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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 教育業界では、あらゆる生活コストが上昇しているのに伴い、教育費を抑制する家庭が増えています。業界各社においても、原材料費や人件費等の増加分を価格転嫁する流れが加速しています。

 こうした経済環境に加え、急速に進行する少子化という逆風を受けながらも、共働き世帯の増加や人材流動性拡大など社会情勢の変化に伴い、足もとでは新しい3つのトレンドが勢いを増しています。政府の「骨太の方針」や「次元の異なる少子化対策」とも関連し、市場拡大の後押しになることが期待されています。

 一つ目は、首都圏を中心とした高所得家庭向け市場の成長です。物価高騰が進むなかでも高所得家庭では教育投資を増やしており、小学校受験を見据えた幼児教室や中学校受験の進学塾、高価格の私費学童ニーズが伸張しています。

 二つ目は、教育DXの流れです。学校ではGIGAスクール構想で配布されたタブレット端末内のコンテンツ改良が進み、学校外では塾などの民間事業者が、オンラインコースやデジタル教材の開発に注力しています。

 三つ目は、リスキリング需要の拡大です。多くの業界が人手不足に苦しむなか、企業向け・個人向けの社会人教育需要が高まっています。今年度の「骨太の方針」にもリスキリング促進が織り込まれ、1人あたり最大24万円を助成する新制度の開始が発表されました。新たな成長領域を創出し、教育市場全体を活性化する起爆剤として期待されています。

 介護業界では、2023年推計で65歳以上の高齢者人口の割合が29.1%と過去最高を更新し、80歳以上の割合は初めて10%を突破しました。介護費用の総額も2022年度には過去最高の11兆1,912億円、介護保険制度開始当初の約2.5倍の規模となっており、急速な高齢化に伴いさらなる市場拡大が見込まれています。

9月には、本年6月に可決・成立した「認知症基本法」に基づき、内閣総理大臣を議長とした新会議「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」が開催されました。今後、認知症への対応は、高齢者のみならず広く国民全体の課題として国をあげて取り組まれていくこととなり、介護事業者が担う役割もより一層大きくなることが予測されます。

 一方、事業環境については、電気・ガス価格の激変緩和措置等により、光熱費の上昇は一定程度落ち着きを見せているものの、食材や生活必需品の価格高騰は継続しており、各事業者の経営環境に引き続き影響を及ぼしています。

 また、2024年4月には次期介護報酬改定を控えており、厚生労働省をはじめとする各関係省庁、組織において本格的な検討が行われています。サービスの担い手である介護従事者は依然として業界全体で不足しており、人員配置基準の緩和や業務負担軽減に焦点を当てた議論や、ロボット・ICTの活用を推し進める動きが見受けられます。

 新中期経営計画「Gakken2025」では、『SHIFT』を中核テーマに掲げています。

 少子高齢化が進行し、教育業界においてはデジタルを活用した新しい学習方法や、非認知教育などの需要が拡大しているなか、各事業の戦略やリソース配分の明確な転換、さらに意思決定の迅速化を推し進め、事業環境の変化を見据えた事業ポートフォリオ構築と収益力回復を実現してまいります。

 まずは「Gakken2023」の積み残し課題への対応として、より抜本的なポートフォリオの入れ替えと重点領域へのリソース集中を行い、教育事業の立て直しを進めながら、事業分野ごとの管理体制を最適化することで収益力回復を図ります。

 また「Gakken2023」期間中の取組みを土台として、教育分野のリカレント・リスキリング領域、医療福祉分野の周辺領域及びグローバル領域において新たな柱につながる事業開発を推進し、M&Aを含むグループの変革と成長に資する投資を戦略的に実施します。「Gakken2025」の最終年度にあたる2025年9月期には売上高2,000億円、営業利益70億円、親会社株主に帰属する当期純利益35億円を目指します。

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