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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般

 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ課題について、当社グループはリスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、持続可能な社会の実現及び当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざす「サステナビリティ経営」を推進しております。

SDGsをはじめとする社会課題の解決を通じた新たな価値創造に取組むとともに、価値創造の源泉となる人的資本への取組は、多様性の確保や労働環境の整備を柱に対応を進めております。また、環境や人権課題などESGへの取組はサプライチェーンへの展開を含め、着実に実行します。

ガバナンス及びリスク管理

《ガバナンス》

 サステナビリティ経営の実現に向け、取締役会による監督のもと、総合的施策を推進するサステナビリティ推進会議を中心とするガバナンス体制を構築しております。

 取締役会は、気候変動や人的資本への取組を含むサステナビリティ課題について年二回、サステナビリティ推進会議より取組方針や目標・計画の内容、各施策の進捗状況などの報告を受けることとし、審議・監督を行っております。

 サステナビリティ推進会議は、代表取締役社長を議長とし、常務執行役員以上で構成され、必要に応じて社外有識者等を招聘します。本会議では、外部から受ける経営への影響やインパクト評価、当社グループ全体のサステナビリティに関する重要な方針やマテリアリティ(重要課題)の特定、総合的施策等について協議・企画立案を行っております。取締役会への定期的な報告・提言を通じて、サステナビリティ経営推進の取組をグループ全体に反映しております。

 当社グループのサステナビリティ経営推進に関するガバナンス体制は、以下のとおりであります。

≪リスク管理≫

 当社グループにおけるリスクの識別・評価は、外部から受ける経営への影響や、通常の業務を通じて特定した影響をもとにリスク及び機会の検討をおこないます。サステナビリティ推進会議では、識別されたリスクについて影響度を評価し、重要度に応じて対応策を検討・協議のうえ、取締役会に報告します。

 取締役会は、サステナビリティに係るグループに重大な影響を及ぼすリスクについて審議・決定し、関係部署及びグループ会社へ対応や目標設定を指示します。また、取締役会は、リスク管理の状況と対応について報告を受け、その監督を行います。

 戦略及び指標・目標

 当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざし、社会課題に与える影響を考慮したうえで、中長期的な価値創造能力に重要な影響を与えるものをマテリアリティとして特定いたしました。

 マテリアリティ特定にあたっては、まず将来的なメガトレンドや事業成長の機会としてのSDGs、事業へ著しい影響を及ぼすESG課題などの外部環境、自社の競争優位性や市場分析、経営方針などをもとに、課題の重要性評価を行いました。経営執行会議や取締役会において経営層による議論及び外部有識者の客観的視点による妥当性の検証のうえ、取締役会で決議しました。

 各マテリアリティ、マテリアリティ特定の経緯及び主な取組は以下のとおりであります。

 今後は事業活動を通じたマテリアリティへの取組について、サステナビリティ推進会議を中心に議論を重ね、計画の具体化及び指標・目標策定を進めて各種ステークホルダーへ積極的に情報開示していきます。

 なお、世界的な情勢や社会の要請、または経営の観点から、特に気候変動への対応・人的資本への対応を拡充しております。

(2)気候変動への対応

 当社グループは「地球環境との共生」をマテリアリティの一つとして特定し、気候変動が及ぼす影響を重要な経営課題と捉え、脱炭素社会の実現に向けて2050年カーボンニュートラルを掲げております。2023年5月にはTCFD提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づき気候変動が当社グループにもたらす影響を分析したうえで情報開示しております。

ガバナンス及びリスク管理

 気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 ガバナンス及びリスク管理」を参照ください。

戦略

 当社グループでは、TCFD提言に基づく気候変動のシナリオ分析を、事業部門を対象に2つのシナリオ(1.5℃/2.0℃及び4.0℃)を用いて実施しました。今後想定されるリスクと機会を幅広く洗い出したうえで、経営層や各セグメントを中心とした協議・検討を経て、最終的に当社グループの事業にとって影響を及ぼす可能性が高い事象とその影響度合いの評価と、その評価に基づく対応策の検討・策定を行いました。

 シナリオ分析の結果、1.5℃/2.0℃シナリオでは炭素税の導入による操業コストや、エネルギー価格の変動による原材料コストへの影響が大きいことが確認できており、こちらに関しては温室効果ガス(GHG)排出量削減及び事業活動の効率化を進めます。一方で、環境配慮型製品・サービスの販売拡大など、環境負荷低減に貢献する新たな顧客需要を捉えることにより、事業成長につなげることが可能であることも確認しております。

 また、4℃シナリオでは自然災害の激甚化に伴う物理リスクが事業継続の阻害要因となりますが、今回の分析の結果では、各生産拠点におけるリスクが比較的大きくないことが確認できました。今後もリスク分析の精緻化及び災害などへの事前対応を実施し、影響を最小化していきます。

2023年度以降も定期的かつ継続的にシナリオ分析を実施することでその精度を高め、想定されるリスクに柔軟に対応しながら、不確実な将来におけるいずれのシナリオにも耐えうるレジリエントな経営体制を構築していきます。機会については、気候変動の状況や市場動向、顧客との対話を重視しながら、持続的な企業価値向上につながるよう、柔軟に戦略を検討・展開していきます。

 期間  短期:2023~2030年頃まで 中期:2030~2050年頃まで

 影響度 リスク:基準=営業利益に対する影響額 5億円超(大)/ 2億円超(中)/ 2億円未満(小)

 機会:基準=売上高に対する影響額   10億円超(大)/ 3億円超(中)/ 3億円未満(小)

指標・目標

 当社グループでは、2023年4月にカーボンニュートラル宣言を掲げました。

2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、事業活動に伴うGHG排出量(Scope1、2)について、2030年に2022年度を基準とし42%削減する目標を掲げております。徹底した省エネルギー化や設備の高効率化を図るとともに、太陽光発電設備の導入・増設をはじめとする再生エネルギーの利活用で自社排出量の削減推進を図ります。

 また、2021年度における算定結果では、総排出量に占めるScope3の割合が高く、特にカテゴリー1※1(58%)やカテゴリー12※2(14%)の占める割合が高いことが確認できました。サプライチェーン企業との対話による協働や、環境負荷を低減させる製品・サービスの開発、製造プロセスの改善など、さまざまな活動を行いながら、自社製品の魅力を発揮した上でのScope3削減をめざします。

 現在、Scope3の算定範囲の拡大も順次進めており、2022年度分の算定においてはグループ全体での算定が完了する見込みです。これにあわせてSBT※3認定取得もめざします。

※1 カテゴリー1: 購入した製品・サービス(原材料・部品、容器・包装等が製造されるまでの活動に伴う排出)

※2 カテゴリー12: 販売した製品の廃棄(使用者(消費者・事業者)による製品の廃棄時の処理に伴う排出)

※3 SBT: 「Science Based Targets」の略、「科学的根拠に基づく目標」の意味。

SBT認証とは、パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証です。

◆GHG排出量削減ロードマップ

(3)人的資本への対応

「人材」は企業の競争優位性を高め、持続的な成長を実現するための重要な経営資源です。すべての従業員が、自律的に成長し挑戦する「価値創造人材」として活躍することで、企業の競争力を向上させ、持続的な成長を実現していきます。

ガバナンス及びリスク管理

 人的資本に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 ガバナンス及びリスク管理」を参照ください。

戦略

 当社グループでは、「価値創造人材の活躍」をマテリアリティとして特定し、めざすべきビジネスモデルや経営戦略に沿った多様な価値観を持つ人材の確保と活用、価値創造に向けた能力強化に取組むとともに、個が持つ能力を最大限に発揮できる職場環境を整備していきます。

◇人材育成及び社内環境整備方針

共同印刷グループは、TOMOWELの理念である「関わるすべてと共に良い関係であり、未来を創り拡げていく」を実現すべく、多様な人材が活躍できる環境の整備を行っていきます。

持続的な企業価値向上に向け、従業員一人ひとりがその能力や個性を生かし、自律的に成長するよう育成に取り組みます。

指標・目標

 当社では、人材戦略において次の指標を用いております。本指標と目標は、すべての従業員にとって多様性が尊重され、働きがいを持てる組織になることで達成されるものであり、各施策の相乗効果によって得られると考えております。

項目

2022年度実績値

目標(2026年3月末までに)

女性管理職比率

7.3%

女性割合(幹部職員課長級以上)10%以上

男性育児休業取得率

82.9%

男性の育児休業取得率80%以上

※育児休業取得率は、当社独自の休暇制度である配偶者出産休暇取得者を含みます。

※当社グループではグループ全体の取組については整備を進めているところであり、本報告では、共同印刷単体の取組を公表いたします。

 人的資本の拡充に向けた主な取組

多様な価値観の活用

多様な人材がその能力を最大限に発揮し、活躍できる環境整備の実現をめざします。

◆女性の積極登用

年に一度「ダイバーシティマネジメント研修」を全役員・幹部職員に実施し、優秀人材を積極的に登用する風土形成を推進しております。

◆仕事と家庭を両立できる制度整備

2022年度は、男性の育児参画を促進する制度整備に加え、「プレパパミーティング(配偶者が出産予定の従業員・職場上司・人事部の3者面談)」の開始や、社会課題となっている不妊治療や不登校児童の育児と仕事を両立できる「ライフサポート休業制度」を新設し、妊娠前から子の成人までの切れ目ない次世代育成支援を実現しております。

◆障がい者が活躍できる環境整備

障がいのある従業員が、心身が安定した中で能力を発揮できる環境をめざし、2022年に特例子会社を設立し、独自の人事制度(通院サポート休暇・キャリアアップ制度)を導入しております。

◆セカンドキャリア・再雇用制度の拡充

当社では、社会環境の変化を見据え、高年齢者の雇用継続施策に取り組んできました。高年齢者の更なる活用を促すべく、2022年に最長70歳まで雇用延長するとともに、セカンドキャリアにおける多様な働き方を支援するため、時短制度や副業制度を拡充しております。

価値創造人材の確保と強化

社会や事業環境の変化に柔軟に対応し、経営戦略に沿った価値創造人材の確保と育成の強化をめざします。

◆学び直し(リスキル)の支援

従業員の自律的なキャリア形成を後押しするため、会社が推奨する資格の取得者へ手当や一時金の支給などインセンティブの充実に取り組んでおります。特に、DX関連のスキル向上を目的に、対象推奨資格の範囲を拡大し、DX人材の育成を推進しております。また中核人材育成のため、マネジメント力の強化を目的としたマネジメント診断(多面評価)を導入しております。診断結果のフィードバック研修を通じて意識改革と行動変容を促進し、組織内の多様な価値観を尊重し、多様な人材を活用できる環境整備を推進しております。

◆多様な人材の確保

「人事キャリア面談」を実施し従業員のキャリア形成を支援するとともに、人材の有効配置やローテーションを活性化させ、価値創造人材の育成に努めております。また技術革新を生む機会創出を図る人材の確保のため、高度専門人材などのキャリア採用を積極的に推進しております。

能力を最大限発揮できる環境の整備

心身の健康増進とともに、労働生産性とエンゲージメント向上をめざします。

◆健康経営

従業員がいきいきと働き続けられる職場づくりをめざして健康経営に取り組んでおり、「健康経営優良法人2023」の認定を受けています。人事部・産業医・健康保険組合と連携し、健康意識の向上や疾病予防の施策を実施しております。

◆時間や場所にとらわれない働き方の構築

従業員の多様な価値観や生活スタイルに合わせた働き方を選択できるように、フレックス勤務のコアタイム廃止や時間単位年休、時短勤務の導入をはじめとする勤務制度の見直しを進めております。また、テレワーク勤務を有効活用する仕組みを整備し、効率的な業務運営につなげております。

◆チャレンジを支援する制度の充実

2022年度は、「役割等級制度」を改定し、処遇や報酬面でもやりがいを感じられる体制を整えました。また、年齢や勤続年数に拠らず、業績や役割に対する貢献により強く報いることを主として「退職金・年金制度」を改定しました。さらに、「キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)」や「副業制度」では、従業員が自らの意思で挑戦する機会の創出と自律的なキャリア形成の実現を通じて、働きがいの向上につなげます。

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