あおぞら銀行 【東証プライム:8304】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。
当行グループは、サステナビリティの推進を経営戦略と一体として捉え、ビジネス及び事業者としての活動に「社会的価値」の観点を組み込み、社会・お客さま・株主・従業員をはじめとする全てのステークホルダーへの貢献と、持続可能な社会の実現、当行グループの企業価値の向上を目指しております。
1.ガバナンス及びリスク管理
(1)サステナビリティ推進の基本的な考え方について
<サステナビリティ推進の基本的な考え方> 様々なステークホルダーとの対話を通じて、現在及び未来の課題に創造力を働かせ、経済的価値と社会的価値を両立するためのチャレンジを続ける |
新中期経営計画「AOZORA2025」の策定とあわせ、経営理念を踏まえたサステナビリティ推進の目指すべき姿を「サステナビリティ推進の基本的な考え方」として明確化いたしました。
お客さま・株主・従業員をはじめとする様々なステークホルダーとの対話を通じて、環境・社会を含むすべてのステークホルダーへの影響を考え、将来社会への想像力を働かせ、経済的価値と社会的価値の創出を目指してまいります。
(2)サステナビリティ経営の推進体制について
当行グループでは、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心とした推進体制を構築し、経営と一体化したサステナビリティの取組を推進しております。
2022年1月に新設した「サステナビリティ委員会」(マネジメントコミッティー傘下)では、マテリアリティの特定・見直しや、気候変動への対応など、グループ全社にわたる重要なサステナビリティ課題を審議・決定し、審議内容を必要に応じて取締役会に付議・報告しております。
2022年1月に新設した「グループサステナビリティ連絡会」では、グループ会社・関連会社の参加のもと、実務的な検討事項の協議及びサステナビリティ全般の情報共有等を行い、グループ・ガバナンスの向上を図っております。
また、業務執行においては、グループ全体の取組を企画・総括するサステナビリティ推進部が中心となり、マテリアリティ毎に取り組むべき施策を中期経営計画期間における各部門の業務運営計画へ組み込み、PDCAサイクルを回すことで、サステナビリティ課題への対応を進めております。
2023年4月には、サステナブルファイナンス及び脱炭素コンサルティングの専門チームであるサステナブルビジネス室をサステナビリティ推進部へ新たに統合いたしました。これにより、①気候変動対応を中心としたビジネスの強化、②ビジネス展開及び事業者としての取組の一体的な運営による相互補完、③サステナビリティ人材育成の強化を図ってまいります。
<2022年度の「サステナビリティ委員会」及び「グループサステナビリティ連絡会」の開催状況>
| サステナビリティ委員会 | グループサステナビリティ連絡会 |
メンバー | CEO(議長)、サステナビリティ推進担当役員(副議長)、全業務執行役員、常勤監査役ほか | サステナビリティ推進担当役員(議長)、グループ会社社長、関連施策の関係部ほか |
開催回数 | 9回 | 5回 |
主な議題 | ・新しいマテリアリティの選定 ・統合報告書2022における開示 ・「環境・社会に配慮した投融資方針」の改定 ・「金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF)」への加盟 ・事業者としてのカーボンニュートラル施策の進捗報告 ・新中期経営計画におけるサステナビリティの推進施策 ・将来的な本店のあり方についての議論 ・サステナビリティ推進のための社内浸透策 | (左記事項のグループ各社への情報共有に加え) ・グループ各社における「環境・社会に配慮した投融資方針」の策定に関する検討・対応 ・サステナビリティ推進関連方針の制改定 |
(3)サステナビリティ方針体系について
環境の保護、人権の尊重、不当な労働の排除、腐敗の防止など、環境・社会課題に対して企業が求められる役割は高度化・多様化しております。また、自らの事業活動に留まらず、サプライチェーン全体も考慮した環境・社会に対する責任を果たしていくこと、特に金融機関においては、投融資ポートフォリオ全体を通じて、環境・社会課題の解決に寄与することが求められております。
当行グループでは、経営理念を実践する行動規範としてグループ全社の役職員が遵守する「倫理・行動基準」を定めております。「環境方針」「人権方針」では、倫理・行動基準のもと、サプライチェーンも含めた環境保護及び人権尊重への取組方針を定め、従業員を含む全てのステークホルダーに向けて公開をしております。
環境方針・人権方針のもと、業務面における具体的指針として、投融資(ビジネス面)においては、「環境・社会に配慮した投融資方針」を、システム、ファシリティを含む物品・サービスの購入や業務委託などの外部調達(事業活動面)においては、「外部調達方針」を制定しております。
2023年6月には、社会貢献活動面における指針として新たに「社会貢献活動方針」を制定し、グループにおける寄付・ボランティア等の社会貢献活動の意義・位置付けを体系的に整理いたしました。
2.戦略
(1)サステナビリティ重点項目(マテリアリティ)について
当行グループでは、マテリアリティを「社会の潮流、ステークホルダーからの期待・要請及び当行グループの企業経営に対する重要性を踏まえ、経営理念の実現のために注力すべき課題」と位置付けております。
刻々と変化する社会潮流のもと、社会的課題の解決のために企業が求められる期待・役割が高度化・多様化するなか、当行グループは限られた経営資源を注力すべき課題領域(マテリアリティ)へ集中的に投入し、創出する社会的・経済的価値の最大化を図っていくことで、経営理念「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」の実現を目指しております。
(2)マテリアリティ及び選定した背景
項目 | 選定した背景 |
気候変動への 対応 ※ | 企業におけるグリーントランスフォーメーション(GX)やトランジションの促進、再生可能エネルギーの普及、革新的な新技術・新分野の創出など、脱炭素社会の実現に向けた動きをファイナンス等から支援することは、当行グループが果たすべき重要な役割であり新たなビジネス拡大の機会であると同時に、対応の遅れは企業経営に大きな影響を及ぼすリスクになるため。 |
産業構造転換の促進 | あおぞら型投資銀行ビジネスの推進を通じて、産業構造の変革期において、ユニークで付加価値のある金融サービスの提供と経営に対する積極的な関与により、新たな挑戦に取り組むお客さまの構造転換を支援していくことは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会であるため。 |
企業の金融サービスへのアクセス拡大 (スタートアップ/事業再生) | 全ての個人・企業が、経済活動のチャンスを捉えるために必要な金融サービスを利用できる機会を確保すること、特にスタートアップ企業の成長支援及び地域における事業再生・再チャレンジ支援の2つの領域に注力し、企業の成長と地域社会の活性化へ貢献することは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会であるため。 |
DXの推進 | 加速度的に進むデジタル技術の高度化は、既存事業領域の喪失や生活スタイルの転換など、全ての企業・個人に不可逆かつ広範な影響を及ぼしており、社内においてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、業務の生産性向上、商品・サービスの品質向上を図るとともに、お客さまのDXを支援するサービスに注力することは、企業競争力を高め、かつ新たなビジネス拡大の機会であるため。 |
事業・財産の形成、次世代への承継 | 国内の少子高齢化が進む中、個人として豊かな人生を過ごし、資産を次世代へ繋ぐこと、国内産業競争力の源泉である中小企業の後継者難・人材難を解決し、次世代へ事業を継承することは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会であるため。 |
ガバナンス・コンプライアンス | 不適切な企業統治やコンプライアンスの軽視、信用不安の惹起、システム障害への対応の遅れ等は、金融機関の事業活動に関わる全てのステークホルダーと、企業経営の持続可能性に重大な影響を及ぼすリスクであり、外部環境の変化に対応した適切なリスクガバナンス態勢の強化、コンプライアンスリスク管理の高度化等を通じた、経営の規律の維持と健全性の確保が極めて重要であるため。 |
人権の尊重 | 人権侵害への関与・放置は、法令違反や行政処分の対象となるリスクに加え、社会的な批判やレピュテーションのリスクに晒される可能性があり、企業として人権侵害を行わないことは当然ながら、当行グループが関与するあらゆる事業及びサプライチェーンから人権侵害・差別・腐敗等を排除し、改善が必要な場合は対話を通じた適切な働きかけを行うことが極めて重要であるため。 |
人的資本の持続可能性向上 ※ | 人事制度や職場環境整備の遅れ等により、人材の不足・流出に直面すること、次世代へのスキル・ノウハウの承継が円滑に進まないことは、当行グループの企業経営の持続可能性に重大な影響を及ぼすリスクである一方、専門性が高くユニークな金融サービスの提供など当行グループの価値創造を支える人的資本への様々な投資を継続することは、企業競争力を高めるために重要であるため。 |
※「戦略」及び「指標と目標」について、後述の(参考)に記載しております
3.指標と目標
(1)あおぞらサステナビリティ目標について
当行グループは、経済的価値と社会的価値の創出に向け、全てのビジネス部門及びサポート部門に共通する経営目標として、「あおぞらサステナビリティ目標」を2021年9月に設定、公表しております。
この度、新中期経営計画「AOZORA2025」の策定にあわせた見直しを実施し、投融資ポートフォリオを含めたカーボンニュートラルへのコミット、あおぞら型投資銀行ビジネス関連目標の達成水準の引き上げ等を実施いたしました。
<主な改定点>
●投融資ポートフォリオを含めたカーボンニュートラルへのコミット
・Scope3(投融資ポートフォリオ排出量)の2050年度ネットゼロ目標を新たに設定
・Scope1,Scope2(事業者としての排出量)のネットゼロ達成時期を2030年度に前倒し
●あおぞら型投資銀行ビジネス関連目標について、達成水準を引き上げ(達成時期の前倒しを含む)
●「中核人材の多様性」(ダイバーシティ&インクルージョン)に係る目標を新たに設定
本目標の達成に向け、グループ全体を挙げた取組を推進してまいります。
なお、本目標の進捗・達成状況は、業務執行役員の評価・報酬を決定するにあたり重要な定性的評価として考慮しております。
(2)あおぞらサステナビリティ目標の進捗状況
「あおぞらサステナビリティ目標」の進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営計画」に記載しております、新中期経営計画「AOZORA2025」(17頁)をご参照ください。
(参考)
1.「気候変動への対応」に関する「戦略」及び「指標と目標」
(1)戦略
① 中長期の戦略
CO2排出量ネットゼロへの取組強化:
事業者としての排出量(Scope1,Scope2)の2030年度ネットゼロ、投融資ポートフォリオにおける排出量(Scope3)の2050年度ネットゼロ達成によりカーボンニュートラルを実現
取引先エンゲージメントの強化:
環境ファイナンスを含むサステナブルファイナンスの実行/組成及び専門家との協業による脱炭素コンサルティングを通じて取引先エンゲージメントを強化し脱炭素社会への移行を支援
リスク管理態勢の高度化:
気候変動シナリオ分析の高度化、環境・社会に配慮した投融資方針の継続的な見直し・高度化、投融資ポートフォリオにおけるCO2排出量の計測手法・体制の強化などを通じて、リスク管理態勢の高度化を実現
② 気候変動に関する機会の認識と対応
中長期的な機会:
・気候変動への適応力を向上させるための、デジタルイノベーションなどを活用した社会インフラ整備やCCS/CCUSなどCO2排出の抑制・回収・活用に関する新技術開発に対するファイナンス機会の増加
・“脱炭素社会実現への貢献“という新たな価値観を共有する個人のお客さまとの多様な取引機会の増加
短期的な機会(取組):
・新中期経営計画「AOZORA2025」において、「気候変動への対応」を含むマテリアリティごとに各ビジネス部門・サポート部門の注力する取組を特定
・環境ファイナンス部を中心として、再生可能エネルギー関連プロジェクトファイナンス、脱炭素イノベーションファイナンス等、国内外における環境ファイナンスの取組拡大
・あおぞらESG支援フレームワークを通じた、あおぞらESGローン(2023年6月にポジティブ・インパクト・ファイナンスを追加)の取組増加、脱炭素ビジネス関連の協業パートナー拡大によるお客さまの脱炭素化に向けた課題解決コンサルティング力の強化
・ESGを考慮した投資信託である「十年十色」、「満天観測」の継続的販売
・再生可能エネルギー関連プロジェクトファイナンス及びグリーンビルディング向けファイナンスを資金使途対象として「グリーンボンド・フレームワーク」に適合したグリーンボンドの発行
(2)指標と目標
気候変動への対応に関する「指標と目標」につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営計画」に記載しております、新中期経営計画「AOZORA2025」(17頁)をご参照ください。
2.「人的資本・多様性」に関する「戦略」及び「指標と目標」
(1)戦略
経営環境が急速に変化し企業が直面する課題が年々複雑さを増すなか、同質性が高い集団と化すこと自体がリスクであり、経営戦略を遂行し持続的な成長につなげていくためには、人的資本への投資に加え、経営にも多様な視点を持ち込み既成概念にとらわれない多様な視点でビジネスを推進していくことが必要です。当行グループにおいても価値観の多様化の進展を背景に、全従業員へのアンコンシャスバイアス研修などを通じてこれまで以上に多様性を認め合いグループとしての一体感を醸成するとともに、従業員一人ひとりの価値観、ライフスタイルやキャリアプランを尊重し柔軟な働き方を支援することで、多種多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整備し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(多様性・公平性・包摂性)の向上と従業員の中長期的なエンゲージメント向上を目指しております。
<多様性確保に向けた人材育成・環境整備方針>
方針 | 取組内容 |
能力のみならず 多様性を重視した 採用と人材登用 | ・新卒、キャリア採用を両輪とする採用活動の継続 |
・女性向け採用セミナー開催などを通じた女性基幹職の採用強化 | |
・意思決定層における多様性に配慮した人材登用の推進 | |
女性従業員の キャリア形成支援 | ・キャリア構築支援プログラムや人事異動などを通じた未経験業務へのチャレンジ促進 |
・女性向けキャリア研修やキャリアコンサルタント活用などによる多様なキャリア形成支援 | |
すべての従業員が活躍できる環境の整備 | ・従業員の貢献に報いる報酬やキャリアップ機会の提供など人的資本への投資に注力 |
・「働きやすい」職場環境の維持と「働きがい」の向上に向けた取組の継続 | |
・男性育児休業取得率の向上 | |
・障がいのある従業員が安心して働ける環境づくり |
① 中核人材の登用等における多様性の確保について
当行では2021年度より人材育成・環境整備に関する方針を掲げるとともに女性・外国人・キャリア採用者の管理職比率に目標を設定し、中核人材の登用等における多様性確保に向けた取組強化を進めております。すでにキャリア採用者の管理職比率は5割に達しており、経営の意思決定層における多様性の確保につなげております。
② 女性従業員の活躍推進に向けた取組
当行では女性活躍推進に向け、女性管理職比率に加え、独自に女性管理職候補となる調査役(係長級)比率に目標を定め中核人材プールの拡充に努めております。役員を含めあらゆる意思決定層に継続的に女性人材を輩出し、現状13%の女性管理職比率を5年後に20%、長期的には25%以上に引き上げていくことを目指してまいります。
なお、男女別の賃金の差異については66.6%と改善の余地がある状況となっております。2020年度のキャリアコース統合の結果、同じキャリアコース、等級・号俸内では男女の評価に差はなく同一賃金を実現していますが、女性の管理職がまだ少ないことや投資銀行ビジネスやインターナショナルビジネスなど注力分野で活躍する女性従業員が相対的に少ないこと、勤続年数の長い女性従業員の中にはバックオフィス業務などサポート部門に在籍するケースが多いことなどが男女の賃金格差が生じる一因となっております。キャリアコース統合の効果が出るには時間を要しますが、キャリアコースに関わらず管理職となる女性の増加に伴い男女間の年間給与格差は縮小していく見込みです。
今後も女性従業員が活躍できる機会と環境を地道に整備していくことで従業員が働きやすさと働きがいを感じる企業となり、労働人口の減少が見込まれるなかにおいても優秀な人材の確保と定着につなげていきたいと考えております。
③ 男性育休取得促進に向けた取組
当行では女性の育児休業取得率は100%で推移しております。男性の取得率は、2022年10月の改正育児・介護休業法施行に伴い、法令をベースに独自の育児休業制度を定め、制度の周知や取得事例の公表など従業員への働きかけを通じて男性の育休利用促進を図ったことから、2021年度の58%から91%と大幅に上昇いたしました。男性の育児休業の利用促進に向け、新中期計営計画「AOZORA2025」では男性育休取得率100%を目標として掲げております。
④ 従業員のファイナンシャルウェルネスの実現に向けて
従業員が人財として組織の中で十分に能力を発揮するためには、従業員一人ひとりのウェルビーイング、すなわち心身の健康にとどまらず社会的にも安定し満たされた状態にあることがきわめて重要だと考えており、従業員のファイナンシャルウェルネスの実現に向けた制度を整備しております。
「選ばれる職場」を目指し魅力的な報酬体系を用意している他、企業年金制度の整備、若年層向けの奨学金返済支援手当や家賃補助などの手厚い経済的支援を実施しております。不測の事態への備えとして、心身不調時に利用できる有給の休職制度も整備するなど価値の源泉である従業員自身及び家族の経済的安定性に最大限配慮しております。
(2)指標と目標
人的資本・多様性に関する「指標と目標」につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営計画」に記載しております、新中期経営計画「AOZORA2025」(17頁)をご参照ください。
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