栃木銀行 【東証プライム:8550】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行グループが判断したものであります。
(1)ガバナンスの状況
当行グループは、当行、地域社会ならびにステークホルダーが直面する持続可能性に関わる重要な課題(「マテリアリティ」)への積極的な対応が、当行の持続可能性にも資する重要なミッションであると認識し、当行の課題への取組みとともにこれらを経営戦略に落とし込み、中長期的な企業価値の向上につなげていくこと、そしてそれを取締役会が監督・主導していくことが重要であると考えております。
以上を踏まえ、当行グループは、取締役会での議論を経て、2021年12月に「サステナビリティ方針」を策定するとともに、頭取を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。「サステナビリティ推進委員会」は半期に一度開催し、サステナビリティに関連する重要事項について協議し、取締役会に報告する体制としております。また、取締役会の議論を経て「環境方針」「人権方針」「持続可能な社会の形成に向けた投融資方針」を制定し、環境保全や人権尊重に関する基本的方針を明確にするとともに、環境や社会的課題解決に向けた取組みを投融資業務を通じて積極的に支援しつつ、環境・社会に対して重大な影響を与える可能性が高い事業者への投融資については、慎重に判断し、その影響を低減・回避するよう努めることといたしました。
(2)戦略
当行グループは、気候変動、人的資本、人口減少・少子高齢化、デジタル化への対応等を重要課題と認識しており、「サステナビリティ推進委員会」の下、環境、人的資本、社会課題等のワーキンググループが協力して活動しております。
上記重要課題の内、気候変動と人的資本についての当行の「戦略」・「リスク管理」・「指標と目標」は以下のとおりです。その他、「人口減少・少子高齢化」や「デジタル化への対応」など、当行のサステナビリティへの取組みについては、当行ホームページ(「サステナビリティへの取組み」、「第11次中期経営計画」、「決算説明資料」等)をご参照願います。
① 気候変動
当行グループは、気候変動に関するリスクの把握・評価や、情報開示の重要性を認識し、2021年12月にTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)提言に対する賛同を表明いたしました。
◆リスクと機会に対する認識
気候変動に関する主なリスクと機会を以下のように考えております。認識しているリスクに適切に対応していくことが、当行グループのビジネス機会にもなることを認識しております。2023年3月には、地域社会の脱炭素促進に向けた事業として、連結子会社として株式会社クリーンエナジー・ソリューションズを設立し、再生可能エネルギーの発電・販売事業を開始しました。
今後も、脱炭素社会の実現に向けた取組みとして、当行グループのCO2排出量の削減やカーボンニュートラルに向けた設備資金ニーズへの対応等を行ってまいります。
◆シナリオ分析
上記の物理的リスクのうち、信用リスクについては、台風・豪雨等風水害による当行の担保不動産の毀損及び当行融資先の事業停滞に起因する与信関係費用の増加額を推計しております。
② 人的資本
◆人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当行グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。
(人材育成方針)
当行グループは、お客様、地域社会の課題を解決し、持続的な成長に貢献していくためには、多様なステージで活躍できる人材が必要であると考えています。職員の自律的な成長を積極的に支援するとともに、多様な人材がそれぞれの能力を発揮できる企業風土をつくり、お客様や地域社会に新たな価値を提供できる人材を育成してまいります。
(社内環境整備方針)
当行グループは、「人材育成」、「公正な評価」、「健康経営」、「人権尊重」を通じ、働きやすい、働きがいのある職場環境を整備してまいります。
(3)リスク管理
当行グループは、統合的リスク管理として、直面するリスクに関し、「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナルリスク(事務リスク、システムリスク、法務リスク、人的リスク、有形資産リスク、風評リスク等)」のリスクカテゴリー毎に評価したリスクを総体的に捉え、当行の経営体力である自己資本と比較・対照することによって管理しております。
そのため、ALM委員会、市場運用委員会を設置し、各種リスクの評価・コントロールを行うほか、コンプライアンス委員会、危機管理委員会も含めて、損失発生を防止・抑制すると同時に、将来損失が発生する可能性をできるだけ合理的に把握・測定をしております。また、気候変動や人的資本等の重要課題に起因するリスクを含む統合的リスク管理の状況は、半期毎に取締役会に報告しております。
① 気候変動
当行グループは、気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが、中長期的に当行グループの財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
気候変動に関連して発生が想定される「信用リスク」や「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナルリスク」は、様々な時間軸や影響経路を通じて顕在化する性質を持つため、事業運営や財務への影響を総体的に捉え、当行グループが持続していくうえで必要な経営体力の範囲内のレベルにコントロールする枠組み(統合的リスク管理)のなかで管理しております。
② 人的資本
人的資本に起因するリスクについても、気候変動同様、主に「オペレーショナルリスク(主として人的リスク)」として、統合的リスク管理のなかで管理しております。
(4)指標及び目標
当行グループは、サステナビリティに関して以下の指標を目標と定め取り組んでおります。
① 気候変動
・CO2排出量の削減
当行グループではCO2排出量の削減に取り組んでおり、2022年度は2013年度比で50.6%削減しています。今後、2030年度には70%削減、2050年度までにカーボンニュートラルを目指しております。
この目標の達成のため、当行グループの建物設備等は、LED化を基軸とする省エネ設備の導入や店舗統廃合による効率化を計画的に進めるほか、グループ内使用の社用車についてハイブリット車や電気自動車への切り替えを検討しております。
※1 エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)の規程に基づく定期報告書より算出
※2 グラフ中の2022年度までの排出量は、当行グループ7社のうち株式会社クリーンエナジー・ソリューションズを除いた6社の排出量を算出しております。
・ESG融資
当行グループでは、サステナブルファイナンスとしてお客様の社会課題や環境問題等への取り組みを後押しするため、医療や農業等の社会分野や再生可能エネルギー事業や省エネ設備の導入等の環境分野への融資を「ESG/SDGs融資」として位置付け、2022年度から2030年度の融資実行額を累計2,500億円を目標に、長期的に取組んでおります。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
| 2023年度 | |
目標 | 250億円 | 300億円 | 300億円 |
| 300億円 | |
実績 | 383億円 | 276億円 | 446億円 |
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| うち環境分野 | 24億円 | 12億円 | 120億円 |
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(当行の炭素関連資産の状況)(2023年3月末)
当行の与信残高に占める炭素関連資産(電力・エネルギーセクター向けエクスポージャー)の割合は1.64%です。なお、2021年のTCFD提言補足ガイダンス改訂に基づく炭素関連資産(電力・エネルギー、運輸、素材・建築物、農業・食料・林産物セクター向けエクスポージャー)の割合は23.42%です。
② 人的資本
当行グループでは、上記「(2)戦略②人的資本」において人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。なお、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
指標 | 目標 | 実績(2022年度) | |
有資格者の人数 | 中小企業診断士・ 経営コンサルタント | 2026年3月末までに60人 | 48人 |
1級FP技能士 | 2026年3月末までに55人 | 47人 | |
ITパスポート | 2026年3月末までに500人 | 52人 | |
正規雇用労働者の中途採用比率 (注)1 | ― | 11% | |
障がい者雇用率(注)2 | 2026年3月末までに2.7%以上 | 2.58% | |
有給休暇取得率(注)3 | 2028年3月末までに70%以上 | 44.8% |
(注) 1.労働施策総合推進法に基づく中途採用比率を示しております。
2.従業員に占める身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の割合を示しております。
3.従業員に付与した年次有給休暇の日数を、実際に従業員が取得した割合を示しております。
(管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異に対する当行の取組方針について)
指標 目標 実績(当事業年度)
管理職以上に占める女性労働者の割合 2026年3月末16.0%以上 11.7%
男性労働者の育児休業取得率 2024年3月末80.0%以上 78.8%
労働者の男女の賃金の差異
①全労働者 ― 49.1%
②正規雇用労働者 ― 57.5%
③非正規雇用労働者 ― 69.9%
正規雇用労働者における賃金差異は、相対的に賃金水準が高くなる管理職(支店長代理級以上)に占める女性労働者の割合が大きく影響しております。30代、40代の管理職に占める女性労働者の割合は、各々8.7%、18.6%であり、特に出産や育児などさまざまなライフイベントを経験する30代の女性管理職割合が低いことが課題となっています。
当行は上記課題に対応するため、2022年4月に人事制度の改正を行い、出産・育児・介護など個々のライフイベントや事情により、地域限定で働く女性を含む全ての職員が上位職位にチャレンジ可能としたことに加え、コース間(総合職・地域総合職)における昇進基準の差異を撤廃いたしました。これにより、管理職に占める女性労働者の割合向上及び労働者の男女の賃金の差異解消を図ってまいります。
また、2023年7月より非正規雇用労働者の69%を占めるパートタイマー(全員女性)の時給引上げを実施いたします。これにより、非正規雇用労働者の男女の賃金差異解消を図ると同時に、非正規から正規への雇用転換につきましても併せて積極的に取組んでまいります。
当行は、今後も人事制度や育児短時間勤務、復職制度(カムバック制度)などの働く環境面に止まらず、男性に比べて職務範囲が狭いとされる女性の職務拡大を支援するため、ジョブ・ローテーション制度などの教育研修体制の整備も進めてまいります。こうした女性のキャリアアップ支援体制を充実させつつ、女性管理職のロールモデルとなる一定の母集団を形成するため、計画的に女性の積極登用を行っていく方針であります。
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