企業兼大株主東京電力ホールディングス東証プライム:9501】「電気・ガス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。

 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

(1)カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み

 ①ガバナンス・リスク管理

 当社グループは、気候変動のリスクおよび機会を含むESG対応を重要な経営課題と認識し、当社の取締役会は責任者(ESG担当役員)を選任している。責任者は四半期ごとに業務執行状況を当社の取締役会に報告しており、当社の取締役会は、戦略、行動計画および業績目標の進捗等を確認するなど気候変動のリスクおよび機会について監督している。

 また、当社の社長を委員長とするESG委員会にて定期的にESG課題について審議しており、みらい経営委員会やリスク管理委員会と連携している。重要なテーマについては、当社の取締役会等で活発な議論を行っている。

 [東京電力ホールディングス株式会社の体制]

 ②戦略

 当社グループは、ビジョン達成に向けた価値創造を実現するための戦略として、2022年4月にカーボンニュートラルに関する事業方針を公表した。

 2019年に日本のエネルギー企業として初めてTCFD提言に賛同して以降、再生可能エネルギー発電事業会社を分社化するなど先行的な取り組みを進めており、安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けて事業構造を変革し、社会とともに持続可能な成長を実現していく。

 今後は、現在の大規模電源・大量送電から、自家発電・自家消費といった地産地消型の社会に移行していくと

 想定されるが、当社グループの強みである「電力を中心としたエネルギーに関する幅広く、また深い技術や知見」は、どのようなシナリオとなっても必要不可欠である。

 このような状況を踏まえ、当社グループは、ベースロード電源として水力・原子力・地熱を活用していくととも

 に、洋上風力をはじめとした再生可能エネルギーの開発に取り組んでいく。また、「貯めて使う」地産地消型システムを推進するため、これまでの電気(kWh)の販売事業から、お客さまに密着した設備サービス事業にビジネスモデルの軸を大胆にシフトし、お客さま設備から生み出されるエネルギー資源を集めて、需給調整・環境価値取引等のニーズに応えられるようアグリゲーション事業を展開する。

 これらの新たな事業は社会・コミュニティ等の「まち」単位で、面的に拡大していく。ビジネスモデルの変革にあたっては、設備サービス・アグリゲーション事業の全国展開を最重点分野とし、アライアンスを進めながら現在の事業体制の組み換えも含めたグループ再編も視野に入れた事業構造変革を検討していく。

 [ビジネスモデルの変革]

 ③指標及び目標

 当社グループはカーボンニュートラルの実現に向けて、当社及び基幹事業会社を対象に「2030年度に販売電力由来のCO排出量を基準年度比で50%削減(※)」、さらには「2050年におけるエネルギー供給由来のCO排出実質ゼロ」という目標を掲げ取り組んでいく。

 (※)Scope1、2、3の販売電力由来。Scope1、2は2019年度比、Scope3は2013年度比。

 [カーボンニュートラルロードマップ]

 2021年度の当社及び基幹事業会社を対象とした販売電力由来のCO排出量の実績は7,990万tであった。

 また、温室効果ガス排出量はScope1が192千t-CO2、Scope2(※)が6,108千t-CO2の合計6,300千t-CO2であ

 った。

 (※)電力購入先ごとの排出係数に基づき算定する基準(マーケット基準)にて算出している。

(2)人的資本

 当社及び基幹事業会社は、気候変動問題や燃料価格の高騰等の外部環境が大きく変化するなか、経営理念と四次総特の達成に向け、カーボンニュートラルの実現のための事業構造変革と経営基盤の強化に総力をあげて挑戦していく。この挑戦への原動力であり、持続的な成長の源である「人」をかけがえのない財産と捉え、企業価値向上に向けた人的資本への投資を積極的に進めている。

 [人財戦略]

    ※上記は当社及び基幹事業会社を対象としている。

①ガバナンス・リスク管理

 当社及び基幹事業会社は、人財の確保への対応を重要な経営課題と認識し、当社の取締役会は最高労務人事責任者(CHRO)を選任している。人財戦略や要員・採用計画に関し、当社の執行役会ならびに執行役を中心とした経営会議等で全社的な課題の抽出や対応方針について審議し、CHROが四半期ごとに業務執行状況を当社の取締役会に報告しており、取締役会は、戦略、行動計画および業績目標の進捗等を確認するなど人財の確保について監督している。

②戦略

 当社及び基幹事業会社は、経営戦略と連動した人財戦略として、4つの優先課題を設定し、ISO30414といったグローバルな基準も考慮しながら、企業価値向上に向けた各種重点施策に取り組んでいる。これらの重点施策の実行を通じて、社員一人ひとりが「自律心」「情熱」「多様性」を抱き、経営理念のValuesを体現する世界に通用するプロフェッショナル人財へと成長することを後押しする。こうして仕事への誇りや働きがいを持った社員とともに、風通しの良い一体感のあるプロフェッショナル集団を築きあげ、共創によるシナジーを発揮しながら、お客さま一人ひとりの期待を超える価値創造と当社グループの大切な使命である「電力の安定供給」を不断なく実行し続ける。

 <優先課題1: 「両利きの経営」を加速する人事戦略>

 「既存事業の選択・深化」と「新規事業の拡大」といった「両利きの経営」を加速するために、各事業戦略の実現に向けて必要な人財の質と量を中長期的に計画し、採用や育成・配置等の人事的な取り組みを通じた戦略的な人財の確保を進めている。中長期的な想定に基づく採用計画を毎年策定し、広報も強化しつつ新卒採用を着実に進めるとともに、新規事業領域を中心とした即戦力人財の中途採用や電気事業を支える第二新卒採用を行っている。経営リーダー、電力プロフェッショナル、事業創造人財、DX人財、グローバル人財等、既存・新規の事業運営を支える人財を定義し、研修・配置を通じた育成プログラムを強化したり、また、社員の能力や経験等の人財情報をデータベースとして一元管理し、仕事と適財とをマッチングする適所適財の取り組み(タレントマネジメント基盤の整備)も進めている。あわせて、自己啓発や人財公募等の挑戦・選択機会を提供することで、社員の自律的な成長やパフォーマンス向上につながる環境づくりを進めている。

 <優先課題2: ダイバーシティ&インクルージョン>

 一人ひとりが自分らしく持っている能力を最大限に発揮し、自分と異なる視点・能力・経験を有する仲間との協働を通じて、お客さまの期待を超える柔軟で新しい価値を提供できる職場環境は、「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とした価値創造による、安全で持続可能な社会の担い手として信頼され選ばれ続ける企業グループの礎になると考え、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを進めている。

 <優先課題3: TEPCO Work Innovation>

 心身の健康が確保され、社員の自律性の発揮と共創が推進される新しい働き方の実現に向けて、「いつでも どこでも 誰とでも」快適に働くことができる環境づくりを進めている。リモートワークの推進やそれを支える社内制度の導入等の働き方の改革と、カイゼン・DXを用いた業務改革に一体的に取り組んでいる。また、柔軟な働き方が進むほどコミュニケーションがより大切になってくることから、上司が率先して、1on1ミーティング等を通したきめ細かな対話を実践することを促すなど、マネジメント改革にも取り組んでいる。

 <優先課題4: 基盤強化>

 人財の質・量の充足とともに、社員のエンゲージメントを向上させることがきわめて重要と考え、社員一人ひとりの「働きがい」、「成長実感」、「ワークライフバランス」をエンゲージメント指標として設定し、全社員対象の社員意識調査で測定している。調査の結果は、企業倫理委員会等を通じて経営層にインプットすると同時に、社外有識者からもご意見をいただき、全社的な施策の検討・実施につなげている。また、速やかに各組織にフィードバックし、自らの強みや弱みを踏まえ、エンゲージメント向上につながる施策を自律的に展開している。

③指標及び目標

 当社及び基幹事業会社は、上記の[人財戦略]に記載している指標・目標に加え、人的資本に関わるデータの収集・活用を実施し、人的資本の可視化を推進している。今後も企業価値向上に寄与する効果的・効率的な人的資本投資の実行に向けて、KPIの整備、取り組みのモニタリングや改善を進める。

[管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異]

 <管理職に占める女性労働者の割合>

 2022年度末の管理職に占める女性労働者の割合は5.9%(2021年度末5.8%、2020年度末5.5%)であり、女性の採用・育成強化等により、次世代女性リーダーの拡大を進めている。

 <男性労働者の育児休業等取得率>

 2022年度の男性労働者の育児休業等取得率は80%である。セミナー開催やメッセージ配信により性別役割分業意識を払拭し、性別等の属性に関わらず誰もが活躍できる職場環境を整えるとともに、男女ともに家庭と仕事の両立を実現できる働き方の変革に取り組んでいる。

 <労働者の男女の賃金の差異>

 2022年度の労働者の男女の賃金の差異は82.1%である。当社及び基幹事業会社では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないが、主に以下の要因により女性より男性の賃金が高くなっていると考えている。

 イ.女性の出産・育児期のキャリアの断絶

 性別役割分業意識による出産・育児期のキャリア断絶により、一時的に仕事をペースダウンする女性が多く、結果として賃金が高い傾向にある管理職層の比率が女性に比べ男性の方が高くなっている。

 ロ.若年層女性従業員の増加

 女性活躍推進の観点から女性の採用を強化しており、結果として賃金の低い傾向にある若年層の比率が男性に比べ女性の方が高くなっている。

 ハ.扶養手当など諸手当の支給有無の差

 女性よりも男性の方が家族を扶養している割合が高い等、諸手当が支給されている比率が女性に比べ男性の方が高くなっている。

 <今後の取り組み>

 イ.キャリア継続への支援

    2023年4月より、育児休業を取得した社員の復職支援施策として、関東近郊35か所の企業主導型保育所の  利用を可能とする制度を導入している。

 また、育児休業の取得等により不足しがちな経験を補完するため、キャリア実現の意識を高めるキャリア形成支援を行うとともに、リーダー育成等の様々な研修を提供している。

 加えて、リモートワーク制度やフレックスタイム制度の活用により、通勤時間の削減や柔軟な勤務が可能となり、社員の働き方の選択肢が拡大している。引き続きTEPCO Work Innovationを推進し、場所や時間に囚らわれず働き、キャリアを継続できる環境を整えていく。

 ロ.若年層女性従業員の確実な育成

 当社及び基幹事業会社では、長期的な視点で人財を育成している。若年層に対しては、階層別研修をはじめ、自律的な学びの機会を付与し、個人が持つ能力を発揮できるよう成長を後押ししている。

 その他詳細は、当社のホームページ及び「TEPCO統合報告書2022」を参照。

   (https://www.tepco.co.jp/about/ir/library/annual_report/index-j.html)

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