飯野海運 【東証プライム:9119】「海運業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
環境および気候変動に対する取組みの推進体制
当社グループでは、GHGの削減/脱炭素社会の実現を含む環境問題への取組みを経営上の重要課題と位置づけ、グループ全体で取組みの検討および進捗の管理を行っています。
環境問題を議論する組織として、代表取締役社長を委員長とし、すべての業務執行取締役ならびに主要なグループ会社社長を含むメンバーを委員とする安全環境委員会を設置しています。また、代表取締役社長は当社グループにおける 気候変動問題の責任者の役割も担っています。安全環境委員会は毎月開催され、GHGの削減/脱炭素社会の実現を含む環境や安全に関する各種活動状況の報告を受け、その内容について、審議・評価を行い改善活動につなげています。
特に気候変動対応に関しては、より積極的にグループ全体での対応を進めるため、2022年6月にサステナビリティ推進部を新たに設置し、さらに同部内に海運営業部・不動産営業部・船舶管理部門・ビル管理部門等のメンバーが構成員となる部門横断組織(環境推進ワーキングチーム)を設置しました。これら2つの組織が連携して気候変動対応の計画・立案を行い、サステナビリティ推進部が安全環境委員会に対し、その取組みを定期的に報告しています。
(2)戦略
シナリオ分析の実施
当社グループは、気候関連リスク・機会がもたらす海運業と不動産業への影響を把握するため、TCFD提言に基づき、「2℃シナリオ」と「4℃シナリオ」について、それぞれの将来の世界観を踏まえ、各事業の重要なリスクと機会を抽出し、項目を特定しました。
海運業
これからの脱炭素社会への移行に伴い、主要貨物の一つである化石燃料の海上輸送需要が低下していくことを見据えて、当社グループでは環境負荷低減に資するクリーンエネルギーの輸送や次世代燃料船への投資にも積極的に取り組むべく、戦略を策定していきます。
不動産業
不動産業については、所有するビルに対し、非化石証書付電力の購入開始、照明のLED化、太陽光パネルの設置など、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを既に進めています。これからの脱炭素社会への移行に伴い、オフィスビルの更なる省エネルギー化を検討していきます。
中期経営計画における各事業の具体的な戦略
2023年度~2025年度を対象期間とする当社グループの中期経営計画においては、上記の重要な気候関連リスク・機会の精査を踏まえて、2050年にカーボンニュートラル達成目標を掲げ、そのためのロードマップを以下のように取り纏めております。
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社は、「少数による運営」「モチベーション向上、活性化を促進」「一人ひとりを細かく見る」という人事基本方
針に則り、各社員個々人のニーズや適性に配慮しつつ、幅広い分野の知識と経験を身につけ、新しい時代へと果敢に挑
戦していくことができる人材の育成に力を入れています。
当社の人事評価では、目標管理制度を導入しており、組織目標の達成に向けた行動を組織と社員が一体となって進め
ています。評価結果を伝えるフィードバック面談では、社員一人ひとりに気づきを与え、仕事を通じた目標達成や成長
感など、社員一人ひとりの活性化を図り成長を促す仕組みとなっています。また、キャリア自律を促す施策として、社
員全員に自己申告書の提出を毎年求めており、社員一人ひとりの将来のキャリアや能力発揮の方向性を会社として把握
し、本人が思い描くキャリアを実現できるよう可能な限り支援・指導を行っています。
社内環境整備においては、多様な社員がいきいきと働ける職場を目指し、在宅勤務制度や時差出勤制度の拡充を進め
ています。また、男性も育休を取得できる環境を整えることをきっかけとして、業務の標準化、効率化を進めるととも
に、従業員が協力して助け合える体制を作ることで、育児だけに限らず、一人ひとりがワークライフバランスを充実さ
せることができる状態を目指します。
(3)リスク管理
気候変動に関するリスクおよび投資と機会
財務的または戦略的な面から事業に重大な影響を及ぼす可能性がある気候変動に関する海運業と不動産業のリスクおよび投資と機会について説明します。
海運業における物理的リスク
リスク: 台風などの異常気象の発生
対応策および機会:
短期*1
・気象・海象データを衛星通信で収集
・ウェザールーティングサービスにより提供される (気象・海象予測に基づく)最適な航路選定の支援サービスを利用
中長期*2
・気候変動対策としてGHG排出量を削減可能な二元燃料主機関搭載船への投資推進
リスクに対応するためのコスト(ITシステムの使用):
船舶の運航管理システムや海陸(船舶と陸上)間と船同士のコミュニケーションに使用する通信機器などの利
用により、年間約15百万円の費用が発生しました。
財務上の潜在的影響額:
航路上に台風が発生した場合、船舶は台風を避けるために 航路から離れて航行(離路)する必要があります。離路に伴い年間約1,041百万円の追加費用が発生する可能性があります。
不動産業における物理的リスク
リスク:洪水などの水害の発生
対応策および機会:
短期*1
・自然災害発生時の迅速な対応を可能とするBCPの策定
・ハザードマップで浸水の可能性があるオフィスビルは、電気制御室などの重要機器を配置するスペースを上層階に設置
・すべての国内所有オフィスビルにおいて災害に備えるための保険に加入
中長期*2
・対応策を通じた不動産価値の上昇
リスクに対応するためのコスト(保険の加入):
すべての国内所有オフィスビルにおいて災害に備えるために保険の加入が必要となり、一部のオフィスビルでは約10百万円の費用が発生します。
財務上の潜在的影響額:
当社所有の一部オフィスビルのリスク調査をリスクコンサルティング会社が行った結果、水害リスクとして約3,700百万円の損害が発生する可能性があることが判明しています。この損害額については、加入している上記保険によりカバーされる予定です。
*1 短期とは2年程度の比較的短い期間のこと
*2 中長期とは2年以上の期間のこと
(4)指標及び目標
GHG排出量削減に向けた指標及び目標
2023年度~2025年度を対象とする当社グループの中期経営計画においては、2050年カーボンニュートラル達成に向けた対応方針・目標を設定しました。
上記の重要な気候関連リスク・機会の精査を踏まえて、2023年5月に公表した2050年カーボンニュートラル達成に向けた2030年度のGHG削減目標は、以下のとおりとなります。
海運業 :20%削減(2020年度比、原単位(輸送トンマイル)ベース)
不動産業:75%削減(2013年度比、総量ベース)
GHG排出量実績(Scope 1,2及び3)
人的資本の強化に関する目標
中期経営計画の重点戦略に沿った人的資本強化のKPIを設定し、2025年度における当社のKPIは以下のとおりとなります。
育児休業取得率 100%(2022年度 83%)
総合職に占める女性比率 20%(2022年度末 16%))
海外短期研修・海外駐在経験者 累計75名(2022年度末累計 54名)
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