企業兼大株主東北電力東証プライム:9506】「電気・ガス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1) 東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」

当社企業グループは、再生可能エネルギーや分散型エネルギーの普及拡大や事業基盤を置く東北6県・新潟県における人口減少に起因する社会課題の顕在化等を大きな事業環境変化と捉え、2020年2月に東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」を策定しました。 

「よりそうnext」では、事業環境変化を踏まえ、大規模系統電源による電力供給事業の競争力を徹底強化すること、分散型エネルギーを主体的に活用すること、社会課題を事業機会と捉えてその解決に挑戦することを事業転換の着眼点とし、電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の収益化を通じ持続的に利益を創出しながら、「東北発の新たな時代のスマート社会」の実現に貢献していくこととしております。

 また、再生可能エネルギーの導入拡大や電力小売全面自由化以降の需給・収支の構造変化に伴う収益性低下を抑止し、成長のための資源投入を加速するため、“キャッシュ創出力”に着目した指標として「連結キャッシュ利益」を財務目標として採用し、達成すべき最低限の水準として「2024年度に3,200億円以上」を設定しました。

※連結キャッシュ利益=営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)

これまで、電力供給事業の構造改革として、燃料調達から発電・卸売のバリューチェーンの最適化や、変動費・固定費全般の抑制等を進め、スマート社会実現事業の収益化としては、太陽光や蓄電池等の分散型電源を活用したエネルギーサービスや、各種の生活・産業関連サービスのご提案等を進めてきました。

(2) 至近の事業環境

「よりそうnext」実現に向けた取り組みには一定の進捗が見られるものの、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻に端を発する国際情勢の緊迫化に伴う燃料・電力調達価格の高騰、及び同年3月に福島県沖で発生した地震等の影響を受け、収支・財務ともに東日本大震災発生直後の水準を下回る状況にあります。また、同年6月以降は、燃料価格が燃料費調整制度の回収上限を超過し、その超過分を当社が負担する「逆ザヤ」の状態が続きました。

 これに対し、当社では、高圧以上のお客さまの電気料金単価の見直しを2022年11月と2023年4月に行い、2022年12月からは低圧自由料金プランでの燃料費調整制度における上限価格設定の廃止等をさせていただきました。加えて、2023年6月からは、小売規制料金の値上げと低圧自由料金の料金単価等の見直しを実施しております。また、東北電力ネットワーク株式会社においても、2022年9月より「電気最終保障供給約款」を変更し、卸電力取引市場価格の平均実績を反映する「市場価格調整額」を新たに導入しました。

 このように、足もとの燃料・電力市場の価格の高騰は当社企業グループの事業運営に大きく影響していますが、国際情勢等を踏まえると、このような電気事業運営上の高いボラティリティは当面継続するものと想定しており、事業運営全般におけるボラティリティの抑制と利益確保の両立が重要と捉えております。

 また、2023年1月には、当社及び東北電力ネットワーク株式会社において、新電力のお客さま情報等の不適切な取り扱いを行っていた事案が判明しました。当社企業グループとしては、このたびの事案は、電気事業運営の根幹を揺るがすものと重く受け止めており、再発防止対策の徹底はもとより、従業員の一人ひとりが、業務遂行上のあらゆる場面で公益事業者としての高い倫理観を持ち、ステークホルダーのみなさまからのご信頼の確保に努める所存です。
 

(3) 2023年度東北電力グループ中期計画における課題と対応

2023年度東北電力グループ中期計画においては、「収支と財務基盤の早期回復」・「『よりそうnext』の実現」の観点から具体的な取り組みを展開します。

「収支と財務基盤の早期回復」については、経営全般の徹底的効率化をベースとしながら、家庭向け・法人向けのサービス提案を強化するとともに、原子力発電所の再稼働を果たすことにより、2023年度の営業黒字を確保し、利益の早期積み上げを図ります。

 これと並行して、引き続き、電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の収益化にも取り組むことで、中長期的な成長の基盤を整え、「よりそうnext」具体化の加速・実現を目指します。

<2023年度中期計画期間における経営展開の基本認識>


<経営効率化の取り組み概要>

着眼点

主な効率化の取り組み

高騰する燃料・電力の調達コスト抑制

熱効率向上、秋田4号廃止時期変更、低品位炭調達拡大、

LNG契約方法多様化

強靭な事業体質の構築に向け、

事業全般の固定費を抑制

業務効率化、退職給与金削減、競争発注拡大、

情報システム管理効率化、火力発電所の定期点検の長周期化

 各事業における取り組みは以下のとおりです。

■発電・販売事業

(発電・卸売)

 経年火力の着実な休廃止(秋田火力発電所第4号機:2024年7月廃止予定)を進めるとともに、火力発電の将来的位置付けや制度措置等を踏まえた電源リプレース等の検討を行い、競争力の確保に努めます。また、火力脱炭素化に向けたFS(事業性調査)・実証を加速させつつ、燃料調達スキームの検討を進めます。

 事業環境のボラティリティの抑制と利益確保の両立に向けては、需給最適化と戦略的な燃料調達・発電・卸売を進めます。最適な調達先・調達量・契約体系等を組み合わせた燃料ポートフォリオを構築しつつ、トレーディング機能(東北電力エナジートレーディング株式会社)を通じ、先物市場の拡大も捉えながら最適化や事業機会を追求します。卸販売に際しては、内外無差別な交渉機会の確保と販売利益最大化の両立を図ります。

(原子力)

 事業運営のボラティリティの抑制に加え、エネルギーセキュリティの確保やカーボンニュートラルへの挑戦等の観点から、原子力は当社企業グループにとって重要な電源です。女川原子力発電所第2号機は、2023年11月の工事完了、2024年2月の再稼働、同年4月の営業運転再開を目指し安全対策工事に取り組んでおり、当社企業グループにとっての最重要課題の一つとして、引き続き地域のご理解をいただきながら安全最優先で準備を進めます。また、防災体制整備・運転体制強化、教育訓練実施等により、再稼働後の安定運転に万全を期していきます。加えて、再稼働後のさらなる経済性向上に向け、安全確保を最優先に、競争発注拡大等のコスト低減を図ります。

 東通原子力発電所第1号機・女川原子力発電所第3号機についても、再稼働に向けた対応を進めるとともに、女川原子力発電所第1号機については、廃炉作業を着実に継続していきます。

(再生可能エネルギー)

 当社企業グループでは、2030年代早期に200万kWの新規開発を行うことを目標としており、引き続き地域と共生する新規開発を進めます。一方、新規開発のみならず、既存発電設備の適切な維持・更新によるパフォーマンス向上にも取り組みます。また、当社企業グループとしての開発体制の最適化に資するべく、当社と東北自然エネルギー株式会社との間で風力、太陽光、地熱発電の事業再編を行っており、本体制下で開発を推進していきます。

 カーボンニュートラルの潮流が加速する中、再生可能エネルギーについては、開発面のみならず、当社企業グループ各社のノウハウ・強みを合わせ、バリューチェーン・ライフサイクル全般を通じた事業機会の獲得が重要と考えております。このため、VPPや法人向けオンサイト・オフサイトPPA、家庭向け太陽光・蓄電池サービス、風力発電のメンテナンス等による収益拡大を図りつつ、お客さまニーズを捉えた事業モデルの構築を進めていきます。

(スマート社会実現事業)

 電力調達価格が高騰している状況を踏まえ、電力小売の展開に当たっては、市場動向・需要動向を的確に捉え、相対取引・市場取引等を組み合わせた最適な電源の確保を進めます。

 また、お客さまの負担軽減につなげるため、従来のオール電化に、電気の使用量を抑制できる太陽光発電や蓄電池の「創エネ・蓄エネ」のシステムや、電気以外のさまざまなサービスを組み合わせ、安心・快適でエコな暮らしにつながる「スマートライフ電化」や、省エネメニュー、エネルギーソリューション等のサービス提案を強化します。

 このほか、当社企業グループ各社において、お客さまのニーズやお困り事等を起点とした商品・サービス開発を強化し、お客さまにおけるカーボンニュートラルへの対応のニーズの高まりを踏まえ、再生可能エネルギー電気のご提供や関連サービスのご提案を進めます。また、ご好評いただいている「すまい安心サポート」(電気設備・水回りのトラブルサポート)に加え、空き家管理サービス等の新たなサービスの提供エリア拡大や、周辺ビジネス領域の開拓を進めます。


 家庭向けには、東北電力フロンティア株式会社においても、「くらしのシンプル保険」や「トキメクくらしの家計ご相談サービス」を始めとするお客さまの暮らしに彩り・トキメキにつながるサービスのご提案を進めております。引き続き、当社及び東北電力フロンティア株式会社が両社の強み・ノウハウを活かすことで、当社企業グループだからこその価値のご提案に努めます。この他、ご家庭向けには、これらサービスご提案の入り口となる「よりそうeねっと」会員獲得や、ライフスタイルのサポートにつながる自由料金プランのご提案等も強化します。法人向けにも、当社企業グループが一体となった開発・販売を強化します。各社が保有する商材を組み合わせ、ワンストップでのご提案を行うことで、お客さまの事業活動に最適なソリューションをご提供します。

 現在、スマート社会実現事業については、当社企業グループが強みを持つ「次世代エネルギーサービス領域」、「電気+サービス領域」をコアに事業基盤の構築を進めていますが、これと並行して新たな事業育成に取り組んでいきます。

■送配電事業

2023年4月から導入された新しい託送料金制度(レベニューキャップ制度)のもと、必要な投資や安定供給を確保しながら効率化を着実に実現します。

 安定供給の確保に向けては、計画的な設備改修・補修、効率的な設備保守・設備形成等を通じ、送配電網の的確な形成と運用を行います。

 また、再生可能エネルギーの導入拡大のためには、系統整備・運用の高度化が重要となります。大規模基幹系統整備への着実な対応(東北北部電源接続案件募集プロセス、東北東京間連系線等)や、日本版コネクト&マネージ等による既存系統の有効活用、再生可能エネルギーの出力予測精度向上を図ることでこれに努めていきます。

 さらに、中長期的視点での新規事業と電力需要の拡大として、保有資産やノウハウを活用した収益機会の獲得、エリア需要の拡大に向けた企業誘致の支援も進めます。

■ガバナンス -企業倫理及び法令遵守の徹底

2023年1月以降、当社において、東北電力ネットワーク株式会社が管理する当社以外の小売電気事業者のお客さま情報を当社従業員が閲覧していた事案(東北電力ネットワーク株式会社において非公開とすべき情報が漏えいしていた事案)などが確認され、当社及び東北電力ネットワーク株式会社に対し、電力・ガス取引監視等委員会からの業務改善勧告等がなされました。

 東北電力グループとして、引き続き、社員一人ひとりの意識・行動変革、運用面の各種ルールの整備等を行い、二度と同様の事案を発生させないよう、企業倫理・法令遵守及び再発防止策の徹底に努め、ステークホルダーのみなさまからの信頼回復に努めます。


 ガバナンスについては、企業倫理・法令遵守の徹底のみならず、様々な側面からこれを強化することが重要と考えております。自然災害や燃料・電力等の市場環境、電気事業制度等の規制環境、さらにはサイバーリスク等、当社企業グループを取り巻くリスクが多様化している点に鑑み、「統合リスク管理方針」・「統合リスクマネジメント会議」のもと、リスクの認識、分析・評価、対応策の検討・実施によるリスク管理活動を展開していきます。

 また、社会要請や事業環境等を踏まえた実効性のあるコーポレートガバナンス体制の維持・充実や人的資本等のESG情報開示の充実化による、ステークホルダーとの積極的なコミュニケーションも進めていきます。

■財務目標・成長投資

2023年度の営業黒字確保、女川原子力発電所第2号機の再稼働等により収支をV字回復させ、「よりそうnext」における財務目標(2024年度の連結キャッシュ利益3,200億円以上) を達成します。

「よりそうnext」の実現には、成長分野への投資を行い、これを収益化することが必要と考えております。再生可能エネルギー事業(送配電網の系統増強等を含む)とスマート社会実現事業を成長分野と位置付け、2030年頃までに4,000億円程度を投資し、それぞれの事業拡大と収益化に取り組みます。この際、財務健全性と資本効率性のモニタリングを行い、財務規律を踏まえた投資判断を徹底していきます。


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