朝日インテック 【東証プライム:7747】「精密機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(サステナビリティ全般)
当社グループのサステナビリティとは、ステークホルダーとの信頼関係を構築すること、価値 創造プロセス(事業の推進と基盤の強化の好循環)に取り組み、企業理念を実践すること、 それにより「ASAHIブランド」(コーポレートブランド)を確立することと考えております。
中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」において、「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を基本戦略のひとつとして掲げており、ESGを重要項目の一つと位置付け、成長戦略・経営基盤強化の両面からサステナビリティの重要課題に取り組んでおります。
(1)ガバナンス
当社グループではサステナビリティ関連の重要課題に関し、取締役会が適切に監督を行うための体制を構築しております。
特に経営上のリスク・機会にかかわる重要事項については、環境担当役員及びESG担当役員から、社外取締役を含む全取締役に報告され、取締役会において議論の上、当社グループの経営戦略に反映されます。
(2)リスク管理
当社グループは、安全と信頼を基盤とした事業継続のため、当社グループの事業活動に関連するリスク要因を正しく認識し、その発生可能性を低下させるための対策及び発生した場合の損失を最小限に抑えるための対応について、全社的なリスク管理体制を整備したうえで、継続的に検討・実施しております。
当社の取締役会は、当社グループの業務執行に重大な影響を与えるリスクの予防と発生した損失の管理のため、危機管理規程、関係会社管理規程などの各種規程を整備し、当社グループ全体に対する横断的なリスク管理体制を整備しております。
また、当社グループにおける日常の業務遂行に関わる通常のリスク管理は、職務権限規程に基づき各部門が付与された権限の範囲内で適切に行っております。その上で、当社グループの各部門のリスク管理の状況については、管理本部の各部門が専門知識と各業務プロセスに精通した知見を基に検証と確認を行うこととしております。各部門は、問題を発見したときは取締役会に報告することとしております。
(気候変動への対応)
当社グループは、過去のタイでの洪水やフィリピンでの台風による被害の経験から、気候変動問題を含む環境問題への対応を重大な課題の一つとして認識しております。当社グループは、2022年8月に金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しており、TCFDのフレームワークに沿った情報開示を進めております。
(1)ガバナンス
当社グループでは、医療機器・産業機器の開発・製造・販売を中心とした企業活動と地球環境との調和を目指し、環境保全に積極的に取り組み、また企業活動全般において、持続的な社会に貢献することを基本方針としております。また、気候変動への対応を含む環境への取り組みについて、中期経営計画における「持続的成長に向けた経営基盤の確立」の重要課題の一つに設定しております。
当社グループでは、気候変動をはじめとする環境課題に関し、取締役会が適切に監督を行うための体制を構築しています。特に経営上のリスク・機会にかかわる重要事項については、環境担当役員及びESG担当役員から社外取締役を含む全取締役に報告され、取締役会において議論の上、当社グループの経営戦略に反映されます。
(2)戦略
地球への環境負荷が増大する中、持続可能な社会が実現されなければ、企業活動を行っていくことはできないと考えております。特に、命にかかわる医療機器にとって、地球災害の激甚化に伴うサプライチェーンの寸断や医療機器供給能力の低下は、事業リスクのみならず社会リスクになり得ると考えられます。
気温上昇に伴う将来の環境規制の厳格化及び自然災害リスクの増大によって、当社グループの事業活動においても影響が生じる可能性があります。このような環境認識に基づき、IEA(国際エネルギー機関)の示す1.5℃シナリオ(NZE2050)や2℃(及び2℃未満)シナリオ(SDS)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル) の示す4℃シナリオ(RCP8.5)などに沿ってシナリオ分析を実施いたしました。
(気候変動に対する影響の分析)
1.5℃シナリオや2℃(及び2℃未満)シナリオでは省エネ規制の強化や炭素税及び排出枠取引の導入、主要原材料に対する環境規制や価格上昇などの移行リスクが想定されます。また、4℃シナリオでは、特に洪水や台風などの災害発生によるサプライチェーンの寸断や製造拠点の稼働停止などの物理的リスクが大きくなることが想定される一方で、平均気温の上昇に伴う血管相疾患の発症リスクの増大は、当社グループにとっては医療現場の効率性の向上に貢献できる製品の供給機会になる可能性があります。このような予測に基づき、取締役会において、各グループ会社が事業分野ごとにリスク・機会の分析を実施・共有しております。
リスク /機会 | 重要リスク | 当社グループの リスクと機会 | 影響(負の影響は△) (顕在化する期間/影響額/重要度) | 対応策 | ||
移行 リスク | 脱炭素関連の政策・法規制の強化 | 温室効果ガス排出規制の強化や、炭素税・排出枠取引の政策導入などにより負担コストが増加するリスク | 中期 | 1.5℃シナリオ: 約△9億円(2030年)
2℃シナリオ: 約△9億円(2030年) | 中 | ・CO2排出量削減の取り組み推進 ・再生可能エネルギーの利用 |
温室効果ガス排出規制をはじめとした各種規制強化に伴い、インフラ関連費用が増大し負担コストが増加するリスク | 1.5℃シナリオ: 約△7億円(2030年) | |||||
プラスチック削減や環境負荷の低い素材への移行・素材価格の上昇 | 主要原材料価格が上昇するリスク | 中期 | 1.5℃シナリオ: 約+6億円(2030年)
2℃シナリオ: 約+1億円(2030年) | 中 | ・低炭素の代替物への切り替え ・包装の軽量化 ・薬事組織のグローバル化 ・新素材研究の強化 | |
新素材の探索、製品設計の変更、薬事対応などに伴い、研究開発費や販管費が増加するリスク | - | |||||
物理 リスク | 気象災害(大雨・洪水・台風)の発生頻度増、規模拡大 | サプライチェーン寸断により、サプライヤーからの原材料の調達や、製造子会社から販売先への供給に支障が生じるリスク | 長期 | 4℃シナリオ: 約△2億円 | 小 | ・サプライヤーの気候変動リスク評価 ・サプライヤーアンケートの実施 ・代替の購入方法検討 ・代替の生産/販売ルートの検討 |
製造拠点周辺の河川の氾濫により工場及び設備が浸水し、一時的に操業が困難となるリスク | 長期 | 4℃シナリオ: 約△21億円 | 大 | ・生産拠点の気候変動リスク評価 ・生産拠点の分散化 ・大規模浸水が想定される拠点の対策検討 | ||
気温上昇に伴う海面上昇により、製造拠点が水没し操業不能になるリスク | 4℃シナリオ: 約△303億円 | |||||
気温上昇 | 平均気温の上昇により、生産施設の維持・管理コストが増加するリスク | 長期 | - | 小 | ・空調設備の入れ替えなど | |
機会 | 血管内疾患の発症リスクの増大 | 医療現場の効率性の向上に貢献できる製品の供給機会 | 長期 | 4℃シナリオ: 約+33億円(2050年) | 大 | ・研究開発の強化 |
上記のインパクトの算定に当たっては算定時点で取得可能なIEAやIPCC、国土交通省などが開示している資料等を参照し合理的な方法を用いて算定しておりますが、それぞれのシナリオの情報源となる研究成果、情報、データなどは算定時点のものであり、これらのシナリオに基づいて分析・算出したインパクトの推定値は本質的に不確実性を伴っております。 なお、中期については10年程度、長期については30年程度以上を想定しております。また、重要度については当社グループへの影響額(絶対値)が5億円未満と推定されるものを小、5億円以上と推定されるものを中、10億円以上と想定されるものを大としております。 |
(3)リスク管理
気候変動関連のリスクも含め、当社グループの経営に大きな影響を及ぼす案件については、取締役会にてリスクの評価、対応策や予防措置を議論・検討し、評価・特定された気候変動関連のリスクについても管理してまいります。
気候変動関連のリスクに関しては、経営戦略室において認識がなされ、重要リスクについて取締役会に報告しております。
引き続き、TCFD 提言に基づく気候関連リスクのフォローアップを実施するとともに、全社的なリスクマネジメントとの連携も含めた気候関連リスクの管理体制構築を進めてまいります。
(4)指標および目標
当社グループは、SBTiの1.5℃水準の削減目標に即し、2030年までに当社の事業活動から排出されるCO2排出量(Scope1+2)を2022年6月期比で30%削減する中期的なCO2排出量の削減目標を策定しております。
また、サプライチェーンで排出されるCO2排出量(Scope3)については、売上高原単位で2023年6月期の水準を維持することを目標としております。Scope3においてはカテゴリー1(購入した製品・サービス)における排出が大部分を占めておりますが、当社グループは医療機器の製造・販売を主たる事業としていることから、購買品の変更などは他業種と比較して困難であるため、大幅な削減は困難と考えております。一方で、CO2排出量の削減は当社グループにおいても取り組むべき重大な課題であるため、当社グループにおける削減のみならず取引先様とも協働して、サプライチェーン全体での削減に努めてまいります。
(Scope1+2)
当社グループの事業活動から排出されるCO2排出量は、生産量の増加に伴って、当社グループ全体として前年同期比で5.5%増加しておりますが、売上高の増加によって、売上高原単位での排出量は9.0%減少いたしました。
当社グループは売上高の規模に対して事業活動から排出されるCO2排出量は比較的少ないと考えておりますが、製造工程の効率化やこまめな節電をはじめとした省エネ活動に加えて、将来的な再生可能エネルギーへの転換なども含めた総合的な取り組みを検討し、実施してまいります。
CO2排出量(Scope1+2)
| 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 目標 |
Scope1(t-CO2) | 1,877 | 2,349 | 2,367 | - |
Scope2(t-CO2) | 39,281 | 44,385 | 46,929 | - |
合計 | 41,158 | 46,734 | 49,296 | 2030年までに2022年6月期比で30%削減 |
売上高原単位排出量 (t-CO2/百万円) | 0.67 | 0.60 | 0.55 | - |
(Scope3)
当社グループでは、主要取引先様に対する環境配慮に関するアンケートの実施や、設計段階から環境への影響を考慮したうえで環境にやさしい材料の選択などを行うことで、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減に向けた取り組みを進めております。
2022年6月期においては、当社単体のみを対象にScope3排出量の算定を実施しましたが、2023年6月期においてはグループ全体でのScope3排出量の算定を実施いたしました。今回の算定の結果からScope3においてはカテゴリー1(購入した製品・サービス)における排出が大部分を占めることが判明しておりますが、当社グループは医療機器の製造・販売を主たる事業としていることから、購買品の変更などは他業種と比較して困難であるため、大幅な削減は困難と考えております。一方で、CO2排出量の削減は当社グループにおいても取り組むべき重大な課題であるため、当社グループにおける削減のみならず取引先様とも協働して、サプライチェーン全体での削減に努めてまいります。
CO2排出量(Scope3)
| 2022年6月期 | 2023年6月期 | 目標 |
Scope3(t-CO2) | 74,045(注) | 134,448 | - |
売上高原単位排出量 (t-CO2/百万円) | - | 1.49 | 2023年6月期の水準を維持 |
(注)当社単体数値となります。
(人的資本)
(1)ガバナンス
当社グループは、企業行動憲章において「従業員のゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい環境を確保すると共に、従業員の多様性、人格、個性を尊重する」ことを掲げており、社員一人ひとりの人権を尊重し、差別やハラスメントの防止に努めております。
(2)戦略
当社グループは、2013年にAI(朝日インテック)人財ビジョンを策定し、当社のDNAである「チャレンジ」「現場力」「自活力」「グローバルベスト」「創造的ものづくり集団」を基本方針とした価値観浸透と人財育成を推進しております。
近年、当社グループは、グローバル規模で市場拡大・成長を目指しており、国際的な事業展開において、AI人財ビジョンをベースにした「グローバル人財基盤の強化」が喫緊の課題となっております。本課題に対し、「人財マネジメント」と「働きやすい職場づくり」という視点で、グローバル企業として相応しい体制づくりを目指しております。
今後も更なる成長を追求するために、多様性を理解し、多面的な角度から幅広い視点で物事を図れるような人財を育成することで、グローバル企業として相応しい組織力を高めてまいります。
グローバル人財基盤強化の取り組みを強固なものにするため、当社内にグローバル人事機能を置き、国内外の当社グループ企業・各拠点への当社のDNAの浸透を軸とした組織開発や人事戦略(各種制度構築・採用・人財育成など)の実行支援や連携を強化しております。
(3)リスク管理
当社グループは、通報相談窓口として、社内・社外にそれぞれASAHI グループ・コンプライアンスホットラインを設置しております。窓口では、従業員からの社内の法令違反・定款違反・企業行動憲章違反・社内規程違反・ハラスメントについての通報・相談を受け付けております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、人財の多様化による企業価値の向上を目指し、国籍、人種、性別、年齢、障がいの有無などに関係なく、各々がその能力を十分に発揮し、活躍できる環境づくりに努めております。当社として、多様性推進のため、以下の指標を設定しております。当該指標における目標および実績は以下の通りです。
(単位:%)
| 2021年 6月期 | 2022年 6月期 | 2023年 6月期 | 目標 |
女性社員比率(グローバル) | 77.1 | 77.2 | 76.2 | - |
女性管理職比率(グローバル) | 32.5 | 33.9 | 36.3 | 30%以上を維持 |
女性管理職比率(単体) | 7.7 | 7.9 | 12.0 | 2026年6月期13%以上 |
新卒採用女性比率(単体) | 24.5 | 14.9 | 26.5 | 25%以上を維持 |
新卒技術系採用女性比率(単体) | 18.2 | 12.9 | 21.9 | 20%以上を維持 |
男女の賃金差(単体) | - | - | 61.1 | - |
男女の賃金差(単体/正社員のみ) | - | - | 82.0 | - |
女性の育児休暇取得率(単体) | 100.0 | 100.0 | 100.0 | - |
男性の育児休暇取得率(単体) | 7.4 | 20.7 | 54.5 | 50%以上を維持 |
詳細は『朝日インテックグループ統合報告書2023』
(http://www.asahi-intecc.co.jp/esg/)をご参照ください。
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