企業兼大株主サンゲツ東証プライム:8130】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2014年を第三の創業とする新体制の発足以降、持続的な成長に向けて事業基盤の整備・強化や機能・サービス力の強化・拡大に取り組んでまいりました。2014年から2016年の「Next Stage Plan G」、2017年から2019年の「PLG 2019」と、2回の中期経営計画により事業基盤の整備と機能強化を図り、2020年から2022年の[D.C. 2022]の3年間では、過去の施策による効果創出として収益力の向上を実現しました。これらの結果、連結営業利益は2014年度の80.3億円から、2022年度には202.8億円まで大きく伸長しました。

 一方、不透明かつ急激な変化を伴う環境下で、持続的かつ長期的な未来志向による企業価値の向上を実現するために、当社グループは2023年5月に長期ビジョンを見直すとともに、新たな中期経営計画(2023-2025)[BX 2025]を策定し、具体的な成長戦略と、この実行により実現を目指す経済価値・社会価値両面の指標と目標を定めました。さらに、2024年1月には、サンゲツグループの新たな企業理念を発表しました。企業活動における最上位概念としてPurpose(存在意義)を位置づけ、それにより実現する未来像をDream、Purposeを形づくる企業としての信念をBelief、社員の姿勢をWayとして新たに定義しました。企業理念の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1.サステナビリティ全体に関する基本的な考え方及び取組」をご参照ください。

 サンゲツグループは、この企業理念に基づき、現中期経営計画[BX 2025]に掲げる施策を着実に実行することで、力強く持続的な成長を実現し、さらなる企業価値向上を目指してまいります。

■Sangetsu Group長期ビジョン[DESIGN 2030]

1.目指す企業像

 サンゲツグループはスペースクリエーション企業へ

 人的資本とデジタル資本を基盤としたデザイン力とクリエイティビティによる4機能、すなわち

・それぞれの市場に最適なコンセプトに基づく魅力的な空間デザイン提案機能

・高度な企画・開発・調達力を持ち、広範囲な商品を提案するスペース材料提供機能

・品切れなく広域に即時配送を可能とする在庫・配送・物流機能

・さまざまな事業、人的関係、企業連携を通じての規模と総合性・機動性のある施工機能

 を有機的にインテグレートしたソリューション力により、グローバルにスペースクリエーションに関する高い

 価値を提供する企業を目指します。

2.長期ビジョン達成の基本戦略

 この基本戦略によるビジョンの達成を通じ、私たちは、次の社会的価値の実現を目指します。

[サンゲツグループが実現を目指す社会的価値]

 サンゲツグループは、

Inclusive

(みんなで)

:誰もが安心して快適に過ごせるインクルーシブな社会の実現

Sustainable

(いつまでも)

:地球環境を守るサステイナブルな社会の実現

Enjoyable

(楽しさあふれる)

:より豊かでエンジョイアブルな社会の実現

 社会の実現に貢献します。

3.定量目標

2030年3月期

連結売上高

2,500億円

 

 

連結営業利益

270億円

 

[スペースクリエーション企業の先の展開を目指して]

2020年以降、「スペースクリエーション企業」への転換に向けた取り組みを通じ、私たちはこの新たな事業モデルの将来性や有効性を確認しました。その一方で、さらに大きな経済・社会価値の創出を目指すためには、スペースクリエーション企業の先を見据えた、より長期的な事業展開を描く必要性を認識しました。その可能性の一つが「スペースオペレーション」です。「スペースクリエーション企業」として、さまざまな空間のニーズを捉えた提案・提供を行うためには、その空間での人々の過ごし方を考え、構想することが必要です。すなわち、より意義のある「スペースクリエーション」とは、どのような空間を提供し、どのように人々に使っていただくかを考えることであり、これは空間の「オペレーション」の考察につながります。その意味において、スペースクリエーション事業の先の展開にはスペースオペレーション事業の可能性があると考えており、「空間の運用」を通じてより長期的に人々とつながり価値を提供する、スペースオペレーション事業への展開の可能性を検討していきます。

■中期経営計画(2023-2025)[BX 2025] ※BX=Business Transformation

 前中期経営計画(2020-2022)[D.C. 2022]期間中にさまざまな施策を進めた結果として、2022年度には収益の大幅な伸長を達成いたしましたが、前中期経営計画の施策の進展以上の収益の拡大となったとも理解をしております。その意味において、中期経営計画(2023-2025)[BX 2025]の3年間は前中期経営計画を引き継いで収益基盤を堅固なものとし、次の飛躍に備える期間と位置付けております。長期ビジョン[DESIGN 2030]にて明確化した、目指すべきスペースクリエーション企業像の確実な実現に向けての諸施策を実行するとともに、スペースクリエーション事業のプラットフォームにおいて、従来の主要商品・主要市場での拡張のみならず、商品面での拡充、提案・物流・施工の各機能の強化による事業領域の拡大、海外事業の強化・拡大・収益化、エクステリア事業の拡大・高度化を実行いたします。この中期経営計画(2023-2025)[BX 2025]の基本方針、施策、資本政策、定量目標は以下のとおりです。

1.基本方針

中期経営計画(2023-2025)

[BX 2025]

-次の飛躍に備える3年間-

 スペースクリエーションの価値を高めるソリューション力を強化・拡充し、強固な収益力と成長力を持つスペースクリエーション企業へと転換、主要商品・市場の事業拡張に加え、商品の拡充、エクステリア事業・海外事業の拡大を実行する。

 また、さらなる長期的成長を可能ならしめる事業を展開するべく、スペースオペレーション事業の可能性を検討する。

2.施策

3.資本政策

1)株主還元方針

・2026年3月末の自己資本を950~1,050億円とする

・株主還元は配当を主体とし、1株当たり年間配当金は130円を下限に、安定的な増配を目指す

・市場の状況により自己株式の取得も検討する

2)資金配分計画

中期経営計画期間中資金創出

 

資金配分

 

期初保有現金同等物

270億円

 

成長投資

200~250億円

 

営業CF

470~510億円

 

株主還元

250~350億円

 

借入金増減

▲80~60億円

 

期末現金同等物

200~250億円

 

4.定量目標(2026年3月期目標)

1)経済価値

① 連結売上高

1,950億円

 

② 連結営業利益

205億円

 

③ 連結当期純利益

145億円

 

④ ROE

14.0%

 

⑤ ROIC

14.0%

 

⑥ CCC

65日

 

2)社会価値

①地球環境

 事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減

GHG排出量

連結

2021年度比 28%削減

 

GHG排出量

単体

2018年度比 60%削減

 

使用エネルギー量

単体

2018年度比  6%削減

 

リサイクル率(有効利用率)

単体

90%以上

 

②人的資本

 社員の健康と能力開発、風土改革

非喫煙率

単体

85%以上

 

人的資本投資額

単体

3年間合計 7億円

 

キャリア採用者数

単体

3年間合計 60~80名

 

エンゲージメントスコア(※)

単体

58.0(A)

 

 ※2023年度以降、株式会社リンクアンドモチベーション社の提供するサービス「モチベーションクラウ

 ド」のスコアを使用しています。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組

 3.人的資本に関する考え方及び取組 (3)戦略、指標及び目標 6)エンゲージメント(企業風土の醸

 成に関する取組)」をご覧ください。

 ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率

単体

25%以上(2026年4月時点)

 

障がい者雇用率

単体

4%以上(2026年3月末時点)

 

男性育休取得率

単体

2週間以上 100%

 

③社会資本

 コミュニティへの参画

児童養護施設改修活動

連結

50件/年間

 

マッチングギフト

連結

18,000 S-mile(※)

 

外部団体への寄付を含めた

社会貢献活動費

連結

年間経常利益の0.3%~0.5%を目途とし、

寄付は特定の団体に継続的に実施する

 

※社会貢献活動の促進を目的とした「サンゲツグループマッチングギフトプログラム」において、社員

 の社会貢献活動に対しスマイルポイント(S-mile)を付与し、そのポイントを金額換算して支援先の

NPO等の団体へ寄付しております。基準となる活動は、会社が主体となって実施する「サンゲツグルー

 プボランティアクラブ」での活動に加え、社外での福祉施設支援・被災者支援・国際交流・地域活動・

 青少年教育・NPO支援等の個人活動を対象とし、全国の社員が地域によらず積極的に参加できるよう活

 動の支援を行っております。

 なお、中期経営計画(2023-2025)[BX 2025]の詳細につきましては、当社Webサイトにて、説明動画および資料を公開しております。

https://www.sangetsu.co.jp/company/ir/library/briefing_report.html

(2)経営戦略等、経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 経営環境における今後の見通しにつきましては、地政学的リスクの高まりや為替影響を一因とするエネルギー資源・一部原材料価格の高騰が継続することが予想されます。加えて、各国の金融引き締めの影響による景気の先行きに対する不透明性、不確実性が拡大しているなか、先進国での政治的混乱が加わることにより、実体経済にも大きな影響を与えることが懸念されています。当社事業に関連の深い国内建設市場では、住宅市場においては建築コスト上昇等を背景とした住宅需要の抑制により、特に新設住宅着工戸数・床面積は低調な状況が続くものと予想されます。非住宅市場においても新築需要は弱含みである一方、経済活動の再開を背景としたインバウンド需要によるホテル・宿泊施設等の回復や、主に首都圏におけるオフィスリニューアル市場の高まりが見込まれます。コスト面においては人件費や物流費、一部原材料価格等の高騰による継続的なコストアップの影響を見込むほか、スペースクリエーションを構成する空間デザイン提案機能・スペース材料提供機能、在庫・配送・物流機能、施工機能の強化をはじめとする戦略投資の費用発生を計画しています。2021年12月に発生した当社グループ会社であるクレアネイト株式会社の火災事故を発端とする壁紙の供給難は、壁紙業界の供給体制の不十分さを示すものでありました。これに対応すべく2022年11月に発表した東広島における新工場建設への投資は、壁紙の安定供給の実現を目指すものであります。また、国内の物流業界における2024年問題は、当社事業にも大きく関係するものであり、サービスクルー便をはじめとする物流の内製化の推進に加え、物流の効率化・省人化を目指してサプライチェーンマネジメントの見直しとともに設備投資を進めてまいります。これまで営業損失が継続していた海外事業においては、来期以降からの利益創出を目指します。北米では、主力のホテル分野を中心とする市場環境は引き続き堅調に推移すると予想しており、戦略的商品の投入、短納期供給力の強化策の実行による需要の取り込みを進めていきます。一方、東南アジアにおいては競争優位性を高めるためにM&Aや営業組織の改編、国別のニーズに応じたスペースクリエーション機能の強化を進めていくほか、不動産市場の低迷や消費意欲の低下などを背景に建設計画の遅れ・中止が発生する中国・香港市場では、今後の市場成長性や当社グループ全体における事業の方向性を慎重に見極めながら、事業体制の再構築を進めていきます。

 このような状況の中、当社グループは、前述「(1)経営方針、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に掲げるSangetsu Group長期ビジョン[DESIGN 2030]及び3ヵ年の中期経営計画(2023-2025)[BX 2025]を着実に実行することにより、商品販売だけでなく配送力・提案力・施工力といった機能をインテグレートしたソリューション力を強化し、国内を中心とした内装材の販売からグローバルに展開する「スペースクリエーション企業」への進化を図ります。そのために、人的資本の拡大・高度化・活躍支援や、デジタル資本の蓄積・分析・活用を進め、社会的価値の創造に努めるとともに、定量目標の達成を目指してまいります。

(その他の対処すべき課題)

1)東南アジアでの事業は、過去欧米品を中心にホテル関連の建設市場向けの販売をメインとしておりましたが、アジア市場における欧米品の競争力低下もあり、既存の事業モデルでの競争優位性が失われつつある状況です。この状況を受けて、アジア市場で安定的な収益を確保しつつ事業成長を達成するために、デザイン部門や施工部門を設置し機能強化に取り組むとともに、グループ会社であるクレアネイト社によるアジア市場向けの競争力のある商品の開発・販売、住宅市場向けの中小口取引拡大や非住宅市場の拡大に向けた営業体制の見直し、在庫・販売施策の推進等を進めています。一方、中国・香港での事業については、不動産市場の低迷や雇用環境の悪化による消費意欲の低下などを背景に、建設計画の遅れ・中止が発生するなど、厳しい状況が続いております。このような市場動向を注視しながらも、今後の市場成長性や当社事業における競争優位性を見極めながら、デザイン提案等の機能強化や事業体制の再構築を進めている状況です。

2)日本市場において、特定の仕入先からの壁装材の品質問題が発生しており、お客様相談室を設置の上、当該仕入先と連携しつつ、当該商品の施工先住居、施設等に対する補修対策を継続的に実施してまいります。この補修に係る費用は仕入先によって全額負担されており、当社において損失は計上されておりません。

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