七十七銀行 【東証プライム:8341】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当行及び当行の関係会社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行及び当行の関係会社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ
A.ガバナンス
当行では、サステナビリティ推進管理に関する基本方針を定め、適切かつ十分なサステナビリティ推進管理を行うことを目的として、「サステナビリティ推進管理方針」を制定するとともに、頭取を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ推進管理にかかる重要事項等を審議・報告のうえ、結果を経営戦略やリスク管理へと反映することとしております。
当事業年度は、「サステナビリティ委員会」を5回開催し、サステナビリティ推進管理体制強化に向けた審議等を実施するとともに、その内容について取締役会へ報告いたしました。
また、事業年度毎に「SDGs実践計画」を策定のうえ、SDGsへの取組状況を定期的に取締役会に報告し、取締役会が監督する体制を構築しております。
更に、環境・社会課題解決に向けた取組みを推進するにあたり、総合企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置し、適切に管理する体制を整えており、施策推進の実効性を確保しております。
<サステナビリティに関する組織図>
B.戦略
① サステナビリティ経営のフレームワーク
当行及び当行の関係会社は、創業より受け継がれる「地域の繁栄を願い、地域社会に奉仕する」という行是の理念に則り、持続可能な社会の実現に向けてグループ全体で解決に取り組むべき「七十七グループの重要課題(マテリアリティ)」を特定しております。
重要課題(マテリアリティ)の解決に向け、2021年4月からスタートした2030年度までの10年間を計画期間とする「『Vision 2030』~未来を切り拓くリーディングカンパニー~」においては、金融サービスの充実と非金融分野における事業領域の拡大等による最良のソリューションで感動と信頼を積み重ね、ステークホルダーとともに、宮城・東北から活躍のフィールドを切り拓いていく「リーディングカンパニー」を目指しております。
また、「Vision 2030」において、中長期的な時間軸の中で、抜本的な改革に取り組むとともに、足元の経営環境を踏まえた短期経営計画やSDGs実践計画等の経営計画を通じて、着実に「なりたい姿」に近づいてまいります。
<七十七グループにおけるサステナビリティ経営のフレームワーク>
② 気候変動・災害への対応
当行及び当行の関係会社では、気候変動を含むサステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であるとの認識のもと、「七十七グループのマテリアリティ」において「気候変動・災害への対応」を七十七グループの重要課題として明記し、取組みを強化しております。
また、当行ではシナリオ分析等を通じたリスクと機会の捕捉に努めるとともに、「SDGs実践計画」等に基づき、リスクの最小化と機会の最大化に向けた対応を通じて、「気候変動・災害への対応」について取組みを強化していきます。
■リスク及びシナリオ分析
気候変動リスクについては、お客さまの事業への影響や当行の業務継続において想定されるリスクとして、リスクカテゴリー毎に以下のとおり「物理的リスク」と「移行リスク」を認識のうえ、リスクが顕在化した際の影響等について、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸を認識しながら分析を進めております。
区分 | 想定されるリスク | 時間軸 | ||
短 | 中 | 長 | ||
物 | お客さまの営業拠点が自然災害で被災し、事業が停滞することによる信用リスクの発生 | ○ | ○ | ○ |
自然災害に起因して不動産担保の価値が毀損することによる信用リスクの発生 | ○ | ○ | ○ | |
当行の営業店舗等が自然災害で被災することによるオペレーショナル・リスクの発生 | ○ | ○ | ○ | |
海面上昇によるお客さまの営業拠点浸水等に伴う事業撤退による信用リスクの発生 |
|
| ○ | |
移 | 気候変動に対応した規制や税制等が変更になり、お客さまの事業へネガティブな影響が及ぶことによる信用リスクの発生 | ○ | ○ | ○ |
脱炭素関連技術の失敗や市場の変化に伴い、お客さまの事業へネガティブな影響が及ぶことによる信用リスクの発生 | ○ | ○ | ○ | |
気候変動への対応や情報開示が不足した場合の当行の風評リスクの発生 | ○ | ○ | ○ |
<シナリオ分析>
「物理的リスク」、「移行リスク」について、以下のとおりそれぞれのリスクが高まるシナリオを想定し、リスクが顕在化した際の影響について分析を実施しております。また、それぞれのリスクが当行の自己資本比率等に与える影響についてストレステスト等を通じた検証を実施しております。
物理的リスク | ・当行の主要な営業基盤である宮城県を中心に、風水害が発生した場合における被害の影響について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)4℃シナリオ等に基づき、取引先の担保価値への影響等について分析を実施しております。 ・分析の対象地域や被害額の算定方法等については、風水害の発生状況や国内外の気候変動にかかる規制動向等を踏まえ、高度化等を図ってまいります。 |
移行リスク | ・取引先の炭素税導入による課税負担や既存設備の座礁資産化といった気候変動対応に伴う財政状態の悪化が与える影響について、NGFS(気候変動リスクにかかる金融当局ネットワーク)のBelow2℃シナリオ等に基づき、与信関係費用への影響等について分析を実施しております。 ・分析の対象業種等については、取引先の脱炭素に向けた取組状況や国内外の気候変動にかかる規制動向のほか、当行のポートフォリオの状況等を踏まえて継続的に拡充を図ってまいります。 |
■機会
当行及び当行の関係会社では、自社のカーボンニュートラルに向けた取組みは勿論のこと、Scope1、2および3にかかる算出結果を踏まえ、お客さまの脱炭素に向けたお取組みを長期かつ持続的に支援することが重要であると認識しております。
お客さまの脱炭素へのお取組みにかかる支援として、関連するコンサルティング機能や脱炭素にかかる投融資等の金融仲介機能(トランジションファイナンス)に関する社会的な要請が高まることにより、新たなビジネス機会が発生・拡大していくものと認識しております。
気候変動対応にかかる「機会」につきましては、「リスク」と同様、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸を認識しながら対応を行ってまいります。
項番 | 想定される機会 | 時間軸 | ||
短 | 中 | 長 | ||
① | 省エネルギー化および製造業等の燃料・原料転換に向けた、研究開発投資・設備投資等にかかる投融資機会の拡大 | ○ | ○ | ○ |
② | 再生可能エネルギーの主力電源化に伴う発電設備への投融資機会の拡大 | ○ | ○ |
|
③ | 事業者等における脱炭素化に向けた戦略策定やリスクコントロールにかかるコンサルティングニーズの増加 | ○ |
|
|
④ | 事業者等の脱炭素関連の新事業開始にかかる投融資機会の拡大 |
| ○ | ○ |
⑤ | 環境保全に配慮した運用商品による投資ニーズの拡大 | ○ | ○ |
|
<ビジネス機会に対する当事業年度の主な取組内容>
①サステナビリティ関連商品の導入
・国際原則等に基づくサステナビリティ・リンク・ローン等8商品導入
・SDGs定型目標型融資「77Seven Goals」の導入
②再生可能エネルギー関連融資の実行(2022年度実績:147億円)
③各種コンサルティングに関するサービスの導入等
・SDGs支援サービスの提供(2022年度実績:135件)
・CO2排出量可視化サービス紹介業務の開始(株式会社e-dashとの業務提携)
・基幹系システム「MEJAR」の共同運営行等6行にて「MEJARサステナビリティソリューション連携」のネットワークを構築し、サステナビリティ関連商品・サービスの高度化に向けた取組みを開始
④今後のビジネス機会拡大に向けた取組みの開始
・事業性評価への取組みをサステナビリティの観点から見直し
・ファイナンスドエミッションの試算を通じたGHG多排出企業向けのエンゲージメントの開始
⑤お客さまの運用商品の拡充
・77オープン型グリーン外貨定期預金およびSDGs関連の投資信託商品の導入
C.リスク管理
当行では、気候変動に起因する「物理的リスク」や「移行リスク」が、将来的に大きな財務的影響を及ぼす可能性があることを認識しております。
当行では、リスク管理に関する規定の改正等を通じ、気候変動に関するリスクを適切に捕捉・検証するための態勢整備を進めるとともに、定期的なシナリオ分析やストレステスト等を通じて、「物理的リスク」・「移行リスク」の顕現化による自己資本の健全性や財務への影響、信用リスクを中心とした他のリスクカテゴリーへの波及(※)について、総合的な分析・検証を実施しております。
※ デフォルト率(PD)やデフォルト時損失率(LGD)の上昇に伴う信用リスク資本の増加、有形固定資産の毀損に伴うオペレーショナル・リスク相当額(内部損失)の増加等
当行では「特定事業等に対する融資方針」を定めており、環境・社会に負の影響を与える恐れのある事業等に対して融資に取り組まないこととしております。
D.指標及び目標
「B.戦略 ②気候変動・災害への対応」に記載の通り、当行及び当行の関係会社では、「七十七グループのマテリアリティ」において「気候変動・災害への対応」を七十七グループの重要課題として明記し、取組みを強化しております。
「気候変動・災害への対応」に関連する「指標及び目標」の内容は以下のとおりであります。
七十七グループは、2023年度より気候変動への更なる対応強化を図るため、CO2排出量削減にかかるKPIを「2013年度比で46%減」から上方修正し、「2030年度までのカーボンニュートラル実現を目指す」こととしております(対象:Scope1および2)。
なお、当事業年度のCO2排出量は、2013年度比44.8%削減しております。
<Scope1および2>
(単位:t-CO2)
計測項目 | 2013年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
Scope1 | 1,894 | 1,638 | 1,600 | 1,483 | 1,185 |
Scope2 | 14,901 | 10,689 | 10,597 | 8,848 | 8,079 |
当行合計 | 16,795 | 12,327 | 12,197 | 10,331 | 9,264 |
CO2排出量(当行合計)の削減量 | ― | △4,468 | △4,598 | △6,464 | △7,531 |
CO2排出量(当行合計)の削減率 | ― | △26.6% | △27.3% | △38.5% | △44.8% |
(注) 上記は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に基づく定期報告書における当行単体でのCO2排出量を記載しており、再生可能電力利用分についてはCO2排出量を「0」として取り扱っております。
気候変動に関連するリスクの低減と機会の捕捉にかかる指標と目標として、以下のKPIを設定しております。
サステナブルファイナンス累計実行額:2030年度目標1.2兆円(2022年度実績4,257億円)
(2) 人的資本
A.戦略
七十七グループにおける人材の育成及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
<七十七グループの人材育成方針>
七十七グループは、地域社会の繁栄に向けた「未来を切り拓くリーディングカンパニー」を目指し、地域の活性化とお客さまの課題解決に資するコンサルティング等の専門性と豊かな人間力を兼ね備えた「顧客・地域に役立つ人材」と、多様な人材が自律的なキャリア形成意識を持ち、既成概念にとらわれない創造力とチャレンジ精神溢れる「企業変革に資する人材」の育成に取り組んでいきます。
<七十七グループの社内環境整備方針>
七十七グループは、多様な人材が持てる力を最大限に発揮できる組織を目指し、円滑なコミュニケーションのもと心身ともに健康で安心して働くことができる「働きやすい職場環境」と、多様な価値観や強みを活かして生き生きと働くことができる「働きがいのある職場環境」の整備に取り組んでいきます。
B.指標及び目標
また、当行では、上記「A.戦略」において記載いたしました、人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、当該指標に関する当行単体の目標及び実績は、以下のとおりであります。
<人材育成方針に関する目標及び実績>
指標 | 目標(当事業年度) | 実績(当事業年度) |
研修受講者数(延べ人数) | 海外含む行外研修 100名 行内集合研修 5,000名 合 計 5,100名
| 海外含む行外研修 126名 行内集合研修 5,359名 合 計 5,485名
休日セミナー等 5,269名 休日セミナー等を含む合計 10,754名 |
デジタル人材の人数 | 専門人材 0名(10名) コア人材 45名(100名) ベース人材 600名(1,500名) 合 計 645名(1,610名) ※カッコ内は2024年度目標 | 専門人材 0名 コア人材 62名 ベース人材 612名 合 計 674名
|
<社内環境整備方針に関する目標及び実績>
指標 | 目標(当事業年度) | 実績(当事業年度) |
年次有給休暇取得率 | 70.0%以上 | 75.4% |
月間一人平均時間外休日勤務時間数 | 12時間未満(10時間未満) ※カッコ内は2025年度目標 | 13時間30分 |
C.従業員の資産形成支援(ファイナンシャル・ウェルネス)に関する取組み
当行では、従業員の資産形成支援(ファイナンシャル・ウェルネス)に関して以下の制度を導入しております。
①「選択制確定拠出年金制度(選択制DC)」
従業員の生涯設計を支援することを目的とした「ライフプラン支援金(一律27,000円)」を毎月の定例給与として支給し、それを従業員が任意で確定拠出年金の掛金として拠出し、積立を行うことができる制度。
②「七十七銀行行員持株会制度」
定例給与および賞与支給時に一定の資金を持株会に拠出することにより、当行の株式を取得することができる制度。なお、持株会会員に対し、拠出1口(1,000円)に対して50円の補助金を付与しております。
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