エフオン 【東証スタンダード:9514】「電気・ガス業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、資源、エネルギーの利用と供給の両面から、現代の社会が求める合理性と安全を追求し、持続可能な地球環境の実現と当社の企業価値増大の両立を目指しています。
(1)サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社グループは、2022年10月、「サステナビリティ推進委員会」及び「サステナビリティ推進会議」を設置し、当社のサステナビリティの実現に向けて、マテリアリティに取り組んでいます。
代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」は、社内取締役から構成され、グループのサステナビリティ方針、リスクと機会、中長期的な戦略、目標等について年2回以上にわたり審議を行い、審議結果を取締役会に上程しています。
取締役を議長とする「サステナビリティ推進会議」は、役職員から構成され、取締役会とサステナビリティ推進委員会で決定された方針の下、マテリアリティへの対応について計画を策定実行するとともに、各部門からの情報を集約し、目標に対する進捗状況の把握等も担っています。サステナビリティ推進会議は年4回以上開催し、会議結果をサステナビリティ推進委員会に報告しています。
② 戦略
リスクと機会を反映したマテリアリティを解決して新たな価値を創造するために、当社が行う対応策は次のとおりです。
ア.地域と産業の持続的発展に貢献
マテリアリティ | 対応策 |
森林資源の持続的かつ循環的な活用 | ・地域産木材の活用 |
・苗木育成、植林 | |
・建築廃材の利活用 | |
・資源循環利用による発電事業と山林事業の一体的経営 | |
安定的な再生可能エネルギーの供給 | ・木質バイオマス発電の発電量拡大 |
・社有林拡大 | |
・発電用燃料の安定調達 | |
地域活性化への貢献 | ・地域人材の採用 |
・関係企業との連携 | |
・地域売電 | |
・地域産木材の販売 | |
・地域からの燃料調達 |
イ.人と地球環境の未来に貢献
マテリアリティ | 対応策 |
事業活動に関わる人々の人権尊重 | ・人権方針の策定 |
・e-ラーニングによる人権関連研修 | |
脱炭素社会への貢献 | ・再生可能エネルギーの供給拡大 |
・省エネによるエネルギー需要量最小化と再エネによるCO2排出量最小化の同時推進 | |
・社有林拡大、森林管理高度化によるCO2吸収量の増加 | |
・カーボン・クレジットの創出 | |
・温室効果ガスの削減 | |
森林生態系の保全・水源涵養 | ・環境林の保全 |
・水源涵養保安林の管理 | |
・地域特性に応じた樹種の選定、育成、植林 | |
・植林面積・本数の拡大 |
ウ.事業運営基盤の強化
マテリアリティ | 対応策 |
多様な人的資本の強化 | ・人材育成方針・社内環境整備方針の策定 |
・多様性確保のための目標設定 | |
労働安全衛生の確保 | ・安全衛生方針の策定 |
・安全衛生教育 | |
・安全衛生の継続的な改善 | |
リスクマネジメントの強化 | ・事業継続計画(BCP) |
・サイバーセキュリティ対策 | |
・化学物質の管理 |
③ リスク管理
サステナビリティに関連するリスクについては、サステナビリティ推進委員会において識別を行い、内部統制委員会でその管理を行い、取締役会に報告しています。また、サステナビリティに関連するリスク対策の実行は、サステナビリティ推進会議にて行うものとし、その実施状況を内部統制委員会に報告します。
なお、内部統制委員会では、全社的なリスク管理を行っていますが、統合的リスク管理の高度化に向けて、引き続きリスク管理体制について検討を進め、適宜見直していきます。
④ 指標及び目標
「(2)気候変動関連情報開示タスクフォース(TCFD)に沿った情報開示の④ 指標及び目標」、「(3)「人的資本・多様性」に関する事項の② 指標及び目標」に記載しています。マテリアリティに関するその他の指標及び目標は、2023年度から検討を深化し、具体化を図っていきます。
(2)気候変動関連情報開示タスクフォース(TCFD)に沿った情報開示
気候変動は、最も重要な社会課題の一つであり、エネルギー事業や山林事業を営む当社グループにとっても、解決すべき経営課題です。2022年9月、当社はTCFD提言への賛同を表明しました。また、取り組むべきマテリアリティの一つとして、脱炭素社会への貢献を掲げています。今後は、提言を踏まえ気候変動の影響に関する検討や戦略・目標策定、開示に取り組みます。
① ガバナンス
気候関連のリスクと機会については、「(1)サステナビリティ全般①ガバナンス」に記載のガバナンス体制のもと、取締役会による監視と代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ推進委員会」による評価と管理を行っています。
② 戦略
<前提となるシナリオ>
当社では、脱炭素社会実現に向けた厳しい規制が課され気候変動の進展を抑えられた世界を想定した1.5℃シナリオと、規制が強化されず気候変動が進み台風や集中豪雨等の自然災害が激甚化する世界を想定した4℃シナリオを想定し、リスクと機会及び対応策について検討を行いました。
1.5℃の世界では、2050年まで道のりとして、政策と法の執行及びテクノロジーの進展などにより、カーボン・ニュートラルが達成されるシナリオを検討しました。
カーボン・ニュートラルとなる2050年までには、化石燃料の使用が削減され、再生可能エネルギー発電が拡大するとともに、大型車両はハイブリッド化を経て電動化が進むことが予測されます。
この際、最終的にカーボン・ニュートラルを達成するにはオフセットが必要となり、森林由来カーボン・クレジットが重要な役割を果たすものと考えられます。
<影響度の定義>
当社への事業にあたえる影響 大:30億円以上、中:30億円未満、5億円以上、小:5億円未満
<シナリオ分析に基づく当社のリスクと機会>
気候変動に関わる制度、市場、気象などの変化は、当社の事業活動にとってリスクとなりうる一方で、当社の事業構成上、大きな事業機会であると考えています。当社ではサステナビリティ推進会議の下、TCFD開示作業部会を設け、2022年10月より2023年2月まで、上記前提によるシナリオ分析に基づき気候変動の移行機会とリスク及び物理リスクの定性評価及び定量評価を行い、その結果についてサステナビリティ推進会議に報告し、サステナビリティ推進委員会、取締役会にて特定をしました。この際、1.5℃シナリオは、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のWEO2022(NZE)、4℃シナリオは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書(RCP8.5)、第6次評価報告書(SSP5-8.5)を利用して分析しました。特定した主なリスクと機会、当社への影響と対応策は下記の通りです。
移行機会とリスク
区分 | 事業環境 | 機会/リスク | 当社への影響 | |||
内容 | 2030年 | 2050年 | ||||
政策と法 | ・規制強化によりカーボンプライシングの導入が進み、非化石エネルギー、クレジット取引、脱炭素関連事業の市場が拡大する | 機会 | ・脱炭素規制強化による再エネ需要の拡大 | ・木質バイオマス発電事業、電力小売事業の売上増加 | 中 | 大 |
・カーボン・プライシングの導入による森林の新たな付加価値の向上 | ・社有林の森林由来クレジットの販売による収益拡大 | 中 | 大 | |||
リスク | ・気候変動、脱炭素対策規制への対応 | ・燃料輸送コストの増加、対策設備・重機導入コストの増加 | 小 | 中 | ||
市場 | 機会 | ・環境保護意識の向上に伴う、中高層建築物等への国産木材の需要拡大 | ・木材価格の上昇及び販売量の増加による収益拡大 | 中 | 中 | |
リスク | ・木質バイオマス発電所の増加を受けた、燃料チップ調達環境の変化 | ・燃料チップ調達コストの増加 | 中 | 大 | ||
テクノロジー | ・技術革新を受けた発電コスト低減により非化石電源の導入が進む | 機会 | ・省エネ(素材、技術、手法等)の技術革新 | ・省エネ事業範囲、機会の拡大による売上増加 | 中 | 大 |
・早生樹(※1)・エリートツリー(※2)の普及 | ・販売量の増加による収益拡大 | 小 | 中 | |||
・技術開発により、エネルギー利用効率化や林業のイノベーションが進む | リスク | ・競合する再エネ電気の発電コスト低下 | ・FIT・FIP後の木質バイオマス発電事業、電力小売事業の売上減少 | 小 | 大 | |
評判 | ・社会の意識変化により、気候変動への取組状況が企業評価に影響 | 機会 | ・森林再生・環境貢献型企業に対する評価の高まり | ・企業価値、ブランド力の向上 | 中 | 大 |
・省エネ、木質バイオマス発電・電力小売、山林事業の売上増加 | ||||||
リスク | ・再エネ定義の見直し | ・木質バイオマス発電の持続可能性評価の厳格化 | 中 | 大 |
※1.早生樹:「早く」「成長する」「樹種」の総称です。一般的には、スギやヒノキに比べて初期の樹高成長量や伐期までの材積成長量の大きな樹種を指します。10年から25年位の比較的短伐期での収穫が可能で、センダン・ユリノキ・チャンチンモドキ・コウヨウザン等の種類があります。(出典:近畿中国森林管理局)
※2.エリートツリー:各地の山で選抜された精英樹(第1世代)の中でも、特に優れたものを交配した苗木の中から選ばれた、第2世代以降の精英樹の総称です。主に成長性が改良されており、特に初期成長の早さが特徴です。材質や通直性にも優れています。(出典:森林総合研究所)
<対応策>
(政策と法、市場、テクノロジー)
・純国産木材活用による森林資源循環型の再生可能エネルギーとして、木質バイオマス発電事業と電力小売事業を積極的に展開
・エネルギー消費量削減に寄与する革新技術の早期導入による、省エネルギー支援事業強化
・社有林の拡大と維持管理、苗木生産、植林を推進し、森林由来クレジットの創出
・林業就業者の人材育成を進めるほか、高性能林業機械、ICT、早生樹・エリートツリーの導入を進め、山林経営を効率化
・効率化された社有林から燃料調達量の拡大を進め、FIT・FIP後を見据えた燃料調達と発電コスト低減
・各拠点で使用する重機・大型トラックのハイブリッド化、電動化や電力の再エネ化等による、GHG排出量の削減
(評判)
・ステークホルダーへの情報開示による、企業価値向上
・純国産木材由来の木質バイオマス発電と山林の一体的な経営による、資源の循環再生や持続可能性に関する発信の強化
物理リスク
区分 | 事業環境 | リスク | 当社への影響 | |||
内容 | 2030年 | 2050年 | ||||
急性的 | ・気候変動に起因する水害等の自然災害の増加 | リスク | ・異常気象による自然災害リスクの拡大 | ・送電機会の損失、復旧や対策建設費の増加 | 中 | 中 |
・燃料チップ調達障害、調達コスト増 |
<対応策>
・事業継続計画(BCP)による対策強化
・燃料調達網の強化
③ リスク管理
気候関連リスクについては、「(1)サステナビリティ全般③リスク管理」に記載の、サステナビリティに関連するリスクの一部として管理しています。
④ 指標及び目標
<Scope 1,2の排出量算定結果>
当社グループの2022年4月から2023年3月までのGHG排出量は、以下の通りです。
Scope1(当社グループによる温室効果ガスの直接排出) :134,268t-CO2
Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出):
300t-CO2(マーケット基準)
576t-CO2(ロケーション基準)
※ 温対法係数を活用した推計値です。今後は実測値に基づく排出量算定を予定しております。
<2030年の目標及び指標>
Scope1,2の算定結果やシナリオ分析の結果も踏まえ、2030年までの目標と指標を下記の通り設定しました。
シナリオ分析結果にもある通り、気候変動に関わる制度、市場、気象などの変化は、当社の事業構成上、大きな事業機会であると考えています。この機会を生かしグループの成長を加速させるための更なる目標と指標についても、今後随時開示していきます。
イ)木質バイオマス発電の発電量拡大による当社の成長と社会のカーボン・ニュートラルへの貢献
木質バイオマス発電量 2021年度:5億kWh 2030年度:10億kWh
ロ)社有林の拡大及び伐採後の植林により、森林吸収量を拡大して気候変動抑制に貢献するとともに、カーボン・クレジットを創出しオフセットに寄与
2021年度:森林CO2吸収量 3,040t-CO2
2030年度:森林CO2吸収量 6,000t-CO2
<2023年度以降の取組>
2023年度以降にスコープ3を算定するとともに、毎年度、2050年までのカーボン・ニュートラル達成のために必要な予算措置を講じ、当社グループとして各種取組を推進してまいります。
(3)「人的資本・多様性」に関する事項
当社グループは、対処すべき課題でも触れた通り、専門的な人員の確保、育成の継続を重要としております。これらの実現には、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進を計画的に具現化することで多様な人材の採用や、ワークライフバランスを考慮した働き方改革を継続することで多様な働き方を取り入れてまいります。加えて、社員一人ひとりの健康こそが、事業発展の基礎であるとする、健康経営を推進します。こうした施策を合わせることにより、社員の定着率や働き甲斐のある職場環境の実現に取り組んでまいります。
人材育成方針については、人的資本価値を高めるために経営戦略と人材戦略、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲の連動が不可欠であることから、現場実践を重視した教育を中心に検討し戦略・目標策定を実現してまいります。
① 戦略
当社グループの人材育成に関する方針等につきましては、中長期的な企業価値向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、主に以下の取り組みを通じ人材育成と社内環境整備に努めております。
<人材育成の主な取組み>
・ダイバーシティマネジメント(多様性を活かす組織づくり)にスコープした、管理職(部長級、課長級)向けのマネジメント研修実施。
・バイオマス発電所に特化した技術の習熟度を測りグループ全体の技術力の向上を目指す、「グループ技術技能検定」の実施。
・異なるバックグラウンド、知識、スキルを持った社員一人ひとりが相互啓発し合うことで自律的な成長を促すとともに企業全体のリスク管理の一環としてハラスメント、コンプライアンス、情報セキュリティの各種研修をデバイスに固定せず実施できるよう環境と機会を整理。
<人的環境整備の主な取組み>
当社グループは、社員一人ひとりの健康保持増進を経営の重要課題の一つであると捉え、社員が将来にわたり健康でいきいきと働けるよう、様々な活動に取り組んでおります。
2023年3月8日には、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人制度」において「健康経営優良法人2023」(中小規模法人部門)に認定されました。
・育児・介護休業法を上回る施策として、看護休暇の行事目的利用も含め、看護休暇、時短勤務、残業制限等について小学校4年生の始期まで利用可能とし仕事と両立できる環境を整備。
・定年再雇用の同一労働同一賃金の実施。
・地域選択雇用制度の導入で地域に紐づいた働き方を制度導入。
・多様な働き方としての副業制度の導入。
・定期職場巡回による面談を実施し職場環境や心身の健康フォローアップ並びに継続的なサポートを行っております。
② 指標及び目標
当社グループは、上記「① 戦略」において記載した人材育成の主な取組み及び人的環境整備の主な取組みに関して次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
各戦略 | 人事KPI | 実績(2023年6月期) | 2025年6月期 | ||
多様性の確保 | 男性育休取得人数 | 3 | 人 | 5 | 人 |
人材強化 | 研修受講人数 | 延べ375 | 人 | 延べ400 | 人 |
職場環境の整備 | 育児休業復帰率 | 100 | % | 100 | % |
有給休暇取得率 | 85.4 | % | 86 | % | |
ストレスチェック受験率 | - | % | 90 | % |
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