ジャックス 【東証プライム:8584】「その他金融業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、私たちが創業より大切にしてきた価値観や事業活動の基礎となる考え方を表すものとして、以下の「創業の精神」「経営理念」を定めております。また、これからどのような姿を目指すのかを明確にするため、「長期ビジョン」を掲げております。
創業の精神 |
「信為萬事本(信を万事の本と為す)」 |
「信義は全てのものごとの基本である」と捉え、消費者の皆様・お取引先の皆様との 「信用」と「信頼」を第一に考え、事業に取り組む。 |
経営理念 |
「夢のある未来」「豊かな社会」の実現に貢献する |
当社の事業を通じ、すべてのステークホルダーにとって 「夢のある未来」「豊かな社会」となるよう尽力する。 |
長期ビジョン |
「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」 |
当社グループは、コンシューマーファイナンスを通じて、人々の生活が豊かになるよう、グループの役職員が一体となり、これからも真摯に事業へ取り組んでまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
2022年度よりスタートしました第14次中期3カ年経営計画「MOVE 70」では、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を目指し、長期ビジョンである「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」の実現に向け、経営体質のさらなる強化を図ってまいります。そして、中期経営計画「MOVE 70」では、「強みを活かした国内事業の収益基盤拡充」 「将来の成長をけん引する海外事業の収益基盤確立」「国内・海外の成長を加速する経営基盤の強化」「ESG経営の推進」という4つの「3年後のあるべき姿」を掲げ、これらの実現に向けた戦略の着実な実行により、さらなる成長拡大を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
2022年度を初年度とする中期3カ年経営計画「MOVE 70」で掲げた目標(2022年4月公表)は、次のとおりであります。
(億円)
連結目標 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
営業収益 | 1,670 | 1,755 | 1,845 |
経常利益 | 290 | 325 | 365 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 195 | 220 | 245 |
ROE(%) | 10.6 | 10.9 | 11.3 |
(億円)
単体目標 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
営業収益 | 1,405 | 1,450 | 1,495 |
経常利益 | 260 | 275 | 300 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 180 | 190 | 205 |
なお、2023年度及び2024年度目標は次のとおり見直しを行っております。
(億円)
連結 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
実績 | 目標 | 実績 | 目標 | |
営業収益 | 1,735 | 1,805 | 1,847 | 1,930 |
経常利益 | 317 | 335 | 330 | 280 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 216 | 230 | 237 | 195 |
(億円)
単体 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
実績 | 目標 | 実績 | 目標 | |
営業収益 | 1,434 | 1,495 | 1,551 | 1,590 |
経常利益 | 269 | 295 | 323 | 255 |
当期純利益 | 187 | 210 | 237 | 180 |
(4)優先的に対処すべき課題
2022年度よりスタートしました中期3カ年経営計画「MOVE 70」では、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を目指し、長期ビジョンである「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」の実現に向け、経営体質のさらなる強化を図ってまいります。
当社グループにおける対処すべき課題は次のとおりです。
(当社グループにおける優先的に対処すべき課題)
①国内事業
・環境変化に応じた収益構造の改革
・デジタル技術を活用した業務プロセスの改善と生産性向上によるコスト削減の実現
②海外事業
・営業エリアの拡大や取扱商品の拡充による競争力の強化と収益力の向上
・債権管理体制の強化や与信精度向上による未収債権の抑制
③グループ全般
・お客様や加盟店のニーズに応じた商品・サービスの拡充と全社的なDXの進展
・金融環境や事業環境に適応した戦略立案とリスク低減への取り組み強化
・成長戦略の立案と実行(成長領域への戦略的なM&A等)
・マテリアリティを通じた環境・社会課題への取り組み強化
環境変化や想定される機会・リスクを的確に捉え、これらの諸課題に対処すべく、中期経営計画では4つの「3年後のあるべき姿」を掲げ、その実現に向けた戦略の実行と各種施策への取り組みに注力しております。
(4つの3年後のあるべき姿と戦略)
① 強みを活かした国内事業の収益基盤拡充
・クレジット事業では、金利環境に応じた施策の実行と住宅分野における変動金利商品の導入により、適正な収益を確保します。
・カード・ペイメント事業では、お客様や加盟店のニーズに沿った施策の実行により、決済ビジネスの収益拡大を図ります。
・ファイナンス事業では、これまで培ってきた取引基盤を活かし、保証残高のさらなる積み上げによる収益拡大を図ります。
② 将来の成長をけん引する海外事業の収益基盤確立
・海外事業は、各国に適した事業ポートフォリオマネジメントを推進するとともに、債権管理体制の強化による未収債権の抑制とコスト削減により、安定した収益基盤を確立します。
・リスク低減に向けた内部統制の強化と、当社各部門の知見を活用したさらなる相互連携により、グループ経営管理体制を強化してまいります。
③ 国内・海外の成長を加速する経営基盤の強化
・戦略的パートナーである三菱UFJフィナンシャル・グループとの国内及び海外事業の協業によるシナジー創出に向けた取り組みの推進を図ります。
・DX戦略ではペーパーレス化やストックレス化のさらなる推進によるコスト削減を図るとともに、デジタル技術活用によるお客様や加盟店のニーズに寄り添った新商品・新サービスの開発を推進します。
・財務健全性・収益性・資本効率のバランスを意識したグループベースでのリスクマネジメントの実行により、経営基盤の強化を図ります。
④ ESG経営の推進
・ファイナンスサービスを通じた脱炭素化への貢献や、気候変動へのグループ全体での取り組みなど環境保全に向けた推進を強化してまいります。
・人事制度の改定や人権方針の策定等により、当社グループの多様性や人権の尊重に向けた取り組みを強化してまいります。
・複雑化するサイバー攻撃への対策をはじめとした情報セキュリティの高度化により、安心・安全で利便性の高いサービスの提供を継続してまいります。
(5) 統合リスクマネジメント(ERM)への取り組み
①ERMの全体像について
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、リスクマネジメントを経営上の最重要課題と位置づけ、グループベースでのリスクマネジメントの高度化に取り組んでおります。主要なリスクとして信用リスク、金利リスク、オペレーショナルリスクを定量化し、収益・リスク・資本のバランスをコントロールすることで財務の健全性の確保、リスク対比の収益性及び資本効率の向上を目指しております。
2023年4月、ERMを推進するリスクマネジメントの統括部署としてリスク統括部を設置しました。従来のリスクマネジメントは、オペレーショナルリスクを中心とした定性的評価とリスクの低減を主眼に置いた守りのリスクマネジメントでしたが、当社グループを取り巻く社内外のリスク環境の変化を受け、リスクアペタイトなどリスクの定量化を通じ、適切にリスクテイクしていく攻めのリスクマネジメントの体制を整備しました。リスク管理の健全性を担保した当社グループのリスクマネジメントの一元管理を行い、リスクの定量化による自己資本の充実度検証に加え、事業ポートフォリオマネジメントの高度化を目指しております。
(収益、リスク、資本の統合的管理イメージ)
(財務健全性の確保)
信用リスク、金利リスク、オペレーショナルリスクを定量化し、そのリスク量を自己資本と対比することで自己資本の充実度を検証、モニタリングしております。
自己資本に対してリスク量の変動に備えたリスクバッファを確保したうえで、リスクキャパシティ(許容する最大リスク量)を設定し、リスクキャパシティとリスクアペタイト(進んで引き受けようとするリスクの種類と量)との差を剰余資本とし、成長投資や株主還元など、企業価値向上に向けた戦略的な意思決定に活かしております。
2024年3月末時点の計測したリスク量は、リスクキャパシティの範囲内に収まっており、現在の事業戦略を遂行する上で充分な財務健全性が確保されております。
②資本政策の方向性について
財務の健全性確保とさらなる成長への原資となる内部留保の充実を図りながら、利益水準に見合う安定・継続的な配当を実施いたします。中期3カ年経営計画「MOVE 70」における連結配当性向につきましては、30%を目安として安定的な利益還元を行うことを目標に掲げておりましたが、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の一環で、2023年11月に連結配当性向の目標を35%へと引き上げております。
③事業ポートフォリオマネジメントについて
当社グループは、取るべきリスクをとり、リスクに見合う収益を確保するため、事業のリスク資産に対する収益性と成長性を軸とした評価及び資源配分を検討、実行していく事業ポートフォリオマネジメントに取り組んでおります。また、事業ポートフォリオに関する基本方針を制定し、国内及び海外事業セグメントに基づき、クレジット、カード・ペイメント、ファイナンス、海外の4つを主軸とした事業ポートフォリオ戦略を立案、実行しております。さらに、既存事業の成長を促すリソース投入に加え、新事業やM&A等の戦略的投資に際し、適切な成長性や収益性の把握、リスク管理を行うことを目的に投資検討委員会を設置しました。こうした取り組みにより各事業の成長性と資本効率及びリスク対比収益性と成長戦略等を総合的に勘案して評価、モニタリングを行い、グループにおける位置づけや事業運営方針について定期的に経営会議で検討し、取締役会で監督することで適切なリスクテイクを行ってまいります。
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