築地魚市場 【東証スタンダード:8039】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、卸売市場法に基づく東京都中央卸売市場の荷受会社として、“国民の健康的な食生活への貢献”という社会的使命を果たしていくとともに、集荷力・販売力の強化に努め、首都圏の一大消費地を抱える市場荷受としての優位性を発揮しつつ、“旧来型の荷受会社から、広範な機能を有する販売会社への転換”を図り、新たな価値創造によってステークホルダーの期待に応えてまいります。
(2)経営戦略等
上記経営方針のもと、当社グループはMSC、ASCといった海洋保護活動に貢献する国際流通認証を取得し、海洋資源保護や環境に配慮した水産物の取扱いを増やすことにより、出荷者・生産者から、買受人の皆様の顧客満足度を高められるよう、集荷及び販売に注力していきます。また、生産地加工・消費地加工の充実、豊洲市場内の冷蔵庫などの設備を活用し、多種多様な顧客ニーズに沿った販売を心掛けていくとともに、グループ会社を横断する形で物流委員会を設置、グループ会社資産の全てを有機的に結合することで、生鮮冷凍物流通網を構築していくことを目指します。
(3)経営環境
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴う行動制限の解除等により、国内や海外からの旅行者の増加や好調な企業業績の下支えもあり、経済活動は活性化してきております。
しかし、ロシア・ウクライナ紛争や緊迫した中東情勢は長期化しており、日銀が発表した異次元金融緩和の修正による金利への影響など、先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社の属する水産物卸売業界においては、インバウンド消費により外食産業には回復は見られたものの、円安によるさまざまな原材料価格の高騰や労働力確保のため人件費が増加した結果、漁労・養殖コスト、物流費、資材費などが上昇し、魚価高傾向が続いております。また急激な物価上昇により消費動向はやや鈍化しており、厳しい業界環境は続いております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題
〇新中期経営計画の策定
当社グループは、2024年度(2025年3月期)から2026年度(2027年3月期)までを対象期間とした新中期経営計画「MF-2026」(Move Forward 2026)を策定しました。当社グループが前中期経営計画(SG-2023)で積み残した課題の解決、また、当社グループが2026年度(2027年3月期)までの持続的な成長をするための諸施策と最終目標数値を決定いたしました。
1.前中期経営計画「SG-2023」の達成状況
当社グループは2023年度を目標年度とする前中期経営計画「SG-2023」において、「水産卸としてのプラットフォームを充実させ、持続的な成長を目指す」を基本コンセプトに掲げ、諸施策を実行してまいりました。
達成状況につきましては、加工機能の強化、商流の深化と拡大は進めたものの、当該期間中は新型コロナウイルスの蔓延や、計画最終年度のALPS処理水の海洋放出による中国向け水産物の禁輸等、水産業界は総じて厳しい環境にあったことから、売上高および各段階利益は計画未達に終わりました。また、3ヵ年の計画期間を通じて、冷蔵倉庫業などのグループ会社においては一定の成果を収めることができたものの、本業の水産物卸売業の収益率や在庫回転率の改善が十分にできず、安定した収益化が達成できなかった点が課題として残りました。
なお、冷蔵倉庫業につきましては、新型コロナウイルスの影響で保管貨物の動きが悪い時期があったことやロシア・ウクライナ紛争、為替の円安等によるエネルギー価格の上昇に伴い、冷却費用が予想外に増加するなど、苦戦を強いられていた時期もありましたが、最終年度ではエネルギー価格等の上昇を保管料の値上げすることができ、収益の改善をすることが出来ました。
不動産賃貸業は、当初の予定どおり順調に推移しました。
| SG-2023 | |
| 2024年3月期目標 | 2024年3月期結果 |
売上高(百万円) | 62,000程度 | 58,701 |
営業利益(百万円) | 400程度 | 35 |
経常利益(百万円) | 400程度 | 76 |
親会社株主に帰属する 当期純利益(百万円) | 350程度 | 204 |
自己資本比率 | 40%程度 | 37.3% |
連結配当性向 | 20~30%を目処に、継続的かつ安定的に実施 | 安定的に配当を実施 |
2.新中期経営計画「MF-2026」
当社グループは、前中期経営計画のコンセプト・課題を引継ぎ、新中期経営計画「MF-2026」を策定いたしました。計画の骨子は、「①前中計の積み残し課題・現状当社グループが抱える課題」×「②当社が求める機能」× ③当社の経営方針の一部である「旧来型の荷受会社から、広範な機能を有する販売会社への転換を図る」を掛け合わせ、2026年に向け“前進”(=Move Forward)するための重点課題を以下の3点に集約いたしました。これら諸施策の推進により、社会および市場から選ばれる企業グループを目指してまいります。
2-1 重点課題
①生鮮水産物の取扱拡大および冷凍水産物の加工製造販売事業の強化
②人員採用拡大によりダイバシティを推進し、強靭な組織力を構築
③物流2024年問題への対応を踏まえた、市場内外の物流効率化を推進
2-2 課題達成に向けた具体的なアクションプラン
①生鮮水産物の取扱拡大および冷凍水産物の加工製造販売事業の強化
1)産地との連携を基に、仲卸様等への商流を拡大
2)供給と品質の安定に資する「鮮冷」・「養殖魚」・「一般凍魚」の強化
3)新たな投資・提携を視野に入れ、産地加工・消費地加工をさらに強化
②人員採用拡大によりダイバシティを推進し、強靭な組織力を構築
1)新卒採用・キャリア採用を強化し、組織を活性化
2)ワークライフバランスの一層の改善
③物流2024年問題への対応を踏まえた、市場内外の物流効率化を推進
1)市場内外物流の効率化を行うとともに、グループ内商流の集約(ベンダー機能・受発注機能)を図り、「商・物流」の一元化を推進
2-3 投資政策
財務健全性からネットDER1倍以下を維持しつつ、当社の成長戦略に資する投資活動を適宜実施
①加工機能強化のため、産地加工・消費地加工のさらなる深堀
②物流機能・販売機能強化のための投資
③人材投資・DXを推進するさらなるシステム投資
2-4 経営目標・株主還元
(連結ベース) | 25年3月期 (計画第1期) | 26年3月期 (計画第2期) | 27年3月期 (計画第3期) |
売上高 | 600億円 | 620億円 | 650億円 |
営業利益 | 3.5億円 | 4.8億円 | 6億円 |
経常利益 | 3.5億円 | 4.8億円 | 6億円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.5億円 | 3.8億円 | 5億円 |
ROE(株主資本利益率) | 計画最終年度7%以上を目指す | ||
PBR(株価純資産倍率) | 1倍以上 | ||
ネットDER | 1倍以下 | ||
連結配当性向 | 20~30%を目途に安定配当を実施 |
注)上記の予想および目標等は、現時点における入手可能な情報に基づいて算出しておりますが、実際の業績は今後の事業環境の変化等の様々な要因により大きく異なる可能性があります。
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