企業兼大株主ヤマハ東証プライム:7951】「その他製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1) ヤマハグループサステナビリティ方針

当社グループは、世界中の全ての人々が心豊かに暮らす社会を目指します。その実現のために、企業理念である「ヤマハフィロソフィー」を心のよりどころに、かけがえのない地球環境を守り、平等な社会と快適なくらし、心潤す音楽文化の発展に貢献するとともに、人権尊重はもとより、多様な人材が互いに認め合い活躍できる環境を整えることで、未来に向かって新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます。

この考え方に基づき、持続可能な社会の実現に向けた取り組みによる社会価値の創造を通じ、自らの中長期的な企業価値を高める為、マテリアリティを特定し、積極的にサステナビリティ活動を推進します。


① ガバナンス

当社は、取締役会の監督に基づき、代表執行役社長の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、グループ全体のサステナビリティ活動の方向性の議論や、グループ内における取り組み状況のモニタリングを行い、代表執行役社長に答申しています。また、同委員会の下部組織として「気候変動部会」「資源循環部会」「調達部会」「人権・DE&I部会」「社会・文化貢献部会」を設置しています。各部会は、以下に示す全社横断的な重要テーマについて、推進体制の整備、方針や目標・施策・実行計画の策定、活動およびモニタリングを行い、サステナビリティ委員会へ報告しています。

◆気候変動部会:脱炭素、TCFD対応、水リスク対応など

◆資源循環部会:循環型バリューチェーン、環境配慮設計、包装梱包など

◆調達部会:木材デューディリジェンス、持続可能な木材、おとの森活動、サプライチェーン人権デューディリ
  ジェンス、紛争鉱物対応など

◆人権・DE&I部会:人権デューディリジェンス、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンなど

◆社会・文化貢献部会:音楽普及、地域共生など

サステナビリティ委員会の審議内容、ヤマハグループにおける活動状況については取締役会に定期的に報告され、取締役会によるレビューを受けています。

サステナビリティ推進体制は下図の通りです。


② 戦略

当社グループでは、社会の持続的発展と中長期的な企業価値向上につながる重要なサステナビリティ課題をサステナビリティ方針に組み込み、活動を推進・管理しています。2022年3月期には「サステナビリティに関するマテリアリティ」として9項目を特定し、これらを経営全体のマテリアリティに統合しました。このサステナビリティに関するマテリアリティに基づいて2022年4月にサステナビリティ方針を改定し、取り組みを進めています。

③ リスク管理

当社グループのバリューチェーンにおけるサステナビリティ課題を、持続可能な開発目標SDGsなどに照らして抽出し、お客さま、従業員、地域社会の声や、ESG評価項目、NGOからの意見・要請や社外有識者の提言、企業理念や経営ビジョン、中長期的な経営方針を踏まえ、リスクと機会の観点で重要度を評価し、推進を強化すべき課題(サステナビリティに関するマテリアリティ)を特定しています。特定したマテリアリティについて、サステナビリティ委員会の各部会、関係部門にて施策や達成度合いを測るKPI、目標および実行計画を策定します。サステナビリティ委員会が進捗をモニタリングすることで、マテリアリティの取り組みを推進し、リスクの低減を図っています。

④ 指標及び目標

特定したマテリアリティに基づき、2022年4月~2025年3月の中期経営計画「Make Waves 2.0」では、方針、重点テーマ、指標(KPI)と目標が設定されています。サステナビリティに関する主なKPIと目標は以下のとおりです。


(2) 気候変動への対応とTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示

 当社グループは、「気候変動への対応」をマテリアリティとして特定し、経営重点テーマとして位置付けています。TCFDの提言に基づき、気候変動がもたらすリスクや機会を分析し、経営戦略に反映させるとともに、その財務的な影響についての情報開示に努めていきます。

① ガバナンス

気候変動対応を含むサステナビリティに関する重要事項は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会にて議論した上で、取締役会にて定期的に議案として取り上げ、施策の進捗確認と監督をしています。また、気候変動に関わるリスクと機会への対応は同委員会の下部組織である気候変動部会が主導し、関連テーマは資源循環部会、調達部会でも審議され、サステナビリティ委員会に報告されます。

② 戦略

当社は、グループ全体に及ぶ影響を確認するため、全事業を対象に国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ(注1)」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ(注2)」をメインに、その他複数のシナリオ(注3)を参考に分析を行い、短期・中期・長期(注4)のリスクと機会を抽出しました。(表1)

 当社は、気候関連課題が、事業、戦略、財務計画に大きな影響を与える可能性があるという認識のもと、リスクや機会を整理し、戦略の見直しを随時実施しています。(表2)

(注1)1.5℃シナリオ:NZE(IEA World Energy Outlook 2022)、2℃未満シナリオ:SDS(IEA World Energy Outlook 2022)、RCP2.6 他

(注2)4℃シナリオ:RCP8.5 他

(注3)APS(Accelerated Paris Scenario)、STEPS(Sustainable Transition Energy Pathways:Business as Usual)他

(注4)短期:現在-数年後/中期:2030年/長期:2050年に影響が強く表れる

(表1)特に重要度の高いリスク・機会一覧

分類

考えられる影響の事例

移行リスク

政策規制

カーボンプライシングの導入・増大(中期)

市場

木材伐採事業の撤退(短期)

物理的リスク

急性

自然災害の頻発化・激甚化(長期)

慢性

調達木材の生育適域変化(長期)

機会

市場

気温上昇により屋内の活動が増え、関連製品・サービスの需要増(中期・長期)

製品・サービス

木材代替素材の開発や新たな品質標準の確立による新たな価値提供(長期)

(表2)特に重要度の高いリスク・機会と対応戦略

分類

リスクと機会概要

ヤマハの対応戦略

シナリオ分析

1.5~2℃シナリオ

4℃シナリオ

移行リスク

カーボンプライシングの導入・増大

・炭素税などの導入による生
 産、調達コスト増加

・2031年におけるグループ内
 エネルギーコストはなりゆ
 きで10億円から20億円程度
 増加する予測

・徹底したエネルギー削減、
 再生可能エネルギーの利用
 推進による削減計画実施。

 (削減目標達成によりエネル
 ギーコスト増加分を4.5億円
 から9億円程度に抑制でき
 る見込み)

・ICP(インターナルカーボン
 プライシング)を設定し(14
 ,000円/t-CO2)、低炭素設備
 投資を促進

・サプライヤーと連携した排
 出削減の推進

影響は拡大

影響は現在の延長上

木材伐採事業の撤退

・森林由来炭素クレジットの
 ため木材事業からの撤退事
 例が増える

・持続可能性に配慮した木材使
 用率増

・楽器適材の調達を持続可能に
 する「おとの森」活動

影響は拡大

影響は拡大

物理リスク

自然災害の頻発化・激甚化

・自然災害による生産拠点の
 被害やサプライチェーン寸
 断による生産停止の発生

・ヤマハグループ拠点(製造、
 営業、物流)を対象に洪水リ
 スクと損害の再評価を行い、
 想定される自然災害に対して
 事前対策を実施

影響は現在の延長上

影響は拡大

 

調達木材の生育適域変化

・温暖化により調達木材の生
 育適域が変化していき、入
 手が困難になることが予想
 される

・持続可能性に配慮した木材使
 用率増

・既存の希少材料を代替する新
 素材や木材加工技術の開発
 (木材技術、木材調達スキル
 の社内保持・強化)

影響は拡大

影響は拡大

機会

木材代替素材の開発や新たな品質標準の確立

・環境に配慮した代替材を使
 用した製品が、顧客や投資
 家からの評価を高め、市場
 での競争力を向上させる

気温上昇により屋内の活動が増え、関連製品・サービスの需要増

・リモートワーク、オンライ
 ンイベント、ゲームの拡大
 による通信機器の需要拡大

・動画配信の拡大に伴う音響
 機器の需要拡大ライブと配
 信のハイブリッドイベント
 がデファクトスタンダード
 化

・音響、信号処理、通信技術の
 融合によるリモート、オンラ
 インイベント用ソリューショ
 ンの提供

・遠隔でのライブ、レッスン、
 合奏の実現による新たな顧
 客体験の創造

影響は拡大

影響は拡大

③ リスク管理

当社では、代表取締役の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、気候変動をはじめとした企業活動・行動に関わるすべてのリスクを対象とした全社横断的なリスク評価の仕組みを採用し、リスクの抽出と評価を行っています。

 サステナビリティ委員会の下部組織である気候変動部会では、シナリオ分析結果をベースに想定される「損害規模」と「発生頻度」を特定・評価し、TCFDリスク分類に沿ってリスト化しています。「損害規模」は売上収益に対する割合を指標として3段階で評価、「発生頻度」は4段階で評価し、重要リスクと機会を特定し、対応状況のモニタリングや見直しを実施しております。対策については、調達部会や資源循環部会等他の部会と随時協働し、対策テーマの特定と資源配分に関する提言、進捗管理指標の設定等を行なっています。また、気候変動部会の担当範囲を超える対応が必要となる重要なリスクおよび機会については、逐次取締役会へ報告され、対応方針を審議検討しております。

気候変動部会が属するサステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会はどちらも代表執行役社長が委員長であり、両プロセスは有機的に連動しております。


④ 指標及び目標

サプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理するため、温室効果ガスの総排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)をGHG(温室効果ガス)プロトコルのスタンダードに基づき算出し、指標としています。また、これらについて第三者検証を実施しています。2031年3月期までに2018年3月期比でスコープ1+2を55%削減(SBTイニシアティブ1.5℃水準)、スコープ3を30%削減する中期目標を策定し、スコープ1+2については2051年3月期までにカーボンニュートラルを達成するという長期目標を設定しています。また、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、2023年6月にSBTのNetZeroに向けた取り組み目標を策定することにコミットしました。目標を達成するための短期目標として、2025年3月期までに生産におけるエネルギー使用効率を5%向上、消費電力の再生可能電力使用率10%達成を掲げています。

 当社グループにおける気候変動への対応とTCFDに基づく情報開示の詳細につきましては、下記URLをご参照ください。

 https://www.yamaha.com/ja/csr/activity_report/environment/global_warming/

(3) 人的資本

当社は、中期経営計画「Make Waves 2.0」の方針に掲げられた「ともに働く仲間の活力最大化」の実現を目指し、事業活動を行う上で最も重要な要素の一つであり、社会価値、企業価値を創造するための原動力である従業員について、一人ひとりの個性が活かされ、最高のパフォーマンスが発揮できるよう様々な施策を展開しています。

① ガバナンス

当社は、代表執行役社長の諮問機関として経営会議および人材開発委員会を設置し、経営会議では経営に関する重要な人事事項を、人材開発委員会では経営人材に関わる諸テーマを審議し、代表執行役社長に答申しています。その他、人権やダイバーシティーに関する取り組みを推進するためサスティナビリティ委員会の下部組織として人権・DE&I部会を設置しています。

② 戦略

当社は、中期経営計画「Make Waves 2.0」の方針に掲げられた「ともに働く仲間の活力最大化」を、「働きがいの向上」と「働きやすさの向上」に分け、それぞれを更に要素分解し、「ともに働く仲間の活力最大化」の実現に繋がる様々な施策を展開しています。なお、下図の各領域に「ともに働く仲間の活力最大化」の3つの重点テーマが表われており、あわせてそれらの関係を示しています。


③ リスク管理

当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、人的資本をはじめとした企業活動・行動に関わるすべてのリスクを対象とした全社横断的なリスク評価の仕組みを採用し、リスクの抽出と評価を行っています。また、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク管理レベルの引き上げを図っています。取締役会は執行役からの報告等によりリスクマネジメントの仕組みの有効性や推進状況を確認・監督しています。

人的資本に関するリスクについては、「3.事業等のリスク 人材・労務」をご参照ください。主な対策として、グループ人材マネジメント規程および関連するガイドラインを策定し、グループ各社に対して、その周知及び実施状況のモニタリングを実施しています。


④ 指標及び目標

当社は、中期経営計画「Make Waves 2.0」の方針に掲げられた「ともに働く仲間の活力最大化」の3つの重点テーマの指標と目標を以下のとおり定め、施策の効果を定期的にモニタリングし、継続的な改善に努めています。


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