JKホールディングス 【東証スタンダード:9896】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティの基本方針と取組み
当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応について、その積極的な取組みが、事業運営におけるリスク低減のみならず、収益獲得の機会にもつながり、また当社が企業理念として掲げる「快適で豊かな住環境の創造」の実現に不可欠の重要事項であると認識しております。
この考えの下、サステナビリティ基本方針の策定や、サステナビリティ経営を推し進める体制整備を行うとともに、中期経営計画「Further Growth24」の柱として「持続的成長を目指した連結経営基盤強化」「社会課題解決型ビジネスの推進」を掲げ、循環型社会構築に向けた取組みを強化しています。
(2)気候変動に対する取組み(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)
① ガバナンス
当社グループではサステナビリティ推進基本方針に基づき、事業機会の拡大と社会課題の解決を目的とした活動方針を定める「サステナビリティ委員会」を取締役会の諮問機関として設置し、3ヵ月に1回開催しております。当委員会は代表取締役社長が委員長を務め、委員長が指名するメンバーにて構成されております。 気候変動対応は当委員会の重要課題の一つとして位置付けられており、当委員会の事務局を担い、サステナビリティを巡る課題への取組みの推進主体であるサステナビリティ推進室より提案・報告された活動方針の妥当性や、進捗状況の評価を行うとともに、当委員会にて決定された事項については取締役会に適宜、報告をしております。
② 戦略
当社グループは気候変動を含むサステナビリティの幅広い課題に対して議論を深めるべく、サステナビリティ委員会の下部組織として「サステナビリティ検討部会」を設置し、気候変動対応に伴う事業運営上のリスクと機会・戦略の検討について当部会に属する「営業推進ワーキンググループ」で議論を行っております。当ワーキンググループにおいては今後の中長期的環境変化を見据えた戦略の妥当性や課題を把握すべく、事業活動および資源の固有の状況や、物理的リスクについて想定される事業活動・期間・資産の耐用年数などを考慮したシナリオ分析を行っています。
また、移行リスクについては法制化、技術開発、市況に係わる潜在的なシナリオに基づき評価し、事業活動に与える気候関連のリスク(物理リスクおよび移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
当該シナリオ分析における定量的財務影響評価(インパクト評価)については、影響を及ぼす関連パラメーターを精査し、今後段階的に分析を進めてまいります。
<主な移行リスク>
[影響]世界的に導入が検討されている炭素税の導入及びその他環境規制によるコスト増加の可能性があります。
[対応]当社グループにおける中核事業は建築資材の卸売業・小売業であるものの、電力使用に付随したGHG排出量の相対的に多い製造業を有することから、炭素税の導入による財務影響は大きいものと認識しております。当社グループ全体として省エネ設備への入れ替えや、太陽光パネル等の創エネ設備の導入、効率的な物流網構築を推進することにより、当社グループにおけるGHG排出量を削減し、この影響をできるだけ早期に減らしていく考えであります。
[影響]森林保護政策強化に伴う出材の減少や、再造林コスト上昇による木材調達コスト増加の可能性があります。
[対応]当社グループは木材を原材料とする合板・集成材の製造販売及びそれら製品の流通を全国的に実施している。当社グループは木材流通の川上である原木調達、森林経営サポート機能を持つ事業会社を有し、これら川上におけるサプライヤーとの協業・提携による量・価格共に安定した木材の調達を実施していく考えであります。
<主な物理的リスク>
[影響]全国規模での災害激甚化により、当社グループで保有、運営する工場・営業所などの事業拠点に加え、生産設備・車両が罹災し、事業継続リスクが発生する。またこれら資産の災害に起因した補修・交換のための大きなコストが発生する可能性がある。また、当社グループの中核事業が建築資材の卸売業・小売業であることから、気象災害によるサプライチェーン寸断は事業継続を不安定なものとする可能性があります。
[対応]当社グループは日本全国で事業展開をしているが、当社グループの中核企業であり、国内100拠点以上の事業所を構えるジャパン建材株式会社においては一部エリアで災害が発生した場合、被害のないエリアがサポートするべく、事業継続のBCPプランを策定済み。さらに、中期経営計画にて掲げる「連結経営基盤の強化」の一環として、災害時における他グループ会社も含めた速やかな連携・相互サポートの仕組みづくりを推進していく考えであります。
<主な機会>
[影響]環境負荷低減を目的として日本政府は2030年以降に新築されるすべての建物でZEH水準以上の省エネルギー性能を求める考えであり、当社グループが主力マーケットとする持家住宅においても、断熱性能の向上をはじめとする住宅の高性能化が期待されます。また、一部地域においては一定条件の下、住宅における太陽光パネルが設置義務化されるなど、建築資材のマーケットにおいて需要が拡大することが予測されます。これら住宅の高性能化により、当社グループにおける建築資材取扱量の増加のみならず、販売商品の高付加価値化に伴う販売単価の上昇が予測されます。
[対応]当社グループは2000社を超える建材メーカーを仕入先として持ち、これら仕入先との協業を通じ、ジャパン建材㈱が提供する「HEAT20 G2パッケージ」を例とした高性能建材のパッケージ商品の提案拡大を推し進めていきます。また、木質系建材卸に捉われずに新規需要を獲得するべく、同社においてはエアコン・太陽光・照明機器を取り扱う電材課を設立済みであり、今後需要の拡大が予測される太陽光パネルや省エネ設備の拡販を推進していく考えであります。
③ リスク管理
当社グループでは、グループ横断のリスク管理の一環として、気候変動関連リスク及び機会を判断するための評価をTCFDの提言に基づき実施しています。リスクと機会の抽出は当社グループの主要セグメントである卸売業・製造業・小売業の各事業セグメントの代表によって構成されるサステナビリティ委員会の下部組織「営業推進ワーキンググループ」を中心に行い、その財務影響評価はサステナビリティ推進室にて分析を行っております。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会において検討した後に、取締役会に報告しております。また、これら気候変動に関するリスク管理の結果は、コンプライアンス・リスク管理委員会にも共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
④ 指標とターゲット
当社グループは、事業活動に伴うGHG排出量の削減を、地球規模での温暖化防止につながる重要な課題として認識しています。2022年度、まずは自社の排出であるScope1,2の排出量の測定を開始しております。その結果を受け、排出傾向を分析し、グループ全体の削減目標、事業部門別の削減目標を決定しました。
まずはさまざまな削減策を検討し、実現可能性、事業インパクトを総合的に勘案し、2030年まで2022年度比20%(年率2.5%)の削減目標を設定しました。その進捗をモニタリングし、更なる削減にむけて検討を進めています。
(3)人的資本経営への取組み
当社及び中核企業であるジャパン建材株式会社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、「働きがいのある組織の追求」「健康経営」「生涯学習」「柔軟な働き方」の4つの軸で進めてまいりました。
① 働きがいのある組織の追求
「働きがいのある組織の追求」を人事方針とし、快適に働き続けるための働きやすさと、仕事に対するやる気や成長実感等のやりがいとを併せ持つ組織の実現に取り組んでおります。社員一人ひとりが持っている能力と無限の可能性を存分に発揮できる環境を整えることが、企業の持続的発展と高いレジリエンスにつながると考えています。
② 健康経営
社員の健康管理問題を経営課題として正面からとらえ、社員の健康保持・増進に積極的に関わることで、社員一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる環境を整えています。新基幹システムASViewの導入や積極的なデジタルシフトによるペーパーレスの推進、直行直帰の推奨等により業務効率化を進めるとともに、パソコンの自動シャットダウンや、ノー残業デーの実施等により、労働時間の適正化を図っています。
また、定期健康診断やストレスチェックの全社員の確実な受診、産業医の意見聴取に基づいた社員の健康管理、有給休暇の取得促進等により、社員の健康保持・増進に取り組んでいます。
③ 生涯学習
変化の激しい社会環境だからこそ、社員一人ひとりが自分の人生に責任を持ち、新しいマインドやスキル、知識を学び続ける必要があると考えています。私たちは「会社が社員を育てる」のではなく、「人は育つものである」と信じ、自ら学ぶための幅広い学習機会を提供していくことで、人材の成長を促進しています。
社員が自らの好奇心や置かれた環境によって、自らの学びを選べるよう、公募型研修やeラーニング環境整備を中心に置き、自律・自立的な人材の育成に取り組んでいます。また、社員一人ひとりが自分に必要な学びを客観的に把握できるよう、別業界・別業種の方々と一緒に学ぶ越境学習の機会や、自身の経験や能力、興味等を棚卸するキャリア教育の機会を充実させていきます。
目指すべき人材像を「自律・協働・共創型人材」とし、1on1ミーティング実施の推奨等、心理的安全性の高い職場環境を整えていくことで、多様な個性や考え方を受容・尊重できる組織をつくってまいります。
④ 柔軟な働き方
多様な人材の一人ひとりが持つ能力を最大限発揮してもらうには、柔軟な働き方ができる環境が不可欠です。このため当社は、地域限定総合職制度や中学校就学まで選択できる時短勤務制度、テレワーク環境等の職場環境整備を進めています。
また、上記に記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) | |
管理職に占める女性労働者の割合 | 2030年3月までに3.0% | 1.0% | |
男性労働者の育児休業取得率 | 2030年3月までに80% | 12.5% | |
労働者の男女賃金差異 | 全体 | 2030年3月までに55.0% | 53.5% |
正規 | 2030年3月までに70.0% | 67.1% | |
非正規 | 2030年3月までに61.0% | 60.7% |
変化の激しい社会環境のなかで企業が持続発展していくためには、同質的な価値観で統制された組織ではなく、多様な人材が意見を交わし、多様な価値観が尊重・調和される組織が不可欠であると考えており、女性社員、外国人社員、中途採用者等多様な人材の採用を積極的に行っています。なお、当社の属する業界において女性の活躍が相対的に遅れている実状に鑑み、特に女性の活躍推進の重要性を強く感じており、当社としても女性の持つ可能性を発揮する取組みを優先して推進することとしています。
当社は、2012年より女性総合職の採用を強化しており、採用した正社員に占める女性の比率は、2022年度時点で32.4%となっています。これにより女性の管理職候補の母集団も順調に増加してきていますが、新卒比率が高く、管理職に育つまでには期間を要するため、当社の管理職に占める女性の比率は、2023年3月時点で1.0%とまだまだ低いのが実状です。このため、採用における女性総合職の割合について今後も現状程度以上の水準を維持するとともに、管理職に占める女性比率を2030年度に3.0%にすることを目標として女性管理職の積極登用を行います。
昨年度まで管理職に占める女性比率の目標を、2024年度に5.0%としておりましたが、現実的な目標へと修正いたしました。但し、これは当社における女性活躍推進の後退を意味するものではなく、より地に足のついた計画、実行により、社内の理解を着実に得ていくことで、確実な女性活躍推進を実現するためのものであります。
さらに、多様性の確保には、「男性だから~/女性だから~」といった古い性別役割分業意識の払拭も重要であると考えており、男性の育児休業取得を推進することで、誰もが適切な働き方を選べる風土を醸成してまいります。男性の育児休業取得率は、当連結会計年度実績において、12.5%となっておりますが、働き方改革推進による男性社員が育児休業を取りやすい環境の整備と、管理職層を中心とした男性育休取得に対する理解の啓蒙を図ってまいります。
労働者の男女の賃金の差異は、当連結会計年度実績において、全労働者53.5%(正規雇用:67.1%、非正規雇用:60.7%)となっておりますが、当社では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は給与の高い管理職層の社員における男性比率が高いこと、また、勤続年数の長い社員における男性比率が高いこと、さらに、非正規の男女間においては、定年再雇用で非正規となる社員の男性比率が高いことが原因であると考えています。そのため、男女の賃金の差異の解消の方針として、管理職の女性比率を女性社員比率に対して適性に上げるとともに、女性活躍推進の取組みにより、女性の定着をさらに向上すること、公平な評価に基づいた非正規雇用者の正社員への積極登用を実行してまいります。
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