機会 | 短期~中期 | 大 | ・共同保管、共同集配 ・積載効率向上 ・省力、省電力のマテハン機器 ・国内での長距離、多頻度を中心とした貸切輸送におけるモーダルシフトの導入を検討 ・輸出入におけるモーダルシフト | |
レジリエンス | 防災対策の強化による事業安定化 | 中期 | 中 | ・土嚢、盛り土、高床、キュービクルの屋上設置等による防災対策 ・迂回ルートや輸配送手段の分散 ・予め予測できる自然災害時(台風・大雪)における計画的な運休(事前案内)、各拠点BCP対応の実施 | |
エネルギー効率化措置の採択による燃料コストの削減 | 中期 | 中 | ・最適な輸送ルートの設定 ・トラック1台あたりの積載率向上 | ||
資源の代替/多様化による電力調達コストの削減 | 中期 | 中 | ・太陽光発電設備の設置などによる、再生可能エネルギーの導入 |
④リスク管理
当社グループでは、経営企画部門及び人事総務部門が主管となり、全社的なリスク情報を把握し、管理する体制を構築し、整備することに取り組んでおります。
気候変動関連リスクに関しては、サステナビリティ推進委員会、経営企画部及び品質環境部が主管となり、気候変動関連のリスクと機会を特定し、リスクを軽減するための対策、取り組みを検討し、各事業所や関係部署と協働して対策を検討・実行し、進捗状況を管理するとともに、経営層への報告、提言を行う体制を敷いていきます。
また、リスクの重要度に応じて、サステナビリティ推進委員会がリスク管理状況を取締役会に報告し、取締役会においてリスクマネジメントプロセスの有効性を監督するという体制を敷き、全社で気候変動関連リスクの管理に取り組んでいきます。
(2)人的資本
[基本的な考え方・方針]
当社グループは、企業理念である「ものづくりを支える最適物流を追求し、豊かな社会の実現に貢献します」に基づき、「お客様ごとのニーズに応じた最適物流の追求」の実現に向けて、「顧客ニーズと市場動向に迅速に対応した提案ができるスキル・能力を持った人材」の育成を目指しております。最適物流を支える保管・運送・輸出入・包装設計・商品販売等の機能をつなげた総合物流サービス(グローバルワンチャンネルサービス)を担うプロフェッショナルな人材の成果発揮の機会と場を提供できる組織と環境を整えてまいります。
また、中期的な人材戦略のテーマとして、「人的資本への投資と生き生きと仕事に取組める環境づくりと働きかけ」を掲げております。経営戦略に紐づいた人材戦略を推進することで、人材戦略を取り巻く内外の環境が大きく変化している状況下において、当社グループが求める「自ら考え、自ら判断し、自ら行動(挑戦)する」人材の安定確保に努めます。また、社員一人ひとりのキャリア形成と多様な働き方をサポートすることで、自律したプロフェッショナルと変化に対応できる人材になることを促し、相互に尊重し、支援し、助け合う環境を整えます。
当社グループは、物流の現場を担う人材こそがサービスの原点であることから、「人材の重要性」を強く認識しております。人材の価値を最大限引き出すべく、社員満足度の向上と組織の活性化を推進することを通じて、当社グループの持続的成長・価値向上を実現してまいります。
[人的資本にかかる「戦略」(方針)に関連した「指標と目標」]
①人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
1)多様性の確保を含む人材の育成に関する方針
当社グループは、「お客様ごとのニーズに応じた最適物流の追求」を実現するため、求める人材像として『自ら考え、自ら判断し、自ら行動(挑戦)する人材』を掲げております。積極性、行動力のある人材を確保するため、多様性を重視した採用を行う方針であります。また、当社グループの人材育成の方針として、「顧客ニーズと市場動向に迅速に対応した提案ができるスキル・能力を持った人材」の育成に努めています。お客様が抱える物流に関する課題を解決すべく、物流現場の様々なシーンにおいて自ら考え、自ら判断し、自ら行動と提案が出来る深い専門知識と幅広い見地をもった人材の育成に努めています。
2)社内環境整備に関する方針
当社グループでは、国籍、人種、年齢、性別、思想、信条に関わらず多様な人材を採用する方針に基づき、多様な価値観をもつ人材がその能力を最大限に発揮できる人材の配置と職場づくりに努めております。多様な人材が働きやすい職場環境を整備することで、従業員エンゲージメント(社員満足度)の向上、組織の活性化を推進します。また、総合物流のプロとして、お客様が抱える物流に関する課題を解決するための最適なソリューションを提案できる人材を育成する方針に基づき、自ら考え、自ら判断し、自ら行動出来る人材の育成を企図し、社内研修プログラムも時代、環境に即したものに進化させてまいりました。具体的には、①階層別(必須・推薦)、②選抜型、③公募型と3つの参加形式による研修プログラム体系を整備・運用しており、従業員の積極的な参加を促すサポートを行っています。また、技術的側面に関しては、各事業単位でのOJT・OFF-JTの両面で従業員の育成に取り組んでいます。従業員一人ひとりが情熱を持ち、持てる能力を存分に発揮しながら、一流のプロとして成長していけることをサポートするため、当社グループは、教育・研修に力を入れております。
3)従業員の「安全衛生」に関する方針
当社グループは、「従業員の安全と衛生」を事業活動推進のための最優先課題と捉えております。当社の営業所で働く全ての人々の「安全の確保と健康の増進」を図るため、各営業所に安全衛生委員会を設置し、安全衛生水準の向上につながる各種安全活動を推進しています。また、当社では、2021年10月に「健康経営宣言」を制定し、従業員の健康を増進するため、健康診断やストレスチェックの定期的な実施、特定保健指導の実施率向上などさまざまな「健康経営」の実践に積極的に取り組んでおります。
②人材戦略にかかる具体的なアクションプランと関連する指標と目標
1)女性活躍推進
女性の管理職登用を加速するため、ワークライフバランスの充実を課題として捉え、性別に関係なく全社員が働きやすい制度面の充実と、多様な価値観を受け入れる組織風土の醸成を進め、社員が継続的に能力を発揮できる環境整備に取り組んでまいります。
「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおり、当社及び主要子会社の女性管理職比率が低いことを今後の対応課題として認識しております。当社は2024年中に課長職及び係長職の女性比率の目標を下表の通りとしています。
女性役職者比率 実績及び目標 | ||||
| 2021年 (実績) | 2022年 (実績) | 2023年 (目標) | 2024年 (目標) |
課長 | 1.6% | 1.4% | 3.1% | 4.7% |
係長 | 5.4% | 10.8% | 12.0% | 17.0% |
2)ワークライフバランスの取組
(柔軟な勤務地条件を選択できる仕組み)
当社では、社員のキャリアやライフスタイルの多様化を踏まえ、勤務地条件を選定できるコース別人事制度を導入しています。グローバルに活躍する「グローバルコース」、国内を活躍範囲とする「ナショナルコース」、転居を伴う異動がない「エリアコース」の3つのコースがあります。コース選択によらず管理職として活躍することができる仕組みを設けています。
(仕事と私生活の両立を支援する仕組み)
当社では、社員のさまざまな事情にあわせて、仕事と私生活の両立を支援し、継続就業を実現する各種制度を提供しています。
・フレックスタイム制
・在宅勤務制度
・配偶者分娩休暇
・出産休職制度
・育児休職制度
・育児短時間勤務
・子の看護休暇
・家族の介護休暇
・介護休職制度
・介護短時間勤務
・退職社員再雇用制度
・海外帯同休職制度
3)働き方改革
当社では2016年から働き方改革の一環として総労働時間の削減目標を設定し管理しています。2019年4月からは一般従業員については36協定の上限時間を従来の1ヶ月100時間から80時間に引き下げました。また、年休取得率の目標を70%と設定し取得状況の管理を行っています。時間外の削減及び年休取得率の管理により総労働時間の削減に取り組んでいます。継続的に平均時間外労働が多い部門については、適正人員化を図っています。
2024年度に施行されるドライバーの労働時間の上限時間設定に先立ち、社内管理基準を設け、運行ルートの再設定、付帯業務の削減等に取組み、労働時間の削減に取り組んでいます。
正社員の総労働時間の短縮と年休取得の推進
| 総労働時間 (管理職を除く正社員) | 年休取得率 |
2022年度 | 目標:2,072時間 実績:2,077時間 | 目標:70% 実績:82.4% |
2024年度目標 | 2,042時間 (2022年度比△35時間) | 目標:70% |
4)従業員エンゲージメント
当社グループが持続的成長・価値向上を実現していくためには、経営戦略に基づく人材戦略を構築、実践していくことが必要であると認識しています。従業員全員が一つの方向に向かって進むためには、従業員との対話やコミュニケーションを積極的に行うことが必要であり、社員満足度の向上と組織の活性化を推進することが重要と考えられるため、当社グループは従業員のエンゲージメント向上に努めております。当社では2021年度より全社でエンゲージメントに関する社員アンケートを毎年1回実施しています。初年度の2021年度においては、調査結果に基づき、労使間で意見交換を行い、具体的改善施策を推進しました。2022年度は、前年度取組施策に関するアンケートを通じて、エンゲージメントの向上の進捗度合いを確認するとともに、今後の進むべき方向性について労使間での意見交換を行い、具体的改善施策を実行しています。2023年度においては、改善取組の定着を図り、エンゲージメント向上に向けたKPI設定及び取組推進を図ってまいります。
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