応用地質 【東証プライム:9755】「サービス業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当社グループを取り巻く経営環境
長期化するウクライナ情勢に加え、中東情勢の緊迫化などによるエネルギー価格および原材料価格の高止まり、世界的な物価上昇や中国の景気減速など、国際情勢における不確実性は高まっています。また、国内においてもコロナ禍後の社会・経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られるものの、資源・資材価格の高騰、労働市場における需給の逼迫など引き続き不安定要素を抱える状況が続いています。
こうした中で当社グループを取り巻く市場環境を見ると、国内においては、政府による「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」(2021年度から2025年度までの5年間で約15兆円程度の事業規模を想定)策定後も、改正国土強靱化基本法が成立(2023年6月)する等、公共事業分野において引き続き安定的な市場機会が見込まれます。また、国内外でのグリーンエコノミーへの政策転換の動き等が活発化しており、資源循環や生物多様性ビジネス市場の拡大も期待されます。更には、2050年までにカーボン・ニュートラルを目指す政府方針のもと、洋上風力発電等の再生可能エネルギー分野の市場拡大も予想されます。こうした点を踏まえ、当社グループの各事業の市場環境を概観すると以下のようになります。
《インフラ・メンテナンス事業》
国内においては、国土強靭化計画の進展や高度成長期に建設された各種社会インフラの老朽化を背景に、公共部門を中心にインフラの補修・維持管理や建替え等に関する需要が今後も継続することが予想されます。また、海外においても先進国を中心に同様な需要増が期待されます。
《防災・減災事業》
近年は、台風や豪雨等による自然災害が毎年のように発生・激甚化しており、そうした災害からの復旧工事の需要や災害防止のための需要、災害発生の予兆把握に関する需要などが高まる傾向があります。こうした、国土強靭化計画の進展や防災・減災意識の高まりを背景に、同事業関連の需要は今後も拡大していくことが期待されます。
《環境事業》
環境に関する社会的関心・意識は近年大きく高まってきており、当社グループが実施する環境アセスメントやアスベスト対策サービスなどに加え、脱炭素社会や資源循環型社会の形成に繋がる業務への需要が高まっていくことが期待されます。また、自然災害の多発化や資源循環という観点からも、当社グループが提供する災害廃棄物処理支援関連サービスへの需要が堅調に推移することが期待されます。
《資源・エネルギー事業》
世界的な脱炭素化の流れや政府による「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」策定に伴い、再生可能エネルギーへの関心が高まっており、当社グループの洋上風力発電関連支援サービス等に対する需要も高まっていくことが期待されます。また、政府の原子力政策の見直しに伴い、原子力発電所関連の地質調査などの需要も高まることが期待されます。
② 経営方針並びに対処すべき課題
当社グループは、こうした経営環境を踏まえ、長期ビジョン『OYOサステナビリティビジョン2030』および中期経営計画『OYO中期経営計画2026』を策定しました。『OYOサステナビリティビジョン2030』のアクションプランとして策定しました『OYO中期経営計画2026』の遂行により、社会・環境価値と事業収益を向上させ、持続可能な社会の実現への貢献を目指します。
(1)『OYO Advance 2023』の振返り
応用地質グループは、サステナブル経営の推進を基本方針とする中期経営計画『OYO Advance 2023』を通して、4つのセグメント(インフラ・メンテナンス、防災・減災、環境、資源・エネルギー)にて「社会価値」「環境価値」「顧客価値」の最大化に取り組んでまいりました。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を主軸としたイノベーション戦略にも注力してまいりました。加えて、政府のカーボン・ニュートラル方針や第6次エネルギー基本計画の策定などを背景に、再生可能エネルギー市場拡大の動きが加速するなかで、洋上風力発電関連業務を伸長させる等、着実に業容拡大を図ってまいりました。
一方で、事業環境の変化・複雑化への対応、事業活動の重複・効率性の低下等により事業収益性の向上には課題を残す結果となりました。こうした課題を踏まえた上で、『OYO Advance 2023』で得られた成果を拡大し、当社グループの持続的な成長に向けて事業収益性の向上と資本コストや株価を意識した経営のさらなる強化の必要性を認識しています。
(2)長期ビジョン:『OYOサステナビリティビジョン2030』
応用地質グループは、人と地球の課題を解決し、持続可能な社会を実現するために、これまで、培ってきた技術資産に新たな創造的技術を加え、安全・安心を技術で支えるサービスを展開してまいりました。これからも「サステナブル経営」を推進し、当社グループの多様な経営資源を最大限に活用することで、近年ますます多様化する地球規模の社会課題に対応いたします。
そこでSDGs最終年の2030年における人と地球の未来に対する社会課題を抽出し、当社グループが取り組むべきことを明確にするために『OYOサステナビリティビジョン2030』を策定いたしました。
ありたい姿を①100年企業に向けた持続的成長、②社会課題の解決に貢献する企業、③「働きやすさ」と「働きがい」を実現する企業として定め、その実現に向けてマテリアリティごとに当社グループが対応できる社会課題や貢献できることを整理しました。
(3)中期経営計画:『OYO中期経営計画2026』の位置づけ
応用地質グループは、『OYOサステナビリティビジョン2030』のアクションプランとして中期経営計画『OYO中期経営計画2026』を策定しました。
この中期経営計画では、①セグメント戦略の推進、②バランスシートの最適化、③サステナブル経営の強化を3つの基本方針とし、社会・環境価値と事業収益性を向上させ、持続可能な社会実現への貢献を目指してまいります。
(4)『OYO 中期経営計画2026』基本方針等
A.セグメント戦略の推進
a. セグメントの再編
・市場特性に即した組織・セグメントの再編による事業の効率化と収益性向上
(新セグメント:①防災・インフラ、②環境・エネルギー、③国際)
・グループシナジーの最大化と製品・サービスの見直しによる企画開発・販売力の強化
b. 未来創造・成長投資
・市場ニーズに即したイノベーション開発投資
B.バランスシートの最適化
a. キャッシュアロケーション
・ノンコア資産の売却、売上債権回転期間の短縮化推進、グループ内余剰資金の活用等による資本効
率性の向上
b. 株主還元施策
・営業キャッシュフローと余剰資金活用による株主還元施策の実施
連結配当性向50%以上、且つDOE2%以上を原則とした配当実施
機動的な自己株式取得の継続
C. サステナブル経営の強化
a. 人材戦略・働き方改革
・セグメント戦略に沿った人材ポートフォリオの拡充
・「働きやすさ」と「働きがい」の実現
b. 気候変動リスク対応
・組織活動ならびに事業活動による脱炭素(GHG排出量削減)の取組み
c. ガバナンス・コンプライアンス
・グループガバナンスの強化
・株主とのエンゲージメントの強化
・コンプライアンスの徹底
D.「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向けた対応
a. 2026年度目標:ROE6%以上、営業利益率8%以上とする。
・セグメント戦略の推進を通した事業収益性の向上
・バランスシートの最適化を通した資産/資本効率性の向上、資本構成の最適化
・株主エンゲージメント強化やESG開示情報拡充を通した資本コストの低減
- 検索
- 業種別業績ランキング