企業兼大株主中部電力東証プライム:9502】「電気・ガス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。

 なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。

(1)事業環境の変化

2023年度の燃料価格は,世界的な暖冬の影響や欧州の天然ガス高在庫傾向等の需給緩和により,ピーク時に比べ低位に推移した。また,卸電力取引市場価格も低位に推移した。これにより,2023年度の期ずれを除いた連結経常利益は,3,710億円程度の利益を確保することができた。しかしながら,先行きを不透明にする事象として,世界の気候や景気等の動向に起因する燃料需要の大幅な増加,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスク,為替変動リスクも含めた燃料価格のボラティリティが高いことや,物価高騰,小売事業の競争激化,電気事業の制度変更などがある。

 また,出力が不安定な自然変動電源が大量導入される中,異常気象等による想定外の需要の増加や悪天候による太陽光発電量などの低下が重なり,さらに設備のトラブルが発生した場合や資源国において不測の事態が生じた場合などには,日本国内における需給状況が悪化することが懸念される。

 このような事業環境の変化に対して当社グループは,再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整や水力発電所の安定的な運用,JERAによる最新鋭の火力発電設備へのリプレース,休止火力発電所の再稼働やJERAの燃料トレーディング子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達による安定的な燃料確保,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などにより,グループ一丸となってエネルギーの安定供給を継続する。

 収支安定化に向けては,国内エネルギー事業において電源調達ポートフォリオの最適化や市場リスク管理の高度化などに引き続き取り組んでいく。加えて,新成長領域やグローバル事業のさらなる拡大などを通じて,持続的な成長を実現し,中期経営目標の達成を目指していく。

 長期的には,生成AIなどを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより,産業構造の変化及び電力需要の増加が見込まれる。脱炭素化に向けては,「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX(グリーントランスフォーメーション)推進戦略)が閣議決定されるなど,2050年カーボンニュートラル実現への取り組みが進められており,社会構造そのものが大きく変容していくことが見込まれる。

 これらを背景に,第7次エネルギー基本計画の策定が行われているとともに,あらためて「S(安全性)+3E(安定・安価・環境への適合)」を実現する安定供給メカニズムの再構築に向け,電力システム改革全体の検証が進められている。

 このような中,当社は,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給の確保と脱炭素化された安心で安全な分散・循環型社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大に取り組んでいく。

 また,当社を取り巻く環境が大きく変化する中,機動的な意思決定と,より高度なガバナンスの両立をこれまで以上に進めるため,2024年6月開催の定時株主総会において監査等委員会設置会社への移行を決定した。

 ただし,産業構造の変化などに的確に対応できない場合や,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクに起因する影響の拡大,各種市場における想定と異なる制度見直しの実施など,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

①燃料・電力価格の変動等

 当社グループの電源調達費用は,LNG,石炭,原油,卸電力などの市場価格及び為替相場の変動により影響を受ける可能性がある。これに対して中部電力ミライズでは,これら価格のボラティリティが高い中においても,お客さまに安定して電気をお届けするため,燃料価格に加え卸電力取引市場価格の変動を反映させる燃料費調整の仕組みの導入など一部料金メニューの見直しとともに,電力先物取引や通貨オプションなどを始めとしたヘッジ取引により,調達価格の安定化を実施している。これらにより財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は緩和される。

 なお,足元の燃料価格が低位に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいる経営努力を踏まえ,2024年度においても2023年度と同程度となる電気料金等の負担を軽減する施策などを実施している。

JERAなどによる燃料調達や中部電力ミライズなどによる市場などを通じた電力調達において,調達先の分散化,契約の長期化・柔軟性の確保など,燃料・電力等の市場変動に影響されにくい事業構造への移行を行っている。加えて,市場変動性の高まりを踏まえリスク管理の高度化や市場価格変動に柔軟に対応した販売施策に取り組んでいく。

 ただし,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクに起因する影響の拡大,長期化などの政治・経済・社会情勢の悪化や天候の変動,調達先の設備・操業トラブルなどにより,需給状況や市場価格が大きく変動することがある。これらのリスクの顕在化に伴う,調達費用の増減,調達価格と販売価格の差異,電力の市場価格・卸価格の変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

②競争等への対応

DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の進展などにより,産業構造が変化するとともに電力需要が一部地域を中心に増加が見込まれている。中部地域および中部電力グループを選んでいただくべく,グループ全体で的確に対応していく。

 また,足元での卸電力取引市場価格の低位推移による調達環境の改善などにより,厳しい競争環境が継続している。

 中部電力ミライズでは,これまでの電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとの「つながり」をもとに,脱炭素などのビジネス上の課題解決を実現するサービスや,お客さまのくらしを豊かにするサービスの提供を進めている。

JERAは,最新鋭の火力発電設備へのリプレース,休止火力発電所の再稼働などを通じた追加供給力の確保などによる安定供給確保に取り組むとともに,燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めていく。

ただし,産業構造の変化などに的確に対応できない場合や,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクのさらなる高まりによる調達環境の悪化,競争激化や景気動向・気温変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

③新成長分野の事業化

 当社グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指していく。不動産事業においては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通・森林経営などの地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めていく。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与していく。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦していく。

 また,当社は,株式会社東芝及びそのグループ会社の企業価値向上を目的とするTB投資事業有限責任組合に,有限責任組合員として1,000億円を出資することを2023年9月21日付で決定した。本出資は,東芝が安定した経営基盤を構築し,同社の企業価値を大きく向上させることに貢献するものであり有意義な投資機会であると考えている。

 グローバル事業においては,再生可能エネルギーなどの「グリーン領域」,水素・アンモニアなどの「ブルー領域」,マイクログリッド・アジア配電事業などの「小売・送配電・新サービス領域」及び地熱発電などの「フロンティア領域」の4領域を組み合わせて最適なポートフォリオを形成し,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。

 なお,当社は,2016年7月1日付で会社分割により海外発電・エネルギーインフラ事業をJERAへ承継した取引について,2022年12月17日に,メキシコ税務当局から約759億円(2022年12月時点の為替レートに基づく)の納付を命じる更正決定通知を受領した。本通知の内容は,日墨租税条約及びメキシコ税法に反する不合理なものであることから,2023年2月10日に,当局に対し行政不服審査を申し立てた。加えて,日墨租税条約に基づく両国税務当局間の相互協議も実施中である。

 また,足元では資機材価格高騰などにより,投資環境が悪化していることから,グローバル事業をはじめとする新成長分野における事業への投資を厳選するとともに,適切なリスク評価と定期的なモニタリングを実施している。

 ただし,これらの事業が,他事業者との競合の進展やカントリーリスクの顕在化などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

④地球環境保全

 国の2050年カーボンニュートラル宣言のもと,脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)が成立するなど,地球環境保全に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。

 当社グループでは,「中部電力グループ環境基本方針」に基づき,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。

 具体的には,2030年頃に向けた再生可能エネルギーの拡大目標(保有・施工・保守含む)に関し,320万kW以上を目指すとともに,安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の活用,水素・アンモニアサプライチェーンの構築,アンモニア転換技術の確立に向けた碧南火力発電所4号機における実証実験の着手,非効率石炭火力発電のフェードアウト,火力発電のさらなる高効率化,再生可能エネルギー接続可能量の拡大に向けた電力系統設備・運用の高度化,需給運用の広域化,「ミライズGreenでんき」をはじめとするCOフリーメニューの多様化などのあらゆる施策を総動員し,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO排出量を2013年度比で50%以上削減」を達成する。さらに,イノベーションによる革新的技術実用化・採用を通じ,「2050年までに,事業全体のCO排出量ネット・ゼロに挑戦」していく。

 また,気候変動に伴う重要なリスクについては,社長が議長を務めるリスクマネジメント会議で審議,経営計画に反映し,取締役会で決議したうえで,適切に施策を実施している。

 ただし,化石燃料賦課金や排出量取引制度などのカーボンプライシング制度をはじめとした今後の規制措置への対応に加え,非化石価値の動向や技術革新などを踏まえたビジネスモデルの変革を当社グループが的確に実施できない場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

⑤金利及び物価・賃金の上昇等

 金利の上昇については,当社グループの有利子負債残高のうち89.2%は,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は短期的には限定的である。

 物価・賃金の上昇については,効率化努力等で吸収することに努めていく。また,取引先の置かれた状況の把握に努め,適切な価格により取引先の皆さまと対等な立場で公平・公正な取引を実施している。

 ただし,金利・物価・賃金の上昇が継続する場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

(2)原子力発電設備の非稼働

 原子力政策については,2023年2月には「GX実現に向けた基本方針」の閣議決定がなされ,同年5月には「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(GX脱炭素電源法)」が成立した。

 当社では,浜岡原子力発電所全号機の運転停止から10年以上が経過しており,現在,3・4号機について,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けているところである。2023年9月の審査会合において,基準地震動について「概ね妥当」と評価された。基準津波の審査についても着実に進捗しており,「概ね妥当」の評価が得られた後は,プラント関係の審査などに対応していく。

 福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は概ね完了している。今後も,審査対応などにより必要となった追加の設備対策については,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。

 また,現場対応力の強化に向けた教育・訓練の充実や防災体制の整備を図るなど,発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。加えて,更なる原子力安全性の向上にむけて,社外有識者の知見を活用している。

 当社グループは,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる電源調達費用の大幅な増加などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける見込みである。

 また,新規制基準への対応などに伴う浜岡原子力発電所の運転停止状況の継続や当社グループが受電している他社の原子力発電設備の運転停止状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

(3)原子力バックエンド費用等

 原子力のバックエンド事業は,使用済燃料の再処理,放射性廃棄物の処分,原子力発電施設等の廃止措置など,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は,使用済燃料再処理・廃炉推進機構が,再処理や廃止措置等に係る資金を確保・管理する仕組みをはじめとした国による制度措置などに基づき,必要な費用を引当て・拠出していることにより低減されている。しかしながら,原子力バックエンド費用及び原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

(4)大規模自然災害等

 当社グループの事業活動においては,南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などのリスクが存在する。

 当社グループでは,これらの事象が発生した場合に備えて,BCP(事業継続計画)などを策定のうえ,設備の形成,維持,運用などの事前対策に取り組むとともに,発生後における体制の整備や訓練などを実施している。

 また,台風災害で得られた教訓などを踏まえ,アクションプランに基づき,各種復旧支援システムの整備による設備復旧体制の強化,ホームページやスマートフォンアプリによるお客さまへの情報発信の強化,自治体・他電力会社などとの連携強化に取り組んでいる。さらに,レジリエンス(強靭化・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生が予想される場合における治水協力などに取り組んでいく。

 ただし,大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などにより,供給支障や設備の損壊などが発生した場合には,その被害状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

(5)セキュリティ(経済安全保障・情報管理等)

 当社グループでは,重要インフラであるエネルギーの安定供給を確保するため,サイバー攻撃などによる電力の供給支障や機微情報漏えいのリスクに対応すべく,ガバナンス体制の強化,電力ISACなどを通じた他事業者・関係機関などとの情報共有・分析,各種セキュリティ対策や訓練などを継続的に実施している。

 特に,経済安全保障推進法の基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度の対象となる重要設備については,インフラサービスが安定的に提供されることを確保するため,関係法令に基づき,妨害行為を防止するために必要な措置を講じていく。

 今後も,国際情勢などの変化を常に注視し,サイバー攻撃に対する最新の対策を実施していく。

 また,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめとした各種情報の管理の徹底に向け,専任部署を設置し,個人情報保護法などの,関係法令に基づき,規程類を整備することに加え,教育や意識啓発活動の実施などの取り組みをこれまで以上に強化していく。

 加えて,リスクアセスメントの実施・分析を通じて,より高度なガバナンス体制の構築やITシステムの脆弱性の発見・解消,運用ルールの強化などに努め,さらなるセキュリティ確保に万全を期す。

 ただし,サイバー攻撃やITシステムの不備,情報の漏えいなどにより,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

(6)人的資本・人権

 今後,社会構造の変容が見込まれる中,変化に適切に対応していくためにも,将来を見据えた人財の確保・高度スキルの獲得等が重要な課題となっている。

 当社グループでは,この課題に対し,「一人ひとりの成長・活躍が企業価値そのもの」との考えに基づき人財戦略を公表するとともに,経営層においても多様な専門性を確保している。

 また,企業の人権に関する影響力が拡大する中,人権尊重の取り組みに対する要請は一層高まっている。

 当社グループでは,「中部電力グループ人権基本方針」に基づき,人権デュー・ディリジェンスをはじめとする人権尊重の実践に取り組んでいる。

 ただし,今後の人的資本の十分な質と量の確保ができない場合や,人権リスクが顕在化し社会的な信用の低下等が発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

(7)コンプライアンス

 当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,コンプライアンスの徹底,企業倫理の向上に努めている。

2023年3月30日,中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給について,当社は,独占禁止法に基づく課徴金納付命令を,中部電力ミライズは,同法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を,公正取引委員会からそれぞれ受領し,課徴金については,前連結会計年度において独占禁止法関連損失を特別損失に計上した。各命令について,当社及び中部電力ミライズは,同委員会との間で,事実認定と法解釈について見解の相違があることから,司法の公正な判断を求めることとし,同年9月25日に取消訴訟を提起した。

2024年3月4日,中部地区における大口需要家向け都市ガスに係る供給について,当社は,独占禁止法に基づく課徴金納付命令を,中部電力ミライズは,同法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を,同委員会からそれぞれ受領し,課徴金については,当連結会計年度において,独占禁止法関連損失を特別損失に計上した。また,中部電力ミライズは,中部地区における家庭用の都市ガス供給等に関する警告を,中部電力ミライズ及びその子会社である株式会社シーエナジー(以下「シーエナジー」)は,愛知県,岐阜県及び三重県内における液化天然ガスの供給に関する警告を,同委員会からそれぞれ受領した。

 加えて,2024年6月24日,電力・ガス取引監視等委員会は,中部地区における大口需要家向け都市ガスに係る供給について,経済産業大臣に対して中部電力ミライズへ業務改善命令を行うよう勧告を行うとともに,上記警告を受領した2事案については,中部電力ミライズに業務改善指導及び注意喚起を,シーエナジーに注意喚起をそれぞれ行う予定としている。今後命令等がなされた場合には,適切に対応していく。

 公正取引委員会からの一連の命令等を受けて,当社及び中部電力ミライズは,経済産業省などから補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等の措置を受けている。

 当社及び中部電力ミライズは,2023年4月7日に公表した「コンプライアンス徹底策」に加え,2024年3月4日に公表した「コンプライアンス徹底策の強化策」に取り組んでいくことで,二度と独占禁止法違反事案を起こさず,またそのような疑いを持たれることがないよう努めていく。

 当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすとともに,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。

 ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

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