企業兼大株主川崎汽船東証プライム:9107】「海運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)基本的な考え方

 当社は創業以来、海運を主軸とする物流企業として国際的な社会インフラを担ってきましたが、人々の生活や経済を支えるライフラインとしての使命を果たしてゆくには、経営にサステナビリティ(環境・社会・経済の持続可能性)を重視する視点が欠かせません。急速に変化する環境の中で事業の持続的な発展により企業価値を向上させてゆくには、気候変動問題やSDGsなどに代表されるグローバル社会の要請やお客さまのニーズの変化に応える経営戦略を、機動的に打ち出す必要があります。 当社グループが大事にする価値観のひとつである「地球環境と持続可能な社会への貢献」を体現すべく、サステナビリティへの主体的な取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献しつつ、成長機会の追求と企業価値の向上に取り組んでまいります。

(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス

 グローバルな価値観や行動の変容が加速し、地球温暖化による環境負荷の低減に対する意識が高まるなか、当社グループは、サステナビリティ経営を中長期的な企業価値向上の実現に向けた重要課題の一つとしてとらえ、取締役会において継続的に取り組んでいます。

 サステナビリティに重点を置いた経営を強化するため、「サステナビリティ経営推進委員会」及び「GHG削減戦略委員会」を設置し、気候変動をはじめとするサステナビリティのリスクと機会に対する全社的な方針や取り組みについて討議しています。

「サステナビリティ経営推進委員会」は、社長執行役員を委員長とし、当社グループのサステナビリティ経営の推進体制の審議・策定を通じて、企業価値向上を図っています。

「サステナビリティ経営推進委員会」の下部組織である「環境専門委員会」は、「川崎汽船グループ環境憲章」及び国際標準化機構(ISO)の規格に則って構築された「環境マネジメントシステム(EMS)」を機能的に運用するとともに、その他の環境に関わる活動を推進しています。

 もう一つの下部組織である「サステナビリティ専門委員会」は、安全運航技術・経済運航技術・次世代燃料対応を含む環境技術の開発、低炭素・脱炭素事業への取り組み、DX対応、社会課題への対応及びガバナンス・コンプライアンスの一層の強化を通じて、当社グループの事業の持続性と企業価値向上に寄与する経営を推進しています。

「GHG削減戦略委員会」は、各種環境対応が急務ななか、当社グループの燃料転換を主体としたGHG削減戦略を策定するとともに、総合的な対応戦略、機器選定等の技術対応・円滑な運用準備などの方針を策定し、実施を統括しています。具体的には、下部組織として「CII・2030年環境目標対応プロジェクトチーム」「次世代代替燃料推進プロジェクトチーム」「安全環境支援技術プロジェクトチーム」の3つのプロジェクトチームを置き、喫緊の課題であるEEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index、既存の大型外航船の燃費性能規制)やCII(Carbon Intensity Indicator、燃費実績の格付制度)への組織的対応を強化するほか、LNG燃料焚き船・LNG燃料供給事業への取り組み加速と次世代燃料や新技術の検討、環境規制への技術面も含めた対応方針の策定を担っています。

(3)サステナビリティ全般に関するリスク管理

 当社はサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程の一環として、必要に応じてマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の見直しを行っています。

2022年度の見直しでは、新たに5分野、12項目のマテリアリティを特定しました。従来のマテリアリティは、ISO26000やOECD多国籍企業行動指針など、主としてCSR(企業の社会的責任)に関連する各種ガイダンスを参考に、2014年に特定されたものですが、その後の経営環境や社会情勢の変化を踏まえ、見直しを行ったものです。

 今回の見直しに際しては、各社会課題について、従来のCSRの視点に加え、事業戦略との整合性や価値創造の観点なども加味して、「自社にとっての重要性」(ビジネス視点での重要性)と「社会にとっての重要性」(ステークホルダー視点での重要性)という2軸から、当社の企業価値への影響度をリスクと機会の観点より分析・評価しました。

(4)マテリアリティ

2022年度に特定されたマテリアリティ12項目は、当社が中期経営計画で掲げる機能戦略の4本柱である「安全・品質」「環境・技術」「デジタライゼーション推進」「人材」と、それらの土台としての「経営基盤」の5分野に分類して整理されています。当社グループはマテリアリティを、中期経営計画に基づいて企業理念やビジョンを実現するために取り組むべき重要課題と位置付けています。

分野

社会課題解決へのアクション

=マテリアリティ

基本方針

経営基盤

人権の尊重

グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取り組みを推進する。

コーポレートガバナンスの強化

企業の社会的責任を果たし、株主等ステークホルダーの負託に応え、持続的に成長していくために、グループ全体に企業倫理を徹底しつつ、有機的かつ効果的なガバナンスの仕組みを構築し、収益・財務体質の強化と相まって企業価値を高めるよう継続して努力していく。

コンプライアンスの推進・強化

国内外の法令や社会規範を遵守し、公正、透明、自由な競争及び適正な取引を行う。

安全・品質

安全運航の推進

海運業を営む上で、安全運航の確立・維持は不変の使命であり、「安全で最適なサービスの提供」を通じて、安全運航による社会への貢献を果たす。

環境・技術

自社の低炭素化・脱炭素化

地球規模での気候変動対策を国際社会全体で強化すべき課題として捉え、「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」を宣言。また、持続的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進する。

社会の低炭素化・脱炭素化支援

自社からの海洋・大気への環境影響の限りないゼロ化

「安全で最適なサービスの提供」を通じて、安全運航による社会への貢献を果たすことは、海洋・大気への環境影響低減への貢献でもあり、油濁事故ゼロのための取り組みを推進し、船舶運航における環境影響の低減に努める。

イノベーションの促進

安全・環境・品質に磨きをかけ、お客さまや社会に対して新たな価値を提供すべく、新技術の追求と、検討・実証から実装に向けた対応強化の両軸での取り組みを通じて、当社のコアバリューを磨き上げ、競争力の強化を図る。

デジタライゼーション推進

DX対応の強化

DX基盤の整備とデジタル技術を活用した「顧客提供価値の向上」と、安全・環境・品質のコアバリューを磨き上げる「運航支援」により、当社サービスの付加価値を向上させるとともに、ビジネストランスフォーメーションに発展させることで新たな価値を創造し、それによって築かれた競争優位性により顧客との関係を深化させ、企業価値の向上を図る。

人材

ダイバーシティ&

インクルージョンの促進

多様性を「競争力の源泉」と位置づけ、国籍、大学、学部、性別、職種(事務系・技術系)を問わない一括採用・キャリア採用を実施するほか、職場におけるジェンダーバランスの強化に向けた行動計画を策定するなど、多様性のさらなる促進に取り組む。

労働環境の整備・

健康経営の促進

グループ従業員の人格、個性及び多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備・向上を図り、ゆとりと豊かさを実現する。

人材の確保・育成

多様な価値観の受容をベースに人材の量的・質的な確保に努め、社員一人ひとりが自らの能力を高め、成果を上げることができるよう育成する。

(5)主な取り組み

 ①気候変動への対応「TCFDフレームワークに基づく情報開示」

  a)考え方

 当社グループは、2020年6月にこれまでの「“K” LINE 環境ビジョン2050」を振り返り、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言するシナリオ分析の結果を踏まえ、取り組むべき課題及び目標の一部を改訂しました。更に2021年11月には地球規模での気候変動対策を国際社会全体で強化すべき課題として捉え、より高い目標である「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」を宣言しました。また、2022年5月公表の中期経営計画における長期ビジョンとして、持続的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進しています。

  b)ガバナンス

※「(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス」をご参照ください。

  c)リスクと機会

 パリ協定では世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より十分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求する長期目標が掲げられています。

 パリ協定の精神に則り、国際海運においても、海事分野に関する国連の専門機関「国際海事機関(IMO)」により目標や対策が定められており、当社もIMOの方針に沿った形で事業活動に伴うGHG排出削減に取り組んでいますが、GHG排出削減対策の効果が十分に出ず、物理的リスクが激増する世界を迎える可能性もあります(4℃上昇シナリオ)。当社グループはこうした状況にも適応できるレジリエンスを発揮し、事業運営を続けなければなりません。そこで、「2℃未満シナリオ」と「4℃上昇シナリオ」の二つのシナリオについて、事業への影響をマイナス面(リスク)とプラス面(機会)の両面から整理し、行うべきことを導き出しました。

  d)指標と目標

2030年に向けては、これまで「“K” LINE 環境ビジョン2050」で掲げてきた中期マイルストーンの目標達成に向けて、アクションプランを着実に推進していきます。

2050年に向けては、GHG排出量ネットゼロに挑戦し、自社の脱炭素化に一層取り組むだけでなく、社会の脱炭素化の支援も推進し、「人々の豊かな暮らしに貢献する」ことを目指していきます。

「2030年中期マイルストーン」

・自社の低炭素化:CO2排出効率 2008年比50%改善

・社会の低炭素化支援:社会の低炭素化に向けた新しいエネルギー輸送・供給の推進

「2050年目標」

・自社の脱炭素化:GHG排出量ネットゼロに挑戦

・社会の脱炭素化支援:社会の脱炭素化を支える新エネルギー輸送・供給の担い手に

  e)戦略と取り組み

2050年GHG排出ネットゼロに挑戦する過程において、まずは2030年中期マイルストーン達成に向けた取り組みとして、自社の脱炭素化・低炭素化という観点から、LNG燃料船、LPG燃料船、アンモニア/水素燃料等ゼロエミッションの新燃料船への転換を進めていきます。また自動カイトシステム「Seawing(風力推進)」や統合船舶運航・性能管理システム「K-IMS」などの活用によるCO2排出削減の取り組みも推進していきます。

 当社グループの気候変動に対する具体的な取り組みにつきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

「サステナビリティ」>「環境」>「気候変動への対応」>「戦略と取り組み」

https://www.kline.co.jp/ja/sustainability/environment/climate_change.html#005

  f)温室効果ガス排出実績

2022年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量(GHG Protocolによる算定・報告の基準による)は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)6,649,847トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)10,472トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)4,506,111トン、バイオ燃料使用に伴う温室効果ガスの排出量は348トンという結果となりました。

 ②人的資本多様性

  a)人材育成方針・社内環境整備方針

 当社グループでは、グループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」を制定しており、そこに掲げる「人権の尊重」のなかで、国の内外を問わず人権を尊重するとともに、グループ従業員の人格、個性及び多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備向上を図り、ゆとりと豊かさを実現することを謳っています。また、当社では、「川崎汽船企業行動憲章実行要点」において、国籍、性別、宗教または社会的身分等を理由とする雇用や処遇の差別を排除し、機会の均等を図ると定めており、管理職及び一般従業員における多様性の確保を図っています。当社グループは、世界20か国以上に現地法人や関係会社を持ち、多様性に富んだ従業員で構成されています。日本の本社においても、国籍や性別などを問わない採用や登用を行っており、ウェブサイトでは、人材育成方針、社内環境整備方針、人材マネジメントの基本方針に加えて、人事制度一般に関するデータや女性の管理職に関する目標も開示しています。外国人・中途採用者については、当社グループの経営戦略に沿った採用・登用のなかで、人材の多様性を促進していきます。

  b)指標と目標

 全ての社員が働き甲斐をもっていきいきと働ける企業となることを目指し、また仕事と家庭を両立しながら、誰もが個々の能力を十分に発揮できる雇用環境の整備を行うため、女性活躍推進及び次世代育成支援のための行動計画(計画期間:2022年4月1日~2025年3月31日)で以下の当社目標を設定して取り組んでいます。

① 計画期間末迄に管理職における当社の女性社員比率を15%とする。

② 男性社員の育児のための当社の休暇・休業取得率を20%以上とする。

  c)目標の進捗状況

「第1企業の概況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ①提出会社」をご参照ください。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。

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