アイキューブドシステムズ 【東証グロース:4495】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは当社及び連結子会社3社(株式会社アイキューブドベンチャーズ、アイキューブド1号投資事業有限責任組合、10KN COMPANY LIMITED)の計4社で構成されております。パーパスを「笑顔につながる、まだ見ぬアイデア実現の母体となる」、提供価値を「デザインとエンジニアリングの力で、挑戦を支える」と定義した上で、「挑戦を、楽しもう。」をブランドスローガンに、ITを軸とした様々な挑戦を積極的に進めていく企業を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの主軸事業である、CLOMO事業の導入法人数(CLOMOを導入している企業や、学校や官公庁などの公的機関の組織数)、ライセンス継続率を経営指標としております。
(3) 経営環境と経営戦略
当社グループの主軸事業であるCLOMO事業は、MDM市場(モバイル端末管理市場)に属しております。MDM市場全体の市場規模は、2023年においては178億円(前年比10.4%増)、2027年までに250億円まで成長する見通し(注1)であることから、CLOMO事業に関しても継続的な成長を見込んでおります。
マーケットの状況としては、3G停波(注2)に伴うフィーチャーフォン(従来型携帯電話)の生産終了、PHSのサービス終了等により、企業や医療機関においてスマートフォンの導入が加速しております。
また、スマートフォン以外では、DXの促進に伴って業務専用端末の管理需要が増加しており、MDMの管理対象となる端末の種類は拡大しております。さらに、PC資産管理ソフトウェアについては従来のオンプレミス型からSaaS型への移行が進み、モバイル端末とPCの統合管理の需要が増加しております。このように、CLOMO事業は業務専用端末管理市場やPC資産管理市場にも成長領域を拡大しており、充分な開拓余地が残されていると考えております。
当社グループとしては、そのような状況からより多くの顧客を獲得するため、製品開発活動では、生産性の向上による原価の低減と、管理対象端末の種類増加に対応するための機能開発及び他社製品との連携による付加価値の向上に引き続き注力してまいります。また、営業活動では、全国7箇所の営業拠点網を通じて地方の販売パートナーとの連携を強めます。さらに、CLOMO MDMとしての販売に加えて、OEM提供先サービスの拡大による顧客基盤の拡大を図り、引き続き売上成長スピードの加速に取り組んでまいります。
2025年6月期においては、NEXT GIGA(注3)による小中学校におけるMDM需要の増加が見込まれております。この需要に応えるため、文教市場に強みを持つ販売パートナーとの協業を通じて、さらなる市場シェアの拡大を図ってまいります。さらに、ISMAPに登録された信頼性の高いサービスであるという強みを活かし、政府や行政機関を含む幅広いお客様に対して、CLOMOサービスの導入を積極的に促進してまいります。
(注)1.出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所「ハイブリッドワークの最適解をもたらす コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望 2023年度版(https://mic-r.co.jp/mr/02880/)」2023年度市場規模・2027年度市場規模予測。
2.携帯キャリア各社が第3世代移動通信方式(3G)のサービス提供を順次終了する予定となっております。当社の主要な販売パートナーであるNTTドコモグループは、第3世代移動通信方式の「FOMA」及び携帯電話からインターネットやメールを利用できるサービス「iモード」の提供を2026年3月に終了予定です。
3.GIGAスクール構想(児童生徒向けに1人1台の端末や、高速通信環境を一体的に整備することで、学習活動の一層充実や主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善の実現を目指す、文部科学省による構想。)の次なるフェーズ及び取り組みを指します。2020年から2021年頃に導入された学習用タブレット端末が2024年以降に更新時期を迎え、端末の入れ替えに伴ってMDMの再選定が行われると見込まれており、文教市場におけるMDM需要の増加が期待されます。
(4) 当社グループの対処すべき課題
① MDM市場におけるシェアの拡大
CLOMO事業が属するMDM市場は、スマートフォンのビジネス利用の増加に加えて、モバイルPCや業務専用端末など、新たなMDMの活用シーンの拡大によって成長を遂げており、当社グループも導入法人数、ライセンス数の増加により収益基盤が拡大しております。一方で、近年では海外製品の国内参入などを背景に、市場における競争優位性の確保に対する重要性が高まっております。
このような中で、CLOMO事業のMDM市場におけるシェアを拡大させるためには、当社グループの技術開発力をベースにした高機能化、周辺機能の追加、複数種類の端末の管理機能拡充などにより、アップセルとクロスセルを高め、顧客単位の売上増加・コスト減少に取り組んでいく必要があると考えております。加えて顧客の信頼を厚くするためのサポート体制の充実による高い継続率の維持に取り組んでまいります。
また、クラウドを利用したSaaSサービスであるため、顧客の予期せぬ急増や、一度に多量のライセンスを受注した場合においても、当社グループは新規で物理的なサーバー機器を調達、構築する必要がないことから円滑に対応でき、当社グループに大きな負担はありません。導入までのサポートを大きな負荷無く短期間で済ませることで、成長の一層の加速に取り組んでまいります。
② 開発体制の強化
CLOMO事業の拡大に向けては、多様化する顧客ニーズへ対応し、さらなる新機能の開発を進めていくことが課題と考えております。近年の国内におけるITエンジニアの採用環境については、売り手市場の継続により厳しい状況となっております。このような状況への対応として、エンジニアが成長し充実した仕事・生活ができる実感をもてるような環境を作り、それを対外的にアピールする機会を増やすことで、エンジニアにとって魅力的な職場としての認知を広めていきたいと考えております。また、エンジニアの成長機会を増やすため、社内勉強会の開催や、オンライン上で開催される社外勉強会への登壇、企業やコミュニティで開催するエンジニア向け年次カンファレンスを中心に積極的に参加してまいります。
さらに、M&Aを通じた開発人員の増強や、海外におけるオフショア開発先の開拓など、外部リソースを活用した抜本的な開発体制の強化に取り組んでまいります。当連結会計年度においては、ベトナムに拠点を置くソフトウェア開発会社を子会社化し、中長期的な開発リソースの確保・強化が進んでおります。
③ 品質保証体制の強化
顧客に提供するサービスを構成するソフトウェアについては、サービス品質向上に向けた様々な施策を実施してきた結果、顧客満足度の向上によるユーザーの定着が進んでおります。当社グループでは、この方向性を継続し、ソフトウェアエンジニアリングにおける改善をさらに進めることが課題と認識しており、サービス品質向上のための様々な改善活動に積極的に取り組んでまいります。
④ カスタマーサクセス活動の効率化
CLOMO事業はサブスクリプション型のビジネスモデルであり、顧客のライセンス継続率を高く維持することが重要と認識しております。カスタマーサクセス活動においては、メール及び電話での顧客からの問い合わせ対応に加えて、顧客との関係強化に向けた定期的な面談を実施し、CLOMO MDMの基本的な利用方法から効果的な活用方法までを学べる「CLOMO ステップアップセミナー」を月数回開催しております。顧客からの電話での問い合わせに対しては、電話応答率が平均90%を上回るなど、顧客に寄り添った迅速な課題解決を行うことができる体制を構築しております。
一方で、CLOMO事業の顧客数の順調な拡大に伴って問い合わせの件数は年々増加しております。これに対して、顧客数の増加に比例して人員増強を進めるのではなく、従来のカスタマーサクセス活動の品質を保ち、高い継続率を維持しつつも、業務効率化によってカスタマーサクセス活動に係る人員数を一定程度に抑制することが課題と考えております。そのために、製品の操作マニュアルや操作レクチャー動画の拡充を進めており、顧客自身で製品操作に対する疑問を解消しやすい環境を整えることで、顧客の利便性向上及び業務の効率化を図ってまいります。
⑤ 新たな事業領域の開拓
当社グループは、主軸であるCLOMO事業の拡大により、連結売上高の成長を続けております。一方で、将来にわたって持続的な企業価値向上を実現するためには、CLOMO事業の周辺領域への進出や、新規事業の開発など、新たな事業領域の開拓が課題であると考えております。この課題を解決するために、当社グループでは、投資事業を通じて獲得した豊富な情報ソースを活用したM&Aや、社内における事業開発活動に積極的に取り組んでまいります。
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