豊田合成 【東証プライム:7282】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
(1) サステナビリティに関する基本的な考え方
当社の社是「限りない創造 社会への奉仕」は豊田綱領に基づき策定され、経営の根幹として脈々と受け継がれて
きました。
その考え方は、「事業活動を通じて環境・社会課題解決に貢献する」サステナビリティの概念と共通しています。
私たちは、これからもステークホルダーや社会から信頼され、必要とされる企業であり続けるために、
サステナビリティ重要課題と中長期事業計画との統合を図った経営に取り組み、時代の変化に即した、社会の
持続的な発展と当社の持続的な成長を目指していきます。
■環境・社会課題への貢献に関連した主な製品例
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UV-C光源ユニット |
| UV-C高速表面除菌装置 |
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LED応用製品 (除菌装置) |
| セーフティシステム製品(各種エアバッグ等) |
| FCEV製品(水素タンク) | ||
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省エネに貢献してきたLED技術を応用し空気・表面除菌、水浄化の実現により衛生面にも貢献 |
| 交通事故死傷者数の減少に グローバルで貢献 |
| カーボンニュートラル・環境負荷 低減に向けて、水素社会実現に貢献 |
■マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)
私たちは「限りない創造 社会への奉仕」を社是に、当社の成長を通じて持続可能な社会の実現へも貢献し、
「経済価値」と「社会的価値」の両立を目指しています。
2025事業計画の実現に向けて、変化する事業環境を踏まえて想定した社会予測やSDGsを含む様々な社会課題の
中から、当社として重要度が高くかつ特に貢献できる項目を「マテリアリティ」として掲げて取り組んでいます。
(2)サステナビリティへの取り組み
■推進体制
社是・経営理念のもと、事業活動を通じて、社会の持続的な発展と当社の持続的な成長に向けた取り組みを
推進するためのマネジメント体制を構築しています。すべてのステークホルダーの皆様との対話を重ね、中期経営
計画の達成に向けたKPI・目標を設定し、PDCAサイクルを回していくことが重要と考えています。
サステナビリティ推進体制図
■サステナビリティ会議(ガバナンス・リスク管理)
2021年11月にサステナビリティ会議を設置し、取締役社長を議長とする社外を含む全取締役、全監査役および
本部長をメンバーとして構成しており、客観性と透明性の高いバランスの取れたサステナビリティの施策を実行して
います。(原則年2回開催)
なお、サステナビリティ会議では、サステナビリティKPI・目標の決議、それらの成果・進捗確認、外部環境変化
の把握、ESGに関わるリスクや機会などをテーマに運営をしています。
(サステナビリティ会議の概要)
目的 | サステナビリティに関する重点取り組み事項の審議・決定と実施状況の確認 |
開催頻度 | 原則2回/年 |
議長 | 取締役社長 |
構成員 | 全取締役・全監査役(社外取締役・社外監査役を含む)、本部長および海外地域本部長 |
主なアジェンダ | ・サステナビリティに関する重点取り組み事項の決定 ・重点取り組み事項および目標値の実施状況の報告 ・重要な社外開示項目の決定 |
■サステナビリティKPI・目標
マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)をベースとした、環境・社会課題解決と当社の持続的成長に
つながる中長期KPI・目標値を設定し、それらの達成に向けて単年度のPDCAサイクルを回しています。
環境に関する中長期KPI・目標値については、①環境の分野(E)の「ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応」
「イ)循環型社会の構築への取り組み」「ウ)生物多様性の保全に向けた自然共生社会の構築への取り組み」に記載しています。
人的資本に関する中長期KPI・目標値については、②社会の分野(S)の「ア)人材戦略」に記載しています。
①環境の分野(E)
みどりあふれる豊かな地球を残していくための取り組みを企業の使命と捉え、TG2050環境チャレンジの
実現に向けて、製品のライフサイクル全体で、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー戦略を立て
取り組みを進めています。
カーボンニュートラル・環境委員会を通じて、中長期目標の達成状況を確認するとともに、低減方策を議論
しながら取り組みを推進しています。また、2021年6月にカーボンニュートラル、循環型社会の実現に向けた
全社横断の「カーボンニュートラル促進プロジェクト」を発足させ、顧客やサプライヤーとも連携しながら
取り組みを強化しています。
TG2050環境チャレンジ(6つのチャレンジ) |
| カーボンニュートラル実現に向けた中長期シナリオ |
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項目 | 範囲 | 実績 | 削減の主な活動 | |
2021年 | 2022年(概算値) | |||
CO2排出量(SCOPE1) (注1) | 連結 | 10.1万t-CO2 | 10.6万t-CO2 | ・ボイラー・冷温水発生器などのユーティリティ 設備の高効率化 ・太陽光発電システム設置など再生可能エネルギ ーの利用拡大 |
(SCOPE2) (注1) | 連結 | 37.0万t-CO2 | 35.3万t-CO2 | |
廃棄物量 | 単体 | 5.5 千t | 5.1 千t | ・徹底的な分別による有価物化の推進 ・発生源対策として歩留改善 ・ゴムの廃棄物削減に向けた脱硫再生による リサイクルの推進 |
水 (売上当り取水量) | 単体 | 0.67千t/億円 | 0.57千t/億円 | ・冷却機器の更新 ・製品の洗浄方法の変更(蒸気式⇒電気式) |
生物多様性 (緑の復元面積) | 単体 | 7.9 ha | 9.8 ha | ・里山整備の拡大(森町工場での新規実施) ・干潟の保全活動 |
(注1)当連結会計年度より連結ベースで記載しています。
前連結会計年度に記載した2021年実績 10.8万t-CO2は、単体ベース(SCOPE1、2合計)となっています。
SCOPE1: 企業自身が直接排出したCO2排出量(化石燃料・天然ガス等)
SCOPE2: 企業が間接的に排出したCO2排出量(購入電力等)
これらの取り組みが評価され、2022年 日本経済新聞社「SDGs経営度調査」の環境評価価値でS+、環境活動に
関する情報開示を推進する国際NGOのCDP(注2)による「気候変動サプライヤー・エンゲージメント評価」で、
4年連続最高評価のAランクという高い評価を得ることができました。
引き続き顧客・サプライヤーと連携し、各SCOPEの排出量低減と情報開示などを進め、グループ一丸となって、
環境保全活動の充実を図っていきます。
(注2)CDP:イギリスを拠点とした国際NGO。旧名称であるCarbon Disclosure Projectの略。
ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社は、パリ協定の「世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える」という目標達成を目指し、気候変動への
対策として、CO2排出量削減による脱炭素社会の構築をマテリアリティ(重要課題)の1つとして掲げ、
2019年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。
TCFDの考え方に基づき、シナリオ分析を行い事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略へ
盛り込む活動を実施しています。なお、今後も財務への影響を検証するなど充実していきます。
a.ガバナンス
2016年2月に長期の環境活動計画となる「TG2050環境チャレンジ」をカーボンニュートラル・環境委員会
で策定し、公表を行い、当社グループで持続可能な社会の実現に向けて活動を強化しました。
カーボンニュートラル・環境委員会は取締役社長が委員長を務め、年2回開催し、サプライヤーへの影響も
含めて気候変動によるリスクと機会について審議し、中長期目標の認定、実現に向けたシナリオの策定を
行い、経営戦略へ反映しています。また、その結果を取締役会、経営会議等へ定期的に報告しています。
b.戦略
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでもCO2削減に取り組んできました。
昨今の社会的要請の高まりを受け、2021年4月に「Targets 50&50」を定め、2030年までに
CO2排出量を 50%減(2013年度比)、再生可能エネルギー導入率50%とより高い目標に見直しました。
また、将来の炭素価格を想定し、インターナルカーボンプライシングを導入して、取り組みを加速して
います。
その実現のため、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した「4℃シナリオ(注3)」、
「1.5/2.0℃シナリオ(注4)」などを考慮し、次ページのとおり事業活動に与える気候関連のリスク
(物理リスクおよび移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
(注3)4℃シナリオ:産業革命前と比べ4℃前後上昇するシナリオ
(注4)1.5/2.0℃シナリオ:産業革命前に比べ21世紀末に世界平均気温の上昇幅が1.5/2.0℃に抑えられる
シナリオ
<物理リスク> 気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク
影響する項目 | リスク | 機会 | 対応 | |
急性 | ・異常気象による大規模 災害 | ・河川の氾濫、巨大台風、 渇水などによる生産支障 | ・BCP対応の強化で、顧客 信頼につながり受注拡大 | ・BCPのレジリエンス体制の強化 ・緊急時電源の確保 (非常用電源確保と自家発電設備の活用) ・建設地、建物耐久性の確認と改善 ・耐久、耐水、耐熱性に優れた製品の企画、 開発 |
慢性 | ・気温上昇 ・降水、気象パターンの 変化 | ・温暖化による製品耐久性 の不足で品質不具合 | ・製品の耐久性の充実で 付加価値が向上し、 収益向上 |
<移行リスク> 脱炭素社会への移行に伴い発生するリスク
影響する項目 | リスク | 機会 | 対応 | |
政策・ 規制 | ・電動化の促進施策 (ZEV(注5)、燃費、 ガソリン車規制) ・政府のカーボンニュー トラル宣言 (CP(注6) 制度、 補助金の拡大) | ・顧客のエコカー開発が加速 ガソリン車の部品の売上が 減少 ・炭素税が導入され収益悪化 | ・ZEV(注5)であるBEV/FCEV ・国の支援(補助金等)を活用 した製品、工法開発が進み 収益が向上 ・燃費(電費)向上に向けた 軽量化ニーズの高まりから 樹脂、ゴムの軽量化製品の 売上が増加 | ・BEV/FCEV用の製品および部品開発 ・金属の樹脂化、樹脂・ゴム製品の 更なる軽量化、低炭素化 ・省エネ、創エネによる工場・ オフィスのZEB(注7)化 |
市場 | ・CASE、MaaS市場拡大 ・省エネ製品、高分子・ LEDの技術を活かした 新分野の市場拡大 | ・車の価値、使い方の変化で 従来製品の売上が減少 ・環境負荷の大きい製品の 不買化 | ・カーシェア増加に伴い、 除菌/抗菌製品の売上が増加 ・省エネ製品開発による 事業拡大、収益向上 | ・除菌/抗菌製品の開発 ・e-Rubber、GaNパワーデバイスの 開発・商品化 ・自然由来の材料の利用促進やバイオ プラスチックの利用技術の向上 |
技術 | ・エネルギー転換 ・再生可能エネルギー技術 の進歩、普及 ・省エネ技術の普及 | ・エネルギー転換への生産 技術対応でコストが増加 し、財務負担になる ・技術普及に乗り遅れ、CO2 低減が進まず炭素税等で 収益が悪化 | ・製造段階での省エネ、 低コスト生産の開発が進み 収益向上 ・再エネ、省エネ技術を活用 した環境に配慮した生産工程 の整備が進み収益向上 | ・工場エネルギーの最適化を推進 ・再生可能エネルギーの積極的な導入 ・IoT活用による省エネ生産、工程の 整備 ・製品ライフサイクルでの負荷低減の 推進 ・水素導入と蓄電用部品の開発 |
評判 | ・顧客の評価の変化 ・投資家の評判の変化 | ・環境負荷の小さい(脱炭素 など)製品が発注条件と なり、対応ができず失注 | ・脱炭素の製品開発ができ、 競合他社に優位性が増し、 受注拡大 | ・カーボンゼロ製品の開発、商品化 (環境に優しい材料開発、易解体 製品設計) |
(注5)ZEV: Zero Emission Vehicleの略。走行時にCO2等の排出ガスを出さないBEV/FCEV等。
(注6)CP: Carbon Pricingの略。炭素税や排出量取引により炭素に価格付けを行うこと。
(注7)ZEB: Net Zero Energy Buildingの略。高効率設備や再生可能エネルギー導入により、年間1次エネルギー収支ゼロとする
建築物。
c.リスク管理
当社では、カーボンニュートラル・環境委員会、内部統制委員会やマネジメントシステム(ISO14001)
で、気候関連のリスク(物理リスクおよび移行リスク)を管理しています。リスク管理のプロセスは、
リスクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、委員会等で回避・軽減・
移転・保有などの対策を決定し、進捗管理をしています。重要リスクについては定期的に取締役会に報告
しています。
d.指標及び目標
当社の環境活動は、長期目標である「TG2050環境チャレンジ」として、2050年に工場のCO2排出量ゼロなど
の目標を掲げています。また中期目標である「2030年マイルストーン」としてCO2排出量を 50%減
(2013年度比)、再生可能エネルギー導入率 50%の目標(Targets50&50)を設定するとともに、環境に配慮
した生産工程や設備の開発など、社内横断的にCO2低減活動を進めていきます。
今後脱炭素化に向けた動きがさらに加速する状況を見据え、早期実現に向け取り組みを強化して
いきます。更に5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しています。
<中長期目標>
項目 | 目標年 | 目標値 |
第7次環境取組みプラン | 2025年 | SCOPE1+SCOPE2 における CO2排出量2015年度比 25%減 |
2030年マイルストーン (Targets 50&50) | 2030年 | SCOPE1+SCOPE2 における CO2排出量2013年度比 50%減 |
TG2050環境チャレンジ | 2050年 | SCOPE1+SCOPE2+SCOPE3(注8) における カーボンニュートラル SCOPE1+SCOPE2 における CO2排出量ゼロ化 製品技術での環境社会への貢献 |
(注8)SCOPE3: 企業が間接的に排出するサプライチェーンでのCO2排出量(原材料製造、輸送、出張、通勤等)
カーボンニュートラルに向けたシナリオ
イ)循環型社会の構築への取り組み
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、循環型社会への対応として、廃棄物低減、水リスク低減に
よる循環型社会の構築をマテリアリティ(重要課題)の1つとして掲げ、取り組みを推進しています。
a.ガバナンス
「ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応 a.ガバナンス」に記載しています。
b.戦略
当社は、廃棄物量・水リスクの極小化やリサイクルしやすい製品設計を通じて、循環型社会の実現に
向け、取り組みを進めてきました。昨今の資源循環を取り巻く動向など事業活動に与えるリスクと機会を
抽出し、活動へ反映させています。
廃棄物低減としては、製品設計段階では自動車のライフサイクル全体を考え、リサイクルしやすい製品や
材料の開発・設計、廃材リサイクル技術の開発を推進しています。また、生産段階では、発生源対策と
リサイクルを推進しています。取り組みの強化のため、工場、生産技術、材料技術、製品設計部門と連携
した「廃棄物低減プロジェクト」を発足させ活動を加速させています。
水リスク低減としては、国内外の拠点を水量・水質の両面でリスク評価し、それぞれリスクのレベルを
付け、リスクレベルごとに対策を分けて活動をしています。
<リスクと機会>
影響する項目 | リスク | 機会 | 対応 |
資源の枯渇 (不足) | ・原材料の調達難や価格 高騰による収益悪化 と生産支障
| ・リサイクル技術、材料使用 量の削減による収益向上 ・上記技術開発による企業 価値の向上 | ・軽量化に向けた製品開発の推進 ・原材料のリサイクル技術開発 ・植物由来のバイオ材や リサイクル材の活用拡大 |
水リスク (量・質) | ・生産に必要な水の確保 難による生産支障 ・水質悪化による製品 品質の悪化 ・水害による生産支障 | ・水の再利用、使用量の削減 による収益向上 ・上記技術開発による企業 価値の向上
| ・水の再利用技術の開発 ・雨水の利用の活用拡大 ・生産体制の見直し、電気設備の 設置場所見直し
|
c.リスク管理
「ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応 c.リスク管理」に記載しています。
d.指標及び目標
当社の環境活動は、長期計画である「TG2050環境チャレンジ」の中の項目として、廃棄物量・水リスクの
極小化を目指して、2030年マイルストーンとして目標を設定し、取り組んでいます。更に5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しています。
廃棄物極小化に向けたシナリオ
< 中長期目標 >
項目 | 2025年目標 第7次環境取組みプラン | 2030年目標 マイルストーン | 2050年目標 TG2050環境チャレンジ | |
廃棄物低減 | 豊田合成 | 2012年度比 40%削減 | 2012年度比 50%削減 | 廃棄物量の極小化 |
海外関係会社 | 2015年度比 50%削減 | 2015年度比 55%削減 | ||
水リスク | 高リスク エリア | - | 水量・水質リスク拠点の 対策完了 | 水リスクの極小化 |
低リスク エリア | - | 2019年度比 取水量原単位 11%削減 |
ウ)生物多様性の保全に向けた自然共生社会の構築への取り組み
当社は、自然から原材料や水など多くの資源を受けている一方で、CO2排出や排水など、自然環境に影響を
与えています。ネイチャーポジティブの実現に向け、地域社会との共生をマテリアリティ(重要課題)の1つと
して、生物多様性の保全活動を推進しています。
a.ガバナンス
生物多様性の保全に向けた自然共生社会の構築を、環境活動の長期目標となる「TG2050環境チャレンジ」
の柱の一つに掲げ、顧客やサプライヤーとの連携も含めて当社グループ全体で取り組みを進めています。
事業活動の生物多様性への影響や自然共生の保全活動に関する中長期目標の設定などを、カーボン
ニュートラル・環境委員会で審議し、事業活動へ反映しています。その結果は取締役会、経営会議等へ
定期的に報告します。
b.戦略
当社は「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでも自然共生活動に取り組んできました。昨今の
社会的な要請の高まりを受け「命の源である水で活動をつなぐ」をスローガンに、里山整備、ビオトープの
整備、河川保全、海のエリアでは干潟の保全などを進めています。2050年までに工場面積と同等の緑地面積
の保全を行う「緑のノーネットロス」という目標を設定して取り組んでいます。またこの考え方は、環境省
「生物多様性のための30by30アライアンス」の趣旨に通じることもあり、2022年4月に賛同しました。
<リスクと機会>
影響する項目 | リスク | 機会 | 対応 |
自然資本 の減少 | ・原材料の調達難や価格 高騰による収益悪化 と生産支障 ・水質悪化による製品品質 の悪化
| ・自然保護活動を通じた 人材や原材料の確保による 事業継続 ・里山整備、河川保全を通じた 良質の水資源確保による 持続可能な生産および 企業価値の向上 | ・軽量化の製品開発の推進 ・原材料のリサイクル技術 開発 ・植物由来のバイオ材や リサイクル材の活用拡大
|
c.リスク管理
「ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応 c.リスク管理」に記載しています。
d.指標及び目標
当社の環境活動は、長期計画である「TG2050環境チャレンジ」として、2050年に「緑のノーネットロス」
の目標を掲げています。また、中期目標である「2030年マイルストーン」として緑の復元面積 23.0ha
(2010年度比)、更に5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しています。
緑のノーネットロス目標 緑のノーネットロス実現に向けた活動
< 中長期目標 >
項目 | 2025年目標 第7次環境取組みプラン | 2030年目標 マイルストーン | 2050年目標 TG2050環境チャレンジ |
緑のノーネットロス (緑の復元) | 14.0ha 以上 | 23.0ha 以上 | 59.0ha(工場の面積分) |
②社会の分野(S)
ア)人材戦略
a.戦略
当社は人材戦略の柱として「人材育成の促進」「多様な人材の活躍」「働きやすい風土づくり」の3つを掲げ、仕事の進め方の基本である「問題解決手法、PDCA サイクル」や、技術や材料など専門的な知識を習得する教育
機会の提供、また、女性や障がい者、多様な価値観を持つ人材が力を発揮できる環境づくり、当社のありたい姿
への取り組みと働きがいや成長実感が重なるエンゲージメントの向上への取り組みを進めています。上記の戦略
を進める上での環境整備として、風通しの良い企業風土づくりを継続し、ワクワクとチャレンジできる企業文化
づくりを進め、多様な人材が成長と働きがいを感じられる、魅力のある職場の実現を目指していきます。
人材戦略の3つの柱
b.ガバナンス および c.リスク管理
人材戦略に基づく施策に関しては、「人事会議」(年2回開催)にて、また、部長職以上、関係会社役員
などの重要なポジションの任免や、将来の登用計画などについては「GSC:Global Succession Committee」
(年5回開催)にて審議しています。これにより、経営戦略の実現を念頭に置いた人材育成や配置などを
行っています。人事会議、GSCとも議長は総務・人事本部長が務め、人事会議は社長以下、取締役、監査役、
執行役員、GSCは取締役と本部長以上が参加し、議論を行っています。
d. 指標及び目標
重点項目の2022年度実績と2025年度目標値[単体]
重点項目 | 2022年度実績 | 2025年度目標 |
幹部人材を対象とした研修の受講者数 | 60名 | 80名 |
海外出向経験者比率(管理職、事技職) | 21% | 25%以上 |
DX人材の育成人数 | 190名 | 270名 |
女性管理職の人数(率) | 33名(3.1%) | 45名 |
ローカル幹部比率(海外グループ会社の副社長以上) | 32%[グローバル] | 40%以上[グローバル] |
中途採用者の管理職比率 | 30% | 30%以上を維持(注) |
障がい者雇用 | 2.79% [国内グループ全体] | 法定雇用率達成 [国内グループ各社] |
エンゲージメントサーベイ結果(肯定的評価) | 59% | 70% |
平均残業時間 | 11.3H/月・人 | 10.0H/月・人以下 |
年休取得率 | 94% | 95%以上 |
(注)中途採用者の在籍比率と同等の管理職比率を使用しています。
イ)人権の尊重
豊田合成グループは、国連の「世界人権宣言」や「国連ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする
国際規範を支持・尊重するとともに、「豊田合成グループ行動憲章」において、「人権や個人の多様性・
人格・個性を尊重し、差別的行為やハラスメント行為等を行わず、労使協調のもとで常に健全で働きやすく
安全な職場づくりを努めます」との基本方針を定めています。本憲章の理念を実現するための行動基準となる
「豊田合成行動倫理ガイド」においては、人格・人権の尊重、公正な採用、強制労働や児童労働および
あらゆる形態のハラスメントの禁止を明言しています。
・人権方針の策定
これまでの人権に関する取り組みをさらに加速させるため、2022年5月に「豊田合成グループ人権方針」を開示しました。本方針は、外部有識者の助言を踏まえて作成し、全役員と本部長が参加するサステナビリティ会議での審議を経て、取締役会で承認されています。なお、サプライヤーの皆さまに対しては「仕入先
サステナビリティガイドライン」を共有し、実践を要請しています。
・体制
人権尊重に対する取り組みは、人事会議で議論し、その結果についてサステナビリティ会議で報告して
います。
・従業員への啓発・浸透
豊田合成グループでは、これまでも入社時、昇格時の研修などの機会において人権尊重の教育を実施して
きましたが、「豊田合成グループ人権方針」の策定を踏まえ、2022年度から外部講師によるウェルビーイング
をテーマにした講演会、社内報での人権方針解説書、事技職向けオンライン研修、技能職向け啓発ツールの
展開を実施しています。ハラスメント・差別のない職場創出のための通信(「明るい職場応援団通信」)を毎月
発行し、また、人権問題を専門的に学ぶ社外研修に人事担当を派遣するなどして、人権感覚に優れた担当者の育成にも取り組んでいます。
・人権デュー・デリジェンス
豊田合成グループは、人権方針に基づく取り組みを実践するために、国連「ビジネスと人権に関する
指導原則」に則り、同原則で記されている人権デュー・デリジェンスを2022年に開始しました。
・人権影響評価
人権デュー・デリジェンスの一環として、まずは当社グループ内を対象とした人権影響評価を外部有識者と共に実施し、当社グループ内における優先的に取り組むべき人権課題(顕著な人権課題)を特定しました。
当社グループの事業活動や製品・サービスに関連する人権リスクの全体像を把握するため、まずは机上
調査、グループ会社への書面調査、更にリスクが高い国・地域においてはヒアリングを実施し、取り組みの
実態や課題を確認しました。評価の結果、今後マネジメント体制を強化する必要があり、優先的に取り組む
べき豊田合成グループの顕著な人権課題として、3つの課題、「ハラスメント」、「移民労働者(国内においては外国人技能実習生)」、「ダイバーシティ&インクルージョン」が特定されました。なお、評価の過程に
おいて「労働安全衛生」も重要な人権課題として挙がってきましたが、「労働安全衛生」はグループ全体に
おけるマネジメント体制が確立されており、PDCAサイクルに基づいた取り組みが進められているため、
人権デュー・デリジェンスとして対処していく優先課題としては除外しました。
特定された顕著な人権課題については、負の影響の防止・軽減への取り組みを関連部門と連携し、推進していきます。また、人権を取り巻く状況は常に変化するため、今後も人権影響評価を定期的に実施します。
・国内外グループ会社への取り組み
国内外グループ会社に対しては、各国法令や「豊田合成グループ行動憲章」に沿った人事労務
コンプライアンス・人権の管理状態を把握するため、2017年より、主なグループ子会社を対象に自主点検調査を実施しました。今年度実施した人権デュー・デリジェンスにより特定されたリスクを重点的に、今後さらに改善活動に力を入れていきます。
③ガバナンスの分野(G)
前連結会計年度より監査部が取締役会に内部監査結果を報告する仕組みをつくり、適正な業務が行われるよう
ガバナンス機能の強化と運用に努めています。
ガバナンスについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載して
います。
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