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星2つ 企業兼大株主フジクラ  企業概要

 当社グループでは、環境問題やエネルギー問題など社会課題解決を通じた事業の持続的発展を目指し、エネルギー・情報通信事業部門、電子電装・コネクタ事業部門(エレクトロニクス事業部門・自動車事業部門)を中心に新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、新事業創生・研究開発部門、及び各事業部門内の開発部にて実施しています。

 [新事業創生・研究開発部門]

 情報通信サービスの多様化に伴い、高速・大容量のデータを扱う無線通信技術や、通信網を支える光技術に革新が求められています。また、データ量の増大に伴い、データセンタでの消費電力は指数関数的に増大しており、従来の化石燃料や原子力に代わる環境負荷の少ないエネルギー源が求められています。新事業創生・研究開発部門では、これらの社会課題に対し、当社既存事業とも親和性の高い「ミリ波応用」「次世代光通信」「次世代エネルギー」の3分野を中心とした研究開発をすすめています。

(ミリ波応用)

 「5G」(第5世代移動通信システム)の本格普及に向けて、移動体通信基地局や、基地局への中継回線網、固定通信網ラストマイルなどの次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。当社は、米国IBM社よりライセンスを受けたミリ波高周波半導体(IC)技術と、当社の強みであるアンテナ設計・基板製造技術を組み合わせ、すべて自社開発で5G向けミリ波帯製品を実現します。現在サンプル出荷中の28GHz帯5G向けアンテナ一体型高周波モジュールは、アンテナ、IC、フィルタを統合しており、自社開発の強みを生かしてさらなる高性能・高機能化を目指した製品開発を行っています。当社は、ミリ波無線デバイス技術を通じて5G時代に求められる高速・大容量無線通信網の構築に貢献します。

 8K映像による遠隔監視など、産業用途の自営無線通信システムに利用される60GHz帯無線通信モジュールの開発を進めています。2023年度中の製品化を目指す本モジュールは、2Gbps超の通信スピードや500m超の長距離伝送など、世界トップクラスの性能を実現するとともに、各国の無線認証を取得して出荷されるため、お客様は60GHz帯の通信・産業機器をより短期間・低コストで開発可能となります。当社は、5G向けに加え、手軽に使える自営システムに適用可能なミリ波製品を開発・提供することで、目的に応じた多彩な次世代高速無線通信網の展開をサポートします。

(次世代光通信)

 将来の高密度・大容量伝送に向けて、光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)の実用化に向けた開発を進めています。2022年度は、標準クラッド外径でコアが4個のMCFの評価として、288心の4コアMCFを実装したMCFケーブルをダクトに敷設し、ケーブル両端に576個の入出力デバイスを融着接続したビル間のフィールドリンクを構築し、光学特性の調査を行いました。200心を超える実用的な心数を備えたMCFケーブルでは世界初のフィールド敷設実験であり、2023年3月に米国にて開催されたOFC2023※にて発表しました。また当社は国立研究開発法人 情報通信研究機構 (NICT) の委託を受け、NTT、KDDI総合研究所、他のファイバメーカーと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めています。一方、MCFの実用化のためにはコアがひとつの汎用光ファイバとの接続技術も重要であり、その入出力デバイス、接続技術など周辺技術の確立により実用化を加速させます。

※OFC : Optical Fiber Communication Conference。光通信に関する最大規模の主要国際学会の一つ。

(次世代エネルギー)

 レアアース系高温超電導線材は、液体ヘリウムを使用しない次世代の高温超電導機器を実現する製品としてエネルギー分野、医療や分析、産業機器などへの応用・展開が期待されています。当社はレアアース系高温超電導線材の開発および量産技術開発を精力的に進め、世界トップレベルの性能を実現しています。最近ではカーボンニュートラル実現のために欧米を中心に高温超電導線材を用いた核融合発電の開発が精力的に行われており、当社製品を採用したお客様より高い評価を得ています。当社は、今後も高温超電導線材の更なる長尺化、低コスト化に向けた活動を行っていくと共に、応用開発も進め、カーボンニュートラル社会の実現に向けて研究開発、事業化を進めて参ります。

 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は150億円であります。

[エネルギー・情報通信事業部門]

 「5G」(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)など多様な情報通信サービスの普及にともない、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。当社では、既存設備を有効利用しながら経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以降、SWR®&WTC®)技術を用いた様々な新製品を開発し、上市しています。2022年度は、かねてより開発してきた難燃性・低発煙特性を有する難燃性光ケーブルが、欧州・北米を中心とした通信ネットワーク網等に採用されました。また、空気圧送敷設に適したAir Blown WTCは、最大心数1008心のタイプを加えることで製品ラインアップの充実を図りました。当社は今後もSWR®&WTC®の技術を活かした革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。

 これらの光ケーブルの接続点に使用される光コネクタの高性能化、および、小型化開発を進めています。2022年度は、既存製品のSWR®&WTC®の片端末または両端末に取り付けた牽引端付きMulti-Fiber Push On (MPO) 成端ケーブルを開発完了しリリースするとともに、更なる細径化開発をいたしました。また、今後、高密度・大容量伝送が進展することを受けて、小型・高密度収容の光コネクタ開発を積極的に進めて参ります。2022年度は、現存の主力多心コネクタであるMPOの1/3のフットプリントで実装可能な、ミニ多心コネクタ(MMC)について、従来の16心に加え、24心タイプを開発しました。さらに光コネクタ接続作業部において、先端のキャップ取り外しをなくしてお客様の作業性を大きく向上させたOne-Click® Cleaner PROシリーズを開発し、リリースしました。一方、伝送装置周辺や装置基盤で使用される光コネクタの小型化、高性能化、および高機能化開発にも注力しています。2022年度は、データセンタ、長距離通信市場で必要とされる大容量高速通信伝送装置に関して、LSI近傍で光ファイバを接続する方式であるCo-Packaged Optics用に、PANDAファイバおよびSMファイバ付き多心コネクタ結線品を開発しました。

 光ファイバケーブルの敷設工事等で使用される光ファイバ融着接続機や、光部品の製造等で使用される特殊光ファイバ用融着接続機を開発しています。特殊光ファイバ用融着接続機は、細径から大口径までの光ファイバを接続可能であり、2022年度はこの用途で使用される光ファイバカッタと光ファイバリコータを上市しました。光ファイバリコータは、融着接続した光ファイバのガラス部分をUV硬化樹脂で再被覆する装置です。光ファイバカッタでは従来切断前に光ファイバのたわみを防止する部材の位置合わせ作業が必要でしたが、これを『自動で位置合わせする機能』を、光ファイバリコータではUV硬化樹脂注入機構の見直し等により『作業時間約25%短縮』を実現しました。今後もより安定で、より速く、確実な作業を可能とする製品を開発することで、光ファイバの敷設効率や光部品製造効率の改善に貢献していきます。

 金属のマーキング、溶接、切断で使用されるレーザ加工機の市場では、従来の固体レーザから、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの切り換えが進んでいます。ファイバレーザでは、従来空間を伝搬していたレーザ光をファイバで導光することにより、レーザ光の扱いが安全かつ容易となり、様々な加工機やバイオ分析、医療分野などへの応用が可能となりました。当社は、光通信用ファイバや光部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2021年度からは、安定した供給が課題となっている半導体などの電子デバイス製造装置向けに、用途に応じて最適な特殊ファイバを用いたパルスファイバレーザの開発・製品化を進めており、これからも電子分野の旺盛な需要に応えていきます。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は102億円であります。

[電子電装・コネクタ事業部門]

 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、メンブレン※、コネクタ、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器との連携が強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、近年需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。

※メンブレン:銀などの金属インクを樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板。

(PC事業部門)

 FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。また、車載用途として、バッテリ監視用途などの車両の電動化や、先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。加えて、医療、ウェアラブル用途などの特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。

 メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓しています。さらに伸縮性基板上に配線を形成したストレッチャブルメンブレンを応用した商品の開発を進め、新たな用途への展開を進めています。

(コネクタ事業部門)

 コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途では、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化や、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、NC工作機やロボット、半導体製造装置に対応した小型・防水・多芯の製品ラインナップ拡充を進めています。また5G関連の通信用途向けコネクタの開発や、自動車用途における自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタの開発に注力しています。

(電子部品事業部門)

 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に応えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器では、非常に限られたスペース内で高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらを実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。

 センサについては、空圧機器市場や医療市場の要求に応え、また製品ラインナップを強化するため、高分解能デジタル出力圧力センサは量産フェーズに移行し、小型圧力センサは量産化に向けた開発を継続しています。

 サーマル製品については、高性能化が進むスーパーコンピュータやハイエンドサーバ、市場の拡大するデータセンタ用サーバ向けに、CPUの発熱量や発熱密度の増加に対応するため水冷式クーリングユニット、及び空冷式ヒートパイプモジュールの高性能化に向けた開発を進めています。また、IGBT等パワー半導体向けに、大容量に対応したベーパーチャンバやヒートパイプ製品の高性能化に向けた開発を進めています。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は19億円であります。

 (自動車事業部門)

 自動車の高機能化に伴う電装品への小型軽量化のニーズに対応した細径・軽量電線や、半導体ヒューズや半導体リレーを内蔵した小型電源分配ボックス、CASEに代表される分野の技術革新に対応した新商品・新技術の開発を推進しています。

 Connected(コネクテッド)とAutonomous(自動運転)の分野では、車載LANの高速化ニーズに対応した1G~10Gbpsの高速通信ハーネスや、10Gbps以上の超高速通信ハーネスの開発を推進しています。Electric(電動化)の分野では、車両の電動化ニーズに対応した、高屈曲細径ケーブルや高電圧電源分配ボックスなどの開発を推進しています。さらに、カーメーカーの車両開発期間短縮を実現するハーネス製造シミュレーションシステムの開発や、BCPの一環として生産自動化システムの構築を推進しています。

 また、カーボンニュートラルに向けた産業政策「グリーン成長戦略」により、今後拡大が見込まれる電気自動車の充電インフラの領域においては、急速充電ケーブルコネクタの開発を推進しています。電気自動車の台数増加や搭載されるバッテリの大容量化に伴い、充電時間短縮や充電渋滞解消を目的に、高出力急速充電コネクタ規格の整備が進められています。当社では、国内初となる液冷方式のケーブルコネクタを開発し、2023年から最大出力200kW級の急速充電器への搭載を開始しました。更なる高出力化のニーズに対応するため、最大出力900kWに適合した液冷方式のケーブルコネクタの開発にも取り組んでいます。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は10億円であります。

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