日本エコシステム 【東証スタンダード:9249】「サービス業」 へ投稿
企業概要
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。これらは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社のリスク・コンプライアンス体制
当社は、グループ全体のリスク・コンプライアンス管理に関する重要事項の審議と方針決定を行い、リスクの発生防止及び適切な対応による損失の最小化並びに法令遵守の徹底を図るため、代表取締役社長を委員長、各取締役を委員、管理本部を事務局とするリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。
(2) 当社のリスク・コンプライアンス体制の運用状況
リスク・コンプライアンス委員会は、四半期に1回定例開催するほか、必要に応じて臨時開催し、リスク・コンプライアンスの調査、網羅的認識及び分析、各種リスク・コンプライアンスへの対応策の検討及び決定、対応策の実施状況の監督及び再発防止策の検討等を行い、リスク・コンプライアンス委員会の議事及び結論に関する取締役会への報告を実施しております。
(3) 事業等のリスク
Ⅰ.事業環境等に関するリスク
① 市場動向
a.公共サービス事業
公共サービス事業においては、ネット投票への移行による場外発売場への来場者数の減少が考えられます。これらの対応策として、場外発売場の新規開設、既存施設の経年劣化による建替え・改修、既存場外発売場での複数競技発売などによる施策を実施し、需要を喚起しておりますが、これらの施策が功を奏しなかった場合に、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、同事業においては、公営競技場に関わる保守・運営・管理の業務を個別に受託する契約(以下「個別受託」という。)から、業務を包括して受託する契約(以下「包括受託」という。)への移行を推進しております。
包括受託による売上は、本場・場外発売場における投票券販売売上及びネット販売売上の合計に料率を乗じて算出されるため、本場・場外発売場への来場者数及びネット投票利用者数の減少により売上が減少した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
b.環境事業
環境事業においては、再生可能エネルギー発電設備に関する事業について、政府の施策及び法令改正、為替の変動などにより、買取価格の高低、各種履行の遅滞、売電収入の減少、仕入価格の高騰の発生が考えられます。排水浄化処理に関する事業については、排水処理薬剤の継続的な営業活動を推進しているものの、生物処理の反応過程に時間を要する結果、薬剤の実地検証(顧客の敷地内における排水処理施設の現地にて行う実証・検証作業)から導入までのリードタイムが長期化する場合があります。これらの発生が予見された場合、即座に対応を実施する予定ではありますが、対応が功を奏しない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
c.交通インフラ事業
交通インフラ事業においては、公共投資等の設備投資の動向により市場が縮小する可能性があり、受注額が減少することにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、競合他社との受注競争の激化等により、低採算化や収益力の低下等が発生する可能性があります。これらの市場動向の変化に対し、逐次情報を入手し、即座に対応を実施する予定ではありますが、対応が功を奏しない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 法令遵守
当社グループは、交通インフラ事業において下請代金支払遅延等防止法、道路交通法等、公共サービス事業において建設業法、警備業法、独占禁止法、不正競争防止法等、環境事業において建設業法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、水質汚濁防止法等の法的規制を受けております。「リスク・コンプライアンス管理規程」の適切な運用、リスク・コンプライアンス委員会の設置・開催により法令遵守体制の強化を図っておりますが、万一法令・諸規則に違反する行為又は疑義を持たれる行為が発生した場合は、当社グループの信用力や業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、これら関連法令等の改廃、新設、適用基準の変更等があった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制等
当社グループは、建設業法に基づく特定建設業許可を受けておりますが、虚偽の事実の申告等不正な手段による許可の取得や、経営業務管理責任者・専任技術者等の欠格要件に該当した場合等には、建設業法第29条により許可の取消しとなり、5年間の再取得が不可となります。当社グループでは、リスク・コンプライアンス委員会の設置・開催により法令等遵守に努めていることから、許可の取消事由に該当する事実はありませんが、万一法令違反等によって許可が取り消された場合には、当社グループの信用力や業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 政府の施策について
当社グループにおける環境事業は、「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」による電力の「固定価格買取制度」に加えて、「Feed in Premium制度」における買取価格の高低や、買取年数の状況及び再生可能エネルギー発電設備についての系統連系の申込回答時期の遅れや回答保留、接続拒否に関するルールの状況等により、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
⑤ 許認可の取得及び地域関係者等の承諾について
当社グループにおける環境事業において、産業用太陽光発電設備の設計・施工に際しては、地方自治体が管轄する農地転用、林地開発などの許認可取得が必要な場合があります。また、その許認可取得には地権者及び周辺地域住民の理解と協力が必要となります。開発土地については、事前調査を行い各種認可取得に必要な措置を講じ、地域住民向け説明会を通じて地域住民の皆様の理解を得ながら事業化を進める方針としていますが、許認可取得や地域住民との合意に想定した以上の時間を要し、プロジェクト計画に遅れが生じる場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
⑥ 出力抑制について
当社グループにおける環境事業で保有する産業用太陽光発電所は、発電出力が気候の影響を受ける自然変動電源であり、出力抑制ルール(規定の条件下で電力会社が発電事業者に対し、発電設備からの出力を停止又は抑制を要請する制度)にて、出力抑制が実施されることにより想定した売電収入を得られなかった場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
Ⅱ.当社グループの事業全体に関するリスク
① 製品・原材料・商品の調達可能性
当社グループでは、製品・原材料・商品の調達先を複数確保することで安定的な供給が可能な環境を整えておりますが、自然災害やその他要因による供給停止などにより、生産活動等に支障をきたす場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 金利の変動
当社グループは、主たる事業拠点設置時の不動産取得、多額の設備取得にあたり銀行借入、社債による資金調達により設備投資資金を確保しております。これにより、現在の借入金残高については企業規模の拡大スピードにより、高い水準となっていると認識しております。
一方で、主に長期借入金により金利を固定化することで金利の変動リスクを軽減しておりますが、金利水準の上昇による調達コスト増大により、計画に応じた資金調達ができない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 取引先の信用リスク
当社グループは、公共サービス事業、環境事業、交通インフラ事業と様々な事業を展開しており、多数の取引先がありますが、景気の減速やコロナ禍によるパラダイムシフトなどにより、得意先及び仕入先の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や履行遅滞などを引き起こし、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動に係るもの
a.天候による影響
台風や降雪等の天候悪化や夏季・冬季の気象状況の変化は、公共サービス事業及び交通インフラ事業において売上を左右する重要な要因となり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
b.自然災害による影響
当社グループは、今後想定される震災等の大規模災害への備えとして、「リスク・コンプライアンス管理規程」を整備運用しておりますが、地震・台風等の自然災害により事業活動の一時的な停止を余儀なくされることや施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要するといった事態により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害により公営競技場が営業停止となったり、入場者数が減少する等した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
c.工事事故
当社グループは、工事の安全をすべてに優先し各種工事の施工を行っておりますが、施工過程において事故や労働災害を発生させた場合には、直接の損失が生じるだけでなく、顧客からの信用を失墜させる恐れがあり、受注環境に多大な影響を与えることから、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 工事品質
当社グループは、品質管理に万全を期しておりますが、万一重大な契約不適合が発生し、その修復に多大な費用負担が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 固定資産減損会計
当社グループは、事業用資産など様々な有形・無形の固定資産を計上しております。これらの資産については得られる将来のキャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価しておりますが、今後の業績動向や時価の下落等によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出すことが困難な状況になり、減損処理が必要となる場合があります。これらの処理が発生した場合には、当社グループの財政状態や業績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、環境事業(排水浄化処理及び水循環に関わる事業)における製造設備については減損の兆候が認められた結果、減損テストを行っております。かかるテストを受け、将来の回収可能性を慎重に検討した結果、減損損失を計上しております。
⑦ M&A等による事業拡大
当社グループは、事業拡大のために同業他社の事業譲受や買収等を行う可能性があり、当該買収によるのれんの発生等が当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、市場動向や経済環境によっては、当該買収等が当初予想した結果を生み出す保証はなく、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 人材の確保と育成
当社グループの事業拡大にあたっては、特に電気工事施工管理技士や管工事施工管理技士、土木施工管理技士等の公的資格及び顧客固有の資格を有することが不可欠であります。当社グループは、社内外の研修の充実を図り人材育成に努めておりますが、工事施工を賄える人材確保、育成が困難となった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 海外進出の潜在リスク
当社グループは事業拡大・新事業創出に向けて、海外での事業立ち上げを企図しております。海外事業への投資にあたっては、入念な市場調査や事業計画構築を行った上で、将来的な成長が見込まれると判断した場合に実行する方針でありますが、現地でのゼロからの事業立ち上げの場合、安定した収益獲得までには一定の時間がかかることが想定され、その間、当社グループの業績に影響を与える可能性がございます。また、海外事業には不確実要素も多く、予想通りの収益が獲得できない場合は、投資資金を計画通り回収できない可能性があります。
⑩ 新株予約権行使による株式価値の希薄化
当社グループは、役員、従業員に対し、インセンティブを目的とした日本エコシステム株式会社第1回新株予約権(税制適格ストック・オプション)を付与しております。また、当連結会計年度においては、海外投資ファンドに対し、M&A戦略投資用の資金と当社株式の流動性向上を目的としたエクイティファイナンスとして、2023年8月29日から3年間の権利行使期間が設定された日本エコシステム株式会社第2回新株予約権及び日本エコシステム株式会社第3回新株予約権を付与しております。当事業年度末現在の新株予約権による潜在株式数は247,900株であり、発行済株式総数2,697,600株の9.1%に相当します。将来的にこれらの新株予約権が権利行使されることにより、当社株式の1株当たりの価値が希薄化し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ スタンダード市場への上場維持基準への適合について
当社グループは、2022年4月の株式会社東京証券取引所の市場区分の再編において、スタンダード市場に移行いたしましたが、「流通株式時価総額」「流通株式比率」については、基準を充たしておりません。今後、当社が中長期的な企業価値の向上を図るうえにおいては、その前提として当社がスタンダード市場の上場維持基準を充足することが重要な経営課題になるものと考えております。
当社グループは、2023年12月26日付提出の「上場維持基準の適合に向けた進捗及び計画の更新」に基づき、流通株式時価総額、流通株式比率の適合に向けた取組みを実施することで、2025年9月期を目途に、上場維持基準を充足させていく方針です。
Ⅲ.公共サービス事業、環境事業、交通インフラ事業に関するその他のリスク
① 公共事業における情報管理(個人情報保護、情報セキュリティ等)に関するリスク
当社グループの公共サービス事業においては、公営競技のネット投票サイトを運営しており、個人情報を取り扱う場合があります。情報の取り扱いにあたっては、情報管理に関する国際規格、プライバシーマーク制度のそれぞれに準拠した仕組みの構築、運用、改善を図っております。具体的には、規程・マニュアル等の整備、研修を通じた社員の力量向上と周知徹底、インフラのセキュリティ強化などにより、管理の強化・徹底と漏洩防止に努めております。
一方で、情報の授受、運搬時における紛失や盗難等により、顧客企業の秘密情報、個人情報が漏洩した場合には、当該顧客からの損害賠償請求による費用発生や、顧客の当社グループに対する信頼喪失により、当社グループの事業活動と業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 環境事業における知的財産に関するリスク
当社グループの環境事業においては、研究開発活動を積極的に推進しており、知的財産権は重要な経営資源の一つであると考えております。そのため、知的財産権保護とそれに関連して発生する紛争の回避は重要な経営課題と考えており、知的財産に関する専門家と連携し、必要な業務を進めております。
当社グループの知的財産権が侵害されたり、特定の国・地域で十分な保護を受けられない場合、当社グループの事業活動と業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が意図しない形で第三者の特許を侵害するに至った場合や、その他知的財産権に関する紛争が発生した場合には、当社グループの事業活動と業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 交通インフラ事業における主要契約先への依存に関するリスク
当社グループの交通インフラ事業において、中日本高速道路株式会社(以下、NEXCO中日本)グループと契約を締結しております。当連結会計年度におけるNEXCO中日本グループへの売上高は連結売上高の26.0%になります。NEXCO中日本の動向だけでなく、政府の政策動向によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があるため、販路の拡大や政府の政策動向を注視し、即座に対応を実施する予定ではありますが、対応が功を奏しない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅳ.その他のリスク
大株主について
当社の代表取締役社長である松島穣は、当社の大株主であり、提出日現在において自身が発行済株式総数の7.5%を保有するとともに、その同族関係者及び同族関係者の資産管理会社の所有株式数を含めると発行済株式総数の73.8%を所有しております。
同人は安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社といたしましては、同人及びその同族関係者は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人及びその同族関係者の株式の多くが減少した場合等には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
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