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星1つ 企業スクウェア・エニックス・ホールディングス  企業概要

 文中の将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、下記の企業理念体系「パーパス/バリューズ 」を新たに制定しました。

 パーパス:「無限の想像力で、新しい世界を創り出そう。」

 バリューズ:「心にまで届けよう」「全力で挑戦しよう」「すばやく先駆けよう」「みんなで高め合おう」「進化し続けよう」「誠実であろう」

 この新企業理念体系の下、当社グループは、日々変化するエンタテインメント業界において、お客様のニーズを捉え、当社グループ社員の想像力を活かした魅力あるIPの開発、そしてIPを起点としたゲームやコミックス、ミュージック、アミューズメント施設など多様なコンテンツを世界中のお客様に提供することで、グループ一丸となって成長し続ける企業を目指します。

(2) 経営戦略等

 当社グループは、今般、新中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)として、「Square Enix Reboots, and Awakens~さらなる成長に向けた再起動の3年間~」を策定致しました。

 前中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)において、海外3スタジオ及び一部IP売却によるポートフォリオ整理、収益基盤としてのMMO事業拡大、出版事業における安定的成長フェーズへの移行、アミューズメント事業のV字回復実現、ライツ・プロパティ等事業の継続的成長といった成果があった一方、HDゲーム(HD)事業の低収益性、スマートデバイス・PCブラウザ等(SD)事業の成長減速、会社全体としてのポートフォリオ管理が不十分であること、および一部の経営管理基盤が未整備であること等、大きな課題も浮き彫りになりました。

 これらの課題を解決し、確かな面白さをもつバラエティ豊かなコンテンツを世界中にお届けする存在へと進化すべく、新中期経営計画の3か年を「さらなる成長に向けた再起動の3年間」と位置づけ、下記の4つの戦略を実行していく所存です。

① デジタルエンタテインメント(DE)事業の開発体制最適化による生産性向上

② コンタクトポイント(顧客接点)強化による収益獲得機会の多様化

③ 経営基盤の更なる安定化に向けた各種施策の導入

④ 成長投資と株主還元のバランスを勘案したキャピタル・アロケーション

① デジタルエンタテインメント(DE)事業の開発体制最適化による生産性向上

・「確かな面白さ」をお届けする「量から質」への転換

DE事業における中長期ポートフォリオの考え方として、「量から質への転換」を推し進めてまいります。そのために、第一に、当社グループ社員の想像力から生まれる独創性のコンテンツへの反映(プロダクト・アウト)と、お客様の声やマーケットトレンドへのキャッチアップ(マーケット・イン)をバランスよく開発プロセスに組み込んでいきたいと考えます。

 また、お客様に長く愛されるポテンシャルの高いタイトルに人材と開発投資を重点的に配分し、各IPを支えるタイトル開発を担うコアチームの練度向上を図ります。さらに、全体ポートフォリオおよび個別IP双方の観点から最適な頻度とタイミングを考慮したローンチスケジュールを可能とする重層的なタイトルラインナップ構築を目指していきます。

・スクウェア・エニックスならではの「面白さ」を届けるタイトル開発に注力

 タイトル開発においては、以下の点を重視していきたいと考えます。

 まず、大・中規模のHDにおいては、安定した「面白さ」をベースにファン層の維持・拡大に努めるとともに、SDタイトルについては、安心して長く遊べる「面白さ」をベースに、ヒットレシオ向上を目指します。

 新規IPにおいては、新たなファン層開拓に向けて、新規性・独創性のある「面白さ」を重要視し、タイトル開発を行ってまいります。また、当社グループが保有する豊富なライブラリーIPの活用によるカタログラインナップの強化にも挑戦してまいります。

・スクウェア・エニックスならではの「面白さ」を生み出す開発体制の整備

 社内開発体制を刷新し、内製開発力を強化すべく、事業部制組織モデルであるBU制を廃止し、開発機能に重心を置いた一体運営型の組織体制を導入しました。また、社内開発体制の刷新に加えて、「個」のクリエイティブと「組織」のマネジメントが調和した開発推進体制への転換をすべく、プロデューサーおよびそれに付随する職種のミッション再定義と社内支援体制整備、タイトル開発進捗管理プロセス全体の見直しによる開発投資効率向上を行ってまいります。

② コンタクトポイント(顧客接点)強化による収益獲得機会の多様化

・マルチプラットフォーム戦略への転換

HDタイトルについては、任天堂プラットフォーム、PlayStation、XboxやPCを含む、マルチプラットフォーム展開を強力に推進してまいります。そのために、主要IPタイトルおよびAAAタイトルは、カタログタイトルも含め、より多くのお客様に遊んでいただける環境をグローバルで整備していきます。

SDタイトルについては、iOS/Androidに加え、PC等のローンチも選択肢として検討していきます。また、ローンチ時の新規ユーザー獲得や運営開始後の継続的なユーザー獲得の最大化を図っていく所存です。

・デジタル販売強化による当社タイトル群の継続的コンタクトポイント構築

 まず、新作タイトルのデジタル販売において、タイトルローンチ時のプロモーション施策におけるデジタル販売への導線強化を推進してまいります。次に、豊富なカタログタイトルライブラリーの収益獲得機会創出等によるカタログタイトル拡販を通じた収益基盤の強化を目指してまいります。さらに、PCユーザー獲得にフォーカスした各種取り組みの推進も検討してまいります。

・パブリッシング機能の高度化によるお客様とのインタラクション創出

 国内におけるパブリッシング関連組織の一体運営推進を目指し、旧BU(開発事業本部)に点在していたマーケティング機能を集約し、共有知拡大と重複機能排除による効率化推進と、セールス機能とマーケティング機能の連携強化を企図した新たなレポートラインの導入に取り組んでまいります。

 さらに、HDおよびSDタイトルのローンチキャンペーンにおけるCRM・データアナリティクスの活用等、ファーストパーティーデータ(自社保有データ)の活用によるマーケティングの高度化に対応していきます。

・IPの多面展開による新たな収益獲得機会創出への挑戦

 クロスメディア戦略のさらなる推進による新規市場へのアプローチを推進してまいります。具体的には、グローバルマーケットに特化したIPビジネス開発専門部署の新設による、ライセンスビジネスのエリア拡大を図っていきます。また、IPの多面展開を推進する組織体制を構築し、ライツ・プロパティ事業関連組織の統合によるシナジー創出を目指してまいります。

③ 経営基盤の更なる安定化に向けた各種施策の導入

・海外事業部門の機能及び組織構造の見直し

 ヨーロッパ、アメリカ両拠点の機能及び組織構造の見直しとそれに伴うコスト最適化に取り組んでまいります。具体的には、国内開発部門の新組織発足に対応した組織構造の再設計を目指していきます。また、国内外における当社グループ間での協業を促進し、ロンドン開発拠点の機能を強化してまいります。例えば、国内各部門(クリエイティブスタジオ・パブリッシング)との緊密な連携やグループ横断での人材活用を推進していきたいと考えております。

・国内事業における「創造力と生産性」の両立に向けた組織・人事関連施策群の導入

 新たなタレント発掘を企図した抜擢登用のチャンス拡大に加え、意思決定機構の簡素化を図ることで、フラットな組織体制を構築していきます。

 また、開発部門における一体運営型組織体制に呼応した人事施策を導入してまいります。具体的には、開発部門一体となった、採用・昇格・マネジメント任命制度の整備、導入を進めてまいります。

 さらに、新入社員への研修・育成システムの再構築や若手・中堅社員の能力伸長をサポートする各種社内プログラムの導入を進めていく所存です。

・PDCAサイクルを高速で回す事業インフラ整備

 事業活動のさらなる可視化に資する管理会計制度の精緻化を推進してまいります。また、ハイブリッド勤務体制下で社員の生産性を最大化する各種インフラへの投資、および開発部門の「クリエイティビティ」をサポートする魅力的なオフィス環境の整備等、開発環境整備に伴う設備投資を行ってまいります。

④ 成長投資と株主還元のバランスを勘案したキャピタル・アロケーション

 成長投資と株主還元のバランスを勘案したキャピタル・アロケーションの方針を策定し、3か年累計戦略投資枠(成長投資または株主還元)として最大1,000億円を設定致しました。

 成長投資については、企業価値向上に資する投資機会を厳選し、かつ自社事業の知見を活用するとともに、業容拡大及び安定化を企図したインオーガニック投資の実施を検討してまいります。

 一方、株主還元については、配当性向30%を基本方針とする通常配当に加え、これまでの当社のキャピタル・アロケーションのあり方を見直し、戦略的な投資機会や財務状況、株価状況等を勘案した上で、機動的な自己株式取得を可能とする取得枠200億円(2024年5月14日~2025年5月13日)を設定いたしました。また、1株当たり配当額における内訳(中間配当及び期末配当)について見直しを実施致しました。

 当社グループでは、これらの取り組みを通じて、さらなる企業価値の向上に努めていく所存です。

(3) 経営環境

 家庭用ゲーム市場は、デジタル化をはじめとした技術の進化によって、コンテンツの提供形態がパッケージ販売から、ダウンロード販売といったデジタル化へのシフトに加え、ビジネスモデルが従来の売り切り型から、フリートゥプレイ、ゲーム内課金、サブスクリプション等に多角化しており、今後も成長が見込まれています。新作においては、一部の大型タイトルに人気が集中することにより、タイトルの成否が顕著に表れる傾向となっています。

 モバイルゲーム市場は、スマートフォンの性能向上により、ゲーム体験に対する顧客ニーズが高まり、ゲーム設計やビジネスモデルが多様化しています。また、スマホゲームのグローバル化、マルチデバイス化によって、コンテンツの大型化がみられており、市場規模は、今後も成長が見込まれています。国内においては、上位のタイトルの固定化が目立つ一方で、アジア地域の企業が国内市場における存在感を増したことによって競争がさらに激化し、新作タイトルのヒット率が低下しております。

 アミューズメント市場は、コロナ前の状況に戻り、国内の施設売上高は安定的に推移しています。

 出版(コミック)市場は、紙媒体の売上高が減少する一方で、コミックアプリ等による電子書籍の売上高が伸長しています。スマートフォンでコミックを読むことが定着しており、今後も電子書籍市場についてはグローバルで成長が予測されています。

 ライツ・プロパティ等事業を取り巻く環境としては、ユーザーの嗜好の多様化に合わせて幅広い商品・サービスが多様なチャネルで展開されています。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(2)経営戦略等を参照

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、下記の通り、3つの財務目標数値を設定致します。

・DE事業全体の安定的な利益創出を実現し、かつ、2027年3月期連結営業利益率15%を目指します。

・3か年累計の戦略投資枠(成長投資または株主還元)として、最大1,000億円を設定いたします。(2024年5月14日~2025年5月13日において200億円の自己株式取得枠を設定)

・資本効率を意識した経営にシフトし、ROE10%以上の達成を目指します。

(6) ESGへの取り組み

 当社はESG(環境保護・社会的責任・企業統治)への取り組みを通じて社会に貢献し、企業価値の向上と持続的成長の実現を目指しています。

 環境保護への取り組みとして、当社はパッケージゲームのダウンロード販売を促進することにより、パッケージ商品の物流に伴う排出ガスの削減、マニュアルやゲームパッケージの電子化による資源の節約などに取り組んでおります。さらに、パッケージ商品においても、リサイクル可能な素材を使用するなど、環境への負荷を最小限に留める事業活動に努めております。

 社会的責任への取り組みとして、当社は、お客様が安心して遊べるように、国内外で販売される家庭用ゲームソフトについて、各販売国・地域のレーティング制度を遵守しています。日本でのレーティング制度は、特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(略称CERO)が実施し、ゲームの表現内容に基づいて対象年齢を表示しております。また、当社は、当社が加盟する業界団体である一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が制定した「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン」を遵守し、有料ガチャ(金銭もしくは金銭で購入できる仮想通貨を直接の対価として行うことができるランダム型アイテム提供方式)で提供されるアイテムについて、全てのアイテムとそれらの提供割合を表示することによって、お客様の購入判断に役立てていただいております。このように、当社は法令や業界ガイドラインを遵守して、お客様により安心・安全なゲームプレイ環境とサービスを提供しております。

 企業統治については、株主のみなさまを始め、当社を取り巻く全てのステークホルダーの利益を尊重し、良好な関係性を維持することが当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値最大化の実現に必要不可欠と考えています。当社は、企業統治の一層の強化を目的として、監査等委員会設置会社制度を採用しております。社外取締役のみで構成する監査等委員会を設置することにより監視機能を強め、経営の健全性の維持を図っております。さらに、経営と執行の分離を明確にするため、業務執行を代表取締役に集約しており、「職務権限・業務分掌規程」に定める客観的基準のもとに、会社経営方針を決定する取締役会と業務執行に係る個別の意思決定を行う経営陣を明確に区分しております。これにより、経営判断の適正化と業務執行の効率化の両立を図っております。

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