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星3つ 企業昭和シェル石油  企業概要

(1) 対処すべき課題

 石油事業におきましては、少子高齢化の進行、低燃費車の普及、省エネルギー化の推進などによる石油製品の国内需要低下が構造的な問題として継続する中、将来において国内需給バランスの悪化が危惧されています。これを背景に、第二次高度化法が告示され、石油精製元売り各社は、平成29年3月末までに製油所の残油処理能力の向上を果たす義務が課されました。当社グループは、既にコスモ石油株式会社との四日市地域における事業提携により、本義務を満たす方策を決定済みであり、上記期限までに実行する予定です。かかるアクションを通じて、単に第二次高度化法へ対応するだけにとどまらず、国内への石油製品の安定供給体制を十分に確保しつつ、さらに効率性を高め、競争力を強化してまいります。また、平成29年度は、当社グループ製油所において大規模な定期修理が予定されており、安全操業に向けた取組みを徹底すると同時に、環境配慮や競争力向上に向けた投資を積極的に行ってまいります。石油製品の販売におきましても、これまで展開してまいりました差別化戦略をさらに推進するとともに、長期的な視点で今後のサービスステーションモデルの検討を進めてまいります。

 太陽電池事業におきましては、国内市場において産業用メガソーラー発電所向けの新規需要が鈍化しているほか、外国為替の変動やパネル販売価格の下落で収益性が低下しているといった課題があります。その一方で、システムコストの低減により、国内の住宅用太陽光発電におけるグリッドパリティ(太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電コストが、通常の系統電力のコストと同等となること)はほぼ達成されているほか、経済産業省が推進するZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業などを背景に、将来的に住宅用需要は拡大していく見込みです。さらに、独自の技術に基づくCIS薄膜太陽電池(*1)は、平成23年に国富工場が稼働を開始して以降も、現在に至るまで継続してパネルの出力(変換効率)が向上しており、将来に向けても更なる出力改善と生産コストの低減が期待できます。このような状況を踏まえ、将来にわたり安定した需要と高い収益性が見込まれる国内ルーフトップ市場(*2)へ注力するべく、平成29年7月に、住宅専用太陽光発電システム「SmaCIS(スマシス)」の発売を予定しております。また、新たな市場の開拓やビジネスモデルの構築を目指し、研究開発を加速させ、戦略商品の投入を進めてまいります。

 電力事業におきましては、少子高齢化や省エネルギー化の推進などで国内電力需要は漸減傾向にありますが、電力市場の自由化により、当社のような競争力のある自社発電源を有する事業者にとっては、今後も十分に成長余地があると考えております。引き続き、競争力がある電源の開発・確保を検討していくとともに、より安定的で収益性の高い販売ポートフォリオの構築に向けて取り組んでまいります。

 以上のように、各事業分野で諸課題に全力で取り組むとともに、出光興産株式会社との経営統合を実現し、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として最大限の飛躍を遂げるべく邁進してまいります。

*1 CIS薄膜太陽電池

:銅(Copper)、インジウム(Indium)、セレン(Selenium)を主成分として、当社の独自技術で生産する次世代太陽電池であり、実環境下での発電能力やデザイン性に優れ、カドミウムを含まず環境に優しいことが特徴です。

*2 国内ルーフトップ市場

:国内の屋根に設置される太陽光発電システムの市場の総称であり、一般家庭向けの住宅用と、工場・商業施設などの産業用に大別されます。経済産業省が推進するZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を背景に省エネ対応が期待されており、太陽光発電システム需要も着実に伸長するとみられています。

 このような企業活動を進める根底として、当社グループが求めるコンプライアンスとは、単なる法令遵守にとどまらず、社会が求める価値観や倫理観に基づき「誠実」「公正」かつ「他を思いやること」を念頭に行動することであり、社会的責任を果たし持続的成長を実現するため、グループ全体で統一的基準に則り「ぶれないコンプライアンス活動」を継続することが重要であると考えております。今後も引き続き、当社が定める「行動原則」と「健康、安全、危機管理および環境保全(HSSE)に関する基本方針」をグループ全体で共有し、その周知徹底を図ってまいります。

(2) 中期経営アクションプランについて

 当社は、中期経営アクションプラン(以下「本アクションプラン」といいます。)において、「石油事業の収益力強化」、「太陽電池事業の競争力強化」、「電力事業の展開」、「成長の芽の育成」を戦略の柱として掲げ、平成25年度から平成29年度までの5年間を実施期間として、これらの戦略を継続的に実行してまいりました。

 本アクションプランは、石油事業において、国内最高の収益性を確立すること、太陽電池事業において、グローバル市場でも十分に競争力を有する事業体制を構築すること、電力事業において、発電源を多様化しつつスピード感をもって発電能力を拡大していくことを企図しています。

 平成28年度までの4年間において、当社は、「ダントツプロジェクト」を通じた構造的コスト削減やサプライチェーンの各分野における付加価値向上の実現、コスモ石油株式会社との連携を通じた第二次高度化法対応と当社グループ製油所における競争力向上、高性能プレミアムガソリン「Shell V-Power」などの販売促進を通じた差別化戦略の推進を実行してまいりました。

 平成29年度は、本アクションプラン実行の最終年度として、これまで実行してきた施策の効果を確実に生み出し、当社の競争力を確固たるものにし、強靭な収益体質を有する総合エネルギー企業となることを目指してまいります。

 なお、当社は、先述のとおり、現在、出光興産株式会社との間で経営統合の実現に向けた協議を継続して進めております。経営統合が実現した後の中期的な経営戦略につきましては、別途改めて策定し、株主の皆様にお知らせいたします。

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