筑波銀行 【東証プライム:8338】「銀行業」 へ投稿
企業概要
以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針
①経営の基本方針
当行は、「地域の皆さまの信頼をもとに、存在感のある銀行を目指し、豊かな社会づくりに貢献します」を基本理念に掲げ、永年築き上げてきたノウハウや人材、ポテンシャルの高い営業基盤等を最大限に活用し、質の高い金融サービスをお客さまに提供することにより、これまで以上にお客さまから支持される地域金融機関を目指すとともに、収益力の強化と健全な財務基盤の確立を図ることで企業価値の拡大につなげ、株主価値の向上を目指してまいります。
また、従業員が持てる力を遺憾なく発揮し、働きがいがあり、公正に処遇される自由闊達な組織を目指すとともに、金融機関としての社会的責任を自覚し、地域経済活性化・地方創生のために惜しみない貢献を行ってまいります。
②目標とする経営指標
当行は、2022年4月から2025年3月までの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画『「Rising Innovation 2025」 ~未来への懸け橋~“つながり”』を策定し、次の3つの基本骨子に基づき、目標とする経営指標の達成に向けて各施策に取組んでまいります。
(第5次中期経営計画における目標とする経営指標)
経営指標 | 目標 | 算出方法 | 当指標を採用する理由 | |
コア業務純益 | 50億円以上 |
| 業務純益+一般貸倒引当金繰入額 -国債等債券損益 | 事業の収益性を追求するため |
当期純利益 | 35億円以上 |
| 財務諸表上の数値 | 事業の収益性を追求するため |
ROE | 3%以上 |
| 当期純利益÷ ((期首自己資本+期末自己資本)÷2) | 経営の効率性を追求するため |
コアOHR | 70%台 |
| 経費÷(業務粗利益-国債等債券損益) | 経営の効率性を追求するため |
自己資本比率 | 9%以上 |
| 自己資本の額÷リスク・アセットの額 | 経営の健全性を追求するため |
(2024年3月期における第5次中期経営計画の主な取組みと成果)
〇地域の課題解決やお客さまのニーズへの対応
法人施策では、第5次中期経営計画の重要施策である「地元中小企業への徹底的な支援」に基づき、原材料価格の上昇や人手不足などで厳しい事業環境にある地元中小企業の本業支援に全行あげて取組みました。
具体的な取組みとして、販路開拓や新たなビジネス創出を支援する観点から、対面型の開催としては4年ぶりとなる「2023筑波銀行ビジネス交流商談会+(プラス)SDGs」を2023年11月に地元つくば市で開催いたしました。また、後継者不足が大きな社会的問題となるなか、地元中小企業のM&Aに連携して対応する目的から、2024年3月に当行を含めた県内5金融機関で「いばらき地域金融M&Aアライアンス」を発足させております。
個人施策では、「お客さまのライフイベントに応じた人生伴走型の提案」を実践いたしました。住宅ローンについては、つくばエクスプレス沿線を中心とした旺盛な資金需要に的確に対応いたしました。また、2024年1月にスタートした「新NISA制度」についても職域などでの事前の説明会を開催するなど、お客さまの資産形成支援に積極的に取組みました。
〇経営効率性の向上と行動プロセスの新化
DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現による利便性の向上と業務の効率化に取組むとともに、事務改革、店舗最適化、コスト削減を徹底することで当行全体の生産性の向上に取組みました。
DXに関する取組みでは、2024年2月に融資取引の手続きをWEB上で完結できる「筑波銀行 電子契約サービス」を導入いたしました。本サービスによりお客さまの負担が軽減されるとともに、契約書への収入印紙の貼付が不要となるほか、銀行の営業日や営業時間、契約場所を選ばずスマートフォンやパソコンなどによる簡単な操作で融資契約を完了することが可能となりました。
また、当行ホームページ上から相続受付ができる仕組みの導入をはじめ、デジタル化・ペーパーレス化・事務の簡素化の促進ならびに業務効率化にも積極的に取組み、人員の適正配置を図りました。
〇『人づくり』とエンゲージメント向上
価値創造の源は「人」であり、「人財」が戦略上最も重要な資本と捉える「人的資本経営」の考え方のもと、職員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる環境を構築する目的から、「人財戦略」、「人財育成方針」および「社内環境整備方針」を策定いたしました。なお、具体的な取組内容は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本にかかる取組み」を参照願います。
これらの戦略や方針に基づいて、多様な人財の活躍機会の拡大を図ることを目的に「ダイバーシティ推進プロジェクトチーム」を発足させるとともに、職員の成長やモチベーション向上、今後のキャリア形成につなげることなどを目的に「行内兼業制度」を新設するなど、「人的資本経営」に関する取組みを積極的に進めてまいりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2023年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により行動制限が全面的に解除され、社会経済活動の正常化が進むなかで個人消費が回復するとともに、半導体の供給制約の一部緩和等により大企業を中心に設備投資や生産活動に持ち直しの動きが広がりました。足許の景気動向は、円安の進行による原材料価格の上昇や慢性的な人手不足などにより事業環境は不確実性が高まっており、先行きは不透明な状況にあります。
金融情勢については、国内長期金利(10年国債利回り)は、2024年3月に日本銀行が「マイナス金利政策」を解除し17年ぶりに「利上げ」を行ったことなどから、年度を通して上昇トレンドが続きました。また、日経平均株価は、2024年2月に34年ぶりにバブル後の最高値を更新し、年度末は40,369円まで上昇した一方で、為替相場は、日米金利差の拡大を背景に円安が進行しました。このように地域金融機関を取り巻く足元の金融環境は大きな変化のなかにあり、有価証券運用においては、国内外の金融政策ならびに金融市場の動向を十分注視し、慎重かつ適切に対応していく必要があると考えております。当行は効率的な有価証券運用を行うため、流動性の高い国内債券等の有価証券のほか、信用力の高い外国債券等による有価証券運用を行っておりますが、当連結会計年度においては、海外金利の高止まりや日本銀行の金融政策変更に伴う国内の長期金利の上昇等により、当行の保有する投資信託や国内債を中心にその他有価証券は評価損の状態が続きました。このような有価証券運用における様々なリスクに対応するため、当行では金利上昇による更なる評価損の拡大や外貨調達コストを抑制するため、外貨建資産を含めた有価証券ポジションを圧縮しております。
今後も国内外の金利動向等の金融市場の見通しや有価証券ポートフォリオの運用状況を注視し、リスク管理体制を強化するとともに、金利情勢に応じて有価証券ポートフォリオの再構築を検討し、有価証券評価損益の改善と収益性の向上に努めてまいります。
一方、茨城県経済は、行動制限の解除により商業施設や観光地への人流が活発化するなかで、旅行需要の増加や宿泊・飲食などの個人消費が回復するとともに、車載向け半導体の供給制約が一部緩和されたことにより企業の生産活動が改善するなど、サービス業および製造業ともに全体的には緩やかな回復が続いています。今後の見通しについては、原材料やエネルギーなどの物価上昇が当行の主な取引先である地元中小企業等の業績および個人の家計に与える影響は不確実性が非常に高く、今後の景気動向を十分注視していく必要があると考えております。
当行は取引先に対する資金繰り支援や本業支援に全力で取組んでおりますが、当連結会計年度においては、急激に資金繰りが悪化した大口の経営支援先に対して貸倒引当金を計上したことなどにより与信関係費用が増加しました。長期に及んだコロナ禍、物価高騰及び人手不足等の影響を受けて一部の取引先においては事業環境が依然として厳しく先行き不透明な状況が続いているため、当行はこれまで以上に取引先の業況変化を注視することに加え、地域経済を支える地域金融機関の責務として取引先に対する資金繰り支援や販路開拓・事業承継支援等の本業支援を適切かつ丁寧に実施していくことで、与信関係費用を抑制することが喫緊の課題であると認識しております。今後も引続き地元の中小企業を中心に取引先への支援の取組みを強化、充実してまいります。
2024年度は第5次中期経営計画の最終年度であり、本計画の集大成の年となります。第5次中期経営計画では「サステナブル経営」への転換を掲げ、将来にわたる盤石な収益基盤の構築を目指しており、具体的施策である「地元中小企業への徹底的な支援」をはじめ、「DXへの取組み」、「合理化・効率化の追求」、「人的資本経営の実践」などを通して諸課題へ対応するとともに、2025年3月期の目標達成に向けて引き続き積極果敢に取組んでまいります。
当行は、これからも地域金融機関として、地域のお客さまを徹底的に支援していくことにより地域の持続的成長に貢献してまいります。
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