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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、良質で魅力ある専門コンテンツをベースに、デジタル技術を活用した次世代パブリッシングモデルを実現し、それらの活動を通して、知恵と感動のある豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えております。

IT、音楽、デザイン、山岳・自然、航空・鉄道、モバイルサービス等の専門分野ごとの個性的なメディアブランドによる雑誌・書籍等の出版を中心に、電子出版、Webメディア、SNS、イベント・セミナー等、「紙・デジタル・リアル」の多面的な展開により、読者やユーザーに対し「実体験に基づいた、臨場感ある魅力的なコンテンツ」を届け、共通体験の場を増やしていくことを目指します。

 また、これまで培ってきたパブリッシングモデルやメディア技術、マーケティング手法をコンテンツパートナーに提供するプラットフォーム事業を展開することで、ユーザーとの「知恵と感動の共有の輪」を広げていきます。

 これらのビジョン実現のため、専門分野ごとの比較的小規模の事業会社と、財務・経営管理及びインキュベーション機能を集約した持株会社によるグループ経営によって、個々の事業会社の魅力とともに、相互連携によるグループ全体の企業価値を高めてまいります。

(2) 経営戦略及び経営環境等

 当社グループは、持株会社である当社を中心にグループ各社が事業の独自性を活かし、顧客ニーズにあった製商品を機動的に提供していくことで、各社及びグループ全体の企業価値の増大を図る分社経営方針をとっており、IT、音楽、デザイン、山岳・自然、航空・鉄道及びモバイルサービス等の専門分野で構成されたそれぞれの分野でコンテンツ事業、プラットフォーム事業を行っております。

 出版業界を取り巻く事業環境は、紙の出版物の販売額が19年連続で減少していることに加えて、用紙の調達コストや印刷等の原材料費の高騰、残業規制強化による物流価格の上昇、物価高騰を考慮した従業員の報酬水準の引き上げ等のコスト上昇も見込まれ、依然として厳しい状況が続いております。当社グループでは、このような事業環境の中、「企業価値の向上」に向けて収益及び事業のポートフォリオを抜本的に見直し、出版事業の構造改革と中長期の成長基盤の開発促進に継続的に取り組んでまいります。

 当社の事業ポートフォリオにおいて、重要な収益基盤である出版事業の収益力の回復を最重点課題とし、出版・電子出版事業については、不採算な製品ラインナップの整理、IPの競争力の強化、商品価格の引上げ、返品率の改善、生産性の向上等の課題に取り組んでまいります。ネットメディア・サービス事業については、優良なオーディエンスを抱える専門メディアの強みに加えて、収益モデルの多角化、DtoCの事業モデルの開発等の施策により、事業規模と収益力の維持に努めます。また、当事業年度が調整局面となったターゲットメディア事業については、事業規模の回復に向けた取り組みを強化、投資フェーズのDtoC事業モデル、新規プラットフォーム事業の開発による、新規売り上げの創出成果の獲得を進めます。

 なお、中期経営計画に掲げている事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築する取り組みを着実に進めており、事業区分別売上構成比率及び紙の出版物の売上比率が下図のように変化し、一定の成果が表れております。同様に紙の出版物の売上比率も減少傾向にあります。


(注)事業区分別売上構成比は、連結消去前の数値で算出しております。


(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、良質で魅力ある専門コンテンツの強みを追求し、コンテンツ事業において堅実かつ着実な利益成長により安定した収益基盤を確保するとともに、中期的な視野で、新しい事業モデル、メディアビジネスのプラットフォームの創出に取り組み、コンテンツ事業とのシナジーを追求することで、新たな価値創造に取り組むことを基本戦略としております。また、同取り組みにより、事業ポートフォリオの構造転換を進め、新たな成長基盤を構築することを中期経営課題として掲げております。

 このような中、2023年度の状況といたしましては、前年度に巣ごもり需要の反動で落ち込んだネットメディアは2021年度の事業規模を超える水準まで回復したものの、出版事業環境の変化や前期のヒットタイトルの不足等により、収益基盤である出版・電子出版の事業規模は縮小かつ収益性が大きく低下いたしました。また、市場成長に陰りが見え始めたことで増収基調を維持していたターゲットメディアが調整局面となり、連結売上高は9期ぶりの減収に転じ、営業利益は損失を計上、不採算事業の整理や人員合理化施策や収益性の悪化に伴う固定資産の減損で、大きな特別損失を計上する厳しい状況となりました。

2024年度におきましては、出版事業環境の変化や原材料費や物流経費の持続的な上昇等、当期に引き続き厳しい事業環境が想定されますが、短期的には、出版事業の収益力の回復を最重点課題としながら、成長基盤の開発を目的とした投資及び事業開発を継続して推進し、企業価値の向上に向け、以下の課題に取り組んでまいります。

①  目標とする中期経営指標

中期経営計画において、出版事業の事業規模及び収益力の維持を収益ポートフォリオの基盤としつつ、電子出版、ネット・ターゲットメディア及びサービス、プラットフォーム(以下、「PF」といいます。)事業の拡大による事業ポートフォリオの構造転換を進めることで、企業価値の向上に取り組む方針を掲げておりますが、2023年度の出版事業等の収益力の悪化により、前提に大きな乖離が生じております。まずは、2024年度に出版事業の収益力の回復に努め、着実な黒字転換を果たすことを最優先の課題とし、あわせて中期的な企業価値の向上に向けた基盤の整備に取り組んでまいります。

②  出版・電子出版事業の収益力の回復

当期に収益力が低下した出版事業につきましては、デザイン、航空・鉄道セグメントにおいて人員合理化等の事業構造改革の施策を実施いたしました。同施策による固定費の削減をベースに、全社的に不採算の商品群を整理、商品のポートフォリオを組み替えながら、より付加価値の高い商品開発に努めるとともに商品価格の引上げ等の取り組みを進めてまいります。また、あわせて出版業界共通のテーマでもある返品・物流効率の改善、生産性の向上等の課題に取り組むことで、収益性の回復に努めてまいります。

 また、電子出版におきましては、航空・鉄道セグメント等で規模の拡大を図るほか、モバイルサービスセグメントで投資を継続しているマンガコンテンツの自社開発において、外部との協業も模索しながら、事業化の促進に取り組みます。

③  事業ポートフォリオの構造転換の促進

 電子出版、ネット・ターゲットメディア及びサービス、PF事業等の出版事業以外の事業規模につきましては拡大基調を維持しておりましたが、2023年度においては調整の局面となりました。同テーマにつきましては、堅調な推移を続けているネットメディア事業の成長を持続しつつ、ターゲットメディア、PF事業等を再成長のフェーズに移行させるべく、事業開発に取り組んでまいります。

 また、新たな収益モデルとして投資・事業開発を進めておりますダイレクトチャネル(DtoC)での、ユーザー課金型のモデルにつきましては、会員サービスやマーケティング基盤開発について、一定の整備も完了したことから、2024年度より、メディアミックスをテーマとした付加価値の高い会員サービスの創出、会員基盤をベースとした(ファン)コミュニティーの構築及びエンゲージメントを高めることで、収益化の取り組みを強化します。

④  外部との協業による事業規模の拡大・事業開発力の強化

事業ポートフォリオの構造転換を一層促進させるために、外部との協業(事業及び業務提携)について積極的な検討を進めます。出版事業においては、業界の共通課題でもある生産・販売・物流等のサプライチェーンに加え、メディアミックス展開の促進に寄与する協業関係を模索、またネットメディア、ターゲットメディア、PF事業領域を対象に成長促進・規模拡大のための協業関係の構築を模索いたします。内部成長だけでは限定されるリソースを外部との協業で補完することで、事業基盤を強化するとともに、事業展開の幅を広げ、企業価値の向上に取り組んでまいります。

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