群馬銀行 【東証プライム:8334】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当行グループ(当行及び連結子会社等)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 企業理念
・地域社会の発展を常に考え行動すること、これが私たちの事業です。
・お客さまとの創造的な関係を深めること、これが私たちの仕事の原点です。
・よき企業人であるためによき市民であること、これが私たちの活動の基本です。
・一人ひとりの顔が見える表情豊かな組織であること、これが私たちの大切にする企業風土です。
(2) パーパス
私たちは「つなぐ」力で 地域の未来をつむぎます |
当行は、企業理念をもとに、当行グループが何のために存在し、独自の強みを活かして社会にどんなことを働きかけられるかという観点から、パーパスを2021年11月に制定しました。パーパスの『「つなぐ」力』は、お金(金融)だけでなく、地域・企業・人々を「つなぐ」ことや、当行グループが持つサービスや情報などの資源を地域・企業・人々に「つなぐ」ことを通して、さまざまな価値と価値をつないだり、新たな価値を生み出したりすることを表現しています。また、「地域の未来をつむぐ」は、地域(当行が本店を置く群馬県だけでなく当行のネットワークが及ぶ地域や企業・人々といったステークホルダー全般)の豊かな未来をつむいでいく存在でありたいという思いを表しています。
(3) 中期経営計画
2022年4月からスタートした中期経営計画「Innovation for“Purpose”」では、過去3年間の中期経営計画「Innovation 新次元」における成果と課題に基づき、現在の取組みをさらに深掘りしていくとともに、当行が2021年11月に定めたパーパス「私たちは『つなぐ』力で 地域の未来をつむぎます」を実現していくために、めざす未来を起点として社会やお客さまの課題解決に対して積極的に取り組んでまいります。
<基本方針>
①「つなぐ・つむぐ」の基盤となるデジタル戦略の遂行 |
② 5つの改革による 「つなぐ」力の強化 |
③「つなぐ」力の発揮により 未来を「つむぐ」 |
<戦略テーマ>
[5つの改革]
過程や自律性を重視した営業プロセス改革 |
生産性向上に資する業務プロセス改革 |
環境の変化やお客さまのニーズを捉えたチャネル改革 |
創造力発揮に向けた人材改革 |
強みの強化・補完を目的とした外部連携改革 |
[5つの視点「地域」「企業」「個人」「グループ」「当行」]
地域のサステナビリティへの積極関与などSDGs・ESGへの取組み |
企業へのコロナを踏まえた金融・本業・事業承継支援 |
個人のお客さま一人ひとりに寄り添ったコンサルティング |
グループ総合力による新事業の探索と既存事業の深掘り |
当行の経営体質強化による「つなぐ」力の持続的発揮 |
<中期経営計画 骨子>
<2024年3月期の取組み>
当行グループの「めざす未来」の実現に向けて
当行は、パーパスにもとづくめざす未来を「地域社会と当行グループの持続的な発展」と定め、その実現に向けた経営に取り組んでいます。
2022年4月にスタートした中期経営計画「Innovation for "Purpose"」は、現在の深掘り(フォアキャスティング)と、めざす未来からの逆算(バックキャスティング)により策定したもので、デジタル技術の活用を基盤とし、5つの改革による「つなぐ」力の強化と「つなぐ」力の発揮により未来を「つむぐ」ことを基本方針として掲げています。
中期経営計画の2年目となる2024年3月期は、この基本方針に基づき、主に以下の施策に取り組みました。
5つの改革による「つなぐ」力の強化
当行では「つなぐ」力の強化にむけて、過程や自律性を重視した営業プロセス改革や、生産性向上に資する業務プロセス改革、お客さまとの接点拡充に向けたチャネル改革、創造力の発揮に向けた人材改革、アライアンスなど外部連携改革に取り組んでいます。
営業プロセス改革について、当行では2022年10月から、「つなぐプロセス」を通じたゴールベース・ニーズベースの営業活動を展開しており、お客さまのめざす姿(ゴール)の実現に向けて、経営課題の把握を起点としたソリューション提案を実践しています。
業務プロセス改革の一環として、2024年3月、全店に「店頭タブレット」を導入しました。「店頭タブレット」では、お客さま自身の操作により、預金口座の開設などの手続きが完結するため、利便性の向上はもとより、行内の業務効率化につながっています。
チャネル改革として、2023年7月には、事業者向けのポータルサイト「ぐんぎんビジネスポータル」を導入し、同年9月には「ぐんぎんアプリ」の利便性向上に向けた、投信取引サービスを追加しました。
人材改革の一環として、2023年6月には人的資本の充実を目的とし、新たに「人材育成方針」を策定しました。この「人材育成方針」に基づき、行員一人ひとりの個人パーパスを起点とした、自律的なキャリア形成と挑戦を支援しています。
外部連携改革について、TSUBASAアライアンスを通じて、協調融資などトップライン向上や、API基盤の共同化等によるコスト削減に取り組んでいます。また、群馬・第四北越アライアンスでは、2024年1月、建替えにより新たに完成した「群馬銀行池袋ビル」に、当行の池袋支店と第四北越銀行の池袋支店がそれぞれ入居し営業を開始しました。両行が同じビルに入居し営業活動を行うことで、連携の強化に取り組んでいます。
足利銀行とのりょうもう地域活性化パートナーシップでは、自動車産業に対する本業支援や、お客さまへの金融支援を通じて、両毛地区の活性化に向けて取り組んでいます。
「つなぐ」力の発揮により未来を「つむぐ」
当行では未来を「つむぐ」活動として、地域のサステナビリティへの積極的な関与や、お客さまへの金融・本業支援、グループ総合力の発揮に向けた取組みを行っています。
地域の脱炭素化に向けた取組みとして、2023年5月、東京電力グループが運営する尾瀬片品発電所のネーミングライツを取得するとともに、2024年1月からは、同発電所由来の再生可能エネルギーの調達を開始しています。また、ファイナンスを通じてお客さまのESG課題の解決を支援していくため、2023年7月、サステナブルファイナンスのラインアップを拡充しました。
お客さまの本業支援に向けた取組みとして、子会社のぐんぎんコンサルティング株式会社では、株式会社きらぼしコンサルティング、綺羅商務諮詢(上海)有限公司、KIRABOSHI BUSINESS CONSULTING VIETNAM COMPANY LIMITEDの3社との提携により、2023年10月から新たに、海外事業コンサルティングを開始しました。また、同社では、地域商社事業として新たにクラウドファンディングサイトやECサイトを開設し、お客さまの商品・サービスの認知度向上や、販路拡大に向けた支援を行っています。
グループ総合力の発揮について、子会社の株式会社群銀カードとの共同により、2024年1月よりVisa/JCBブランドのデビットカードの取扱いを開始しました。群馬県に本店を置く金融機関では初めての取組みであり、群馬県を始めとする当行の営業エリアのキャッシュレス化を促進し、お客さまの利便性向上や地域経済の発展に努めていきます。
[主な取組実績]
<基本方針①:「つなぐ・つむぐ」の基盤となるデジタル戦略の遂行> | ||
| ・事業者向けのポータルサイト「ぐんぎんビジネスポータル」の導入 ・TSUBASAアライアンスを通じたAPI基盤の共同化 | |
<基本方針②: 5つの改革による「つなぐ力」の強化> | ||
| 営業プロセス改革 | ・お客さまのめざす姿(ゴール)の実現に向けた、経営課題の把握を起点としたソリューション提案の実践 |
業務プロセス改革 | ・「店頭タブレット」の全店導入 | |
チャネル改革 | ・「ぐんぎんアプリ」の機能拡充(投信取引サービス) | |
人材改革 | ・人的資本の充実を目的とした「人材育成方針」の策定 | |
外部連携改革 | ・群馬銀行池袋ビル(当行池袋支店入居)における、株式会社第四北越銀行池袋支店の営業開始 ・株式会社足利銀行との連携協定「りょうもう地域活性化パートナーシップ」による取組み(自動車産業に対する本業支援、お客さまへの金融支援) | |
<基本方針③:「つなぐ」力の発揮により 未来を「つむぐ」> | ||
| 地域 | ・東京電力グループが運営する尾瀬片品発電所のネーミングライツ取得 |
企業 | ・サステナブルファイナンスの商品拡充 | |
個人 | ・株式会社群銀カードとの共同による、デビットカード(ぐんぎんデビット)の発行開始 | |
グループ | ・ぐんぎんコンサルティング株式会社によるクラウドファンディングサイト 「TSUNAGU+」(つなぐプラス)およびオンラインショッピング(EC)サイト 「TSUNAGU+ストア」の開設 | |
当行 | ・当行がネーミングライツを取得した発電所に由来する再生可能エネルギーの調達開始 |
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2022年中期経営計画「Innovation for“Purpose”」において目標とする2025年3月期の経営指標「連結計数計画」及びパーパスの実現につながる主要計数「つなぐKPI」は、以下のとおりであります。
<連結計数計画>
目標とする指標 | 2025年3月期 目標 |
| 2024年3月期 実績 | |
コア業務純益 (除く投資信託解約損益) 算出方法:資金利益(除く投資信託解約損益)+非金利業務利益-経費 | 450億円 |
| 454億円 | |
非金利業務利益 算出方法:役務取引等利益+その他業務利益(除く国債等債券損益) | 250億円 |
| 242億円 | |
親会社株主に帰属する当期純利益 算出方法:当期純利益-非支配株主に帰属する当期純利益 | 300億円 |
| 311億円 | |
| グループ会社最終利益 算出方法:親会社株主に帰属する当期純利益-銀行単体当期純利益 | 40億円 |
| 29億円 |
RORA 算出方法:親会社株主に帰属する当期純利益÷リスクアセット | 0.7%以上 |
| 0.81% | |
OHR 算出方法:営業経費(除く臨時費用)÷(業務粗利益-国債等債券損益) | 55%程度 |
| 57.8% | |
ROE 算出方法:親会社株主に帰属する当期純利益÷期首期末平均自己資本 | 5%以上 |
| 5.7% | |
総自己資本比率 算出方法:総自己資本÷リスクアセット | 13.5%以上 |
| 14.86% |
<つなぐKPI>
目標とする指標 | 2025年3月期 目標 |
| 2024年3月期 実績 | |
貸し手と借り手を「つなぐ」 | サステナブルファイナンス実行額 (3年間累計)(注) | 8,000億円 |
| 4,147億円 |
住宅ローン実行額 (3年間累計) | 4,000億円 |
| 1,234億円 | |
無担保消費者ローン残高 (2025年3月末時点) | 750億円 |
| 713億円 | |
お客さまを 「つなぐ」 | ビジネスマッチング成約件数 (3年間累積) | 3,000件 |
| 1,099件 |
企業と人を 「つなぐ」 | 人材紹介成約件数 (3年間累積) | 200件 |
| 100件 |
お客さまの未来に資産を「つなぐ」 | 預かり金融資産残高(連結) (2025年3月末時点) | 1兆2,500億円 |
| 1兆1,542億円 |
| うち投資信託残高(連結) (2025年3月末時点) | 4,000億円 |
| 4,114億円 |
次世代へ 「つなぐ」 | 事業承継課題解決件数(3年間累積) | 600件 |
| 444件 |
相続関連業務成約件数(3年間累積) | 1,000件 |
| 350件 | |
パーパスに基づく営業活動による 主要計数 | 貸出金利益 | 545億円 |
| 558億円 |
法人役務収入(連結) | 65億円 |
| 75億円 | |
預かり金融資産等収入(連結) | 90億円 |
| 76億円 |
※ つなぐKPIは、「つなぐ」力を発揮することで、社会的価値(社会課題の解決や地域の持続的成長)と経済的価値(当行グループの持続的成長)の両方に資する計数として設定しております。
(注)持続可能な社会の実現に向けた取組みをより一層進めていくため、2023年9月に2025年3月期目標を5,000億円から8,000億円に引き上げました。
(5) 金融経済環境
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により、経済社会活動の正常化が進み、緩やかに回復しました。個人消費は、物価上昇の影響を受けたものの、緩やかに持ち直しました。輸出は、持ち直しの動きに足踏みがみられました。設備投資は、持ち直しの動きがみられました。生産は、底堅く推移しましたが、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響で下押しされました。
県内経済は、資源高の影響は残るものの、持ち直しました。個人消費は、緩やかな増加が続きました。生産は、年明けから回復しました。設備投資は、上下動はあるものの、おおむね横ばい圏の推移となりました。公共投資は、底堅く推移しました。住宅投資は弱い動きとなりました。
金融面では、2月に日経平均株価はバブル期の最高値を34年ぶりに更新しました。また、日本銀行は3月の金融政策決定会合で金融緩和政策を見直し、マイナス金利を解除、長短金利操作を撤廃しました。日本の長期金利の指標である10年国債利回りは、秋以降、おおむね低下基調で推移しましたが、3月に入りマイナス金利解除の思惑から0.8%近辺まで上昇しました。しかし、金融政策決定会合では、マイナス金利が解除される一方、緩和的な金融環境が継続するとの考えが示されたことから、10年国債利回りは低下に転じました。
(6) 経営環境及び対処すべき課題
足元では、日本銀行によるマイナス金利政策の解除に伴い、銀行にとっては預貸金利ざやの改善等が期待される一方で、地域の情勢をみると、人口減少や高齢化、基盤産業の強化など様々な課題に直面しています。
また、個人のお客さまにとっては、原油高・円安による物価上昇の影響、事業者のお客さまにとっては、後継者不足への対応や賃金コスト上昇分の適切な価格転嫁の必要性など、これまで前提としてきた環境が大きく変わりつつあります。
当行では、こうした状況を踏まえ、お客さまや地域の持続的な成長を支援するため、群馬銀行グループが一体となり、以下の取組みを行っています。
「お客さまの資産形成に向けた取組み」
住宅の取得や教育資金の準備、将来に向けた資産形成など、個人のお客さまのライフステージに応じた適切な商品・サービスの提供により、当行ではお客さまの豊かな未来のサポートに取り組んでいます。投資信託など運用商品の提案にあたっては、新NISA制度の活用や、子会社のぐんぎん証券株式会社との連携を通じて、長期的な視点からお客さまの資産形成をサポートしています。
「お客さまの本業支援に向けた取組み」
事業者のお客さまが抱えている、後継者難や人手不足への対応として、当行では事業承継支援やM&Aのほか、子会社のぐんぎんコンサルティング株式会社を通じて、人材ソリューション事業を展開しています。また、お客さまの事業拡大や設備投資にあたっては、融資だけでなく、事業計画の策定支援や投資専門子会社による出資検討、補助金の紹介や仕入・販売先とのマッチングなど、初期段階から深く関与し、お客さまの事業活動をトータルでサポートしています。
「地域の活性化に向けた取組み」
地域活性化の取組みの一例として、当行では2024年1月、伊香保温泉街の活性化に向けて子会社のぐんま地域共創パートナーズ株式会社が運営するファンドを通じて、地域事業者との共同により、まちづくり会社の石楽株式会社を設立しました。このまちづくり会社では、取得した旅館をリノベーションすることで、飲食店などを誘致し、街のにぎわいを創出するほか、自治体など地域のステークホルダーと連携し、温泉街の活性化に取り組んでいます。
中期経営計画の最終年度となる2025年3月期においても、こうした取組みを継続し、お客さまや地域の持続的な成長を促進するとともに、その結果として、当行も持続的に成長していくことで、パーパスの実現をめざしてまいります。
パーパスに基づく営業活動の定着により、資金利益や非金利業務利益をさらに伸ばすことでROEの向上を図り、併せて資本コストも適切にコントロールしていくことで、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
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