企業ふくおかフィナンシャルグループ東証プライム:8354】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ方針

FFGではグループ経営理念の実践にサステナビリティの観点を取り入れ、その考え方を明文化した、「サステナビリティ方針」を以下のように定めております。

ふくおかフィナンシャルグループは、
グループ経営理念に基づく事業活動への取り組みを通じて、
「地域経済発展への貢献」と「FFG企業価値の向上」の
好循環サイクルを創出し、
持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

このサステナビリティ方針のもと、これまで培ってきた強み(財務資本・非財務資本)や技術革新を利活用しながら事業活動を展開(ステークホルダーへの価値提供)し、経済的・物質的・精神的に豊かで持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

この豊かで持続可能な地域社会の実現に向けて「地域成長への貢献」と「FFGの成長」「個人(従業員)の成長」の好循環を創出していくことがFFGのサステナビリティ経営です。

(2)ガバナンス

FFGでは、取締役会の指示・助言の下、経営企画部を統括部署としてFFG本部がグループ全体のサステナビリティ関連施策を推進する体制を構築しております。

(参考)サステナビリティ推進体制


気候関連問題については、サステナビリティ推進体制の下、FFGのSDGs重点項目「環境への配慮」の柱として優先的に取り組んでおります。

気候関連のリスクと機会に関する役割と責任を明確化するため、FFGでは「リスク管理方針」において、取締役会が気候関連リスクの特徴を踏まえて各種リスク管理態勢を整備・確立することを定めており、気候関連リスクの内容に応じて対応方針等を取締役会やグループリスク管理委員会にて協議する体制としております。

 投融資に関しては、地球温暖化防止に向けた国際社会の要請や、持続可能な地域社会の実現に向けた取組みへの期待を踏まえた「環境・社会に配慮した融資の取組み方針」を福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行の「与信の基本方針(クレジットポリシー)」に明記し、各行の取締役会で決定しております。

(3)戦略

①気候変動関連
<リスクと機会>

FFGはグループの資産構成、ビジネスモデル、及び今後想定される外部環境等の変化を踏まえ、気候関連の「リスク」と「機会」を以下の通り認識しております。

(リスク)

区分

内容

リスク区分

時間軸(※)

物理的

リスク

FFGの営業基盤である九州における豪雨・台風等の増加による、取引先被害深刻化

信用リスク

短期~長期

FFGの営業基盤である九州における豪雨・台風等の増加による、自行店舗やデータセンター等の被害深刻化

有形資産

リスク

短期~長期

移行

リスク

脱炭素社会への移行に伴い、対応リソースが限られる中小企業取引先を中心に財務や事業継続への悪影響が顕在化

信用リスク

中期~長期

石炭火力発電事業等、環境・社会に負の影響を及ぼす可能性がある事業への規制強化に伴う、同事業向け融資の価値毀損

中期~長期

FFGの気候変動への取組みがステークホルダーの期待と乖離することによる企業価値減少

風評リスク

短期~長期

 ※短期(0~3年)、中期(3~10年)、長期(10年超)

(機会)

区分

内容

商品・

サービス

風水災等の増加に備え、取引先への保険等を活用したリスク低減スキーム、BCP策定・診断支援等のサービスの提供

環境課題解決に向けた取引先の事業を支援するサステナブルファイナンスの増加

GHG排出量測定・削減計画実行支援等のコンサルティングサービスの増加

Sustainable Scale Index(※)を起点とした対話により取引先のサステナビリティ経営を支援するサステナブルビジネスの実現

 ※FFG子会社サステナブルスケールと九州大学が協業で開発した独自のSDGsスコアリングモデルサービス

<シナリオ分析・炭素関連資産>

FFGでは、気候関連リスクがFFGに及ぼす影響を把握し、戦略のレジリエンスを確立するため、シナリオ分析を活用しております。

 シナリオ分析結果を踏まえ、今後は取引先企業による気候変動への適応や脱炭素社会への移行に向け、対話(エンゲージメント)を強化することで事業機会の創出やリスクの低減に繋げてまいります。また、TCFD提言の改定を踏まえた新たな炭素関連資産の割合も算出しております。

 シナリオ分析・炭素関連資産の詳細な情報については、弊社ウェブサイト(https://www.fukuoka-fg.com/)に公表されている統合報告書2022年度版をご参照ください。

②人財戦略

2022年度よりスタートした第7次中期経営計画において、「事業戦略を実現できる人財の獲得・育成による戦略的人財ポートフォリオの形成」と「多様な人財の尊重と支援による活躍推進」を人財戦略の柱とし、様々な施策に取り組んでおります。 DXの推進による営業スタイルや情報管理の変化に合わせつつ、各人の経験・スキル、評価、適性などを勘案しながら事業戦略を実現するための最適かつ柔軟な人財配置をスピード感を持って実行していくことが課題と考えております。

<人財育成方針>

 事業戦略をスピード感を持って実現していくために、従来型の採用・人財育成やライフイベントの影響を受けやすい女性に対する育成施策の拡充に加え、キャリア採用や専門人財等の育成にも積極的に取り組み、事業環境の急速な変化にも対応できる多様性・専門性を備えた人財の早期育成・キャリアアップの取組みを強化します。

(主な取組み)

・事業戦略の早期実現に向け、スキル・業務ごとの体系的な育成プログラムや、専門人財育成のためのオーダーメイド型プログラム等、育成メニューを拡充

・所属長による1on1ミーティングを通じて、従業員一人ひとりのキャリア観を尊重しつつ、個々の状況に応じたキャリア支援を実施

・女性の意識向上、マネジメントスキルの習得を目的として、女性役職者向けキャリア研修を継続実施するとともに、女性役職者に対する「メンター制度」を実施

・女性の業務領域を拡げるために、法人融資未経験者を対象とした自主参加の勉強会を企画・実施するとともに、法人融資担当者として営業店に配置

<社内環境整備方針>

 様々なバックグラウンドを有する個々人の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を増やし、公私共に充実できる環境を整えることで、単純な働き易さでは無く、生産性ややりがいを高め、エンゲージメントの向上につながるような仕組みづくりを進めてまいります。

(主な取組み)

・女性従業員によるプロジェクトチーム「ふわり」を立ち上げ、意識面・環境面の改革について、現場の女性の意見やアイディアを反映した施策提言や、各種イベントの企画・運営を実施

・育児休業取得者に対し、定期的な面談や復職前研修等を行う「復職支援プログラム」を実施

・配偶者の転勤に帯同できる「パートナー帯同制度」を実施

・ベビーシッター等の利用料の一部を補助する「育児サービス利用料補助制度」を実施

・両立中の行員やその上司等の相談に対応する「両立支援相談窓口」を設置

・ロールモデルやマネジメント好事例等を紹介する「両立支援ハンドブック」を発刊

・業務において旧姓の使用を認める「旧姓使用制度」を実施

・自らの成長・キャリア開発のためや、プライベートな個別事情に専念し復職後のキャリアを充実させるための多目的型の休職制度「フレキシブル休職制度」を導入

・配偶者の転勤・結婚・出産・育児・介護等により退職した従業員に対し、再就業の機会を提供する「ジョブリターン(再雇用)制度」を実施

・育児休業取得者の早期職場復帰を支援するため企業内保育所「ふくぎんきっずらんど petit petit」を設置

・認可外保育料の一部を補助する「認可外保育料補助制度」を実施

・誰もが自分の生活と仕事を大切にしながら両立できる職場の実現に全員で取り組むため、男性の育児休業を一部有給化するとともに、男性の育児休業の10営業日取得を義務化

<Financial Wellness>

FFGでは従業員の資産形成を後押しするため、各種資産形成制度を従業員向けに提供しております。

(主な取組み)

・財形制度(一般財形/財形住宅/財形年金)

・貸付制度(住宅貸付/福利厚生貸付)

・従業員持株会

・(従業員向け)団体保険

・企業年金制度(確定給付年金制度/確定拠出年金制度)

・福利厚生メニュー「ベネフィット・ステーション」による各種メニュー/補助

(4)リスク管理

 FFGでは、経営上、特に重要なリスクを「トップリスク」と位置付けており、その一つとして「気候変動に関するリスク」を選定しております。気候関連リスクは、そのリスクが顕在化した場合、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクといった各リスク・カテゴリーに波及するという特徴を持っております。当社取締役会は、気候関連リスクのこのような特徴を踏まえ、適切なリスク管理態勢の整備・確立に積極的に関与しております。

 気候関連リスクのうち重要と判断されたものについては、顕在化の態様に応じたリスク・カテゴリーのリスクとして、統合的リスク管理の枠組みの中で管理・対応を実施しております。

 物理的リスクへの対応として、国内事業性貸出先においてIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)報告書におけるRCP8.5(4℃シナリオ)及びRCP2.6(2℃シナリオ)を使用して、シナリオ分析を実施しております。また、移行リスクへの対応として、ユーティリティ、エネルギーセクター及び自動車セクターにおいて、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)によるNet Zero 2050(1.5℃シナリオ)及びCurrent Policies(3℃シナリオ)を使用して、シナリオ分析を実施しております。いずれのシナリオ分析においても、2050年までに発生し得る追加信用コストを推計しております。

 シナリオ分析手法は確立されていない部分も多く、発展途上であるため、FFGでは今後も引き続きシナリオ分析の高度化及び精緻化に取り組むことでリスク管理の高度化を図ってまいります。

<環境・社会に配慮した融資の取組み方針>

FFGでは、融資業務における環境・社会への配慮のため、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行において、禁止する融資、取組みに際し留意する融資を「環境・社会に配慮した融資の取組み方針」に定めております。

 なお、2022年には「石炭採掘」セクターに関して以下の3点の改定を行っております。

ⅰ. 石炭採掘事業に対する方針(新規採掘事業向け融資は慎重に判断)の対象範囲を既存事業にも拡大

ⅱ. 山頂除去採掘(MTR)方式に対する方針(新規採掘事業向け融資は禁止)の対象範囲を既存事業にも拡大

ⅲ. 発電事業向け燃料用石炭(一般炭)の新規採掘事業向け融資を禁止

 また、当社グループにおける石炭火力発電所建設向けプロジェクト・ファイナンスの貸出金残高(2023年3月末時点)は23億円で、2035年度を目処に残高ゼロとします。

(5)指標と目標

FFGでは、環境課題・社会課題への取組みを一層推進するため目標を定め、モニタリングを行っております。

①サステナブルファイナンス(福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行合算)

FFGでは、2021年10月にお取引先の環境・社会課題解決、脱炭素社会に資するファイナンスを「サステナブルファイナンス」と位置づけ、その累積実行額目標を「2020年度から2030年度までに2兆円(うち、環境ファイナンス1兆円)」としました。今後、お取引先の課題の解決、支援を通じて目標達成を目指します。

 

 

目標(2020年度-2030年度)

実績(2020年度-2022年度)

サステナブルファイナンス累積実行額

2兆円

4,492億円

 

うち環境ファイナンス累積実行額

1兆円

1,629億円

※対象となるファイナンス

・気候変動対応など環境・社会課題解決に資するファイナンス

・お取引先のESG・SDGs対応を支援・促進するファイナンス

②自社カーボンニュートラル実現に向けた取組み

 地域の脱炭素に向けた取組みを加速させるため、FFGにおけるCO2排出量(Scope1,2)削減目標を2022年5月に「2030年度までにネットゼロ」としました。

 目標達成に向けて、店舗建替え時に環境配慮型店舗へシフトすることや、高効率な空調への切替、LED照明の採用など、省エネ施策を実施しております。加えて、使用電力を再エネ由来電源へ切り替えていくことも検討してまいります。

 また、長期目線での取組みとして、太陽光等の自家発電及びコーポレートPPAについても検討を行ってまいります。

<CO2排出量(FFG連結)>

(単位:t-CO2)

計測項目

2020年度

2021年度

2022年度※

Scope1

2,971

2,862

2,500

Scope2

24,068

21,986

22,000

Scope1,2

27,039

24,848

24,500

※概算値。なお、2022年度から算定範囲を追加しております(賃借店舗、店外ATMなど)。

<Scope3について(FFG連結)>

FFGでは2021年度より、Scope3(カテゴリー1~14)を算出しています。

 なお、カテゴリー15(投融資)につきましては、優先的に対応するセクターやGHG排出量削減に向けた取組みを検討し、開示の準備を行ってまいります。

Scope3の算定方法、排出計数等は「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.4(環境省・経済産業省2022年3月)」及び「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位ベースVer3.2(環境省・経産省2022年3月)」より使用しております。(カテゴリー8~14は算定による数値がゼロ)

2022年度のScope3の数値については、2023年10月に弊社ウェブサイト(https://www.fukuoka-fg.com/)において公表予定の統合報告書2023年度版をご参照ください。

(単位:t-CO2)

計測項目

2021年度

カテゴリー1

購入した製品・サービス

41,326

カテゴリー2

資本財

22,065

カテゴリー3

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

2,413

カテゴリー4

輸送、配送(上流)

1,462

カテゴリー5

事業から出る廃棄物

41

カテゴリー6

出張

1,018

カテゴリー7

雇用者の通勤

3,515

カテゴリー15

投融資

③金融経済教育受講者数(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行合算)

 金融経済教育の長期KPIとして「2020年度から2030年度までの金融経済教育受講者数10万人」を目標に掲げました。自治体や学校と連携し、高校生向けの「資産形成」に関する授業の提供や、社会に出ることを目前とした大学生には従来からの金融講座を通じて理解浸透に貢献します。また、YouTube等のSNSでの発信を通じて、若年層の金融知識の習得を図っております。

 

2020年度

2021年度

2022年度

累計

金融経済教育受講者数

5,363人

6,852人

26,680人

38,895人

④人財戦略を可視化する各種指標
<多様な背景を持つ役職者比率(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行合算)>

FFGの持続的成長に向けて、多様化・専門化する事業戦略を実現していくためには、多様な背景を持つ人財の活用が必要と考えております。こうした人財の個性を活かして活躍できるよう、女性に対する育成施策の拡充に加え、キャリア採用にも積極的に取り組むと同時に、適切で公正なマネジメントやサポートを行ってまいります。この取組みを可視化する指標として、多様な背景を持つ人財の役職者比率を2030年度までに35%以上とする目標を掲げました。

 

2021年度

2022年度

目標(2030年度)

役職者(管理職+部下を有する役職者等)に占める多様な背景を持つ人財(女性、キャリア採用等)の比率

20.8%

23.8%

35%以上

<人財育成額(研修関連費用)(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行合算)>

研修関連の人財育成にかかる費用は、単なる経費ではなく、人財という資本への投資と考えております。今後も、従業員のキャリア開発を組織として後押しするため、多種多様な研修を企画・実施してまいります。
・2020年度:237百万円 2021年度:191百万円 2022年度:228百万円

<サタデーカレッジ・イブニングセミナー延べ参加者数(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行合算)>

自律的なキャリア形成を後押しし、生産性・やりがいの向上につなげられるよう、任意で受講可能な、土曜日開催の「サタデーカレッジ」や、平日業務時間終了後オンラインで開催される「イブニングセミナー」を実施しております。今後も、より多くの従業員が自らのキャリアアップに必要な研修を選択・参加し、業務知識やマーケット感覚等の習得に努められるよう、講座の充実を検討してまいります。
・サタデーカレッジ  2020年度:22,600人 2021年度:33,441人 2022年度:31,088人
・イブニングセミナー 2020年度: 1,079人 2021年度: 7,449人 2022年度: 8,034人

<自己啓発奨励金制度(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行合算)>

 従業員の自己成長や各自が描くキャリアの実現に向けて、主体的に取り組む自己啓発への支援として最大30万円の自己啓発奨励金等を支給しております。毎年多くの従業員が、自発的に自身の業務のレベルアップを図るため、資格取得に挑戦しております。自己啓発奨励金及び資格・検定試験費用の合算は以下の通りです。今後、本制度の対象範囲の拡大を検討してまいります。
・2020年度:40百万円 2021年度:55百万円 2022年度:55百万円

<休暇制度の多様化(男性育児休業取得率)>

様々なバックグラウンドを有する個々人の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を増やしていくため、男性育児休業10営業日取得義務化をはじめとして、時間単位での休暇取得や多目的休暇制度を創設しました。これにより公私ともに充実できる環境を整え、従業員エンゲージメントの向上につながるような仕組みづくりを進めております。特に男性育児休業については、取得率100%維持に向けた環境整備を継続して行ってまいります。

男性育児休業取得率の実績については「第1 企業の情報 5 従業員の状況 (4)役職者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

<エンゲージメントスコア>

FFG、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行に所属する従業員を対象に、会社・仕事・職場・上司に対する「期待度」と「満足度」という観点からエンゲージメントの測定を2023年2月に実施しました。このようなモニタリングにより人財戦略の効果検証を行いながら、今後の組織・業務運営の見直しを継続的に行い、スコアの維持・向上を目指してまいります。
・2022年度:エンゲージメントスコア59 ランク:A(AAA~DDのランクで上から3つ目のランク)

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