日本エコシステム
【東証スタンダード:9249】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略
①社是・経営理念
当社グループは、「未晃道(みこうどう)」を社是とし、「事業を通じ、物心両面の幸福を追求すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献します」を経営理念に掲げており、未来の地球を照らし、輝き続ける事業を創造する"道"を常に追求するという思いが込められております。
②ビジョン
社是・経営理念のもと当社グループでは、社会インフラサービス企業として公共性の高い事業を展開することで、社会に必要とされ続ける「300年企業」の創造を目指しております。
③経営戦略
300年企業に向けて、当社の事業成長と社会の持続的な成長を同時に実現すべく、2030年に会社の目指す姿を示した「JESG Vision 2030」とそれを実現するための道筋として、2025年9月期を最終年度とした「中期経営計画2023-2025」を推進しております。
JESG Vision 2030
公共インフラの維持・管理・DX化の事業領域で、サービスプラットフォームを構築するため、以下の施策を推進してまいります。
a 群戦略の推進
当社グループは、グループ内に共存する複数の事業を、顧客のニーズに合わせて自在に組み合わせ、事業セグメントの壁を超えたサービスを提供することにより、同業他社との競争優位性を確保していると考えております。複数事業により可能となる複数サービスの同時提供体制を拡充するために、組織間連携の推進を強化してまいります。
b ワンストップ・ソリューションの提供
公共インフラのサービスプラットフォーム市場において、新規事業開発、企画・提案といった上流工程から、プロジェクト組成・管理、実行に至るまでの工程をすべて当社グループで行う「ワンストップ・ソリューション」を提供する体制を構築することで、上流工程の提案型営業の強化、高収益案件の受注拡大、他社との差別化を図ってまいります。
c エンジニアエコシステムの形成
事業セグメント間で共通する技術を活かした人材育成により、エンジニアを事業セグメント間で機動的かつ柔軟な配置転換を可能とするエコシステムを形成してまいります。これにより、事業間クロスセルの創出のみならず、生産性向上、労働力不足の解消、雇用の拡大を目指します。
中期経営計画2023-2025
a 各事業分野のポジショニングと方向性の明確化
各事業分野を、積極的に成長投資を実施し事業拡大を狙う「注力分野」、効率化を進め収益性を高める「深化分野」、長期的な成長を目指し、研究開発や新事業開拓を行う「長期成長分野」にポジショニングを行い、各分野の特性に応じて適切に経営資源を配分してまいります。
b M&Aの積極的な検討
当社は、専門性の高い技術者の獲得、事業ポートフォリオの強化・拡大を戦略上重要な目的と位置づけ、積極的にM&Aを実行してまいりました。自社と他社との技術・雇用・営業ネットワーク等の経営資源を複層的に組み合わせることを目的としたM&A戦略投資により、新たな付加価値・優位性を持つサービスを創出し、事業成長を続けてまいります。
M&A戦略
当社グループの具体的なM&A戦略といたしましては、2023年9月期から2025年9月期までの3年間におけるM&A戦略投資枠として30~50億円を設定しており、既存事業のエンジニアリングとの相性が良くシナジーが見込める事業とのM&A又は戦略的提携を積極的に検討してまいります。具体的には、専門性の高いエンジニアを有する企業、既存事業のエンジニアリング力が活用可能でシナジーが見込める事業を主なターゲットとしております。
当社グループの基盤事業は、高速道路や公営競技を対象としており、公共性が高いことから、受託企業には実績に基づく信頼性が要求され、競争優位性がある点に特徴があります。したがいまして、そのような既存事業のバリューチェーン上にある関連事業をM&A等によってグループ化することにより、競争優位性が高まり、顧客に対しワンストップでサービスを提供することが可能となります。また、当社グループの既存事業の強化のためには、専門性の高い人材の確保及びエンジニアの技術力の強化が必要不可欠であり、技術者の採用・教育の観点からも、M&A戦略が今後の当社グループの事業拡大における最も重要な成長ドライバーの1つとなるものと捉えております。
また、当社グループ全体の業績目標として、事業の成長性を示す売上高CAGR6~7%以上の達成を目指し、2030年には連結売上高目標を138億円以上といたしました。これは、オーガニック成長による成長率2~3%/年をベースに、M&Aによる非連続的な成長等を加味して売上高CAGR6~7%としているものです。
当社グループのこれまでのM&A投資実績につきましては、以下のとおりです。
年月 | 対象 | 事業・部門 |
2009年6月 | ㈱東海錦組 | 交通インフラ事業 |
2011年11月 | オスカー電子㈱ | 交通インフラ事業、公共サービス事業 |
2016年1月 | サテライト一宮㈱ | 公共サービス事業 |
2017年3月 | 日本ベンダーネット㈱、中央警備保障㈱ | 公共サービス事業 |
2018年5月 | モデライズ㈱ | その他 |
2020年3月 | ㈱ワンズライフ | 交通インフラ事業 |
2020年5月 | ㈱セイネン | 環境事業 |
2020年10月 | ㈲ぼくんちオジカオート | 交通インフラ事業 |
2022年2月 | ㈱日新ブリッジエンジニアリング | 交通インフラ事業 |
2022年11月 | オー・ティー・エス技術サービス㈱ | 公共サービス事業 |
2023年1月 | 葵電気工業㈱ | 公共サービス事業 |
2023年4月 | 村川設備工業㈱、㈱zoom | 公共サービス事業 |
2023年7月 | ㈱興電社 | 交通インフラ事業 |
2023年9月 | ㈱テッククリエイト | 交通インフラ事業 |
年月 | 対象 | 事業・部門 |
2024年1月 | ㈱エコベン | 公共サービス事業 |
2024年2月 | JES総合研究所㈱ | その他 |
2024年10月 | ベニクス㈱ | 公共サービス事業 |
(2) 経営環境
公害、廃棄物、資源の枯渇等の環境問題は地域を越え、国境を越え地球規模になり、益々深刻化している状況であります。そのため、有限な資源の循環利用の促進や、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全は、今や世界的な課題となっております。また、わが国では、社会インフラの長寿命化の要請、生産年齢人口の減少等による労働力の不足化傾向、現場の職人の高齢化、後継者不在問題を背景とした休廃業・解散企業件数の増加、地方における過疎化の進展など、国民生活やあらゆる社会経済活動を支える基盤の脆弱化が予想されております。持続的な社会の発展のためには、このような社会的課題を解決することが絶対的な必須事項であります。
当社グループでは、公共サービス事業では、公営競技を通じたコミュニティの形成や、空調給排水衛生設備の施工・メンテナンス等を通じて、生活者の快適性・利便性の維持を図っております。環境事業では、排水浄化処理及び再生可能エネルギーへの取組みを通じて自然環境の維持・保護を図っております。交通インフラ事業では、人員不足に悩む自治体及び公共事業体の負荷を軽減すべく、民間委託を積極的に受け入れることで、社会インフラの長寿命化に貢献しております。
(公共サービス事業)
空調給排水衛生設備の施工・メンテナンス等を手がけるファシリティ事業については、建設業界における設備投資が引き続き堅調に推移するものと予想され、事業環境は追い風にあります。一方で、建設資材価格の高止まりや人員不足への対応、労務費の増加等が懸念されております。こうした環境の中、当社はM&Aによる事業拡大・シナジー追求とエンジニアの増員に取り組んでおります。大手ゼネコンからの受注拡大や再開発に伴う案件の大型化への対応強化に取り組むため、グループ間の人材交流の促進・人材育成の強化に注力しております。
公営競技に関する事業は、今後も国、自治体及び公共事業体の公益事業等の財源となる公営競技が存続する限り、継続的に需要は存在します。近年来場者数は減少している一方、ネット投票は拡大しており、トータリゼータシステムの機器製造販売ビジネスから、デジタルコンテンツを主としたサービス展開に力を入れてまいります。当社が運営するネット投票サイト「LotoPlace」と情報サイトを融合し、車券販売だけでなくユーザーへの有益情報をWEBコンテンツとして配信し、高品質で多様なサービスを展開することで収益性を高めてまいります。また、情報サイトでは基本情報に加え、AI予想情報や予想屋による動画配信などにより幅広い年齢層へ訴求し、情報サイトを活用することで競輪場やサテライト場の広告媒体としての収益化も図ります。
(環境事業)
循環型社会の実現に向け、化石燃料によるエネルギーからの転換を支援するため、顧客に向けてカーボンニュートラルやCO2削減につながる再生可能エネルギーの導入を促進しております。また、施工後一定年数を経過した太陽光発電所のリパワリングにも取り組んでおります。
2021年に経済産業省より「グリーン成長戦略」が発表されて以降、再生可能エネルギーに対するニーズが増えております。さらに、昨今のエネルギーコストの急騰により、相対的に再生可能エネルギーの競争力が上がり、自家消費型太陽光発電設備の導入の機運が高まっております。海外由来の化石燃料の輸入に依存している状態から国産の再生可能エネルギー活用へ転換できるチャンスと捉え、リソースを確保して体制を整えております。
また、再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT法)の開始から10年以上経過した現在、顕在化していない不具合や、機器の故障率が増加している発電所が増えております。こうした現状も踏まえ、劣化度合いの診断を通じ、メンテナンスや機器交換の需要を創出してまいります。
アクアリウムの設計・施工・販売では、ユニット水槽の製造販売から企画運営を含めた包括業務へ業容を拡大し、エンターテイメント性の高い水族館や教育の現場として提供される水族館など、ニーズに合った意匠・機能を提供いたします。また、排水処理事業で培った水浄化のノウハウと合わせることにより、新たな水循環システムの開発を目指します。
水循環システム及び処理設備のコンサルティング、企画、設計、施工及びメンテナンスに関わる業務に関わる事業では、民間の設備投資は資機材価格の高騰に対する慎重姿勢が懸念される一方、国内景気は緩やかながらも回復基調となっております。それに伴い、顧客の設備投資も緩やかながら増加することが見込まれ、設備需要全体としては底堅く推移しつつあると認識しております。当事業では、サービスの提供に多くの専門技術を必要とするため、各エンジニアの持つ技術力を最適に組み合わせ、一体となったオペレーションを展開することにより、顧客のニーズに柔軟に対応してまいります。
(交通インフラ事業)
高速道路、橋梁、トンネル等の社会インフラの維持・修繕は、安全な交通環境を維持する上で非常に重要な役割を果たしています。他方、高度成長期に整備が進んだ高速道路は、経年劣化が顕在化しております。また、橋梁やトンネルも同様で、耐用年数を経過したインフラ設備の割合は益々増加しております。
社会インフラが劣化し、適切なメンテナンスが行われなければ安全性や快適性が損なわれる可能性があります。そのため、高速道路、橋梁、トンネル等の社会インフラの維持・修繕スキルを持つ人材は需要が高まっています。
一方で、高速道路、橋梁、トンネル等の社会インフラの維持・修繕業務は、高い専門知識や技術を要するため、関連する知識や経験を持つ人材は限られており、人材不足の状況が続いております。国内では人口減少や高齢化が進んでおり、若年層の人材が不足していることに加え、専門知識や技術の習得に時間を要する点が採用難に拍車をかけております。
このような状況に対し、当社グループは、教育・研修の充実や各種の資格取得支援を通じ、人材の育成を進めております。また、人材確保の面では働き方改革を推進し、ワークライフバランスの拡充にも努めております。業界全体の人材不足を解消するため、教育投資・職場環境の改善投資といった必要投資を実施し、人材の確保を図ってまいります。
(その他事業)
公共サービス事業・環境事業・交通インフラ事業における情報と、AI(人工知能)やICT等の最新技術を組み合わせることで、業務系基幹システムやアプリの開発(iOS、Android)、ベイジアンネットワークを活用した行動予測モデルの構築と運用サービスを提供しております。その他事業では、AI(人工知能)で競輪の着順を予想するAIソリューションサービス「LotoPlace」を開発しております。この他に、経営コンサルティングに関わる事業、不動産売買・賃貸等不動産等に関わる事業を行っております。
なお、2023年1月には、グループ全体の研究開発・事業開発機能を一元化した組織として、「JESG事業開発研究室」を設置いたしました。最先端の酸化還元技術を使った研究開発等を行っております「ジオ環境開発研究所」を母体として、これまで事業部ごとに行っていた研究開発や事業開発機能を統合し、事業開発に特化した組織として再編いたしました。事業開発研究室では、環境事業だけでなく、公共サービスや交通インフラ事業に関わる研究も手掛け、新たな中核事業の創出を目指して最先端技術の研究開発に取り組んでまいります。また、それぞれの事業で埋もれていた技術や知識を活用し、それらをクロスセルで販売していくことも目指します。特許に対しても積極的に取得を進め、知的財産の活用によって競争優位性を高めていきたいと考えております。
また、当社グループは、「未晃道(みこうどう)」を社是とし、「事業を通じ、物心両面の幸福を追求すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献します」を経営理念に掲げており、未来の地球を照らし、輝き続ける事業を創造する“道”を常に追求するという思いが込められております。
社是・経営理念のもと当社グループでは社会の課題を解決し必要とされ続ける300年企業の創造を目指しており、事業を通して地域に根差した企業として、環境に最大限配慮した事業活動を行っております。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、社会に貢献し必要とされ続ける会社の実現に向け、お客様への徹底的な「御用聞き」の姿勢に徹するとともに、オーガニック成長とM&Aの両面に注力し、事業の成長性を示す売上高CAGR 6~7%以上の達成を目指すため、以下の課題に取り組んでまいります。
① M&Aによるシナジー効果促進とグループ経営の効率化
M&Aによる事業規模の拡大や人材の拡充により、各グループ会社とのシナジー効果を促進して新たなサービスや事業の拡充を図ってまいります。また、グループ横断的な取り組みや人事交流を通じて連携を強化してまいります。グループ経営の効率化では、原価管理の強化や管理業務の集約による効率化に加え、働き方改革に向けた業務環境の改善についてもグループ全体で注力してまいります。
② 採用の強化
当社グループの主要事業であるインフラサービスの領域においては、高度技術を有する人材の確保が不可欠であります。質の高い多様な人材を確保すべく、グループ一括採用の実施やM&Aによる人材獲得を行ってまいります。また、社員の連携を活かしたリファラル採用を駆使し、国内のみならず海外を含めた多様な採用チャネルを強化してまいります。
③ 人材育成の強化
当社グループが300年企業を目指す上で、最も大切な資本が人材であるとの思いのもと、創業以来、技術者教育に力を入れてまいりました。特徴的な取り組みとしては、事業・グループ会社の枠を超えエンジニアを配置転換する「エンジニアエコシステム」を推進し、技術者が多様な現場経験を積む機会を提供しております。今後は、グループ全体で職種別研修や年次別研修制度を構築して人材教育を統一することで、グループ全社員の能力開発を拡充できるよう取り組んでまいります。
④ 海外展開の推進
当社グループが300年企業を目指す上で、海外市場に向けた事業展開を進めることも重要であると考えております。これにあたり米国に現地法人を設立し、既存事業のみならず新事業創出も視野に入れた推進に取り組んでまいります。
⑤ 経営基盤の強化
経営基盤の強化では、事業基盤の強化、人材戦略、経営管理体制の強化を推進いたします。事業基盤の強化では、事業の成長と企業価値の向上に向けて、安全・品質管理の徹底、収益力の強化、施工体制の増強を実践してまいります。人材戦略では、人材の能力を最大限に引き出す人材育成、エンゲージメントの向上、ダイバーシティの推進、心理的安全性により、従業員が楽しく働ける企業風土の醸成を目指します。経営管理体制の強化では、ガバナンス強化とリスク管理を徹底してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、営業利益率及び事業の成長性を示す売上高CAGRを重要な経営指標と位置付け、企業経営に取り組んでおります。また、財務的視点では自己資本比率も重要な指標ととらえております。
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