企業ふくおかフィナンシャルグループ東証プライム:8354】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

①グループ経営理念

 ふくおかフィナンシャルグループ(以下、「FFG」といいます。)は、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行、みんなの銀行をグループ傘下に持つ広域展開型地域金融グループとして、営業基盤である九州を中心に、稠密な営業ネットワークを活かし、高度かつ多様な金融商品・サービスを展開しております。

 当社グループは、以下の経営理念を基本として、金融サービスの向上を通じて地域社会に対してより多くの貢献を果たすとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

ふくおかフィナンシャルグループ経営理念

ふくおかフィナンシャルグループは、

高い感受性と失敗を恐れない行動力を持ち、

未来志向で高品質を追求し、

人々の最良な選択を後押しする、

すべてのステークホルダーに対し、価値創造を提供する金融グループを目指します。

②グループブランド

 当社グループ各社は、グループ経営理念を共通の価値観として行動し、お客さま、地域社会、株主の皆さま、そして従業員にとって真に価値ある存在であり続けるための約束として、『コアバリュー』を表明し、ブランドスローガン『あなたのいちばんに。』を展開してまいります。

□ ブランドスローガン

あなたのいちばんに。

 

□ コアバリュー (ブランドスローガンに込められたお客さまへの約束)

・ いちばん身近な銀行

お客さまの声に親身に心から耳を傾け、対話し、共に歩みます。

 

・ いちばん頼れる銀行

豊富な知識と情報を活かし、お客さま一人ひとりに最も適したサービスを提供します。

 

・ いちばん先を行く銀行

金融サービスのプロ集団として、すべての人の期待を超える提案を続けます。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、2007年4月の設立以降、福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域に広域なネットワークを有する広域展開型地域金融グループとして、地域経済の発展に資する様々な活動を展開してまいりました。

 また、2016年にスタートした第5次中計から、長期ビジョン「持続的に高い競争力・成長力を実現する ザ・ベスト リージョナルバンク」を掲げ、営業基盤の拡大、収益源の多様化、生産性・健全性の向上を進めるとともに、2021年には国内初のデジタルバンクとしてみんなの銀行を立ち上げるなど、これまでにない新しい取組みにもチャレンジしてきました。

 この間、テクノロジーの進化やSDGsへの意識の高まりをはじめとした社会の変化がコロナ禍により加速し、世界規模で環境は急速に変化しています。地域社会においても、人口減少や高齢化などの構造的な課題に加え、デジタル化やグローバル化を通じて世界の環境変化が影響し不確実性が増してきました。

 このように当社グループを取り巻く事業環境の前提が大きく変わってきたことを踏まえ、2030年を目標とした長期ビジョンを改めて設定しました。

 事業環境が大きく変わる一方、福岡・熊本・長崎を中心に九州に根ざした地域金融機関として、地域と利益を一つにしている構図は変わっておらず、持続可能な地域社会を実現していくことは、これからも当社グループの使命・サステナビリティそのものであると捉えています。

 これを実現するためには、相当なスピードで変化する世界の状況をいち早く捉え、その果実である資本・技術・情報等を活用しながら、当社グループ自身が変革し、地域課題を解決していく必要があります。

 このため、①信頼をベースに多様化する顧客ニーズにストレスなく応えるサービス開発力、②企業・社会課題を解決するソリューション力、③大きく変化する環境・社会課題や働き方に柔軟に対応できる組織力の3点を備えたい力と位置付けました。

 これら3つの力を備えることで、「ファイナンスとコンサルティングを通じて全てのステークホルダーの成長に貢献するザ・ベスト リージョナルバンク」になることを2030年の長期ビジョンとし、サステナブルな地域社会と当社グループの持続的成長の同時実現を目指してまいります。

(3) 目標とする経営指標

2022年度より、長期ビジョンを目指す最初の中計と位置付けた第7次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)に取り組んでおります。

 第7次中期経営計画では、最終年度である2024年度の目標経営指標として、以下の項目を掲げております。

目標とする経営指標

最終年度 目標数値

収益性指標

親会社株主に帰属する当期純利益

650億円

ROE(連結自己資本利益率、以下同じ)

6%程度

健全性指標

自己資本比率(*)

10%半ば

効率性指標

OHR(連結)(経費/業務粗利益、以下同じ)

60%程度

   (*)バーゼルⅢ最終化(完全適用)ベース

(4) 会社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2024年度の我が国の経済動向を展望すると、雇用情勢の回復等を背景に賃金が改善に向かうことで、個人消費は増加し、好調な企業業績を背景に設備投資も底堅く推移する見通しです。また、内需に加えて、訪日外国人旅行者数の回復によるインバウンド需要も増加が続くことが期待されています。

2024年3月、日本銀行は、「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至った」として、マイナス金利の解除やイールドカーブ・コントロールの撤廃等を決定しました。今後のいわゆる「金利のある世界」への対応は、当社グループの業績及び企業価値に影響を与える重要課題です。

 また、当社グループの営業基盤である九州・熊本では、国家戦略でもあるTSMC第一工場が今年度稼働予定であり、第二工場の新設計画も公表されました。「新生シリコンアイランド九州の実現」に向けて、具体的な取組みを進めます。

 加えて、生成AIをはじめとした、加速度的に進む技術革新を迅速かつ適切に取込むことが、今後の当社グループのビジネスの成長に欠かせません。

 こうした課題を踏まえて、2024年度は、「既存ビジネスモデルの変革」を軸とする第7次中期経営計画の完遂とともに、外部収益機会を取込み、あわせて、中長期的な企業価値向上に向けた課題に取組みます。

■第7次中期経営計画の完遂

 第7次中期経営計画では、高品質で標準化されたコンサルティングの提供を目指して「既存ビジネスモデルの変革」に取組んできました。最終年度となる2024年度は、この変革ストーリーの効果を具現化し、お客さまや地域の課題を解決することで競合との差別化を実現します。

2023年度にリリースした個人向けバンキングアプリ・事業者向けポータル「BIZSHIP」・SFA(セールス・フォース・オートメーション)の機能を更に拡充し、全従業員のデジタルリテラシー向上にも努めます。

 あわせて、福岡銀行を中心に営業体制の見直しを進めます。具体的には、営業のカバー範囲を拡大し、複数の支店を一体運営する「エリア・ユニット制」を福岡県内で実施します。これにより、支店間の営業エリアの重複を無くし、複数の支店で柔軟に営業担当者の配置を行う等、お客さまの利便性を損なうことなく効果的・効率的な営業体制を構築します。また、エリア内でのノウハウ・情報共有や、本部担当者によるOJT(人財育成)を通じて営業担当者のレベルアップを図ります。

 加えて、M&Aや事業承継、マーケティング、ビジネスマッチング等、本業支援に欠かせない多様なソリューションを適切なタイミングで提供するために、戦略系子会社と連携した営業を実施し、お客さまの課題解決に全力を尽くします。

■外部収益機会の取込み

〈国内金利上昇への対応〉

 国内金利の上昇が見込まれる中で、そのメリットを最大限享受するために、「粘着性の高い預金」「適切な貸出金利鞘」「有価証券運用におけるリスク・リターンの最適化」が重要です。

 国内金利が上昇する中、ネット銀行を含めて預金の獲得競争が激しさを増しています。今後、市場環境に応じた適切な預金金利の設定に加えて、給与振込や口座振替、各種ローンや新NISA等、決済や取引と紐づいた「粘着性の高い預金」が重要です。

 そのために、デジタルを活用した利便性の高い金融サービスの提供に加えて、Face to Faceならではの丁寧で温かみのある接客サービスに努め、当社グループをメインとするお客さまの拡大を図ります。

 貸出金利の運営についても、営業の基本方針である「お客さま本位」の考え方に変わりはありません。まずは、お客さまの課題解決のお手伝い、個人のお客さまには、新NISAを活用した資産形成や家計の見直し等の「ライフプラン・コンサルティング」、事業者さまには、販路拡大のお手伝い等の「本業支援」に取組みます。そうしたサポートの中で、ご融資金利についても丁寧にご説明させていただきます。また、金利上昇局面では固定金利の借入ニーズや金利の先高感を意識した資金需要も想定されますので、これらのニーズにも適切に対応します。

 有価証券運用においては、短期から中期の円債投資を中心に、リスク・リターンの最適化を図りながら、国内金利の上昇によるメリットを享受する方針です。

〈半導体関連ビジネスの推進〉

 当社グループでは、「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けて、企業の資金需要に留まらない様々なニーズへの対応、企業誘致への参画、台湾企業の日本進出支援等に取組みます。

 また、九州経済の持続的な成長に向けて締結した「九州・沖縄地銀11行連携協定」を通じて、TSMCを中心とする新たなサプライチェーンへの地場企業の参入支援、シンジケートローン組成による大型資金需要の取込み、地場企業の脱炭素コンサルティング等に取組みます。

■みんなの銀行の黒字化に向けた対応

「みんなの銀行」がサービスを開始してから3年が経過しました。

 少子高齢化に起因する人口及び預金の都市圏集中という将来の環境変化に対応するため、スマホ専用のデジタルバンクを設立、全国の若年層を中心に顧客基盤を広げています。

 また、複数のパートナー企業とBaaS事業による連携を開始しており、中間決済事業者を介さないパートナー企業とお客さまとの口座直接決済、パートナー企業の従業員やお客さまとの預金やローン取引等、一定の成果を上げていますが、現時点で黒字化に向けた蓋然性を高めるには至っていません。

 みんなの銀行が有する「パブリッククラウドを活用した革新的かつ柔軟な勘定系システム」と「新しいビジネスモデル」は、他社にはない先進性であり、今後の当社グループの成長に貢献するものと考えます。

2024年度は当社グループの総力をあげて、ローンビジネスの確立と拡大、全国に顧客基盤を有する企業との連携によるビジネス展開に注力します。

■中長期的な企業価値向上に向けて

〈ROEの向上〉

 第7次中期経営計画では、目標経営指標にROE6%を掲げています。一方、当社グループの株主資本コストは7-8%と認識しています。したがって、2025年度からスタートする次期中期経営計画ではROE8%、将来的にはROE10%を目指します。

 当社グループでは、ROEの向上に向けて、2017年から与信審査における採算のモノサシとしてRORA(リスク・アセット対比収益率)を採用しており、営業担当者を含めて全社に浸透しています。ただし、中長期的な目標であるROE10%の達成には、RORAの引き上げが必要です。そのため、法人部門は、お客さまに対する本業支援の中で、お取引に見合った貸出金利鞘や手数料をいただくことで、RORAの改善につなげます。また、ストラクチャードファイナンス等の強化により、法人部門全体のRORAを引き上げます。個人部門は、ローン残高や投資信託残高の積み上げとともに、人員の適正配置を進め、一人当たりの収益性を改善します。

〈技術革新への対応〉

 昨今、急速な広がりを見せる生成AIは、業務効率化や営業生産性の向上、新たなビジネス創出のコアテクノロジーとして大きな可能性を秘めています。そのため、当社グループでは、2023年度から社内規程集の参照、融資稟議の作成業務等において、AIの活用を試行し、その有用性の高さを確認しました。

 この4月、DX推進本部内にAI戦略グループを新設し、足元のAIを活用したシステム導入による既存業務の効率化に留まらず、AIを前提とした抜本的なビジネスプロセス改革に取組むこととしました。

 引き続き、進化する生成AIをはじめとする技術革新を迅速かつ適切に取込み、当社グループの成長につなげます。

〈人財戦略〉

 当社グループの事業戦略を実現するためには、高度な専門スキルを持った人財が必要です。ここ数年、新卒採用者の育成・配置とあわせてキャリア採用を積極的に進め、事業戦略に必要な人財ポートフォリオの構築を進めています。

2024年度は、「ソリューション人財育成プログラム」等、人財のリスキリングや、デジタル分野・投資銀行部門等を中心にキャリア採用を強化します。

 人財戦略におけるもう1つの柱は「従業員エンゲージメント」の向上です。従業員の「FFGへの理解・共感」につながるよう、社内コミュニケーションに努めます。また、過去2回実施したエンゲージメント調査の結果を踏まえて改善策を策定・実行します。

 加えて、初任給の引き上げやベースアップ等による従業員の処遇改善、外部出向を含めたオーダーメイド型の人財育成、女性社員のキャリア形成支援等のDE&I推進等、当社グループの成長に向けた人的投資に積極的に取組みます。

〈持続可能な地域社会への貢献〉

 当社グループは、地域と成長をともにする地域金融機関として、自社のCO2排出量削減はもちろん、地域の脱炭素化を目指しています。

 その実現に向けて、2023年度に投融資先のCO2排出量(Scope3 カテゴリー15)を開示しましたが、削減に向けたアクションプランやScope3を含むネットゼロに向けた取組みの具体化が必要です。

2024年度は、当社グループが算出した物理的リスク・移行リスクのシナリオ分析結果や、投融資先のCO2排出量算定結果をもとに、取引先との対話を実施します。また、当社グループ独自のESG/SDGsのスコアリングサービス「Sustainable Scale Index」の活用により、取引先の脱炭素化に向けた課題を見える化し、その解決に向けて、サステナブルファイナンス等のソリューションを提供します。

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