加賀電子 【東証プライム:8154】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)フィロソフィー
①経営理念:すべてはお客様のために
②ビジョン:我が国業界No.1企業を目指す
グローバル競争に勝ち残る企業を目指す
③行動指針:「F.Y.T.(ファイト)」(変化に柔軟に、常に若々しく、果敢に挑戦する)
「3G(スリージー)」(あらゆるものを、グローバルに、総合力を活かして)
「加賀イズム」(経営マインド・営業マインド・社会人としての心構え)
当社は、創業以来「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、お客様の様々なニーズにお応えすることにより、事業領域を拡大してまいりました。独立系商社としての強みを活かした電子部品・半導体の販売に始まり、多品種・小ロットを得意とするEMSビジネス(電子機器の製造受託サービス)、更には、お客様製品の企画・開発や設計支援、ソフトウェア・映像制作、ネットワークソリューションやシステムサポートなど、今や国内外を問わず、エレクトロニクスの総合商社として多様なサービスを提供しております。
一方、当社を取り巻く事業環境は、サプライヤー側では半導体・デバイスメーカーの再編統合や代理店政策の見直し、お客様側では完成品組立ての海外生産シフト、また国内外市場における需給変化や価格変動、更には脱炭素化に代表される地球環境問題への取り組みなどの動きが見られ、変化のスピードは加速しており、多数の競合企業が存在するエレクトロニクス商社業界での企業間競争は今後ますます厳しくなるものと認識しております。
(2)「中期経営計画2024」
当社は、2021年11月、次の3ヵ年に向けた当社グループの成長の道筋を示すため、「中期経営計画2024」を策定しました。本計画においては、「利益重視の経営」を徹底しつつ、「我が国業界No.1企業」「グローバル競争に勝ち残る企業」のビジョン実現に向けて、以下の基本方針に沿った諸施策を展開してまいります。
①基本方針
1)更なる収益力の強化
時代を先読みし、高い成長性や収益性が見込める市場に注力します。
2)経営基盤の強化
更なる効率性、健全性を追求し、“我が国業界No.1企業”に相応しいグループ経営基盤へ変革します。
3)新規事業の創出
ベンチャー投資やM&Aを積極的に活用して新たなビジネスを創出し、外的環境変化への耐性を強化します。
4)SDGs経営の推進
「社会課題の解決」と「企業としての持続的成長」の両立を目指した経営を推進します。
②経営目標の進捗状況
計画初年度となる2023年3月期は、世界的に半導体・電子部品不足が続く中、当社グループの調達力の強みを最大限発揮してスポット需要に対応した結果、新規M&A目標を除いて、売上高、営業利益ならびにROEのすべてのKPIにおいて、2年前倒しで最終年度(2025年3月期)の経営目標を達成しました。
このような初年度の実績を踏まえ、最終年度の業績見通しをアップデートし、2023年5月11日に「最新見通し」として公表しました。
2年目となる2024年3月期には、電子部品事業において、スポット需要の消失やグループ会社での大口顧客との取引縮小に加え、年度後半より客先において在庫調整が本格化し、さらに本年5月9日公表の2025年3月期業績予想では、最新見通しには織り込んでいなかった在庫調整の長期化や賃上げの影響等の環境変化もあり、計画最終年度の売上高および営業利益において最新見通しにはいま一歩及ばない状況にあります。
かかる状況の下、2025年3月期業績予想は、ステークホルダーの皆さまに対する「コミットメント」として、また最新見通しは「チャレンジ目標」として位置づけ、当社グループ一丸となって「中期経営計画2024」最終年度の総仕上げに取り組んでまいります。
③経営施策の進捗状況
本計画における4つの基本方針に基づく重点課題に対する取り組みは、概ね順調に進捗しており、計画2年目においても様々な成果を残すことができました。
「更なる収益力の強化」については、EMSビジネスおよび海外ビジネスを強化・拡大すべく、2024年4月よりメキシコ新工場が始動しました。今後ますます増大が見込まれる北米市場ならびに中南米市場向け生産需要に対応し、5年後には売上高500億円をめざしてまいります。
「経営基盤の強化」については、人的資本への投資に積極的に取り組み、男性の育児目的の特別休暇制度を新設したことにより利用者が急増したほか、2024年3月にはグループ横断的な賃上げも決定しました。
「新規事業の創出」については、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を活用し、ベンチャー企業に対する出資案件を複数決定しました。ただし、新規M&Aを含む新規分野への取り組みは、継続課題として認識しています。
(3)株主還元に関する基本情報
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来成長に資する投資の推進、中長期的に健全な財務基盤の維持ならびに連結業績の進展を総合的に勘案しつつ、連結配当性向の目安を25〜35%に置き、1株当たり配当金を安定的且つ継続的に充実化することを基本方針としております。
配当の推移
(4)「サステナビリティ中長期経営計画」
当社は、「中期経営計画2024」とともに2021年11月に、「サステナビリティ中長期経営計画」を策定いたしました。「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「持続的なグループの成長」の両立を目指したサステナビリティ経営を推進してまいります。その取り組みにあたっては、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など全てのステークホルダーとの対話を尊重し、持続可能な社会の実現に積極的な役割を果たすとともに、企業価値の向上を目指します。
①サステナビリティ方針
1)事業活動を通じて環境課題に取り組みます
事業活動を通じて、CO2排出量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進に取り組むとともに、環境に配慮した製品およびサービスを提供することで、地球環境を大切にする社会の実現に貢献します。
2)人権を尊重し、人財を育成します
性別や年齢、国籍や社会的身分、障がいの有無など個人の属性に関係なく、すべてのステークホルダーの人権を尊重します。また、多様な従業員が心身ともに安全且つ健康に働ける職場環境や個々の能力を最大限発揮できる人事制度・教育研修体系を整備し、イノベーションに挑戦する人財づくりに取り組みます。
3)社会との相互信頼の確立を目指します
法令や規則を遵守し、公正な競争、高品質な製品およびサービスの提供、適時適切な情報開示など、誠実な企業活動を実践するとともに、ガバナンス体制の強化を図ることで社会から信頼される企業を目指します。
②サステナビリティ推進体制
加賀電子グループは、CSRならびにサステナビリティの推進を重要な経営課題と捉え、加賀電子株式会社の代表取締役 社長執行役員が委員長となる「サステナビリティ委員会」を設置し、その直下には「環境経営推進」「ダイバーシティ推進」「ガバナンス」「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「情報開示」の各専門委員会を配して、グループ横断的にCSRならびにサステナビリティを推進するマネジメント体制を敷いています。経営トップのコミットメントのもと、事業部門とも連携して、各委員会を通じて、ESG課題に対する方針施策・目標策定、進捗管理などグループ一体となってサステナビリティの推進に取り組んでいます。
③マテリアリティ(重要課題)の特定
加賀電子グループは、世界および当社が直面する様々な課題や社会からの要請に真摯に向き合い、「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」ならびに「B:事業」の4つの観点から、当社の経営にとってインパクトの大きい重要課題を以下の通り特定しました。これらのマテリアリティの取組みを通じて、持続可能な社会の実現に寄与する企業活動を実践し、さらなる企業価値の向上を推進していきます。
| マテリアリティ | 関連するSDGs (注) | 経済・社会情勢の変化 | 取組み課題 |
E | クリーンな地球環境を作る | 7・13 | ・地球温暖化・環境問題の深刻化 ・カーボンニュートラルへの 要請 | ・環境・エネルギー問題に貢献する製品およびサービスの提供 ・環境負荷低減に向けた取り組みの継続 |
S | 働きやすい会社、豊かな社会を作る | 5・8・10 | ・ニューノーマルに向けた社会構造の変化 ・少子高齢化による人材の逼迫 | ・ニューノーマルに相応しいダイバーシティおよび 働き方の促進 ・加賀イズムの継承・発展による人財育成 |
G | 持続可能な経営基盤を作る | 16・17 | ・コーポレートガバナンス強化への要請 ・環境変化に耐えうるレジリエンスの実現 | ・ガバナンス、コンプライアンスのさらなる強化 ・利益重視経営の徹底 |
B | 持続的な事業成長を実現する | 9・12・17 | ・デジタルトランスフォーメーションの進展 ・IoT・AIなどICTの普及による超スマート社会の到来 ・グローバル競争の激化 | ・デジタル化社会に貢献する製品およびサービスの提供 ・社会課題解決に貢献する新規事業創出 ・グローバル展開のさらなる促進 |
(注)5:ジェンダー平等を実現しよう 7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も 9:産業と技術革新の基礎をつくろう
10:人や国の不平等をなくそう 12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を 16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう
④サステナビリティ中長期経営計画目標と主なKPI
| 主なテーマ | 取り組み課題・検討課題 | 中期目標 | 長期目標 |
E | 再生可能エネルギー100%化の実現 | ・国内営業拠点における再エネ導入 | 2024年:40% (1%) | 2030年:100% |
・国内製造拠点における再エネ導入 | 〜2024年:情報収集・分析及び方針決定 ・自家発電/外部調達 ・太陽光パネル/バイオマス発電/再エネ事業者 | 2030年: 50% | ||
・海外製造拠点における再エネ導入 | 2030年: 30% | |||
社有車両EV化 | ・国内営業車両の電動車(EV、HV、PHV、FCV)への切り替え | 2024年:85% (78.5%) | 2030年:100% | |
S | ダイバーシティと | ・中核人財の多様性確保 | <女性新卒総合職比率> | <女性新卒総合職比率> |
・高齢者・障害者雇用の取り組み | ||||
「ワークライフ・マネジメント」と「生産性向上」 | ・育児・介護支援、テレワークなど各種制度拡充 | 2022年:各種制度拡充 | 2025年:外部認定取得 | |
・健康経営優良法人の認定取得 | ||||
G | CGコード改訂・ | ・独立社外取締役1/3以上 ・指名・報酬委員会の設置 | 2021年6月実施済み | 次期CGコード改訂に応じて目標設定 |
・取締役会の多様化 | 〜2022年6月:方針決定 | |||
・プライム市場に対応したCGコード・フルコンプライ | 2021年11月実施済み | |||
経営の監督機能・執行機能の一層強化 | ・「委任型執行役員」制度の導入 | 2022年4月:施行 | ||
・「委員会等設置会社」への移行 | 〜2023年3月:方針決定 |
※()内は計画策定時数値:2021年11月
⑤サステナビリティ中長期経営計画の進捗
| 主なテーマ | 取り組み課題・検討課題 | 2023年度の主な活動・進捗状況 |
E | 再生可能エネルギー100%化の実現 | ・国内営業拠点における再エネ導入 | ・再エネ由来電力は全体電力の5.1%で導入済。 ・「24年40%再エネ化」の目標達成に向けて、非化石証書購入を決定。併せて、2024年度において温室効果ガス排出量定量化および削減目標設定を決定。 |
・国内製造拠点における再エネ導入 | ・十和田工場(2023年12月)、須賀川工場(2024年2月)で太陽光発電設備を導入。 | ||
・海外製造拠点における再エネ導入 | ・メキシコ新工場(24年4月)にて太陽光パネルを設置 | ||
社有車両EV化 | ・国内営業車両の電動車(EV、HV、PHV、FCV)への切り替え | ・電動車化比率は前年度3.0pt増の85.0%(2024年3月末) | |
S | ダイバーシティと | ・中核人財の多様性確保 | ・女性新卒総合職比率は、「行動計画」に沿った採用活動を実施し前年度比3.6pt増の21.7%に拡大も、目標30%に届かず。 ・女性管理職比率向上に関し、グループ内で協議、各社ごとに女性管理職員数の目標人数を設定済。2024年4月現在では前年度比0.9pt増の17.4% |
・高齢者・障がい者雇用の取り組み | ・障がい者雇用は法定雇用率100%(2024年3月末) | ||
「ワークライフ・マネジメント」と「生産性向上」 | ・育児・介護支援、テレワークなど各種制度拡充 | ・テレワークを恒常的な制度とし規程・ルール改定を実施。2023年4月より新ルールの運用開始。 | |
・健康経営優良法人の認定取得 | ・2024年3月、2年連続で認定取得。 | ||
G | CGコード改訂・ | ・独立社外取締役1/3以上 ・指名・報酬委員会の設置 | ・2023年6月株主総会にて取締役6名(うち社外取締役3名)体制を決議。 |
・取締役会の多様化 | ・2023年6月株主総会にて女性社外監査役を選任。2024年6月株主総会での女性取締役選任は見送り。 | ||
・プライム市場に対応したCGコード・フルコンプライ | ・2022年6月より実施済み。2023年CGコードの改定なし。 | ||
経営の監督機能・執行機能の一層強化 | ・「委任型執行役員」制度の導入 | ・2022年4月より実施済み。 ・グループ経営本部会議の構成員を委任型執行役員へ拡大することを決定。2024年4月より運用開始。 | |
・「委員会等設置会社」への移行 | ・監査役会設置会社を継続。経営の迅速性、女性取締役選任の必要性も考慮し、引き続き「監査等委員会設置会社」への移行を検討。 |
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