RYODEN 【東証プライム:8084】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社は2022年12月、経営理念の上位概念として新たにパーパス・バリューズを制定しました。当社グループは、この「パーパス」及び「バリューズ」並びに「経営理念」及び「RYODENグループ行動指針」を経営の基本に置いて、事業活動を展開しています。
①パーパス
人とテクノロジーをつなぐ力で”ワクワク”をカタチにする
②バリューズ
・人とのつながりを力に
・強みを知り、強みを磨く
・常に挑戦し、失敗から学ぶ
・フェアに、そして誠実に
③経営理念
・社会の変化に対応し、会社経営の安定と発展に努め、持続可能な社会の実現に貢献する
・誠実な事業活動と先進的な技術の提供により、ステークホルダーの信頼に応える
・社員の人格と個性を尊重し、専門性及び改革心と創造力の高い人材を育成する
④行動指針
・法令・ルールを遵守する
・利益ある成長を目指す
・グローバルな企業として社会に対する責任をはたす
・自己の考えを確立し、高い目的意識をもって自己啓発を行い、活力ある組織を創る
・経営者・管理者は自らの責任を全うする
(2) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
世界的なインフレの長期化、ウクライナの情勢や米中対立などの要因により不安定な国際情勢が継続、日本国内は個人消費が回復するものの物価高や海外経済の減速などが懸念されます。
またエネルギー価格は引き続き高止まりするものの、世界的な人手不足を背景とした工作機械やロボットの省人化投資、EV関連の設備投資が活発していくものとみています。
各事業セグメントごとの環境認識は以下のとおりです。
<各事業の環境認識>
セグメント | 環境認識 |
FAシステム | ・半導体製造装置は外需の落ち込みから低調に推移 ・工作機械やEV関連をはじめとする設備投資全体としては回復基調。堅調に推移する見通し |
冷熱ビルシステム | ・空調市場はオフィス向けなどで投資が堅調に推移、製造業・サービス業いずれも投資の活発化が継続 ・建設市場は資材高騰・工期遅延問題が引き継ぎが懸念されるが一定の投資が継続 |
X-Tech | ・製造業を中心とした情報化、品質向上、セキュリティ強化などICTを活用した投資拡大 ・病院の再編・統合により医療機関のスマート化に向けたビジネスチャンス拡大 ・植物工場事業は顧客の投資抑制が継続するものの、2024年物流問題での流通改革に伴い一定の需要増が期待 |
エレクトロニクス | ・自動車関連の需要は半導体不足の改善による堅調な推移を見込むが、一部で在庫調整の影響が懸念 ・産業関連市場は顧客の設備受注減による調整局面に入っており年後半は不透明な状況 |
こうした中、2023年度は5ヶ年の中期経営計画「ICHIGAN 2024」も4年目を迎えます。
最終年度となる来年度での確実な達成に向け、当社グループは新生RYODENとして「承継と進化」をキーワードにこれまで進めてきた取り組みを整理、活動してまいります。
次期の業績の見通しにつきましては、連結売上高2,630億円、営業利益70億円、経常利益70億円、親会社株主に帰属する当期純利益48億円を見込んでいます。
なお、上記の見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。
<2023年度の施策、方針及び取り組み>
施策 | 方針 | 具体的な取り組み |
戦略技術センターの設置 | ・全事業の基盤となるエンジニアリング事業の立案・推進 ・各事業に分散していた技術部隊を集約、効率化・応用化を推進 | ・基幹中核ビジネスと新事業をつなぎ成長戦略に合致したエンジニアリングを構築 ・新事業の創出力強化、顧客向け提案、サポート力の強化及び知財戦略の立案などを実行 |
デジタルトランスフォーメーション | 「攻めのDX」・「守りのDX」 大胆かつ拙速を是とする超高速の取り組み | ・リカーリングモデルを支えるビジネス推進基盤システムの構築 ・デジタルツール活用による業務の省力化・効率化とITシステム基盤整備とBI活用による経営データの可視化 |
ブランド・バリュー・イノベーション | すべてのステークホルダーに「事業創出会社」として新生RYODENの価値を実感いただくべく当社のこれまでの「代理店」・「商社」というブランドバリューを変革 | ・当社オリジナルソリューション(Remces等)の独自性、世界観、ストーリー性を言語化し事業ブランド化 ・「B for B to C」を意識し新生RYODENのブランド価値の変革を目指し、ブランディング活動を推進 |
新規事業 | 市場の潜在ニーズを掘り起こす3つの見える化(視える・観える・診える)を実現するためのナレッジの蓄積・拡大とデータリカーリングビジネス展開力を強化 | ・ICTでは監視カメラでは成し得ない、お客様が見るべき映像を提案し、気づきを提供する当社オリジナルのビジネスカメラシステム:FlaRevoの販売を拡大 ・ヘルスケアでは中小医療機関向けIT機器・システムの一括提案・長期保証(10年)サービス:トータルパックITの販売を拡大。医療機関のDX化・管理負担削減に貢献 ・スマートアグリでは蓄積した栽培データを活用し、次世代農業への参入を検討する企業向けにコンサルティング、エンジニアリング、データサービス提供といった当社独自のリカーリングビジネスを確立 |
基幹中核事業 | お客様の視点に立った価値向上に資する提案の実現と事業間シナジー効果を超えた強みの結実による当社ONLY ONEソリューションを確立 | ・製造業DXを切り口に、加工・組立・搬送・検査を一気通貫で提案するトータルソリューションを提供 ・暑熱対策としてのAREA(エリア)空調(クボタ空調㈱製)の全国販売とサービス体制を構築。アライアンス強化と事業スケールを拡大 ・FA・冷熱・エレクトロニクスの当社の強みを結実した統合監視制御システム:Remcesの販売拡大 |
(3) 中期経営計画「ICHIGAN 2024」
当社グループは、2050年に向けて目指す姿として、「100年企業として環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献する」ことをビジョンとして掲げています。その実現に向け、2013年から2015年の中期経営計画「GSP15」では第二の創業期としてソリューションビジネスの創造に挑み、2016年から2018年の「CE2018」では100年企業を目指して顧客価値創造型のビジネスモデルの構築に努めました。この流れを承継する新たな中期経営計画として、2020年度から5年間の中期経営計画「ICHIGAN2024」の取り組みを開始しました。
「環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現」、そしてそれを支える「グリーン発展を持続する社会の実現」に貢献する企業として、すべてのステークホルダーと価値を共有し、企業としての責任を果たすとともに、中期経営計画の達成に向け引き続き取り組んでまいります。
<ICHIGAN 2024の進捗(DXの推進) ~主な成果と今後の取り組み~>
中期経営計画の進捗として主な成果と今後の取り組みは以下のとおりです。
①成長事業のビジネスモデル確立と次世代新規ビジネスの創出
成果 | 今後の取り組み |
・閉鎖型人工光植物工場では世界初となるほうれん草の次世代型植物工場:Block FARMを22年5月に竣工。これまで培ったナレッジにより早期量産化を実現 ・医療機関向けIT事業で一定規模の売上を確保 ・食の安心・安全に資するペストコントロールを支援するクラウド型AIサービスの立ち上げ、開始 | ・スマートアグリでは生産だけでなく流通・販売事業への本格参入による次世代農業バリューチェーンを構築、また多品種変量生産にも取り組み、収益化を目指す ・医療機関向け電子カルテ、医療情報システム等のトータルパック提案を加速しさらなる収益規模を拡大 ・パートナー企業と連携し食品製造業を中心にペストコントロールの提案を拡大 |
②基幹中核事業における生産性の向上
成果 | 今後の取り組み |
・FAシステムでは当社オリジナルソリューション(Remces・FlaRevo)を中心としたシステムエンジニアリングビジネスが進展 ・冷熱システムは商権拡大への基盤づくり ・エレクトロニクスでは車載向けモジュール製品のデザイン・インや新たなパートナーとのビジネスが拡大 | ・FAシステムは製造業DXの更なる進化と加工・組立・搬送・検査を切り口としたシステムエンジニアリングビジネスを強化 ・冷熱システムは廃熱回収ビジネス・EMS等、環境関連ビジネスを拡大 ・エレクトロニクスは新たなパートナー・新たな商材の発掘の加速とFAE体制を強化 |
③事業推進基盤の強化
成果 | 今後の取り組み |
・不確実性の高い経済環境下で当社グループが進むべき「道しるべ」・「志」となるパーパスを制定 ・人材育成カリキュラムの策定と実行 ・事業推進体制の最適化により戦略機能強化と意思決定スピードの向上を実現 ・業務管理センターを設置し定型業務の集約によるコーポレート機能の強化 |
・サステナブル経営のさらなる推進 ・パーパス・バリューズの社内浸透 ・環境ビジョン実現に向けた活動の継続 ・攻めのDX基盤の構築と守りのDX基盤の整備 |
④経営目標
| 2022年度実績 | 2024年度目標 |
営業利益 | 93億円 | 100億円以上 |
営業利益率 | 3.6% | 3.8% |
新事業売上高 | 2018年度比16.2億円減 | 2018年度比150億円増 |
新事業売上総利益率 | 16.7% | 18% |
ROE | 7.0% | 8.0% |
●営業利益は増益計画の柱としていた新事業の進捗に遅れがあったものの基幹中核事業であるエレクトロニクスが下支えして過去最高益を記録。事業間のシナジー効果を越えた強みを結実し当社オリジナルソリューションを確立、高利益率ビジネスを推進します。
●新事業については、ヘルスケア事業が低調であったことに加えてエネルギー価格高騰の影響によりスマートアグリ事業も低迷したものの、ITトータルパッケージ事業をコアにしたサブスクリプションビジネスの基盤構築など新事業の芽は着実に育ちつつあり、今後もこうした次期成長事業の早期立ち上げと拡販に注力するとともに、スマートアグリで次世代農業バリューチェーンを事業基盤とした新ビジネスモデルの確立を目指してまいります。
●ROEは前年同水準の7.0%を維持しました。財務レバレッジをかけるのではなく、収益力及び資産効率の向上に取り組んでまいります。
<脱炭素社会に向けた取り組み>
きれいな地球を未来へと引き継ぐために――。
当社グループは2020年4月にグループ環境ビジョンを制定しました。2030年までに環境に配慮した事業活動を加速させ、サステナブルな社会創りに貢献します。そして、2050年、100年企業として環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
具体的な取り組みとして、電力使用に関する温室効果ガス排出実質ゼロを目指し、当社所有の栗原太陽光発電所(宮城県栗原市)を有効活用することで、事務所の電力を可能なところからクリーン電力に切り替えていきます。また、ライフサイクル視点での温室効果ガス排出削減を目指した当社独自のトータルカーボンマネジメントを2019年3月期(第79期)から運用しています。
こうした活動を通し、当社グループは「環境」の価値観を共有し、事業活動を通して社会に貢献する「環境経営」を推進していきます。
※トータルカーボンマネジメント:事業活動で排出する温室効果ガスと当社の販売した製品を使用することにより削減された温室効果ガスを数値化し、当社の環境貢献度を見える化した当社独自の環境活動。
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