企業コーチ・エィ東証スタンダード:9339】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

  当社グループのパーパス(Purpose)は「私たちは、世界中の人が対話に参加できる機会を創り出し、社会に貢献しています。」です。

  コーチングとは、対話を通して、目標達成に向けた能力、リソース、可能性を最大化するプロセスです。

  対話は、「互いの共通性」に焦点を当て安心感を醸成することを主目的とする会話とは異なり、「互いの違い」にフォーカスします。対話することで、それぞれが培ってきた経験や価値観をもとに情報交換し、お互いの違いを顕在化させていきながら、「物事に対する新たな洞察」を一緒につくりだしていきます。そのため、対話に参加している人は、違いによる緊張感や違和感を持つこともあるでしょう。しかし、「違い」に蓋をし、対話を避けてしまっては、組織において、行動やルーティンの変化は起こりにくくなり、その前進が阻害されてしまいます。組織のあらゆる場面で、一時的な躊躇や不快感を避けずに、変革に向けた対話を意図的に起こすことのできるリーダーを開発し、組織の未来に貢献すること、それが当社グループの社会における存在意義です。

  当該パーパス(Purpose)を実現し続けるために、当社グループは主力ビジネスであるシステミック・コーチング™による組織開発ビジネスにより、クライアント企業の組織変革を実現させるとともに、コーチング人材開発ビジネスにより、対話を起こすことのできるリーダーを開発し続けていきます。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが重視している経営指標は、売上高の先行指標としての受注高、売上高、営業利益及びコーチ人数(委託コーチを除く。)であります。売上高及び営業利益を継続的に成長させるとともに、品質の高いサービスを提供するコーチ人数を確保することにより、企業価値の向上を実現してまいります。なお、当社ではコーチ人数を当社の役員であるコーチ及び従業員であるコーチの人数と定義しております。

(3) 経営環境

① 市場の状況

 我が国における国内企業向け研修サービス市場は、2022年度年間5,370億円(注1)で、新型コロナウィルス感染症拡大の影響があった2020年度を除いてほぼ横ばいに推移しているものの、2023年5月に新型コロナウィルスの感染症法上の位置づけが緩和されたことで、回復基調にある対面型の集合研修の需要の取り込みが本格化し、オンライン研修等のサービスとともに引き続き拡大していくものと考えております。また、我が国においては、“GDPに占める企業の能力開発費の割合が、国際的にみて突出して低い水準にとどまっており(注2)”、当連結会計年度末現在においても、人材開発への投資は欧米企業と比較しても遅れている状況であると当社は考えております。このような環境の中、“経営陣においては、企業理念や存在意義(パーパス)、経営戦略を明確化した上で、経営戦略と連動した人材戦略を策定・実行すべきである。(注3)”とされており、人的資本への投資が今後さらに高まっていくものと考えております。
(注1) 出典:株式会社矢野経済研究所「企業向け研修サービス市場に関する調査(2023年)」2023年10月
(注2) 出典:厚生労働省.「平成30年版 労働経済の分析 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方に

 ついて」, 2018年9月
(注3) 出典:経済産業省.「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポ

   ート~」, 2020年9月

② 競争優位性

 文中の当社の強みに関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 当社グループは、当社の前身である有限会社コーチ・トゥエンティワンが、1997年10月にコーチ・トレーニング・プログラムの提供を開始してから、コーチ人材を開発するとともに、定量的な実証を試みながら、多くのクライアント企業の組織変革の支援をしてまいりました。当社の強みは以下のとおりと認識しています。

a.正社員としてのコーチとコーチ育成

 当社は、128名のコーチを有しており、その大部分を正社員として雇用しております。また、コーチの多くは、国際コーチング連盟もしくは一般財団法人生涯学習開発財団の認定資格の保有者です。確かなコーチングスキルを持つコーチがチームとなって、システミック・コーチング™を実現しています。

 また当社では、コーチ育成に多面的に取り組んでいます。コーチングは、理論を理解するだけでなく、幅広い知識とコーチング対象者一人ひとりに合わせたコミュニケーション力を必要とします。そのため、当社は、25年以上蓄積したコーチングノウハウにより独自のコーチ育成プログラムを構築・活用しており、人材育成を行っております。

b.国際コーチング連盟及び国内外の教育分野との連携

 当社の前身である有限会社コーチ・トゥエンティワンは、1997年10月よりコーチ・トレーニング・プログラム(現コーチ・エィ アカデミア)を提供しております。プログラムを開発するにあたり、米国から有識者を招くなど、コーチングに関する技能面だけでなく、背景にある価値観や理論を深く研究してまいりました。なお、当該プログラムは1999年10月に国際コーチング連盟の認定を受けております。

 また、コーチングに関する書籍を出版してきたほか、メールマガジン等のオウンドメディアを通じて、組織やチームを率いるリーダーに、コーチングをはじめ、リーダーシップやマネジメントに関する情報を提供しています。また、国内外の大学及び大学院の教育・研究分野と連携し、大学での講義やコーチング研究も行っております。

c.自社開発のコーチング管理システムとコーチング研究所

 あらゆるコーチングセッションは、統合された自社開発のシステムで運用・管理されています。コーチング対象者は、スケジュール、これまでの対話の記録、アセスメント結果等を確認できます。

 当社組織内にあるコーチング研究所は、こうして蓄積してきた膨大なデータを活用し、コーチングの効果を定量的に分析する取り組みを続けています。

 このようにコーチングそのものの品質だけでなく、オペレーショナルな仕組みと膨大なデータから得られる洞察を活用し、より効果的な組織開発を実現しています。

d.グローバルでのサービス展開

 当社のクライアント企業には、グローバル展開を進めている企業も多く、当社は海外現地法人の組織開発プロジェクトも手がけてまいりました。当社は、現地法人を設立し、英語・中国語・タイ語にも対応した正社員のコーチを有しており、現地企業向けにもコーチングを提供しています。

(4) 経営戦略等

 今後、さらなる成長のために、当社グループは、以下の3つのポイントを中心に事業展開を行います。

① システミック・コーチング™による組織開発ビジネスの拡大

ECを起点に、DAIBE、DCD、3分間コーチ、AIコーチングサービス(Amit)等各種サービスの提供を通じ、クライアント企業組織の変革をより効果的に促す、システミック・コーチング™による組織開発ビジネスを拡大してまいります。

② サービス開発とそれを支えるIT投資・情報セキュリティ強化

 当社のサービスは、コーチによる対話とともに、各種アセスメント等を通じた客観的データによるフィードバックやコーチングに関する理解を深めることを通じて、コーチング対象者はより深い気づきを得られ、自らの考え方や行動を変化させていくことが可能になります。これらを可能にする各種ITシステムの開発を各プログラムの成長ステージに合わせて、継続してまいります。また事業の根幹を支えるITシステムのセキュリティ強化への投資は最重要項目としています。

③ 海外ビジネスの拡大

 システミック・コーチング™による組織開発ビジネスについては、既存の海外拠点だけでなく、新規に拠点を設立することで海外進出した日系企業を中心に、グローバルでのサービス展開を強化してまいります。コーチング人材開発ビジネスについては、米国子会社であるCOACH U, INC.の長年培われたブランド力、高品質なプログラム、幅広い受講生ネットワークを活用してまいります。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりです。なお、優先的に対処すべき財務上の課題については、無借金経営を行っていること、キャッシュ・フロー、手元流動性ともに大きな問題はないため、該当事項はございません。

① コーチ人材の採用と育成

 当社グループが開発し提供しているシステミック・コーチングTMでは、品質の高いコーチングを複数のコーチで組成されるチームにより実施するため、当社グループの事業成長のためにはコーチ人材の拡大が必須となります。我が国においては、コーチングという分野が徐々に浸透し始めてきたものの、その知名度は未だ高いとは言えません。PR・ブランディング活動を通じた当社及びコーチング自体の知名度を高めることが、コーチ人材の採用拡大に寄与するものと考えております。そしてエグゼクティブコーチ、若手コーチなど、それぞれターゲットに応じた採用戦略を策定し、各種採用チャネルを活用して、コーチ人材の採用に力を入れてまいります。
 また、クライアントに対する質の高いサービスを提供するため、採用した人材を育成することも重要と考えております。これに対しては、社内の育成制度に沿って、コーチ育成、営業力強化、プロジェクトマネジメント力強化のための専門チームが伴走することにより、推進してまいります。

② サービス品質向上を支えるIT開発・情報セキュリティ

 システミック・コーチングTMでは、コーチによるコーチングサービスの提供だけではなく、AIコーチングや各種アセスメントサービスを提供しております。そして、それらのサービスにおいては、客観的データに基づくデータ提供等を行うため、ITシステムの向上はサービス品質の向上に直結するものと考えております。当社グループでは統一されたシステムによりサービス提供を行うとともに、数々のデータを蓄積してまいりましたが、IT技術は継続的に発展しており、サービスを支えるIT投資にも終わりはありません。また、コーチングセッションでは、クライアント企業の機密情報、個人情報等、秘匿性の高い情報に触れる機会が多くなっております。昨今では、ランサムウェア等のサイバー攻撃技術が向上しており、当社グループも技術の進化に対応した情報セキュリティ投資を継続する必要があるため、これらのIT開発及び情報セキュリティへの更なる投資を進めてまいります。

③ 海外ビジネスの拡大

 当社グループのクライアント企業の多くは日本以外にも拠点を有するグローバル企業です。クライアント企業の組織開発を「点」ではなく「面」で展開するためには、グローバルに拠点を持ち、現地の言語にも対応したコーチを有していく必要があります。当社グループは2023年12月末現在、日本以外に米国、タイ、中国に拠点を有しておりますが、当連結会計年度においては、米国におけるビジネスをさらに拡大させることを目的にCOACH A Americas, Inc.を設立いたしました。今後もこれらの拠点を中心に人材の採用・育成及びマーケティング活動を強化し、海外ビジネスを拡大してまいります。

 当社グループはこれらの事業活動を通じて、株主価値及び企業価値の最大化に取り組んでまいります。

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